確信は雇用を招く

専門家コラム

2017.03.24 / 名古屋

三ッ口 洋一

Team N+1 代表

曲がった野菜と障がい者は戦力になるか


中小企業のための社外広報部を目指すTeam N+1の三ッ口です。

A社はレストランです。ビュッフェスタイル(バイキング形式と言った方がわかりやすいでしょうか)でおいしい手作り料理がお値打ちだと予約がとれないほどの評判を呼んでいます。こだわりの野菜と丁寧な仕込み、作り置きをしない、広い厨房と多数のスタッフ、しかもランチタイムのみの営業という業態です。

おいしさと安さを両立できる秘密、その一つが料理の中心をなす野菜です。自社農園を持ちつつ、提携農家から形の悪い規格外品を仕入れています。

もう一つはそれを丁寧に下処理し、手間をかけて料理するのが、従業員のほとんどを占める障がい者です。彼らは柔軟なコニュニケーションこそ不得意ですが、仕込みの際の煮込みや手作業など、一般的に単調で敬遠されることをコツコツ続ける能力に長けています。ビュッフェスタイルは接客や複雑な会計業務を省き、それぞれの得意とする業務に専念できる時間を増やすのに有利です。

曲がった野菜と障がい者、一見不利に思える要素ですが、適材適所で戦力化すれば、生産者にも消費者にも喜んでいただけます。そしてこの会社の目標はビジネスではありません。障がい者雇用を生み出すことなのです。「ビジネスはその手段にすぎない」と経営者は言い切ります。なのに全国からテナント出店の依頼が絶えないそうです。


サポートされる側からサポートする側へ


B社は就労継続支援事業所で、「表現=アート=デザイン」を主軸に、親や支援者に頼ることなく事業で自立できるようにと、Tシャツやキャリーバッグ、パズルなど様々なギフト製品をリリースし、マラソン大会のオフィシャルグッズを受注したりしています。

やはり障がい者の雇用を作り出しているわけですが、それだけではなく「サポートされる側からサポートする側へ」と他の事業所の支援も始めました。パソコンの使いこなしやデザインソフト、3DパースCGの作り方を技術習得者が指導しに行くのだそうです。障がい者はサポートされる人ばかりではありません。


あなたはどうか


障がい者雇用に関する話を2件ご紹介しましたが、言うまでもなく「障がい者の雇用を促進せよ」とか「社会起業家になれ」と訴えたいのではありません。彼らにはビジネスの先に明確な目的があります。たまたまそのキーワードが共通しているというだけです。

それでは我が身に振り返ってみたときに、あなたの会社やあなたの事業は何を目的としているでしょうか。「企業には経営理念が必要だ」と言われて作ってはみたものの、見栄えの良い言葉が並んでいるだけで形骸化していないでしょうか。

もっと言えば「これを本気でやり遂げたいと思っているか、さらにはそれをやり遂げられたとして、そこにどんないいことが待っているのかを考えてみて欲しい」と、これから起業しようとする方によく申し上げています。


ブランディングとは確信である


ブランドは一種の確信だと考えます。

「私たちはこれをやる、私たちにはそれをやり遂げられる力がある、私たちを信じてくれる方は顧客になって欲しい、一緒にこれをやってお互いにハッピーになろうじゃないか」ということだと思うのです。

期待を上回ればリピーターや紹介者になってくれるでしょうし、自信がないのに、カッコつけてみたところで、どこか嘘っぽいですし、信用や期待が裏切られれば、顧客は去っていきます。

今すぐ100%の保証はできなくても「私たちは何が何でもやりたいと思っているから、いつかたどり着けるはずだ」くらいの自信でいいと思います。「いつかたどり着けたらいいな」ではダメです。経営者やリーダーは常々ビジョンを口にし、言動一致、ビジョンの体現者でありたいものですね。


中小企業のブランドとはあなた自身だ


中小企業にとって同業他社との差別化は容易なことではありません。ですから人が差別化の要となります。トップはどうか?受付窓口はどうか?営業マンはどうか?「あそこの社員さんは・・・」と顧客はあなたをよく見てシビアに評価しているはずなので、誰ひとりとして気を抜けません。一人ひとりの従業員がそんな自覚を持てるかどうかです。


「黙って俺についてこい」という時代は終わった


私も昭和の人間で「男は背中で語れ」という美意識がぬぐい切れませんし、そういういい先輩をたくさん見てきました。しかし今はそんな時代ではありません。

若い世代に限らず、家庭で、学校で、企業でコミュニケーション不全の環境で育った大人がかなりの数になり、空気を読めないか、読みすぎて自己表現ができない、という人も多いようです。ビジョンや夢を語り、思考と言葉と行動が一致している人が信用できて魅力的です。

自分の夢を忘れてしまった人は、本気で夢を実現しようとする人のお手伝いをしたがります。採用で悩む前に、自分のお店、自分の会社、そして自分自身はどうしたいのかを考えるべきなのかもしれません。

筆者プロフィール

三ッ口 洋一
1961年名古屋市生まれ。プロトコーポレーションと中部経済新聞社で、雑誌編集、経済部記者、ビジネスセミナー開催、広告営業、フェイスブックページ運営などを手がける。約30年間のメディア業界で得たノウハウと2万人を超える人脈とで「中小企業のための社外広報部」というニーズに応えるべく2014年独立。2016年には名古屋女子広報チームNPR48B(Nagoya Public Relations 48 for Business)発足。中小企業庁未来企業サポート「ミラサポ」登録専門家。メルマガ「不定期ビジネスニュース」管理人。起業家支援イベント「N-1グランプリ」実行委員。
【Team N+1】http://hitouch0520.wix.com/team-nplus1
【NPR48】https://npr48.webu.jp/
【名古屋セミナーポータル】http://www.seminar-portal.org/

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