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席案内トークで顧客満足度が上がる?【顧客の動線改善:実践編】

専門家コラム

2016.12.27 / 名古屋

中谷 一郎

トリノ・ガーデン株式会社
代表

顧客動線の改善手法


作業の質や量へ影響を及ぼす「作業動線」と、顧客の満足度や行動へ直接影響を及ぼす「顧客動線」について前回触れましたが、今回は、実践的な活用法や運用法についてお伝えします。 【導入編はコチラ】 

顧客動線を検討・改善する手法として店内に入る前から、店内で食事し退店するまでの一連の流れを時系列で洗い出す方法が一般的です。

たとえば、店内の満足度を上げたい場合は、「満足度に影響するタイミング・事象」を洗い出し、店内の回転率を上げたい場合は、「滞在時間の長短を左右するタイミング・事象」を洗い出します。

今回は「満足度に影響するタイミング・事象」の洗い出しと改善アクションの事例をご紹介します。

サービスのプロフェッショナルとしてではなく、あくまで熟練者の作業(オペレーション)を分解し、再現することための仕組みづくりという視点で記載しておりますので、ご了承ください。


顧客動線で見た「満足度に影響するタイミング・事象」の洗い出し事例(飲食店編)



上図は「入店から退店までの接客ストーリーと心理状態の変化」をグラフにしたものです。
「満足度に影響するタイミング・事象」は、業態により来店客がストレスを感じ始めるポイントと同様に異なります。

例えば、レストラン・居酒屋の場合、 来店客の「こうであって欲しい」と明確に意識はしていないものの潜在的に思っている項目を挙げてみると、下記のような項目が一例として挙げられるかと思います。

 1) 入店してから案内までの時間(気づいてもらえない)
 2) 居心地が出来るだけ良い席に座りたい(席への納得感)
 3) 着席後、オーダー受けまでの時間(注文したいタイミング)
 4) 自分のオーダーがきちんと受けられているかの不安
 5)許容範囲の時間で提供してほしい
 6) 自分のことを大切にされたい

特に2)は、特に客単価が高い業態で、着席後キョロキョロと周囲の席を見渡すお客様が多いお店、
3)4)は、 注文後ちらちら他のテーブルやデシャップに目を移すお客様が多いお店、
の来店されたお客様の心情を映す特徴です。

気づきのあるサービスマンであれば、上記のポイントそれぞれでお客様をケアしてあげられているかと思います。 しかし、そのようなサービスマンばかりではありませんし、それぞれのテーブルのお客様をよく観てケアするまで教育する時間もばかになりません。

そこで店内のオペレーションとして、次のような項目をルール決めすることで、ストレスを軽減・満足度を改善することが出来ます。


今晩から使える顧客動線改善のルール例




1) 入店してから案内までの時間(気づいてもらえない)
→ 常に入口を見ながら作業が出来るようにステーションや基本ポジションを変更する

2) 居心地が出来るだけ良い席に座りたい(席への納得感)
→お客様の「この席で良かった」と思って貰う、席までの案内トークパターンを作る
「ゆっくりとお話出来る奥の席をご案内します」
「景色の良い窓際の席をご案内します」
「ちょうど、人気の奥側の席が空きましたのでご案内しますね」 

全ての席のパターンを作ることは難しいかもしれませんが、
少なくとも自分の座った席に価値があると感じられる機会を増やすことで席への満足度はあがります。

3) 着席後、オーダー受けまでの時間(注文したいタイミング)
→着席後のメニュー案内と水・おしぼり提供を一緒にせず、複数回にあえて分ける。
客席へスタッフが何回接点を持ったかの回数(タッチ回数)とお客様の満足度は比例します。
具体的には客単2,000~3,000円の業態であればタッチ回数を5回以上、出来れば7回を目指して貰いたいです。

居酒屋業態であれば、同じ業態でもタッチ回数を増やすことで客単価が上がった事例もあります。
メニュー案内と水を一緒に行うのではなく、あえてタッチ回数を増やすことで注文をしたいお客様のタイミングを仕組みで逃さないようにすることでお客様のストレスは軽減されます。

4) 自分のオーダーがきちんと受けられているかの不安

5)許容範囲の時間で提供してほしい
→例えば、オーダー後15分以上かかるメニューについては「1皿1皿じっくりと焼いており、
もう少しお時間かかる」など、経過を伝えるルールを設けることで不安感を払しょく出来ますし同時にタッチ回数も増えます。

6) 自分のことを大切にされたい
→お客様との距離を近づけ再来店して貰う重要なポイントが、お会計時・退店のタイミングです。
ここで自分(お客様)が大切にされているかどうかの印象が大きく左右されます。特に、料理を待たせてしまってケア出なかった場合の声掛けパターンをつくりスタッフ全員で共有するだけでも効果はあります。

また、ポイントカードや割引券ショップカード・名刺配布は、よく店内のレジで渡されることが多いですが、一歩店内を出た店外で渡したほうが各段に保有率・回収率が高くなります。

渡す場所とトークを設定することで「他のお客様の目につかない場所で、誰にでもやっているのではなく、あなただけにやっている特別感」を感じてもらうオペレーションを組むことが出来ます。


せっかくの改善も継続しなければ焼け石に水


もちろん店舗レイアウトの都合、人員数の都合で出来るもの出来ないものがありますが、あくまで、お客様の視点とオペレーションを見直す一例として参考にしてもらえればと思います。

気の利いた熟練者がやっていることを他のスタッフでも再現できるように、オペレーションを分解し、仕組化することで顧客動線による満足度向上を図ることが出来ます。しかし、目に見える成果を感じられなければ、せっかく取り組んだ活動も風化してしまうため、運用上の工夫が必要です。

活動を風化させないためには、活動の成果を目に見える形にするための指標(KPI)を設定し、活動により指標がどのように動いたか、変わったかを伝えることがポイントです。
次回は、その指標(KPI)の設定による、上記顧客動線の改善・定着事例をお伝えできればと思います。

筆者プロフィール

中谷 一郎
鳥取県鳥取市生まれ。北九州市立大学経済学部卒業。

2005年(株)ベンチャー・リンク入社後、中華居酒屋、定食、居酒屋などの外食チェーンの立上げ・全国展開の事業に携わった経験を元に、2010年にサービス業の科学的なオペレーション構築・改善事業を開始。職人から受け継いだ立ち食い蕎麦店を、同分野における東京での口コミNo.1にするなど、科学的な視点での業態開発を得意とする。2013年「店舗オペレーション研究所」を立上げ、2015年にはWi-Fiなどの、センサーを活用した来店客の来店回数・前回来店日や、人の流れ・滞在時間を自動測定するサービス「Flow-Cockpit(フローコックピット)」を開発し、全国に推進中。

トリノ・ガーデン株式会社:http://tollino-garden.com/
Flow-Cockpit(フローコックピット):http://flow-cockpit.jp/
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