他社と違う「旗」を振る

専門家コラム

2017.03.03 / 名古屋

三ッ口 洋一

Team N+1 代表

組織のリーダーが目指すところ

中小企業のための社外広報部を目指すTeamN+1の三ッ口です。
「ヒトクル」のコラムを読んでくださっている皆さんはそのほとんどが経営者か、それに準じた経営幹部、そうでなくてもお店の責任者など、組織の大小を問わず人の上に立って指揮をとるような方々だと思います。

リーダーとしては、ご自分の組織に「レベルの高い」とか「強い」「機動力がある」「業績が上げられる」「柔軟な」「温かい」「賞賛される」「楽しい」といった形容詞がつくことを目指して頑張っている方が多いのではないでしょうか?

「組織には戦略・戦術が重要」

よく言われますね。戦略というくらいですから戦争の戦い方です。軍隊は目的(ミッション)を遂行するための最短・最適な方法を常に考えてきました。愚かな私たちは未だに世界から争いごとを撲滅できずにいますが、戦略・戦術(この違いについてはここでは触れません)の考え方を企業やビジネスに応用できる、ということは多くの企業が実践・証明しています。

戦争では何人の命(戦力)を守れるかですから、一瞬の判断ミスが命取りです。全員が戦略目的を理解して、冷静かつ瞬時の判断と統一された行動が必要です。戦後「個性を無視した軍隊的教育」は敬遠されがちですが、「例外なき、一糸乱れぬ行動」は戦時下では絶対必要だったと言えるでしょう。

もちろん企業も戦う組織には違いないですし、かつてサラリーマンが「企業戦士」などと言われた時代もありましたが、今は戦時下というほどではなく、しかも多様化の時代です。個人の価値観も個性も尊重しないと、集団がパフォーマンスを発揮できないという、乱暴に言ってしまえば「面倒な時代」になりました。企業だけでなく、学校でも、家庭でさえ、単一の価値観を維持することが難しくなっているように感じます。

日本人のDNAにある多様性を認められる資質

明治以降の大きな戦争では、暴走して列強をビビらせるほどの「奴らが本気になったら怖いぞ」的な戦い方を見せた我が国ですが、元来島国で農耕民族で「和を似て尊し」などと言い続けてきた私たちです。そもそも好戦的だとは思えません。単独国家を2千年以上続けられた国は世界で唯一ですから、内輪の小競り合いはあっても、なんだかんだ言いながら「まあまあまあ」で丸く収めてきたのでしょう。

ということは、私見ですが、元々私たちはDNAの中に多様性を認められる資質を持っているのではないでしょうか?なんたって八百万(やおよろず)の神の国ですよ。だとすると、今風のマネジメントスタイルが「戦略=唯一」×「戦術=多様」であることは、むしろ私たちにこそしっくりくるのではありませんか?規則に縛られることが辛いと感じている方も多いのではありませんか?

漫画ワンピースのように「同じ目的」を志すものを集める


目的を同じくする者を集めます。「〇〇の旗の下に集え。私たちと一緒に〇〇しないか」という感じですね。目的やビジョンだけを共有するメンバーによる組織で、メンバーは各自の個性や能力をフルに活かしたやり方を模索します。やり方については意見が衝突したり改善するとしても、メンバーは信頼関係で結ばれ、何かあったら皆で守ります。何だか少年週刊誌のマンガのようですね。

ここで言う旗が重要になります。私たちは、自分たちの仕事を通じて「何をしようとしているのか」「どこへ行こうとしているのか」「何のためにやっているのか」「なぜ今なのか」ということですね。私はこれこそがブランディングだと考えます。



これが①明確であるか②他社とどう違うか③わかりやすいか④共感を得られるか、によって、その旗の下にどんな共感者・応援者が集まるか、ということになるのではないでしょうか。



「家族型マネジメント」が有効

私たちは「自分の能力は自分で努力して磨くのが当たり前」と思っている世代ですが、20代や30代は違うようです。現役の大学生に「君は就職したいと言うけれど、どんな企業に行きたいの?」と尋ねたことがあります。彼は「自分の力を引き出して、育ててくれる企業です」と真面目な顔で言いました。

