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人材確保に悩んでいない店長は、一体なにをしているのか?【タイプ別診断付】

専門家コラム

2017.04.18 / 名古屋

白岩 大樹

アップ・トレンド・クリエイツ
代表

飲食店は団体競技


「就職や進学などでスタッフがお店を卒業してしまい、人が足りないのに採用ができません。どうしたら良いのでしょうか?」

―毎年こんな相談が寄せられるこの時期ですが、近年は以前から人員不足なままで卒業するスタッフが出てしまうこともあって、ますます店長にとって深刻な悩みの種になっています。

求人広告を出しても応募がなく、既存のスタッフに知人・友人の紹介を頼んでも反応はいまひとつ。そもそも人への依存度が高いビジネスである飲食店が人不足となれば、それは商品にまで影響を及ぼすことになってしまいます。

一方、人不足の悩みが全くない店長も実のところ存在します。そういった店長は、スタッフが楽しく働ける環境をつくり、既存スタッフとも密なコミュニケーションを取り続け、結果的に強い信頼関係を築けています。

シフトが少ない日には率先してスタッフが手を挙げてくれ、スタッフに知人・友人の紹介を頼めば本気で探してくれる、そんな状態を実現しているのです。

この違いは、どこにあるのでしょうか?

私はまず「飲食店は団体競技」という意識の有無が大きく影響しているように思います。上手く人不足を解消できている店長は、どんなスタッフであっても大切な「チームの一員」として、分け隔てなく接しています。

そうすることで全スタッフをお店の経営に上手に巻き込んでいるのです。それだけではありません。先の店長はパート・アルバイトを「お客様」としても見ています。

「雇ってやっている」「お金を払ってやっている」といった上から目線では決してなく、むしろ「時間」と「労力」を払ってくれるお客様というスタンスでスタッフに接しているのです。

みなさまはどうでしょう?

店長としてご自身がどんな状態か、この機会に「セルフチェック」をしてみるのはどうでしょう?

今回、店長のタイプを4つに分けて診断することができる「チェックシート」を作成しました。みなさまは、4つのうち、どのタイプに当てはまるのか?ぜひお試しいただき、ご自身のタイプを把握した上で今後の人不足の解消と店内の組織づくりに活かしてください。


診断チェックシートの使い方 


【Step1】「店長タイプ別診断チェックシート」をこちらよりダウンロードします。
紙で出力しても、PC上でもどちらでも診断が可能です。

●記入例



【Step2】「チェックシート」への記入
30項目の質問を読んでチェックします。質問項目に対して、思い当らないものには「いいえ」を、思いあたるものには「少しある」を、強く思いあたるものには「とてもある」を、1質問に対して1つ、□にチェックをしていってください。

→PC上で診断をしている方は、チェックすれば自動的に採点表とマトリクスが作成され、自分がどの店長タイプかを知ることができます。

●記入例



【Step3】「チェック採点表」への記入
Step1の結果に基づいて「採点表」に点数を記入します。配点は「いいえ」なら0点、「少しある」なら1点、「とてもある」なら2点とします。全項目について点数を記入し終えたら、タテに点を足していき「合計点」欄へ足した合計点を記入します。

※PC(エクセル)で実施の際は、自動集計・自動グラフ描画となります。

【Step4】「店長マトリクス」への記入
採点結果を五角形のマトリクスに反映させます。合計点の上にある「学ぶだけ」「抱えこみ」「(俺に)ついてこい」「見放され」「不信度」の5つに従い、それぞれの軸の目盛に点を打ち、それを線で結びます。これで診断者の店長タイプ(傾向)と現状のP/A不信レベルの診断結果が出ます。

※PC(エクセル)で実施の際は、自動集計・自動グラフ描画となります。

あなたはどの店長タイプ?



