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食中毒は夏より冬の方が起きやすい?!「クレンリネス」の基礎知識

専門家コラム

2017.08.30 / 名古屋

岩本 留里子

ビジネスフードアドバイザー

こんにちは、ビジネスフードアドバイザーの岩本留里子です。

前回は、【繁盛店になるための接客術④】客単価をUPさせるための接客ポイントをお話しさせて頂きました。今回は「クレンリネス」をテーマにお話をさせて頂きます。


飲食店を取り巻く現状


現在、厚生労働省が提示しているデータによれば、2017年7月28日までに、全国で361件(飲食店・学校・旅館など含め)の食中毒の報告があったとされています。

その中でも、飲食店で発生した場合は全国218件、愛知・静岡で20件という結果でした。
厚生労働省「食中毒一覧速報 平成29年(2017年)食中毒発生事例」
(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/04.html)


以下は、 厚生労働省食中毒統計調べによる、平成23~27年の平均値となります。


厚生労働省食中毒統計調べ(平成23~27年の平均。病因物質が判明している食中毒に限る)
(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11130500-Shokuhinanzenbu/0000145414.pdf)


ノロウイルスは、毎年10月頃から1、2月をピークに全国的に流行する食中毒で、感染者やウイルスの保持者が触れたドアノブ、トイレに残ったウイルスなどから感染することもありますが、店舗を清潔に保つことでこれらの問題発生の確率を軽減することが可能になります。

当然ではございますが、食中毒が起きやすいイメージの夏場だけでなく、意外にも冬に向けても常に敏感に注意し対策をしておくべき問題です。

今回は、「クレンリネス」に関する基礎的な内容を多く記載しています。
すでに取り組まれている内容もあるとは思いますが、現在のお店の実態と照らし合わせながら読んでいただければと思います。


そもそもクレンリネスとは?


飲食店の経営では「QSC」を大切にしなければなりません。これは、「Quality(品質)」「Service(サービス)」「Cleanliness(クレンリネス/衛生)」の頭文字をとった言葉です。
現在、インターネットやSNSの発展により、お客様の口コミなどがすぐに共有される世の中になっており、「品質(味)」「サービス」が重要視される場合もあります。しかし、そもそもお店が清潔じゃないと、そういった「品質(味)」や「サービス」を提供する機会すらなくなってしまいますよね。だからこそ、繁盛店にするためにも「クレンリネス」は重要な要素になってきます。
それでは、まずは定義について確認してみましょう。

そもそも「Cleanliness(クレンリネス)」と「Cleanness(クリーンネス)」はどう違うのですか?とよく聞かれることがありますが、「クレンリネス」とは「清潔で、快適な状態」をあらわす用語で、「クリーンネス 」は 掃いたり拭いたりなど 「きれいにするための行為や作業」を意味します。
ですので、今回の内容は「清潔で、快適な状態」にするための取り組み方がメインになります。

まず店舗は、常に綺麗な状態、つまり先ほどお伝えしたように「清潔で快適な店舗」を維持しないといけません。
そもそも綺麗な状態のお店は、お客さまへの「おもてなし表現」の一つになります。皆様のお店も、ご来店いただいたお客さまが「また来たい!」と思っていただけるような店舗にしましょう。綺麗にしておく場所は、キッチン・ホール・トイレ・休憩室など…。また働く皆様自身も綺麗な制服など、清潔な格好をしておく必要があります。


クレンリネスを維持する為にやるべき3つの事


ここからはクレンリネスを維持するためにやるべきことを紹介していきます。

①お店の基準をつくりましょう。
クレンリネスのあるべき姿は、「オープンした状態を維持する事」であり、特に個人の感覚に左右されるものはないのです。ですから、お店の基準やあるべき姿をしっかりと持つことが大切になります。常に清潔な状態を維持しておくためにもチェックリストを活用しましょう。
また作業手順を記載したマニュアルを作成し、作業内容・手順をしっかり教育し、なぜその作業が必要なのか?どんな意味があるか?を伝える教育をしていきましょう。

②スタッフ意識の教育をしましょう。
クレンリネス教育の徹底が大事になってきます。「いつか、だれかがやるだろう」と思ってそのままの状態なんてことはありませんか?常にスタッフが意識を持ち、手が空いたらすぐに掃除をします。そのためには、掃除用具をきちんと用意し、実行できる環境を整えておくべきです。

③お客様の目線を意識しましょう。
自分がお店にお客さまとして来店したら…と考えてみましょう。実際にお客様がどこを見るのかを、お客様の目線で見ます。そういった意味では、たまには店内に着席し飲食したり、お店の外から少し離れて、フラットな状態で外観を見たりすることも大切です。本来、見えないはずのものや、店内にいらないものが見えたり、埃が気になったりと、普段とは別の視点から発見をすることが可能です。


スタッフの清潔さはお客様へのマナー


身だしなみは、お客様に対するマナーであり、毎日、自分自身で整える仕事の一環です。仕事に対する意識の高さが、そのまま身だしなみに表れるといってよいでしょう。お店のブランドイメージに合った身だしなみの基準を決めましょう。一般的な例は以下の通りです。



