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【多様化する働き方】×【就業規則の見直し】をどう考えるか?

専門家コラム

2018.03.13 / 名古屋

ヒトクル事務局

社会保険労務士法人ベリーベスト
パートナー 特定社会保険労務士 家原 理氏

こんにちは、ヒトクル事務局です。

国を挙げての「働き方改革」が進む中、従業員の雇用形態や待遇について頭を悩ませている経営者が多いようです。
そこで就業規則の様々な相談に対応している社労士の家原理さんに、就業規則の改正や運用で心がけたいこと、注意すべきことを伺いました。

「働き方改革」への対応で、何をどう変えたらいいのか戸惑っている会社が多い


●最近、就業規則に関する相談が増えていると聞きました。どんな理由からでしょう?

一番の要因は政府が推進している「働き方改革」への対応だと思います。同一労働同一賃金、労働時間の削減などといった言葉が飛び交い、会社側も従業員側も何かを変えなくてはいけない、でも何をどうしたらいいのかわからない、というのが本音ではないでしょうか。

就業規則とは、働く上でのルール、賃金、労働時間などの労働条件について記されたもので、労働条件は最新の法律にのっとり決定され、その事業所で働くすべての従業員に適用されます。

最近は雇用形態や労働に関する価値観の多様化が広がり、就業規則もそれに照らし合わせて常に見直しをはかっていかないと、多くのリスクを抱えることになります。


会社側も、常に最新法令にのっとった知識武装が必要な時代になっている



●具体的にどのような相談が多いのでしょうか。

「無期転換にどう対応したらいいのか」「適切な残業代の支払いをしたい」「給与体系の見直しをしたい」「変形労働時間制を導入したい」など実に多岐にわたっています。

働き方が多様化しているため、従来の就業規則ではカバーできない部分が増え、その対処で悩んでいる方が多いように感じます。

また、相談にいらっしゃる方も労働法や就業規則についてよく勉強されており、事前にネットで調べました…とおっしゃることもよくあります。その背景には従業員側の意識の変化があると思われます。

昔のように何も疑わず会社の言う通りに働くのではなく、待遇や賃金でおかしいことがあれば黙っていない人が増えています。ですから従業員とのトラブルが生じた時、できるだけリスク回避ができるよう、会社側も正しい知識武装をしなくては、という風潮が高まっています。

また、労働人口の減少が進む中、離職率を下げて一人でも多く良い人材を定着させたい。そのために就業規則を改正し、より働きやすい環境、条件を整えたいと考えている会社も多いです。


就業規則に込められている創業者や経営者の想いは大切にしたい


●就業規則の見直しが必要な例を教えていただけますか。
同一賃金同一労働が主流になっていくと予測されますが、安易に正社員とパートアルバイトを同じ就業規則で扱うと、有給や退職金などでトラブルが生じやすくなるので、これも注意が必要です。

正社員とパートアルバイトが本当に同じ責任を担えるのか? もしそうでないならば、就業規則を細かく分けておくのが正解です。実際に就業規則の不備で、払うつもりのなかった賞与をパートスタッフに支払うことになった事例もあります。

また休職規定では、メンタル系の休職の規定をどうするか?などの問題もあります。メンタル系の疾患がクローズアップされるようになったのはここ数年のことです。

それ以前の休職規定ではケガなら〇〇日という具合に、完治するまでの期間を予測して規定に盛り込んでいました。しかしメンタル系の疾患の完治の定義は難しく、そうなると規定にどう盛り込むかの再検討が必要です。

そしてこれは会社側の善意からなのですが、「病気の欠勤は有給休暇に振り替える」と規定しているケースがあります。おそらく社長が、社員が病気で休んだ時は気の毒だから有給休暇扱いにしてあげようと考えて作ったのでしょう。

ただし、有給休暇は本来会社が指定するものではないので、正しくは「病気の場合は欠勤控除しない」もしくは「事後の有給申請を認める」となります。
時代に合わせた見直しは必要ですが、就業規則に込められている創業者の想いのようなものは、大切にしたいと思っています。


自分の会社に合う就業規則の作成と運用を



●見直しの際には、まず何から始めたら良いのでしょうか?
まずは、会社の向かう方向と就業規則が同じ方向を向いているかどうかです。そのためには、社長の頭にあるルール等をとにかく聞き取り、または走り書きでもいいので箇条書きにしてもらうと良いでしょう。

就業規則は安易に変更するものではありませんが、会社の目指す姿勢を就業規則に反映することで、成長を後押しすることができると思います。

一方、現状で既に運用されているルールや労働条件を洗い出すことも有効です。現状を踏まえて就業規則を改訂する必要があるか、法律にのっとっているかを点検することから始めるのも良いでしょう。

●就業規則を改訂する際に、注意したいポイントは?

自分の会社の状況に合っている就業規則を作成し、運用することです。会社の規模、業種、企業風土などによって就業規則の在り方も違ってくるからです。そして、規則に書ききれない細かな運用ルールを明確化、固定化することが大切です。

例えば休日出勤の場合、代休はどう与えるか?8時間労働でも2時間労働でも同じなのか?雇用形態や賃金など様々な条件を配慮して、こんな状況にはこう対処すると細かく決めておく。

それを社内でうまく運用していくことによって、従業員が気持ちよく働けるようになり、モチベーションが上がって生産性が高まる。それが就業規則を改定する本来の目的です。何のために就業規則を改定するのか、その目的を見失わないようにしてください。

この先、女性やシニア世代の社会進出がさらに進み、働き方はますます多様化していくでしょう。それに対応するために、今から会社のルールを明確化しておかないと、かなりの混乱が生じます。経営面のリスクを回避して良き人材を確保するためにも、今から本腰を入れて就業規則の見直し、改正に取り組んでいただきたいと思います。

(取材日/2018年1月9日)

いかがでしたでしょうか。今回、就業規則の専門家である社労士の家原さんに、これから就業規則の見直しを検討されているご担当者に向けてアドバイスを伺いました。

就業規則が紙面上の無味乾燥なものではなく、より社員のモチベーションを上げる活きたルールであることが、これからの企業経営において非常に重要になると感じました。

家原さん、繁忙期にも関わらず丁寧に取材に応じていただき、誠にありがとうございました。


取材協力/
社会保険労務士法人ベリーベスト:http://www.vbest-sr.jp/
本店所在地:東京都港区六本木1-8-7 MFPR六本木麻布台ビル11階

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筆者プロフィール

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