【特徴】
本を読み、セミナーや研修に積極的に参加するなどして、知識やノウハウなどの情報を学ぶだけで十分に満足してしまう。そんなあなたは「学ぶだけ店長」タイプです。

自らが学び、あるいは得た情報をP/Aへ十分に伝えられていますか?得た情報を「P/Aに教えるのがもったいない」と思っているか、あるいは「P/Aには教える必要はない」と判断しているか、いずれかの理由かは分かりませんが、学んだ情報をP/Aと共有しなければ、自店の経営は変わりません。自分だけでP/Aが知らなければ、なにも協力してもらえないからです。

【改善ポイント】
昔と今とでP/A育成法は変わりました。昔はP/Aに「考えること」を求めていませんでした。「マニュアル=行動手順書」通りに「やらなくてはいけないこと」「やってはいけないこと」をP/Aに守ってもらえば成功できたからです。

今は違います。P/Aにも「考えること」が求められます。そのためにはP/Aが考える材料となる情報が必要です。「店長の自分が知っているだけでは、お店は良くならない」このことを理解し、学び得た情報は積極的にP/Aへ伝えるように心がけましょう。学ぶことは「目的」ではなく、自店の経営をより良くするための「手段」なのです。



【特徴】
「これが店長の仕事」と自身の業務項目を決めてしまい、P/Aへ仕事を任せることができない。そんなあなたは「抱えこみ店長」タイプです。

営業終了後の業務も、上手くP/Aに任せられずに、気がつけば全員帰って自分一人になっていることはありませんか?あるいは休みでも心配で店に顔を出してしまい、シフトが足りなければP/Aを頼ることなく自らがシフトに入ってしまうようなことはありませんか?もし体調を崩してしまい、心配したP/Aが「何か手伝いましょうか?」と申し出ても、つい「大丈夫!」と返してしまうのもこのタイプです。もっとP/Aに頼っても良いのですが…。

【改善ポイント】
このタイプの店長に覚えておいてもらいたいことがあります。それは「経営に近い立場ほど、自分の仕事を決めてはいけない」ということです。なぜなら仕事を決めれば、現場で起こる様々な不測の変化に対して柔軟に対応できないからです。

このタイプの店長には「売上が上がって、それが続くなら何をしても良いですよ」と私は伝えています。そのくらい自店の経営を柔軟に捉え、心と身体と時間に余裕を持つよう心がけてもらいたいのです。

そして生まれた余裕を例えば「来月のシフトを考える時間」に充てことができれば、前倒しで来月の準備ができます。とはいえ、これまで自ら動いていた店長ほど、手が空くと焦りを覚えるかもしれません。あるいは周りから「サボっている」と思われてやしないか?と不安に感じるかもしれません。

しかし、そんな心配は不要です。なぜならお店の経営を誰よりも考えることが店長の使命であるからです。そして店長1人がいなくても、頼れるP/Aさえいれば店は十分に運営でき(回り)ます。



【特徴】
「オレについてこい!」とばかりに強力なリーダーシップでP/Aを引っ張っていく。そんなあなたは「俺についてこい店長」タイプです。

「俺についてこい!」と言われ、後ろに続くP/Aが多ければ良いのですが、もしそんなP/Aが少なければ、そのP/Aは大変です。

また、このタイプの店長からは「募集しても良い人が来ない」というセリフが出ることが多く、それは応募者への採用基準が高いことが原因です。店長自身の能力は非常に高いのですが、店長が求める能力に満たないP/Aを一から育てていくことは苦手なようです。

【改善ポイント】
能力が高いこともあり、直近でなにか問題が起きるようなことはありません。しかし、その仕事のスタイルで、ずっとやっていけるか?について冷静に考える必要があります。誰しも年齢と共に身体は衰えます。やがて若い社員に体力的には敵わなくなっていきます。

このタイプの店長には「30代で『動く仕事』から、『動かす仕事』に変わりましょう!」と私は伝えています。「動かす仕事」とは、未熟なP/Aでも「信じて・教えて・任せて」ついてこられるように一から育てていくことです。

もちろん大変です。それでも未熟な人をしっかりと育てられる能力を高めることができれば、自身の体力を超え、多くの人を「動かす」仕事ができるようになるはずです。


        
【特徴】P/Aに任せている、ということで営業中に店長室にいることが多い。そんなあなたは「見放され店長」タイプです。

店長はP/Aに仕事を「任せた」と思っていても、P/Aからは「丸投げされた」と思われてしまっている可能性はないでしょうか?

