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街の写真屋さんのファンづくり。地元で50年愛される取組とは?

2017.06.30 / 名古屋

ヒトクル事務局

大野写真研究室
店主 大野 仁志さま


こんにちは、ヒトクル事務局の中嶋です。

今回は、静岡市で創業50年以上になる歴史ある写真屋さん「大野写真研究室」で、2代目店主の大野 仁志さまにお話を頂きます。

今では珍しいフィルムカメラでの撮影をされており、撮影会などの外部活動にも積極的に取り組まれています。そんなお店が地元で50年間愛され続けるお店作りの秘訣について伺いました。



「モノ」から「コト」へ、消費者志向に合ったお店作り


中嶋
:大野さま、本日はよろしくお願いいたします。

大野さま
:はい。こちらこそよろしくお願いします。

中嶋
:それにしても、とてもおしゃれなスタジオですね!

大野さま
:ありがとうございます。実は何度か改装しているんです。もともとは住居兼店舗という感じでスタートしたんですよ。

中嶋
:ずっと写真撮影スタジオとしてやられてきたわけではないんですか?

大野さま
:そうですね。先代の創業から私に代替わりした頃までは、役所や地元企業に出向いてフィルム回収やプリント配達をメインにやってきました。お客様も昔からのお付き合いを頂いているかたが多くいらっしゃいました。

中嶋
:今とは大分違う印象ですね。

大野さま
:時代の流れに伴い、フィルムの現像だけではなく、アルバムや額などの写真に関連したアクセサリーやグッズ等の物販に力を入れるようになりましたね。

元々、業界的にモノは安く売る習慣がありましたが、雑貨屋のような高単価を狙った時代もありました。

中嶋
:その時々のトレンドのようなものがあるんでしょうか。

大野さま
:そうですね。カメラ女子が流行った頃なんかは「何のお店だろう?」と興味をもってお越しいただくこともありました。でも、今ってモノを売るのがすごく大変な時代なんです。

昔は同じ様なお店が、同じ様なモノを並べても売れていましたが、今はネットで比較され、より安いところが選ばれますからね。

中嶋
:なるほど、市場も少しずつ変化しているんですね。

大野さま
:はい、その頃は写真のプリントの需要が多かったのですが、段々と「写真を撮ってほしい」という要望が増えていることに気づきました。そこで、平成27年にスタジオの機能を強くした、今の店舗に改装をしました。

撮影機材が印象的な店内ですが、カウンターにはインスタントカメラが販売しており懐かしい気持ちになれます。


中嶋
:その当時の消費者ニーズにマッチしているというわけですね。

大野さま
:そうですね。先ほどお話したように、やっぱり「モノを売る」という土俵で勝負することは難しいと感じました。

だから、今ニーズがある「写真を撮ること」に注力をしたわけです。

中嶋
:提供するサービスを重視する方向へシフトチェンジされたわけですね。まさに時代と共に、「モノ」から「コト」へと、消費者の志向が変化していることがわかります。


共通の体験から、お客さん同士でコミュニティができる


大野さま
:先ほどの平成27年度のリニューアルより、『LIFE with CAMERA』と題したフィルムカメラの撮影会を実施しました。知り合い3名と小さくはじめたましたが、すぐに満員になる盛況ぶりでした。

中嶋
:おもしろそうですね!具体的にどんな活動をされているんですか?

大野さま
:開催地で自由にランチなどの休憩を挟みながら、それぞれ撮影をしてもらっています。

その後に現像した写真をみんなで鑑賞するんです。同じ場所で撮影をしているんですが、みんな違うものを撮っているので面白いです。

中嶋
:なんだか和気藹々として、楽しそうですね!

大野さま
:特に私から撮影のレクチャー等はしないので、参加者の皆さんのコミュニケーションが主体になりますね。大人になってからって、中々友達ができないじゃないですか?

