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古くて新しい会社観で若者を受け止めよう

2018.04.03 / 名古屋

三ッ口 洋一

Team N+1 代表

「会社は家族、社長は親、部下は子ども」だって?


中小企業の社外広報部を目指すTeam N+1の三ッ口です。

毎回、企業のブランディングと広報、採用をテーマにコラムを書かせていただいています。
他の専門家の皆さんと違って『がっつりノウハウ系』ではなく、身近なお話からの気づきをお伝えするように意識しています。

若い方々は聞いたことがないかもしれませんが、「会社は家族、社長は親、上司は兄弟、部下は子ども」などと、ひと昔前はよく言われていました。

今どき「会社という組織は家族のようなものだ、みんな一丸となって頑張ろう」などと社長が口にしようものなら、社員全員シラケ鳥、あ、いや、ドン引きですよね(意味わからなくいいですから、若い方々)。

『会社などに帰属意識はないので、干渉してほしくない』というのがホンネでしょう。確かに、終業後に飲み会を強要したり、休日まで家族ぐるみでお付き合いをする、などというのは今の時代にはっきり言って馴染みません。やり過ぎの会社や先輩もいけませんが、『会社は会社、プライベートはプライベート』と考えている人も多いですよね。


変化しているのは会社だけじゃない



ところが、ですね、最近不思議なことにビジネスの話から「家族」の話へ発展することが多いような気がしています。

私は現在57歳ですから、お仕事でお会いする方も40代、50代が多いわけですが、仕事や子育てが一段落して、生き方とか死に方とかそういうことが改めて気になるというお年頃なのかもしれません(単に横道に逸れてるとも言います)。

家族のあり方だったり、夫婦関係だったり、親子関係だったり・・・。

そして、かつての会社とか組織のあり方が変化しているのと同様、家族のあり方も変化しているように感じるのです。これはどういうことなのだろうと。

人からいろいろお話を聴いていると、家族のあり方は私の知らない間に大きく変化していて、当たり前に普通だと思っていた私の家族は珍しい存在であることがわかってきました。

たとえば、家族一緒に食事をする、両親が誕生日会を開く、墓参りをする、実家に行ったら仏壇に手を合わせる、何をしてもらうにも「お願いします」、何をしてもらっても「ありがとう」を言う、家事は分担する、お互いに好きなことをやる、干渉しない、応援する、スケジュールはシェアする、

などが我が家の主なルールになっていますが、驚かれることが増えてきたんですね。

「そんなこと、どこの家でもやってませんよ」と。驚くのはこっちの方です(カミさんの実家がお寺だということも大きいですけどね)。


『精神的シェルター』機能とは?


我が家は4人家族。同居の二人の娘は社会人です。長女は私と同じように大手企業を辞めていますし、二女も学校を卒業・就職の際に条件の良くない方の会社を選びました。それぞれ考えて、好きな道を自分で選んでいるので、私はそれで大いに結構だと思っています。

そんな風ですので、普段はお互いに何をしようと干渉しませんが、自分一人では解決できない困ったことが何かあると「お願いします」と言えます。

「寝坊して会社に遅れそう。申し訳ないけどクルマで送ってって」とか、「悪いけど、ご飯自分たちで何とかして」とか、「愚痴なんだけどさ、聞いてくれる」とか、「エクセルの設定の仕方教えて」とか。

お互いの存在を認め、自主性を尊重し、いざというときには助け合う。失敗したり、傷ついたり、嫌なことがあっても、帰る場所があって、そこで充電したり傷を癒やしたら、また挑戦しに行く。何かやらかしても、虐げられても逃げ込める安全な場所がある。

私は『家族はお互いに都合の良い時に甘えられる存在や場所であって、精神的なシェルター機能を持つ』と思っていました。経済的には決して豊かとは言えない我が家ですが、住むところや食べるもの、健康に困らなければ十分ぜいたくだと思っています。

リア充自慢でもなんでもないですよ。私たちは、何度も失敗や不遇や挫折を味わっています。ただ日々ご相談におみえになる皆さんの話を聞いていると、一般的な家族や家庭は、どうもそうではないらしいのです。

夫婦も親子もそれぞれ違う家庭の事情があるでしょうし、どっちが良い・悪いと言うつもりはないのですが、『精神的なシェルター機能』は失われているか、弱くなっているように感じます。

それは恐らく「自己肯定感=根拠のない自信=挑戦する心=生きる力」を弱くするのではないかと。だとするならば、皆さんは心の拠りどころを一体どこに求めるのだろうと思うわけです。


社長の出番です



さてようやく本題です。社長の出番ですよ。今の若者(だけではないです)は『与えられること』に慣れきっています。

だから「就職するなら、私を育ててくれる会社がいいです」などと大学生が真顔で言います。同世代の方々にこの話をすると呆れる方も多いですが、残念ながら実話です。私たちの時代とは違うんです。

