直近1年以内の離職率を、50%以上改善したオペレーション3選

直近1年以内の離職率を、50%以上改善したオペレーション3選
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経営者の「求め過ぎ症候群」が "夢" と "職" を奪う

 飲食業は「付加価値を提供する"ヒト"の存在がとても重要な中、給与水準が低い」という、他業種には無いジレンマを抱えています。また、コピー用紙を1枚1枚重ねるように利益を紡ぐ、繊細なバランスで成り立つ事業でもあります。

夢を持ち日夜奮闘している現場の頑張りに応えるためには、「現場スタッフに余計な負担を強いることなく、業績を上げるオペレーション」が必要です。この考え方にご賛同頂き、昨年離職を低減させた企業7社のうち、最も効果のあった3選をご紹介します。

管理職の皆さん、「離職率を下げる」ことをテーマにしたこの記事に少なからず興味を抱いて頂いた様であれば、まずは外食に夢を持てない人材を輩出してしまう可能性が高いことを自覚することから、スタートしましょう!


その1: モチベーションを上げるための取組みを止める



「どうやったら現場スタッフのモチベーションが上がるのか」という相談を多く受けますが、残念ながら研修や全社発表会でモチベーションが高くなったスタッフでも数か月後に辞めていきます。逆に、モチベーションが極端に落ちないスタッフは辞めにくいです。

「どんなときに感情がマイナスに動いたか(モチベーションが下がったか)」を7社で調査した結果、6割以上のスタッフが「社内でモチベーションを上げるための取組みの後、しばらくして急激モチベーションが下がることがある」と答えました。

理想とかけ離れた惨状に気づき陥るモチベーション低下を無くすため、大きな目標・先々のビジョンは、モチベーションを上げるのではなく、下げない表現方法に変えるだけで離職の低減につながりました。


その2:モチベーションを下げる管理者の言葉10選をヒアリング



現場でスタッフと同じように働き、「不安」・「悲しい」・「いらいらする」・「落ち込む」など、「どのような時に嫌な気持ちになるか、やる気が削がれるか」をリサーチしました。

・自分の意見を求められ発言した後に出る「とはいえさぁ、」という否定的な一言。

・達成・施策実行した直後言われる「そしたら、次はもうちょっと、●●してみようよ」や  「もっと●●出来るんじゃない」というフレーズ

これらは、やる気を削ぐランキング上位でした。社長・マネージャーの「やる気が削がれる言葉10選ヒアリング」は効果絶大ですが、幹部の皆さん気を付けて下さい。やりすぎると、社長の心が折れてしまいます。社長の皆さん、多少凹みますが、これまでスタッフの心を折ってきた懺悔として受け止めましょう。



その3: 懇親会・喫煙所トークの予防線



喫煙所や懇親会で先輩から会社・店舗への愚痴を聞かされ、辞めていくスタッフも少なくなりません。この低減に絶大な効果を発揮するオペレーションは、入社直後に「なぜ、あなたに入社して貰ったのか」を下記の3点を踏まえて、伝えることです。

 ①現状、お店に足りないものがあり、お店を変える為にあなたの力が必要であること。

 ②足りないものへの不満や変わることへ不安を持つスタッフが愚痴を言うことがあること。

 ③不安や不満は必ず起こるもので、その不安・不満を言う人を救いたいので、あなた(新人スタッフ)の力を貸して欲しい。

「配属後の先輩スタッフの愚痴を聞かされた時、社長の言っていたことは、こういうことかと聞き流しました」と言うスタッフが増えました。

中谷 一郎
記事を書いた人
中谷 一郎

鳥取県鳥取市生まれ。北九州市立大学経済学部卒業。

2005年(株)ベンチャー・リンク入社後、中華居酒屋、定食、居酒屋などの外食チェーンの立上げ・全国展開の事業に携わった経験を元に、2010年にサービス業の科学的なオペレーション構築・改善事業を開始。

職人から受け継いだ立ち食い蕎麦店を、同分野における東京での口コミNo.1にするなど、科学的な視点での業態開発を得意とする。

2013年「店舗オペレーション研究所」を立上げ、2015年にはWi-Fiなどの、センサーを活用した来店客の来店回数・前回来店日や、人の流れ・滞在時間を自動測定するサービス「Flow-Cockpit(フローコックピット)」を開発し、全国に推進中。


トリノ・ガーデン株式会社:http://tollino-garden.com/

Flow-Cockpit(フローコックピット):http://flow-cockpit.jp/