本音だと思います(私はびっくりしましたが)。彼らにしてみれば「人の役に立ちたい」でも「育てて欲しい」そして「守って欲しい」といったところでしょうか。

そんなわけで今なお戦略は有効だけれど、軍隊的マネジメントが通用しなくなったために、多くの経営者の嘆きやボヤキが聞こえてきます。そこで先ほどのまるでマンガのような「家族型マネジメント」を提案します。

社長は家長として、ビジョンを語り、方向性を示し、何かあったときだけ現場に赴き対応します。会社や組織は、家や母性のイメージです。従業員が不安を感じることなく業務に邁進できる環境づくりです。

定年制度がないことの意味


A社は中小企業で、工作機械を製造していますが、定年制度がありません。勤続50年とか60年というような従業員さんが何人もいます。先代の社長に聞いた話では「まず絶対的に健康であること。そして後進に伝えるべき技術を持っていることを条件にしている」ということでした。定年がないと言っても、誰でもいつまでも働き続けられるわけではありません。

言い換えると、若いうちから自身の健康に気を使い、技術を磨かないと、会社から必要とされないということでもあります。「若い人たちには老練な技術者から学び取れ。彼らがいるうちにな」とハッパをかけているということでした。

ドイツでは時の宰相がライバルを蹴落とすために始めたのが定年制度だとする説もあれば、アメリカでは雇用に際して年令による差別を禁止しているくらいですから、定年制度の存在そのものが特殊といえます。

定年制度がない、というのは社会の高齢化が避けられなくなったいま、社員のモチベーションを維持するためだけでなく、社会的にも様々な示唆を含んだ考え方だと思います。

従業員を家族と考えると、できることがたくさんある

印象的だったのは老練技術者たちの奥さんたちの話でした。「毎日元気に『行ってきます』と出かける場所があることが、主人や私たち家族にとって何よりの幸せです」と感謝されているそうです。

この会社は何度もテレビや新聞に取り上げられているので、すでに「あの会社のことだろう」とお気づきの方もいらっしゃるでしょう。他者と異なる旗を立てると人が注目する。これもブランディングの大きな効果の一つです。それが採用に大きな影響を与えることは言うまでもないでしょう。

どの企業でもいきなりここまではできないとしても、従業員を家族と考えるとできることがたくさんあるはずです。小さなお子さんを持つ方が、保育園で熱を出したから迎えに行く、要介護の親を持つ方が高齢者施設への送迎をする、といった場面で、社内で白い目で見られるのがいやで辞めていく、という話はよく聞きます。いつか自分の番になるかもしれない、お互い様で助け合う、会社が支援する、というのは難しいことでしょうか。

目的を同じくする者同士が協力する、それがただの集団を超えた力を生みます。ですから大事なのは目的です。「日々忙しくてそれどころじゃないんだよ」とおっしゃる経営者の方も、ぜひ創業・起業の志を思い出して下さいね。

筆者プロフィール

三ッ口 洋一
1961年名古屋市生まれ。プロトコーポレーションと中部経済新聞社で、雑誌編集、経済部記者、ビジネスセミナー開催、広告営業、フェイスブックページ運営などを手がける。約30年間のメディア業界で得たノウハウと2万人を超える人脈とで「中小企業のための社外広報部」というニーズに応えるべく2014年独立。2016年には名古屋女子広報チームNPR(Nagoya Public Relations)48発足。中小企業庁未来企業サポート「ミラサポ」登録専門家。セミナー情報サイト「名古屋セミナーポータル」運営。フリーペーパー「名古屋セミナー通信」編集人。メルマガ「不定期ビジネスニュース」管理人。起業家支援イベント「N-1グランプリ」実行委員。
【Team N+1】http://hitouch0520.wix.com/team-nplus1
【NPR48】https://npr48.webu.jp/
【名古屋セミナーポータル】http://www.seminar-portal.org/
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