中嶋
:静岡に引っ越してきた自分としては、ほんとそう思いますね…(笑)。

大野さま
:だからこそ、こうやって趣味で集まって、共通の体験ができるのが良いんです。

面白いことに、参加メンバーで役割分担ができていくんですよね。誰が新しい人に積極的に声をかけてとか。そういった店外でのコミュニティが自然とできていきました。

段々と活動が広がりを見せ、時には市外や県外に出向いての活動をしたり、メンバー独自での撮影会が開催されたりします。


活動を発信することで、新しい出会いが生まれる



大野さま
:世間では徐々にフィルムカメラを続ける環境が厳しくなってきましたが、もっとフィルムカメラを極めたいと思い、レンタル暗室を設置しました。そこから『しずおか暗室部』の活動をスタートさせました。

中嶋
:どういった活動をされているんですか?

大野さま
:暗室での現像はもちろん、メンバーで年に1回写真展を開催しています。また、月1回集まりながら、撮影した写真を見せあい、議論に花を咲かせています。

Instagramに写真をUPしているのですが、これを見て『しずおか暗室部』に新しいメンバーが加入したり、ワークショップやイベントに参加してもらうことがあります。

中嶋
:まさにイマドキな出会いですね。SNSだといろんな方が集まりそうです!


『価値』に共感してもらうことで強い繋がりができる


中嶋
:様々な人と交流をお持ちだと思いますが、どんな方がお客さんとして来られるんですか?

大野さま
:『LIFE with CAMERA』や『しずおか暗室部』の活動をしていると、好きな洋服のブランドやよくコーヒー豆を買うお店が一緒だったり、同じ価値観を持った人たちが集まって来ます。

昔は商店と言えば、さまざまなモノをよりたくさん店頭に並べることが大切でしたが、今の時代では、『大野写真研究室が良いと思う写真を、本当に良いと思ってくれる方』と長い付き合いができれば良いと思っています。

中嶋
:大野写真研究室のメッセージや活動に、共感した人が集まってくるんですね!

大野さま
:そうですね。大手の写真スタジオチェーンの様に、たくさんの衣装を用意し、ある種イベントの様な形で撮影サービスを展開をすることも考えられますが、それが私たちのやりたいことではないんです。


時代のニーズに合わせつつ、自らがより良いと思う方向にむかい新たな活動を展開していく、それが参加者の心をつかみ、大野写真研究室のファンが増え続けていると感じます。

自らの芯をもった活動によって、強い繋がりができます。その領域が狭くとも、それが長きにわたり愛される秘訣なのではないでしょうか。


フィルムカメラで撮る記念写真の良さを直接体験してもらう



中嶋
:今ってフィルムより、断然デジタルでの撮影が多い印象ですが、実際はどうなんですか?

大野さま
:うちもデジタルのニーズの方がはるかに多いですね。たぶん8割くらいかな。今はデータ納品が基本になっているので。
何カット撮影するかによりますが、昔と違って「たくさん撮って、その中から自分で選びたい」というニーズがあるんです。

中嶋
:たしかにそうかもしれませんね。

大野さま
:デジタルカメラが普及し、良い写真が取れるまで何枚もシャッターを切ることができるようになりましたが、良いカメラや数に限りのあるフィルムを使い、想いをこめて撮影するということが大切だと思います。

中嶋
:「想いをこめる」ですか?