私も正直どうかと思いますが、それに文句を言っても始まりません。企業や経営者にはそういう時代に対応することが求められているのです。

今回のご提案は、会社や職場を昔のような泥臭い雰囲気にしましょう、もっと飲みニケーションしましょう、ということではありません。昔ながらのではなく、目に見えなくてもいいので、今の時代に合った家族的な繋がりを会社の中に作ることはできないだろうかということです。


「能力がない奴などいない」


彼は無口で雰囲気も暗く、会社のチームの中でも浮いていました。社長は普段から『能力のない奴などいない』という懐の広い人でしたが、「この子だけはムリかもしれないと思った」そうです。

彼が入社後2年も経った頃、ひょんなことから彼がパソコンおたくであることが発覚します。「普段無口な奴が急にしゃべりだしたので、よくよく聞いてみると、子供の頃からコンピュータいじりが好きで、ものすごく詳しいということがわかったんだ」と語る社長はとても嬉しそうでした。「だからウチのネットワーク設計とかを全部奴に任せた。人ってのはわからんもんだね」と言っていました。

毎日ではありませんが、昼は「みんなで飯食おう」と誘い合って、近くの喫茶店やうどん屋でわいわいがやがや。ランチ代は経費ではありません。全部社長の自腹です。女性社員が妊娠したら「おめでとう。いい子に育てて早く帰ってくるんだぞ」と言って送り出します。

ブランクが何年あっても社歴はリセットされません。この会社では、子育てを終えて女性社員が帰ってくるし、お父さんが知らない間に息子が入社していた、なんてことが起きています。

社長が自分の存在を認めてくれる、会社が自分を待ってくれている。これってまさに父性や母性、家の役割だったのではないでしょうか?もし家や家族の機能や役割が変わってきているのだとすれば、チャンスだと思いませんか?

また別の会社では定年がありません。ただし絶対条件が健康であること、そして後進に指導ができる技術や知識を持っていることです。ですから勤続50年以上という社員が何人もいます。

「歳をとった、というだけで彼らをクビにするなんてもったいない。若い者には、彼らが死ぬ前に学び取れと言っている」というのが、当時の社長の口ぐせでした。印象的だったのは「働けるというだけで嬉しい」と働いている人たち、そしてその奥さんたちはそれ以上に幸せそうだったことです。

さらにまた別の会社では、子育て中の女子社員が「子どもが熱を出したので」と言って定時前に退社しても、早退扱いにならず、誰ひとり文句を言わず、全員でフォローしています。『働き方改革』などということが言われるずっと前から、中小企業ならではの取り組みはたくさん行なわれていて、私は経済紙の取材を通じてそれらを伝えました。それは本当に楽しい仕事でした。


新家族的経営のススメ



必ずしもこれらの会社のまねをしなくてもいいと思います。考え方です。会社で雇用主と従業員ではなく、家で親子、パートナー、兄弟、だと考えたら、どうするのがベストかということを追求してほしいんです(「実の家族だから困ってんだよ」という声も聞こえてきそうですが、それはまた別の機会に)。

中小企業は規則が厳格な大企業やお役所とは違い、ゆるやかな組織運営が可能なはずです。

これは会社選びに『人間関係』や『職場の雰囲気』が重視される昨今、大きなアドバンテージになり得るのではないでしょうか?

親は子どもの未知の可能性を信じる。指示を出すだけではなく自主性を引き出す。応援する。称賛する。冒険させる。小さな怪我はあえて経験させる。口も手も出さず見守る。何かあったら守る。

そんな父親的社長、母親的組織、家的会社は、いかがでしょうか?

精神的シェルター機能を持った家族的経営の会社は、たくましさがあり、社員も事業も成長するでしょうし、顧客にも取引先にも支持されると思います。時間はかかるかもしれませんが、取り組む価値は十分あります。

筆者プロフィール

三ッ口 洋一
1961年名古屋市生まれ。プロトコーポレーションと中部経済新聞社で、雑誌編集、経済部記者、ビジネスセミナー開催、広告営業、フェイスブックページ運営などを手がける。約30年間のメディア業界で得たノウハウと2万人を超える人脈とで「中小企業のための社外広報部」というニーズに応えるべく2014年独立。2016年には名古屋女子広報チームNPR48B(Nagoya Public Relations 48 for Business)発足。2018年から多目的スペースOSpace管理人。中小企業庁未来企業サポート「ミラサポ」登録専門家。メルマガ「不定期ビジネスニュース」管理人。起業家支援イベント「N-1グランプリ」実行委員。
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