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あなたの会社は大丈夫?労働者が考えるブラック企業とは?

専門家コラム

2017.02.24 / 名古屋

熊本 健人(くまもと たけひと)

弁護士法人ベリーベスト法律事務所

突然ですが、この記事をお読みの皆さまは、「ブラック企業」という言葉を聞いて、どのような企業を想像するでしょうか?

「ブラック企業」という言葉が世に広まってから久しいですが、企業側からすると何とも恐ろしい言葉です。ひとたび世間から「ブラック企業」の烙印を押されると、企業のイメージがダウンし、人材の確保の難航や株価の下落などに繋がりかねません。そのため、企業としては、「ブラック企業」であると世間に認識されないような対策をしなければなりません。

では、具体的にはどのような対策をすべきなのでしょうか。ここでは、企業側と労働者側の「ブラック企業」に対する認識がそれぞれ違うということをおさえておく必要があります。


企業側と労働者側の「ブラック企業」の認識には違いが!?

「ブラック企業」という言葉は、もともとは反社会的勢力との結びつきが強いフロント企業などを示す言葉でしたが、今日においては、残業代の未払いや長時間労働などを強いる悪質な企業を示す言葉として使われています。

もっとも、「ブラック企業」という言葉には明確な定義があるわけではないため、企業側と労働者側とで「ブラック企業」という言葉からイメージするものが若干異なっています。



企業側は、残業代の不払いなどの違法行為を行っているような企業を「ブラック企業」と認識する傾向にあります。他方で、労働者側は、たとえ違法ではなくても、不合理な業務命令や無茶な長時間労働などを強いられた場合には、その企業を「ブラック企業」と認識する傾向にあるようです。

ここで重要なことは、このような企業側と労働者側の「ブラック企業」に対する認識の違いは、企業側が意図せずにブラック企業と認識されてしまうリスクをはらんでいるということです。


ひとたび「ブラック企業」の烙印を押されてしまうと・・・



労働者側に「ブラック企業」と認識されてしまうと、企業はどのような影響を受けることになるのでしょうか。

今日のネット社会では、新聞やテレビで報道されなくとも、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)によって、「あの企業はブラックらしい」という噂がたちまち拡散されてしまいます。

最近では、ブラック企業の頂点を決める「ブラック企業大賞」という企画が毎年行われ、「ブラック企業」という言葉が企業に対して及ぼす影響は益々大きくなってきています。

例えば、従業員の過労自殺が問題となった某飲食チェーン店や深夜1人シフトが問題視された同じく某飲食チェーン店などは、世間から「ブラック企業」の烙印を押され、その後、業績悪化や人材確保の難航を余儀なくされました。

このように、ひとたび世間から「ブラック企業」の烙印を押されてしまうと、企業はその存続を左右しかねない深刻な影響を受けることになります。

ここで注意しなければならないことは、「ブラック企業」かどうかは、企業側ではなく労働者側が判断しているということです。すなわち、労働者が、そこで働く企業を「ブラック企業」と認識すれば、たとえその企業が違法行為を行っていなくとも、世間からは「ブラック企業」と認識されてしまうのです。


「ブラック企業」だと思う理由、1位は「長時間労働」

では、労働者はどのような時に自身が働いている企業を「ブラック企業」であると感じるのでしょうか。

2014年に日本労働組合総連合会が行ったブラック企業に関する調査によると、労働者が、自身が働く企業を「ブラック企業」であると認識する主な理由としては、
①長時間労働が当たり前になっている
②仕事に見合わない低賃金である
③有給休暇が取得できない
などの理由が挙がっています。(※グラフ①)



また雇用形態別でみると(※グラフ②)、非正規社員では「十分な研修がないまま仕事を任せられる」が2位という結果になっています。



例えば、労働者からは、
・上司が始業時間前から来ているから早く行き、上司が残っているから自分も残らなければいけないという職場の雰囲気ができており、残業代もありません。

・上司が非常に高圧的でみんな恐れており、「代休や有給休暇を取らせてください」なんて怖くて誰も言い出せません。

・店長にシフトを減らしたい、休みたいと告げると、「お前に休む権利はない」と怒鳴られるため、やむを得ず週5〜6日の勤務を続けている。

・販売ノルマが厳しく、自腹で購入させられた

などの声があがっています。

他にも、「上司・上層部のコンプライアンス意識が低い」「パワハラ・職場いじめが行われている」「休憩時間が取得できない」「経費の自腹が行われている」「自主退社への追い込み・強要が行われている」「違法行為が行われている」「労災隠しが行われている」などの理由が、労働者が「ブラック企業」と認識する理由として挙がっています。