大野さま
:そうですね。そもそも写真を撮ることって、時代が変わる中で、大切なものを残していきたい・忘れたくないという人間の純粋な欲求だと思うんです。だからこそ、1枚1枚に思いをこめてじっくり写真を撮りたいんです。

それに、撮った瞬間写真の中って過去になるんですね。写る人も、そんな過去の記憶を、未来の自分に伝えるというような気持ちをもってもらいたいです。そうすることで、その撮影自体が記憶に残って、写真を見たときに当時を思い出せるんです。

中嶋
:なるほど、そんな想いがあったんですね。

大野さま
:はい、そんな想いから、『未来のあなたへ』プロジェクトを、ライフワークとして開始しました。

神社で開催される手作り市やマルシェなどで、屋外の撮影を敢行しています。寺社や森林の中に、忽然と撮影機材が現れ、物珍しくて人が集まり、そこでフィルム撮影の体験をしていただきます。

毎年、同じ場所で撮影するお客様もいるんです。おなかの赤ちゃんが生まれたり、子供の成長を感じられる事ができるんです。

中嶋
:すごく素敵な活動ですね


大野さまの想いや考え方は、大手のチェーンとは一線を画す、「大野写真研究所」の独自性を生んでいます。もはやこれは、『大野写真研究室』という一つのブランドになっていると言えるでしょう。

先述の『LIFE with CAMERA』や『しずおか暗室部』では、より感度が高く積極的に行動する層が、大野写真室のコミュニティに自ら参加していましたが、この『未来のあなたへ』プロジェクトでは、大野さまが自ら今後共感し合えるであろう人々に会いに、出向いている様子が印象的です。

大野写真室ブランドの核である大野さまが、自ら動き・体現していくことが、よりファンを増やしているに違いないでしょう。


写真に対する思いと今後について


実際に撮影された写真を見ながらお話を聞いていくうちに、大野さまの記念写真への思いをお話し頂けました。



大野さま
:カメラって、いわば「タイムマシン」なんですよ。撮った瞬間にその写真は過去になって、未来の自分や家族に繋がりコミュニケーションが生まれるんです。写真って、そんなふうに10年後、20年後の未来の家族へメッセージを残せるんですよね。

中嶋
:なんだか「写真」の本質を考えさせられますね。では、最後に今後どのような展開を考えていらっしゃるか教えてください。

大野さま
:今後も勉強をしながら、新しい分野へアプローチしてみたいですね。
マタニティフォトなどもそうですね。出産をその時のイベントとして撮影するんじゃなくて、その時にどんな思いだったかを残したいんです。

もしかしたら、男性の僕ではなくて妻が撮った方がいいかもしれませんし、今後も妻と一緒に勉強をしていかないといけませんね。ただ、生まれる前の写真を撮った方が、成長される様子や結婚式まで撮影できたら楽しいなぁって思います。

中嶋
:本当にそうなったらすごく感動的ですね。本日は素敵なお話ありがとうございました!


(取材日/2017年6月27日)


まとめ


大野写真研究室さまでは、インスタグラムや自社イベントから新たな接点を持つことで、感度の高いお客様との接点を持つことで感度の高い層へアプローチをする一方、地域のイベントにも積極的に参加し、普段カメラとの接点がない層へも、体験という形で記念写真の良さを広めていることがわかりました。

時代と共に変わる消費者のライフスタイルに合わせ、サービスやお店作りを変え、様々な方法でお客様とコミュニケーションをとってますが、その根底には、大野さまの「写真」にかける思いに共感される方が多くいらっしゃるのだと感じました。

1枚の写真にかける思いが強い分、お客様の満足が高まる。そんなお客様との強い「繋がり」をお店と共に創られているのではないでしょうか。


大野さま、貴重なお時間ありがとうございました。


取材協力
大野写真研究室
静岡県静岡市葵区駿府町1-46
事業内容/撮影スタジオ
HP/http://ohnophotograph.com/#access

筆者プロフィール

ヒトクル事務局
東海地域の店長・人事担当のみなさまのお役に立てるよう、日々様々な情報を収集・配信しているサイトです。地域のトレンド情報やノウハウ、採用成功事例や各種データなど、配信コンテンツは多岐に渡ります。また、月に1回程度のペースで、セミナーを実施しています。この採用難の時代を乗り切るべく、少しでも多くの方々のお悩み解消につながれば幸いです。

「ヒトクル」は、株式会社アルバイトタイムスが運営しています。

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