名古屋・三河の店長・人事担当者のためのお役立ちサイト【ヒトクル】 > 専門家コラム > 定着率を上げるために、コミュニケーションを「仕組み化」する!

定着率を上げるために、コミュニケーションを「仕組み化」する!

専門家コラム

2017.04.25 / 名古屋

平田 未緒

株式会社働きかた研究所 代表取締役 所長

コミュニケーションが大事なわけ


パート・アルバイトの離職を防ぎ、定着してほしいとき、欠かせないのがパート・アルバイトさんとの「コミュニケーション」です。本連載の第8回で、パート定着の必須3要素として下記の3つを上げましたが、

①働きやすさ・処遇納得度
②コミュニケーション・参加・参画
③やりがい・自己成長

※「どこがわかれ道?パート定着のための必須3要素とは?」の記事はこちらから

今日はこの②コミュニケーションの方法について、詳しくご紹介をしていきます。

なぜ、ここにフォーカスして話をするのか?実は「コミュニケーション」は、①と③を実現するための必須要件とも言えるからです。

想像してみてください。あなたはコミュニケーションのない職場で「長く働きたい」と思い続けられるでしょうか。きっと答えは「否」ですよね。なぜか? それは、相思相愛の他の2要件、つまり「やりがい・自己成長」も、「働きやすさ・処遇納得度」も、多くはコミュニケーションつまり、同じ職場で働く人とのふれあいのなかで生まれてくるものだからです。

例えばご自分のちょっとした気配りや配慮ある行動について、上司や同僚、後輩から「さすが」「ありがとう」などと言われたら、やはりうれしいのではないでしょうか。「また頑張ろう」「次も喜んでほしい」など、自然と仕事意欲を高めることも、多いのではないかと思います。

定着とは勤続です。つまり、働く人が「ここで働こう」と思い続けた、今時点での「相思相愛」の結果です。上の3要件が職場から失われ、相思相愛でなくなると、人は離れてしまうのです。


「忙しい」を理由にコミュニケーションをないがしろにしていると…


さらにコミュニケーションは、とても失われやすいことも、覚えておきましょう。人は、相手と会話をしなくなったり、目を合わせなくなると、急速に心が離れ、疎遠になっていくものです。

頭の片隅で「最近しっかり話ができていないな」と感じながらも、忙しくて対応できず、気づいた時にはそのスタッフが退職を申し出ている、といった経験はないでしょうか。関係を維持していくには、忙しければ忙しいほど意識して、意思疎通を図っていかなければなりません。

職場では、店長や上司である正社員が、意識してパート・アルバイトに話しかけたり、コミュニニケーションを取っていくことが必要です。コミュニケーションが不足すると、両者の間に目に見えない溝ができてしまいます。

その溝を見ないふりして、「忙しいから」とコミュニケーションをないがしろにしているうちに、溝は日々深くなっていくのが通常です。そうなると、店長なのにパート・アルバイトに話しかけることすらできなくなってしまったりします。

そんな状態では、パート・アルバイトのやる気を高めるどころではありません。このあたりは店長の性格にもよりますが、シフト管理すらうまくできなくなってしまうでしょう。結果、パート・アルバイトさんにとって大事な「働きやすさ」すら、担保できなくなってしまうのです。


もっとも簡単で劇的な効果のあるコミュニケーションは「あいさつ」



加えてパート・アルバイトには、そもそも定着しづらい要件が備わっています。
第一にその多くが有期雇用契約で働く人です。また、正社員とは待遇が異なります。すなわち、昇進・昇格や、退職金やきちんとした賞与もないため、長期勤続のメリットが薄いのです。

となるとどうしても、「イヤな思いをしてまでその職場で働き続ける必要はないや」という結論に至りがちです。また、職場間の異動が少ないので「この人間関係から逃れるには、自分が辞めるしかない」と思いやすいということもあります。

では、どうすればコミュニケーションが図れるのでしょうか。それには、一にも二にもあいさつです。あいさつは、最も簡単で、かつコミュニケーションの向上において劇的に効果のある対応策です。

それも、パート・アルバイトからのあいさつを待っていてはいけません。店長や上司の方から、率先して「おはようございます」「お疲れさま」と、声をかけていくのです。ポイントは「分け隔てなく」「先手必勝」です。これを心がけることで、あいさつが習慣化されます。良い癖は、財産です。


大事なのはコミュニケーションを図る方法を「仕組み化」すること


ちなみに職場のコミュニケーションには、二つあります。一つは「交流」、もう一つは「仕事上の情報伝達と共有」です。

 職場のコミュニケーションというと、仲間との「交流」つまり「和気あいあいとしたおしゃべり」や「親睦会や食事会など(仕事を離れた)付き合い」などを思い浮かべがちです。しかし、それ以上に大切なのが、ホウ・レン・ソウに代表される「仕事上の情報伝達と情報共有」です。

その際、伝達は細やかに。というのは、パート・アルバイトの場合、週三日、一日五時間など、限られた時間しか職場にいない人が多く、そもそも物理的に情報伝達が難しい状況にあるからです。それでも、伝わっていないと「聞いてない!」と感情的にとらえられ、しこりとなってしまう場合があります。