以上のような理由について、企業側の責任の度合いや労働者側の感じ方の程度はケースバイケースでしょうが、企業側としては、上記のような場合に労働者側が「ブラック企業」であると感じているということを十分に理解しておく必要があります。


「ブラック企業」と認識されないためには・・・


企業側は、労働者側に「ブラック企業」と認識されないために、以下のような対策をとる必要があります。

1 法令遵守
労基法等の法律に違反する違法行為を行っていれば、労働者に「ブラック企業」と認識されてもやむを得ませんし、違法行為を行った企業に対する国の指導も年々強化されているため、企業のダメージも大きくなります。

例えば、ハローワークでは、昨年3月より、労働関係法令違反があった事業所の新卒採用受付を行わない方針が定められています。また、今年に入ってからは、違法な長時間労働を強いる企業の名前を公表する基準が、通達によって厳格に改められるなどもしています。

企業としては、就業規則や36協定の作成、見直し、届出等が労基法に従って適法になされているのか、残業代は支払われているのかなどについて、十分に確認することが必要です。

また、今日では、何かにつけて「ハラスメント」を口にするなど、企業にとって問題ある社員も増えています。そのような問題ある社員を企業が解雇する必要がある場合にも、適法に行う必要があります。この点については、過去掲載記事の「どうしても従業員を解雇しなければならないときに、間違えてはいけない3つの手順」をご参照ください。

2 相談窓口、告発窓口の設置
企業としては、労働者にSNS等を通じて「ブラック企業」であることを拡散されることを防ぐ必要があります。そのためには、企業内に相談窓口や内部通報窓口を設置して、労働者側に、不満や悩み等のはけ口を作ることをおすすめします。

もっとも、企業内においてこのような窓口の設置が難しい場合には、弁護士等の専門家が対応いたしますので、お気軽にご相談ください。https://komon.vbest.jp/option/tipoff/

3 労働者とのコミュニケーション
「働き方改革」が叫ばれ、長時間労働に対する世間の目が厳しくなっている今日においては、企業は、適法な行為を行うだけではなく、長時間労働の是正や有給休暇の取得など、より良い労働環境の整備に努めることも、労働者から「ブラック企業」と認識されないためには重要です。

もっとも、企業側は、どれだけ法令遵守を徹底し、労働環境の整備に努めたとしても、労働者から「ブラック企業」の烙印を押される危険性を常に抱えています。

そのため、法令遵守や労働環境の整備を行うことはもちろんのこと、労働者に「ブラック企業」と認識されないためには、労働者と日ごろからコミュニケーションを図り、信頼関係を構築して、労働者に対し不満や不信感を与えない努力を行うことも大切です。


最後に・・・ 

以上述べてきましたとおり、企業側は、意図せずに労働者側から「ブラック企業」であると認識されている可能性があります。企業としては、このような事態を避けるために、どのような場合に労働者が「ブラック企業」であると感じるのかをまずは理解しておくことが重要です。

その上で、ひとたび「ブラック企業」の烙印を押されてしまうと、企業にもたらす影響は小さくありませんので、企業としては、労働者と十分なコミュニケーションを図りつつ、できる限りの対策を講じておく必要があります。

本記事において、一般的にとり得る対策については述べてきましたが、具体的にどのような対策が必要かについては、各企業の実情によって異なりますので、まずは弁護士等の専門家にご相談ください。

筆者プロフィール

熊本 健人(くまもと たけひと)
神戸大学法科大学院修了後、司法試験に合格。
現在、弁護士法人ベリーベスト法律事務所に在籍中。
共著に、「こんなときどうする製造物責任・企業賠償責任Q&A」。

労働法務に関する問題は、近年、多様化・複雑化しており、
企業が抱える問題は様々です。
時代の流れを常に把握し、各企業の実情に応じた
最善のリーガルサービスをご提供いたします。


弁護士法人ベリーベスト法律事務所 https://www.vbest.jp/
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