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あなたは大丈夫?仕事ができる人ほど、知らないうちにやってしまっている「パワーハラスメント」~事例と対策~

専門家コラム

2016.06.06 / 名古屋

岡本 麻美

ベリーベスト法律事務所 弁護士

春~夏はハラスメントが起きやすい時期です。

今回は「ハラスメント」についてお話します。新入社員の入社やアルバイトの新規採用、人事異動で職場環境も一新される今の時期は、人間関係の問題が生じることも少なくありません。ひと昔前であれば、修行として店主が見習い従業員に暴力まがいの指導をした、なんてことはよく耳にした話かもしれません。
しかしながら、セクハラ、パワハラといった言葉が浸透しつつある昨今、対応を間違えると、場合によっては、被害者から裁判を起こされることもあり、経営者、店長をはじめ人事ご担当の方にとっても頭の痛いテーマなのではないでしょうか。



ベリーベスト法律事務所でも、毎月100件前後のハラスメントに関する相談が寄せられていて、非常に課題の多い状況となっています。

そこで、今回は、
(1)ありがちなパワハラの事例
(2)ハラスメントの予防策
(3)問題が起きた後の対応策
についてお話したいと思います。

ありがちなハラスメントの事例「こんなこともパワハラ!?」

では、どのような場合に「ハラスメント」があったと判断されるのでしょうか?

今回は、身近な事例として飲食店に多い「パワハラ」についてご紹介いたします。
職場のパワーハラスメントとは、「同じ職場で働く者に対して、上司・店長などの職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」です。
言っている本人が“そんなつもりはないのに”叱咤激励のつもりが、言われた相手がどう受け取るかで「パワハラ」になることもあります。

以下は、言ってしまいがち・やってしまいがちな例です。みなさんの周りでも似たようなケースはないでしょうか?

・人員不足にもかかわらずスタッフが休みを取ろうとしたので、休暇の取得を認めなかったり、休みの理由を根ほり葉ほりしつこく聞く。

・部下がミスをしたとき、「給料泥棒」「こんなこともできないなんてバカじゃないのか」「アホが」「早くしろよ」などと罵倒したり、責めたりする。

・休日中に「今から出てきてほしい」とスタッフに指示をし、選択の余地なく休日出勤を強いる。

・閉店後に「よし!飲みに行くぞ」と食事や飲酒の席に、本人の意向を踏まえず付きあわせた。

飲食店では、店舗内のスタッフが連携して業務を行う必要があるため、スタッフのチームワークが重視されます。そのため、スタッフ間のコミュニケーションが頻繁で、だからこそ人間関係の問題が生じやすい環境にあります。仮に、店長が店員に対し、上記のような行動を行えば、その店員は、迷惑がかかることを恐れて同僚らに相談することも出来ず、精神的な病を発症するなど、勤務を継続することができなくなります。そうなると、店長にとっては業務上の「指導」と考えていたことであっても、「パワハラ」すなわち慰謝料などの支払義務を負いかねない重大な不法行為にあたる、ということがあり得るのです。

今すぐできる対策をとりましょう

それでは、このような問題を予防するためには、どのような対策をすべきなのか、考えてみたいと思います。

(1)ポスター、パンフレット、就業規則によるハラスメント情報の周知、研修による啓蒙
 店長にとっては「指導」のつもりであっても、それが行き過ぎた場合には、パワハラにあたる恐れもあります。
就業規則で、パワハラ等の防止と加害者に対する処分について記載したり、パワハラ撲滅のポスターを事業所内に貼ったり、普段から従業員のハラスメントについての意識を高めておくことは重要です。また、規則や仕組みを作るだけでなく、運用することがより重要といえます。

(2)相談窓口等の開設、相談担当者、苦情処理制度の整備
 単に開設するだけでなく、相談者が相談しやすいように男女2名体制にする等の配慮が必要です。もし事業所内に開設できない場合は、労働基準監督署の総合労働相談コーナーを利用することも可能です。

(3)意見交流会を実施したり、事業所内のコミュニケーションを高める
 普段から風通しの良い職場環境を整えることは、従業員全体の士気を高め、生産性の向上といった結果にもつながります。上記で挙げた例も、「休みのところ申し訳ないが、人手が足りなくて、もし都合がつくようなら出勤してもらえると助かるんだけどどうか?」など言い方を変えたり選択肢を与えることで、パワハラと受け取られることを予防することもできます。

パワハラ発生!~実際に問題が生じたときはどうする?~

次に、実際に問題が生じた場合には、どのような対応をすべきか考えてみましょう。

(1)事実関係の公平なヒアリングを行うこと
まず、問題が発生した場合、相談担当者は迅速に事実関係の確認を行うべきです。被害者は、精神的に追い詰められていますから、事情聴取の際は、細心の注意を払う必要があります。被害者に誠実に対応することによって、紛争の長期化を防ぐことができます。また、行為者からの事情聴取は行為者の名誉に配慮して慎重に行い、被害者とは接触しないよう注意することが求められます。

(2)事実が確認された時は迅速な対応をとること
事実が確認された場合、行為者に対し、就業規則に基づき、戒告・配置転換等の懲戒処分を行います。被害者には行為者の処分内容を報告し、必要があれば事業者から謝罪することも求められます。迅速な対応をとることで被害者の対立感情を和らげ、円満な解決が図れるのです。

(3)今後の再発防止措置を徹底すること


事実関係の確認後は、被害者と行為者を直ちに隔離し、互いに接触する機会をなくすことが肝要です。
ただし、加害者を配置転換させることのみをもって事足りる、とすることは、残った被害者が他の従業員から疎まれ、第2、第3のハラスメントが生じる恐れがあります。問題の背景には、これを許容する職場環境の存在が必ずあるのであって、問題の発生を職場環境整備の好機と捉えるべきです。


いかがでしょうか?ハラスメントは職場環境を悪化させます。その結果、サービスの質が低下し、顧客が離れ、売上が下がるという悪循環が生じ、経営にとっても大きなリスクです。

今回お話したいずれの予防策、事後の対策も言われてみれば納得のできるものではないでしょうか?
しかしながら、わかっていてもなかなか実施できていない、というお悩みをお持ちの方も多いものです。
予防策、対応策ともに専門家に相談することで経営者の皆さまの負担は大きく軽減されます。一時の判断ミスが後に大きく影響することも十分にあり得ますので、是非専門家に相談されることをお勧めします。私共ベリーベスト法律事務所でもハラスメントに関する無料相談窓口を設けておりますので、お気軽にご相談ください。

筆者プロフィール

岡本 麻美
法科大学院卒業後、都内法律事務所勤務を経て弁護士法人ベリーベスト法律事務所に入所。
札幌支店長。企業法務・労働チームに所属し、主として雇用主側の人事、労務問題に関する相談や訴訟案件を担当。労働問題のエキスパートとして多くの案件を手掛ける。

健全な社会常識を忘れないことを常に心がけ、話をよく聞くことを心がけています。
身近な法律事務所となるよう努めてまいりますので、お気軽にご相談ください。

弁護士法人ベリーベスト法律事務所:https://www.vbest.jp/
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