「おもてなし」は採用につながるか?

2017.05.18 / 名古屋

三ッ口 洋一

Team N+1 代表

ある自動車ディーラーにて


中小企業のための社外広報部を目指すTeam N+1の三ッ口です。

私には25年以上のお付き合いがある自動車ディーラーのセールスマンがいます。26年前に長女が生まれたとき、当時私たちが乗っていたT社のスポーティ車をM社のワゴン車に替えようとしたのです。もちろんT社の車も検討しましたが、下取り価格とセールスマンの態度にがっかりしました。

それにひきかえM社の担当者は好印象で条件も良かったので即決です。そして「お車の調子いかがですか」と、事あるごとに電話があります。売り込みは一切ありません。それが今もずっと続いています。


トラブルが信頼を高める


その4年後に私は交通事故に遭います。幸い怪我はありませんでしたが、車は修理するより買い替えたほうが安いほどの壊れよう。しかも引っ越しの一週間前というバッドタイミングです。彼はすぐに同型車を探してくれました。

その車がハズレだったのか、2度の故障に遭いました。1度め、彼は現場から30km離れた営業所から積載車を自ら運転して駆けつけてくれました。「近くの営業所に運んでおきます」と何事もなかったかのように走り去り、すぐに修理の見積りと部品の手配をしてくれました。2度めも同様です。

さすがに2度めは修理する気になれず、買い替えましたが、すぐ翌日にはいくつか中古車をピックアップしてくれました。いずれも夜のことで本当に助かりました。


たった一人が揺るぎないブランドを作っている



私が25年の間に彼から買った車はたったの4台です。はっきり言って良い顧客とは言えないでしょう。「やり過ぎ」だとすら思います。ずっと気にかけてくれているのを恩義に感じていますし、何かあったときにも頼りになります。ですから車検は少々高かったとしてもそこで、と思いますし、特別な理由もなく他社に乗り換えることはないでしょう。

時々他社から「お、これいいな」と思うような車も出ます。しかし浮気しようと思っても「彼に申し訳ない」と感じてしまうのです。家内も「許さない」と言います。私はM社の熱烈なファンではなく、彼のファンなのです。ここまで来ると「信頼」は揺るぎません。この信頼こそがブランドなんですね。

このように、私から見ればM社のブランドイメージはたった一人のセールスマンが作っていることになります。T社も同じです。あなたも「自分一人くらい」と手抜きをすると、知らないうちに会社やお店にとって致命傷になっているかもしれません。恐ろしいことです。


ご存知ですか?「おもてなし規格認証」



「おもてなし規格認証」とは、サービス産業と地域の活性化を目的に、①顧客満足②従業員満足③地域社会の満足を高めるための取り組みです。経済産業省の平成27年度サービス産業海外展開基盤整備事業費補助金を受けて一般社団法人サービスデザイン推進協議会(本部東京)が運営しています。

情報発信や人材教育など7つの分野について30の取り組み項目が設定されており、取り組み度合いによって4段階の認証が受けられるというものです。
最低限の項目を自主査定でクリアして、それ以外の項目に「取り組む」と宣言するだけで、審査なしでファーストステップとなる「紅認証」が取得できます。

公式HP/https://www.service-design.jp/


日本が世界に誇る文化を利用しない手はない


今や世界共通言語となった「Omotenashi」ですが、本来接客のためだけではないはずです。日本が世界に誇る素晴らしい文化です。企業としてもぜひ利用したいものです。

なぜならば顧客に目配り・気配りが利くお店や会社は、従業員にも優しいはずです。そうした取り組みを行っていることをアピールすれば、お勤め先として「選ばれる理由」の1つになり得るのではないでしょうか?

従業員満足度の高い会社やお店では、人手が足りなくなっても、従業員さんがお友達や仲間を誘ってくれます。私はこれが最も有効な採用対策だと考えます。満足度というのは時給の高さや休日の多さだけではありません。

人が足りないことを、自分のこととして捉えて「真剣に考える」のか、他人ごとと捉えて「関係ないと思う」のかの違いはとても大きいです。規格認証を取得する・しないはどちらでも構いませんが、取り組む価値はあると思います。お客様や従業員へのスタンスを確認する良い機会になるのではないでしょうか?

筆者プロフィール

三ッ口 洋一
1961年名古屋市生まれ。プロトコーポレーションと中部経済新聞社で、雑誌編集、経済部記者、ビジネスセミナー開催、広告営業、フェイスブックページ運営などを手がける。約30年間のメディア業界で得たノウハウと2万人を超える人脈とで「中小企業のための社外広報部」というニーズに応えるべく2014年独立。2016年には名古屋女子広報チームNPR48B(Nagoya Public Relations 48 for Business)発足。中小企業庁未来企業サポート「ミラサポ」登録専門家。メルマガ「不定期ビジネスニュース」管理人。起業家支援イベント「N-1グランプリ」実行委員。
【Team N+1】http://hitouch0520.wix.com/team-nplus1
【NPR48】https://npr48.webu.jp/
【名古屋セミナーポータル】http://www.seminar-portal.org/

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