学級委員長を務めたことのあるような責任感のあるP/Aがいれば、彼ら彼女らを中心にお店を運営していけます。そんな状況でも、このタイプの店長は「P/Aの自主性に任せている」と主張します。

しかし、P/Aに聞けば「放ったらかしにされているだけ」と思われているかもしれません。だらしないが、どこか人懐っこく憎めない…そんな人柄の店長であれば、優れたP/Aの頑張りに支えられてお店は営業していけます。ただ、P/Aから「理想の大人」「社会人の理想像」として尊敬されることはなさそうです。

【改善ポイント】
このタイプの店長はその後の人生で、苦労をすることになるかもしれません。なぜなら年齢相応にすべきはずの苦労を「先送り」しているからです。

しかしながら私がこれまで見てきた経験の中では、意外にもこのタイプの店長のお店が上手くいっていたケースがありました。ただ、実はそれは店長が丸投げをしても責任感が強く頑張り屋のP/Aがそれに順応していたからでした。

つまり、一見すると優秀な店長なように見えたのですが、実はそれは優秀なP/Aの支えがあっての結果だったのでした。このタイプの店長には「今こそ楽をせずに苦労をしましょう!」と伝えるようにしています。

「若い時の苦労は買ってでもすべき」であり、年齢を経てからの苦労は想像を超えるほど辛いものになるであろうからです。


P/Aの「不信度=改善の緊急度」


4つの店長タイプとは別にある「不信度」についても気をつけてもらいたいです。
「伝達事項の確認サインをするP/Aが少ない」「LINEやメールで不足日のシフトを募っても反応がない」
「P/Aがプライベートで店に食べに来ない」「P/Aだけで食事会、飲み会をしたと後日知った」
「最近、P/Aと面談をしていない」「P/Aと一緒に賄いを食べても話題がない」―

これらは、いずれもP/Aが店長に不信感を抱いていることを示すサインだからです。この「不信度」の得点が高いにもかかわらず、気づかずに見過ごしてしまえば、P/Aの心は確実に離れていきますので、注意しましょう。


まとめ


「飲食店は団体競技」と冒頭にお伝えしました。人不足であり、競合店との競争も激しくなる一方の今こそ、チームの「キャプテン」である店長は、「チームメンバー」であるP/Aの全員と心を一つにして、お客様に挑んでいかなくてはなりません。

店長だけが、あるいは一部の優秀なP/Aが頑張るだけではいけません。なぜなら一時的に勝つのではなく、勝ち続けなくてはならないからです。

それでは、どのようなチームを理想とすれば良いのでしょうか?

私は「『優秀な数人』よりも『そこそこの全員』」というフレーズを合言葉にしています。個々の能力の高低よりも、全員が支え合うことで誰一人として「穴」がない「全員野球型」こそ、これからの飲食店が理想とすべき「勝ち続ける組織」に間違いないからです。

ぜひ、自身の店長タイプを診断した上で、勝ち続ける組織を築き、苦労を伴いながらも勝ち続ける人生をお互いに歩んでいきましょう!

筆者プロフィール

白岩 大樹
1976年熊本生まれ。中央大学卒業後、板前として「なだ万」に勤務。2000年より「牛角」のスーパーバイザーを務め、2004年より、OGMコンサルティングにて集客コンサルタントとして活躍。2009年アップ・トレンド・クリエイツ設立。「汗を流すコンサルタント」として、飲食店アルバイトをメインにコンサルティングを展開中。現場を直接動かすスタイルで数々の収益向上を実現している。

公式ホームページ:http://upt-c.jp/
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