基準を決めるときは、「安全であること」を第一に考えてください。異物混入の防止と共に心がける事が大切です。常に体を清潔にし、体臭や口臭等にも気をつけましょう。煙草を吸った後にすぐに接客すると煙草の匂いが気になりますし、料理の美味しい香りを漂わせるためにも香水やコロンなど香りの出るものは避けるべきです。


清掃マニュアル作成時に押さえておきたいポイント


「きれいにしましょう」だけでは、人によって基準がわかりにくいので、ガラスであれば「手垢などのない状態」という形で「状態」を言葉で示したり、写真などをマニュアルに載せてくことで基準を設定する事をお薦めします。

どのような要点を抑え、清掃マニュアルをどのように作ったらいいのかは、以下の項目を参考にしてみてください。



まずは、この5項目をきちんと押さえながら作成しましょう。


「5S」から見る整理整頓について


工場の品質管理などでよく使用される「5S」という言葉ですが、飲食店においても活用していくことが可能です。一体どういった内容なのでしょうか。



「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾(しつけ)」の「5S」に分類されます。それでは、より詳しく見ていきましょう。
●整理…お店に必要なものと不要なものをはっきりと区別して不要なものは捨てましょう。    

●整頓…誰もが必要なときに必要なものを効率的に取り出せるように置き場所、置き方を決め、わかりやすく表示しましょう。
誰もが必要なものを必要なときに、すぐ使える状態に保つことが重要です。物の置き場や置き方を決めましょう。その時に段ボールの開け方なども細かく整頓のルールをつくりましょう。そして、使ったものは、必ず元の位置に戻す癖をつけましょう。

●清掃…汚れやゴミをなくして職場をきれいな状態にすること、決められた箇所を、チェックリストをもちいて決められた手順で行いましょう。作業時間を決め、時間内に終わらせることを意識しましょう。

●清潔…整理・整頓・清掃を徹底して実行し、きれいな状態を維持していきましょう。決められた通りに掃除されているかを店長がチェックしましょう。

●躾……決められたルールをきちんと守り、習慣化する事が必要です。自分で脱いだものや使ったものすらきちんと片づけられない人だっています。当たり前のことを当たり前に教える事が大切です。

以上のように、掃除する事も大切ですが、整理整頓しておけばおのずと綺麗な状態も維持でき、それを守っていく環境を整えることで店舗を綺麗にするだけではなく、生産性向上やコストの削減にも繋がってきます。
実際に、整理整頓のルールを決めてスタッフに徹底させている店舗もあります。そこでは、食材の保管場所を一目でわかるように一覧表をつくり、食材倉庫の入り口に掲示します。よく使う食材や食器は調理する場所に近い棚の中段に置き、取りやすくするなど配置を工夫することで、新人でも食材を探す時間が少なくて済み、注文が多い料理はほとんど移動しないで調理するなど効率的に作業を行うことができ、店舗全体のコストダウンを達成しています。


スタッフに掃除を楽しませる事例



清掃業務により積極的に取り組んでもらうために実施したある飲食店さんでの事例です。
スタッフにゲーム感覚で掃除をしてもらう為に、以下のルールで掃除をしてもらいました。

≪ルール≫
①掃除の箇所をカードに書き、掃除前の箱と掃除済の箱を二つ用意します。
②手が空いたら掃除前の箱からカードを引き、そのカードに書かれている箇所を掃除します。
③掃除が終わったら自分の名前を記入して掃除済の箱に入れます。
※掃除カードには、掃除の仕方・掃除道具なども書いておくとスムーズに掃除ができます。



④最後に沢山掃除をしてくれた方を表彰します。
※店長が独り言のようにライバルに向けて「Aちゃんは、すごいな!!」というとライバルに負けたくないBちゃんはやる気を出します。
カードがなくなるまでの勝負になるため、掃除漏れがなくなります。普段と違った働き方ができるので、気分転換もかねて実践してみても良いかもしれません。

いかがでしょうか。
今回は「クレンリネス」というテーマで基本的な概念や、業務での活かし方などをお話させて頂きました。

整理整頓や清掃など基本的な業務ではありますが、これらを徹底することで「清潔で快適な店舗」になるだけでなく、業務コスト・クレームの削減や店舗のイメージアップ・来店率向上にもつながってきます。

今後に向けて、皆様のお店も改めて基本ができているかチェックしてみても良いかもしれません。

次回は、「客数の増やし方」についてお話しさせて頂きます。

筆者プロフィール

岩本 留里子
長崎県出身。静岡の短大を卒業
大手ファストフード企業に7年間勤務、店長・スーパーバイザー、サービスマネージャーを経験。その後、飲食業界で、業態開発、人材育成・接客指導、商品開発などフィールドを広げる。
飲食業界での現場の経験は15年間に及ぶ。現在は飲食分野を得意とした経営コンサルタント・接客研修・店長教育・メニューアドバイザーとして活躍するほか、幼児・小学生を対象にした食育レッスン「しょく感教室」を開催。
経営専門誌の「飲食店経営」「食品商業」などに執筆。
趣味は、車が大好きで旅行に行くとそこで食べ歩きする事を楽しんでいます

岩本 留里子 公式HP:http://www.iwamoto-ruriko.com/
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