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書き込みはこれで消える!~ネット上の風評被害対策~

2017.07.24 / 名古屋

山谷 千洋(やまたに ちひろ)

弁護士法人ベリーベスト法律事務所 弁護士



風評被害は損害を招きます!


さて、今回は、「インターネット上での風評被害を解決する方法」について考えていきましょう。

インターネット上には、企業の公式HPや検索サイトはもちろん、口コミサイト、個人ブログ、掲示板サイト等の無数のWebページがあり、様々な情報が溢れています。その内容も、商品の宣伝、政治談議、飲食店や企業の評価、あるいは有名人のプライバシーに関するものまで、多種多様です。

そのような情報は役に立つものも多いですが、中にはまったくの出鱈目や、中傷としか思えないものもあります。自分や自社に関するそれらの情報を放置すると、多くの人の目に触れることになり、評判が下がったり、お客さんが来なくなったりと、実際の損失に繋がりかねません。

また、採用活動との関係では、インターネットは就活者の重要な情報源ですので、インターネット上の書き込みを信じて応募者が減ったり、内定辞退者が続出したり、なんてことになってしまうかもしれません。

一度「ブラック」というイメージが付いてしまうと、その評価をひっくり返すためには大変な努力が必要です。

では、そのような風評被害を引き起こす情報に対して、どのような対処を求めることができるのでしょうか。ここでは、風評被害の代表例として、個人ブログや口コミサイト上の「書き込み」を念頭に置いて説明します。


対応策 その1:削除請求をする


削除請求とは、その書き込み自体を消してくれるよう請求することですが、いくつかの方法があります。

① 任意請求

最初の方法は、当たり前と思われるかもしれませんが、書き込みが掲載されているサイトの管理者等に、メール等で直接「消して欲しい」とメッセージを送ることです。

この方法は簡単にすることができますが、単なるお願いに過ぎず、法的な強制力を持つものではありません。個人ブログ等であればともかく、大手の質問サイト等は、あまり請求に応じてくれない傾向にあります(注:書き込みの内容にもよります)。

もっとも、対応してもらえるのであればお金も時間もかけずに目的を達成できるので、とりあえず試してみる価値はあるでしょう。

なお、同じお願いであっても、弁護士に依頼して「弁護士からの通知」という形式で連絡をすると、こちらの本気度が伝わるためか、消して貰いやすくなるようです。

② ガイドラインに則った請求
大手のプロバイダであれば、一般社団法人テレコムサービス協会の制定したガイドラインに沿った形で、書き込みや記事の削除請求をすることができます。

このガイドラインには、プロバイダが削除請求を受けた場合、問題の書き込みを行った者に削除の可否について連絡を取り、その者から反論がなければ書き込みを削除すること等が定められています。いわば業界の自主ルールであり、ただ単なるお願いよりは強い効果を持つものです。

ただ、強制力はなく、また、ガイドラインに則って請求をしようと思うと法的な知識が必要になる場合もあります。もっとも、法的な手続きは要らないので、専門家に依頼せずに自分で請求することも可能でしょう(その場合でも、専門家のアドバイスを貰った方が無難です)。

③ 法的手段を用いた請求
発信者や管理者が自ら対応してくれない場合には、裁判所に対し、「書き込みを削除せよ」との仮処分を求めることになります。

裁判所が言い分を認めてくれれば、多くのプロバイダは任意での削除に応じてくれますし、また、強制的に書き込みの削除を求めることもできるようになります。

その効果は強力ですが、法的な手続きを踏む必要があるので、弁護士に依頼しなければ手続きを進めるのは困難で、その費用がかかってしまいます。また、複雑な事案だと、裁判に結構な時間がかかる可能性もあります。


対応策 その2:技術的に目立たせないようにする(技術的対応)


技術的対応とは、当該書き込みがあるWebページを検索サイトで上位に表示させないようにする等、専門的な知識と技術に基づいて、書き込みを目立たせないようにする方法のことをいいます。

ただ、注意するべきは、「書き込みを削除するわけではない」ということです。あくまでも情報を目立たせないようにするだけなので、その書き込みはインターネット上に残り続けることになります。

また、これらの技術的対応は専門業者が行っていますが、その中には怪しい業者も居るので注意が必要です。技術的対応だけではなく削除請求まで行う業者があれば、その業者は弁護士法に違反しているおそれもあります。


ポイントは「書き込みが違法かどうか」


気になる書き込みを見つけたときの対処方法を検討するにあたっては、「その書き込みが違法かどうか」がポイントとなります。なぜなら、上記のガイドラインに則った請求や法的手段を用いた請求は、違法な書き込みに対してのみ行うことができ、適法な書き込みに対してすることはできないからです。

では、「どのような書き込みなら違法なのか」が問題となりますが、詳しくは記事の最後のコラムを参照してください。一つ例を挙げると、「過去に著しく業績が悪い時期があった」等の書き込みは、会社にとって広まって欲しくない情報であると思いますが、それが事実であれば、違法な書き込みではありません。

適法な書き込みを何とかしたい場合には、任意で削除してくれるようお願いをするか、技術的対応によって目立たせないようにするか、ということになります。

逆に、違法な書き込みに対しては、任意での削除請求をしつつ、ガイドラインに則った請求や法的手段を用いた請求にまで踏み込むかを検討することになるでしょう。

なお、実際には、適法・違法はきっちり切り分けられるものではなく、書き込みの違法性を巡って争いになることも良くあります。



まとめ:火のないところに煙は立たぬ?




インターネット上の書き込みに対する対処方法を簡単に紹介してきましたが、他にも、書き込みをした者の情報をプロバイダに開示させてその者に損害賠償請求を求めたり、あるいは、訂正記事を掲載させたり、といった対応をとることができる場合もあります。

ただ、余計なお世話かもしれませんが、「火のないところに煙は立たぬ」という言葉もあります。インターネット上の書き込みには事実無根なものも多いと思いますが、一方で、実態を反映した書き込みもあるかもしれません。

名誉毀損に当たるような書き込みはさておき、内容虚偽と思われる書き込みを発見した場合には、削除請求を検討する前に「本当にその事実はないのか」を精査した方が良いでしょう。

例えば、「パワハラが横行している」という書き込みを見つけたら、その書き込みに憤る前に、本当にその事実はないのか内部調査を検討してみてください。内部調査はコンプライアンスの観点からも有益ですし、仮に、そういった実態があるのに当該書き込みの削除に成功したとしても、新規採用者が入社後に現実を目の当たりにして、結局、早期離職してしまうことになりかねません。

削除請求をして見た目を整えるだけではなく、それに伴った内面が伴っていることが重要です。

インターネット上の情報を一々気にしていては埒が明かないことも多いですが、不愉快な思いをすることに我慢ができなくなったり、あまりにも酷い書き込みを発見したりした場合には、専門家の意見も聞きながら、その対応策について検討することをお勧めします。


筆者プロフィール

山谷 千洋(やまたに ちひろ)
東京大学法学部卒業。首都大学東京法科大学院修了。行政、不動産実務等を経て、弁護士登録。
市民と行政との円滑な関係構築に興味を持つ。東京弁護士会自治体等法務研究部所属。

資格:宅地建物取引士、剣道弐段

意味があるのは「正しい情報」ではなく「役立つアドバイス」です。
正しい知識を有用な手段に転換すること、いわば、知行合一の実践を信条としています。
現場の視点に立っているか、上滑りする内容となっていないか省みながら、
法律を味方とし上手な事業経営に繋げる方法を、皆様と考え続けていきたいと思います。

弁護士法人ベリーベスト法律事務所 https://www.vbest.jp/

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