社会貢献は採用の武器になるか?

専門家コラム

2017.01.05 / 名古屋

三ッ口 洋一

Team N+1 代表

Cause Related Marketingって何?


中小企業のための社外広報部を目指すTeam N+1の三ッ口です。
今回は他社との差別化が難しい中小企業が存在感をアピールする方法を考えます。

コーズ・マーケティング(Cause Related Marketing)という手法があります。日本パブリックリレーションズ協会(http://prsj.or.jp/)の定義によれば、それは「企業が商品やサービスを消費者に提供する際に、社会貢献に結び付くような仕掛けを取り入れるマーケティング手法」となっています。

日本で有名なのは1960年に始まった「ベルマーク運動」です。学校や被災地、途上国の教育支援のために企業が協賛するものですね。

近年ではミネラルウォーターのボルヴィックが1リットル購入されるごとにアフリカに10リットルの清潔な水を贈ろうという企画「1L for 10L(ワンリッター・フォー・テンリッター)プログラム(2007)」が注目されました。

利益が出たら、ではなく売り上げの一部を社会問題の解決に充てることで、販売促進を狙う手法として、多くの企業が様々なテーマで導入し効果をあげています。効果は時限的だという指摘もありますが、特に同業他社と差別化の難しい商品で有効なやり方です。


中小企業でも知恵を使えば、コストをかけずにできる


コーズマーケティングは、資本力のある大手企業にしかできないものでしょうか?私は決してそうは思いません。

中小企業や個人事業主にも、大きなコストをかけずにもできることがあります。しかも売上・認知度の向上や採用にも効果があるとしたら、導入を検討してはいかがでしょうか?

私も微力ながら、だまされて売られる子どもを助ける運動に協力しています。国連の定義の中で最も劣悪な労働形態であると言われるのが児童買春ですが、この問題に取り組むのがかものはしプロジェクトです。
かものはしプロジェクト(http://www.kamonohashi-project.net/)

途上国で子どもを買う人を逮捕するための警察支援と、大人の仕事づくり、子どもの教育をしてくれています。


C社は土木工事の会社ですが、農業を経営しています。野菜など農作物を生産し、農業体験や販売事業をしています。そこから出た利益を会社の社会貢献活動の原資としています。

この会社の経営者は、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)発効を見据えて、今後日本でも大規模農業のニーズが高まるとにらみ、同業他社に先駆けてショベルカーによる畑作りのノウハウを蓄積しているのです。この事業は持続可能な先進事例として県の環境賞を受賞し、見学者が後を絶たないそうです。

この事業を企画したのは中途入社の社員です。この仕事をしたくて、遠方からこの会社を受けに来たそうです。
C社は知名度こそ高くありませんが、面接で社長の話を聞くと、応募者の目の色が変わるそうです。工事会社なのに、美大出身者もいるそうです。
コーズマーケティングによって、よい人材を幅広く採用している好事例だと思いませんか?


途上国の子どもを救うラーメン屋


D社はラーメン店チェーンです。自慢の特製ラーメンは980円。よくある券売機で食券を買います。トッピングは50円だったり100円だったりしますが、一つだけ20円のメニューがあります。ラーメンを食べようと千円札を入れて、ボタンを押せば、あと購入できるのはその20円の商品のみです。

もちろんおつりレバーを引けば、20円が手元に戻りますが、多くのお客様はためらうことなくボタンを押すそうです。


そのボタンにはこう書いてあります。「カンボジア寄付 20円」と。

年間数十万円が集まり、学校を作る費用にあてられているとか。店員さんには「ウチはただのラーメン屋じゃない。途上国の子どもを救うラーメン屋なんだ」という自負があります。でもそれはお客様のおかげで成り立っているわけですから、自然に接客も良くなります。

お客様だけにお金を出させては申し訳ないと、D社もラーメン一杯につき2円を負担しています。ただのラーメン屋と子どもを救うラーメン屋だったら、どちらで働きたいと思うでしょうか?


私たちも人助けしたい


E社は障がい者(=チャレンジド)の就労支援をしています。「世界のかおちゃんバッジ」という似顔絵バッジを製造販売しています。http://tsumuguc2.c2ec.com/

もともとは誰かに対する感謝の気持ちをバッジに託して、その相手に似顔絵バッジをプレゼントしよう、感謝する人になろう、感謝される人になろう、というものでしたが、現在は自分で自分の顔をバッジにすることもできます。

かおちゃんバッジは障がい者の仕事を作ると同時に、チャリティの意味合いもあります。売り上げ金額の半分が、自分たち以外の誰かのために使われます。例えば、災害被災者の義援金、地域のお困りごと解決への補助、パラリンピックに挑戦する仲間の支援などです。

この活動は支援先を変えるごとに、地元の新聞社が記事にしてくれているそうです。


今の若者が欲しいのは、モノやお金よりも自己肯定感


モノに困らない時代に生まれた若者たちは、私たちの世代に比べると物欲に乏しいように見えます。モノやお金よりも「人の役に立つ仕事がしたい」「誰かの必要とされる存在でありたい」と言います。

その言葉の裏には、常に他者との比較や競争により、おとしめられた自己肯定感の低さを感じます。
「どうせ私なんか・・・」と言う彼らに、仕事を通じて、社会や組織の一員として役に立っているんだという実感を与えられないかと思うのです。

自分のやっていることが誰の何の役に立っているのか、私たち(の会社)は何のために存在しているのか、どこへ向かって行こうとしているのか。

経営者の皆さん、それをちゃんと示せていますか?カッコよくなくても自分の言葉で語っていますか?それこそが、ブランディングであり、人を惹きつける源泉となるのです。

筆者プロフィール

三ッ口 洋一
1961年名古屋市生まれ。プロトコーポレーションと中部経済新聞社で、雑誌編集、経済部記者、ビジネスセミナー開催、広告営業、フェイスブックページ運営などを手がける。約30年間のメディア業界で得たノウハウと2万人を超える人脈とで「中小企業のための社外広報部」というニーズに応えるべく2014年独立。2016年には名古屋女子広報チームNPR(Nagoya Public Relations)48発足。中小企業庁未来企業サポート「ミラサポ」登録専門家。セミナー情報サイト「名古屋セミナーポータル」運営。フリーペーパー「名古屋セミナー通信」編集人。メルマガ「不定期ビジネスニュース」管理人。起業家支援イベント「N-1グランプリ」実行委員。
【Team N+1】http://hitouch0520.wix.com/team-nplus1
【NPR48】https://npr48.webu.jp/
【名古屋セミナーポータル】http://www.seminar-portal.org/
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