情報とは、新商品の導入やキャンペーン、社員の異動や新人の入社、懇親会についてなどさまざまです。家庭なら、例えば夕食が要るのか要らないのか、次の週末の予定は、といったこと。これがなくなると、組織も家族もバラバラになってしまいます。

では、どうするか。解決の工夫の一つが、「仕組み化」です。誰がリーダーになっても、パート・アルバイトと一定のコミュニケーションが図れるようなシステムを作るのです。例えば、こんな具合です。


タイムカードを廃止してコミュニケーションを仕組化した事例



あるレストランチェーンでパートを始めた30代後半のある主婦は、職場に行ってみて驚きました。タイムカードがなかったからです。

そのレストランでは、タイムカードの代わりに、紙の出勤簿を使って時間の管理をしていました。つまり、出勤したら、その日時を書き込んで店長のところへ持って行き、承認印を押してもらう。退勤のときも同様に、時間を書き込んで承認印をもらいます。店長が不在の場合は、他の正社員が承認を代行します。

ファミレスやファストフード店など数社でパート経験がある彼女は、最初は「なぜ、タイムカードを使わないんだろう」といぶかりました。こうした職場では、たくさんの人がさまざまなシフトで働くため、タイムカードによる管理が合理的です。

しかし彼女は、今では「紙の出勤簿」による管理を絶賛しています。

「最初はいちいち面倒だと思いました。でも、今では『素晴しい仕組み』だと実感しています。というのは、承認印をもらいにいくことで朝晩二回、必ず店長ときちんと目を合わせて、あいさつすることになるからです。どんなに忙しくても『おはよう』『お疲れさま』と声をかけてもらえます。

かつては、店長や社員が、私が出勤したり仕事を終えたのに気づいていないのではないかと思ってしまうことがたびたびでした。今は、余裕があるときは承認印をもらいながら雑談したり、何か相談ごとがある場合も、声をかけやすくなりました」

営業時間が長く、多くのパート・アルバイトが入れ替わり立ち替わり働くような職場では特に、全員とあいさつすることすら、ままならない場合があります。

このレストランでも、「以前はタイムカードで管理していたようですが、正社員とパート・アルバイトのコミュニケーションを高めるために、『紙の出勤簿に承認印』に変えたようでした」と彼女。まるで昔返りするような、アナログの管理に敢えて変えて、コミュニケーションを仕組化したアイデアはすばらしいと思います。


すぐに実践できる手段 11の方法


前述したようにパートへの情報伝達が徹底しづらい理由の一つは、パートの多くがシフト勤務で、全員が集まる場面が少ないこと。

これをカバーする具体的施策、つまりコミュニケーションを「仕組み化」するための手段は、他にもいろいろあります。
業種・業態・職種にもよりますが、多くの現場で応用可能な一般的な手段を、以下にご紹介しておきます。

・ 朝礼・昼礼・夕礼、及びこれらの並用など(定期的な情報共有・意見交換の場)
・ 会議・ミーティング(不定期な情報共有・意見交換の場)
・ 社内報の配布
・ 社内イントラネットへの参加
・ 社内同報メールへの登録
・ 連絡ノート
・ 更衣室や休憩室への張り紙
・ 上司との定期的な面談
・ 雇用契約更新時の定期的な面談
・人事評価のフィードバック時の定期的な面談
・ 公式な社内行事への参加(レクリエーション大会・忘年会・新人歓迎会など)

定着率に悩んでいる、またスタッフとのコミュニケーションが不足していると感じているならば、ぜひ上記の方法を試してみてはいかがでしょうか。

筆者プロフィール

平田 未緒
早稲田大学卒業。1996 年に求人広告企業アイデムに入社。同社人と仕事研究所にて、「人とマネジメント情報誌」の記者・編集者を担当後、編集長を経て、2009 年よりアイデム人と仕事研究所所長。
この間、パート・アルバイト、女性社員の採用・戦力化、CS、ES、評価・賃金・教育制度、モチベーションアップ、マネジメントなどをテーマに、数多くの企業と働く人を取材する。また『パートタイマー白書』の企画・調査等に携わり、現場情報に詳しい。
 2013年に独立し株式会社働きかた研究所を設立。企業に向けて「パート・アルバイトの採用・定着・戦力化」「女性社員の活躍 」等、コンサルティング活動を行う。他に、厚生労働省等各種公的委員会の委員、専門誌への執筆、講演も多数。米国CCE,Inc.認定GCGF-Japanキャリアカウンセラー。一般社団法人エチケット・サービス向上協会理事。著書に『パート・アルバイトの活かし方・育て方~「相思相愛」を実現する10ステップマネジメント~』『なぜあの会社には使える人材が集まるのか~失敗しない採用の法則~』(共にPHP研究所)などがある。

働きかた研究所 http://hatarakikata.co.jp
簡単メルマガ登録はこちら
Facebookでシェア
Twitterでシェア
記事クリップ

関連するワード

あわせて読みたい