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年末から3月に向けてピークをむかえる『労働問題』。キーワードは『予防』、2016年の傾向と対策。

専門家コラム

2016.09.27 / 名古屋

引地 真一

弁護士

※この記事は2016年5月に公開した記事を、2016年9月に修正したものです。

今年の3月は過去最多の相談件数に。増え続ける労働相談の裏側。




上記グラフは、当ベリーベスト法律事務所での、2015年度の月別労働相談件数の推移を表しています。今年の3月は、労働問題に関する相談件数が、過去最多となりました。これには、以下の背景があります。

 ①継続的な景気悪化によるリストラ進行
 ②「ブラック企業」という言葉の浸透による働き方の見直しが進んでいる
 ③インターネットの普及により情報収集が容易になった

昨今の「未払残業代請求」など、雇用される側が労働問題に関する情報を得やすくなったことも、要因として挙げられます。さらに、相談内容の内訳を見てみましょう。

最も相談件数が多いのが「不当解雇」、次いで「残業代(長時間労働)」です。残業代請求(長時間労働)は、既存スタッフに対して充分にケアすべき問題と言えるでしょう。

労働問題に関する相談件数は、一年の中で3月にピークを迎えます。これは企業期末シーズンと重なり、退職の意志を固めた方が相談に訪れやすくなるためです。ここから遡ってみると、新年度の段階より、訴訟の「火種」が蒔かれている可能性があるのです。


           【TIPS】労働審判手続きとは
            労働審判手続きは、増加する労働トラブルに対応するために2006年に新しくできた
    手続きです。
    解雇や給料の不払いなど、事業主と個々の労働者との間の労働関係に関するトラブルを、
    そのトラブルの実情にあわせて、迅速、適正かつ実効的に解決することを目的としています。
    3回以内の期日で労働審判が開かれ、話し合いの中で調停(和解)が試みられます。
    もしそれでも調停がまとまらなければ、訴訟に発展することがあります。


   


 

    上記グラフからわかるように、2006年にこの制度ができてから年々労働審判手続きは増加し
    ここ数年は年間3300~3500件前後で推移しています。


残業代の支払いだけでは、リスクは回避できない。


スタッフに時間外労働をさせた場合、原則として「残業代」を支払わなければならないことは、みなさまご存知の通りです。しかし、「残業代」を支払えば十分かと言えば、決してそうではありません。いわゆる36協定を締結していないなどの理由により、時間外労働をさせることが違法と判断されれば、労働基準監督署から指導・是正勧告を受ける可能性があります。

また、長時間労働を原因としてスタッフが病気にかかってしまった場合、労働災害と認定されるだけでなく、さらに損害賠償請求を受ける可能性も考えられます。特に、スタッフが長時間労働を原因とする脳・心臓疾患や精神障害により死亡してしまった場合、請求額は数千万円以上におよぶことも考えられます。





上記グラフは、労災支給決定件数の推移です。
脳・心臓疾患にかかる労災支給決定の件数は、1999年度、2000年度には年100件に満たなかったものの、2001年度に143件となり、2002年度以降、年300件前後で推移しています。また,精神障害にかかる労災支給決定の件数は、1999年度には14件でしたが、2013年には436件に増加しており、過去最高を更新しています。


会社だけでなく、あなたの責任が問われる可能性も。


具体的なケースをご紹介します。
全国展開する飲食店チェーンの新入社員が、月100時間前後の時間外労働に従事した結果、入社から4か月経過した後に急性左心機能不全により死亡したケースで、労災認定がなされています。

そしてこのケースでは、相続人(ご両親)から会社及び取締役に対し損害賠償請求もなされ、裁判所は、会社及び取締役に対し、相続人(ご両親)2名へそれぞれ4000万円弱の損害賠償責任を認めました。業務執行全般を担当する権限がある代表取締役のみならず、被害者の勤務実態を知っている立場にある店舗本部長や支社長らについても責任が認められていることに注意が必要です。


何よりも「予防」が大切。あなたの職場のリスクを今すぐチェック。


上記ケースのような賠償リスクは、使用者にとって相当な負担となります。あなたの職場は大丈夫ですか?

□日頃からスタッフの労働時間や業務負担は適正かどうか把握している。
□スタッフの健康管理について定期的にチェックをしている。
□過重な場合には残業を減らしたり業務負担を軽くする措置を取っている。
□会社として、過重労働を抑制するような体制が構築されている。

いかがでしょうか?もし1つでもチェックがつかなかったら黄色信号です。労災や損害賠償に発展するリスクがあります。残業代を支払っているから大丈夫ではないのです。長時間労働そのものが労災、損害賠償に発展する恐れがあることを忘れないでください。ご自身の職場を振り返り、ご不安な方は、ベリーベスト法律事務所の無料相談まで、お気軽にお問合わせください。

筆者プロフィール

引地 真一
法科大学院卒業後、弁護士法人ベリーベスト法律事務所に入所。
労働問題チームを牽引し、担当分野は残業代請求、不当解雇、退職勧奨を含む労働問題全般。
依頼者が求めていることは何か、依頼者の希望を最大限実現するためには何ができるのかを常に考えて行動するよう心がけております。また、依頼者とのコミュニケーションも大事にしております。
【担当アシスタントより】クライアントへの、やさしさあふれる対応はきめ細かさが際立ちます。物静かな印象もありますが、実は、お話が楽しい先生です。

弁護士法人ベリーベスト法律事務所:https://www.vbest.jp/

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