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製造の現場で外国人実習生を雇用して10年、その実態に迫る

2018.02.02 / 名古屋

ヒトクル事務局

株式会社カワグチ鉄工
検査部課長 鈴木節子さま

こんにちは、ヒトクル事務局です。

昨今、人手不足解消のために外国人実習生、研修生の雇用を検討する中小企業が増えています。
しかし、育った環境、文化、価値観が違う人たちを、自社の戦力として一人前に育てるのはなかなか難しい…という声もよく聞かれます。

そこで、2007年からほぼ毎年外国人の雇用を継続し、業務の戦力として定着させている沼津市の株式会社カワグチ鉄工で、採用、教育を担当されている検査部課長 鈴木節子さんに、外国人雇用のメリットやデメリット、雇用する際の心構えなどをお聞きしました。


会社の評価ランクが上がり、大手からの受注が急増。しかし人材が追い付かない。


まず、御社の事業内容について教えてください。


当社は、25年前に従業員4名からスタートした鉄骨の製作会社です。鉄骨の設計から加工、組立、溶接、錆止め塗装、搬入・現場組立まで、すべてが当社の業務です。

鉄骨は人間の骨と同じで、外からは見えませんが建物の要として重要な役割を果たしています。マンションやホテル、学校、商業施設、病院、橋やタワーなど、私たちの身近にある様々な建造物に多くの鉄骨が使われています。

鉄骨会社は資格取得者の有無で会社のグレードが決まります。私自身も鉄骨の溶接部分をチェックする非破壊検査技師の資格を持っていますが、さまざまな専門資格を持っている者の数で、受注する仕事の規模が変わってきます。

※非破壊検査技師とは?ウィキペディアへ

当社は2005年に5段階のグレードの中で3番目のMグレードを得ることができました。このグレードの会社は県内では唯一で、以来、首都圏の大企業からの受注が急増しています。今では3つの工場と事務所社屋を備え、従業員と外注スタッフ合わせると50人くらいの大所帯となり、首都圏の仕事が中心で関東一円が守備範囲です。

2007年から継続的に外国人スタッフを雇用されています。どんな経緯から?

鉄骨会社の現場の仕事はいわゆる3Kです。

きつい、汚い、危険。

だから、なかなか日本人の若手社員が採用できず、けれども仕事はどんどん増えて現場は忙しくなる一方でした。そこで、取引先の中で既に外国人を採用している企業に様子を聞いたところ、若い男性が多く、日本人よりも根性があって簡単に辞めないし、即戦力になると言うんです。

さっそく中間管理者となる人材斡旋会社に依頼して、初年度の2007年に3名採用しました。その後、採用しなかった期間もありますが、今までに延べ20名くらいを採用したでしょうか。

今では、外国人スタッフは当社の戦力として不可欠な存在になっています。


簡単に辞めない、真面目に働いてくれる。けれども期間限定というジレンマがある。


外国人を雇用することのメリットは?

なんといっても一生懸命、真面目に働いてくれることでしょうか。日本人が嫌がる3Kの仕事でも、あまり文句も言わずに必死でやってくれる。それは、彼らが日本でお金を稼いで家族に仕送りをしたい、家を建てたい、商売をしたいなど、明確な目的を持っているからです。

そして採用コストの面でもメリットは大きいです。日本人を採用するのには、ある程度の期間と募集費用が必要になります。しかもせっかく採用しても早期で離職してしまうことも多いです。

外国人スタッフは、前述した通りある程度の覚悟を決めて母国から来ているため、余程のことがなければ辞めません。ただし滞在期間は3年と決まっているので、せっかく技術を覚えてもらっても帰国してしまう、というのが残念なところです。

言葉や生活習慣の違いなど雇用する側の苦労も多いのでは?

やはり、一番困るのは言葉です。簡単な英語も一切通じないから、本当に身振り手振りです。語学力には個人差があって、3人採用すると、だいたいそのうちの一人は日本語が上手になる。

そうすると、他の二人はその人を頼るのでちっとも日本語がうまくならないんです。結局、三年間、一言も日本語を話せないまま帰国した人もいました。

またひとくちに外国人といっても国による違いは大きいです。当社では、初年度に採用したスタッフとはトラブルや行き違いが多くて苦労しました。その経験をふまえてその後は異なる国のスタッフを依頼するなどの、試行錯誤を経ています。

今でも、日本人の雇用では考えられないようなアクシデントやトラブルは多々あります。

勤務時間をごまかしていたスタッフを強制送還したこともありますし、残業が多いと労働基準局に注意され、ペナルティで外国人を採用できなかった時期もあります。

当社では専用の寮を用意していますが、同じ部屋に住む人同士の相性が良くないとすぐケンカになってしまうし、衛生面ではゴミ出しのルールなどをなかなか覚えてくれず、部屋が汚れてしまったことも度々です。


中間管理者となる人材斡旋会社は、なるべく地元のほうが便利。


そういったトラブルを防ぎ、円滑な関係を築くために、心がけているのはどんなことですか?


とにかく、積極的にコミュニケーションをとることです。日本人のスタッフと一緒に食事に行ったり、上司が飲みに連れて行ったり。同じ職場で働く人同士の垣根を作らないようにしています。

仕事以外でも彼らの家族の話を聞いたり、彼らの母国の料理をふるまってもらったりして、軽い冗談が言えるくらいの間柄になると仕事面での信頼関係も深まりますね。

また、各々の得意分野を知るために、最初はいろんな仕事をやってもらうようにしています。ひとり一人の得意分野がわかると、その部分を褒めたり伸ばしたりすることができて、彼らのやる気を引き出せます。

これから外国人スタッフの雇用を考えている企業、人事担当者へのアドバイスを頂けますか。

育った環境も文化も価値観も違う人々を受け入れるには、ある程度の覚悟が大切です。こちらの思い通りに行くことばかりではない、と常に心得えていたほうがいいと思います。

そして人材斡旋会社を選ぶ際は、近くに事務所がある会社がおすすめです。当社は他県の人材斡旋会社を利用しているので、何かあった時、担当者にすぐ来てもらうことができません。メールや電話のやり取りだけでは、意思疎通が難しいことも多いので、地元の会社を選ぶことがひとつのポイントになると思います。

これは個人的な意見ですが、当社のような業界では今後も日本人の採用は難しいため、外国人の活躍の場がもっと増えていくと思います。今後も日本人、外国人が共存でき、ともに力を発揮できる職場環境を整えていきたいと考えています。



(取材日/2018年1月10日)

いかがでしたでしょうか?
最初は手探りの状態から外国人雇用をスタートさせたという鈴木さん。メリットもデメリットも忌憚のない言葉で話して下さり、
外国人雇用の現場のリアルな状況が伝わってきました。鈴木さん、このたびは取材にご協力いただきありがとうございました。


取材協力
株式会社カワグチ鉄工
静岡県沼津市西沢田6-1
事業内容/鉄骨工事一式請負工事

筆者プロフィール

ヒトクル事務局
東海地域の店長・人事担当のみなさまのお役に立てるよう、日々様々な情報を収集・配信しているサイトです。地域のトレンド情報やノウハウ、採用成功事例や各種データなど、配信コンテンツは多岐に渡ります。また、セミナーも定期的に実施しています。この採用難の時代を乗り切るべく、少しでも多くの方々のお悩み解消につながれば幸いです。

「ヒトクル」は、株式会社アルバイトタイムスが運営しています。

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