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新入社員を迎える前に気をつけておきたい事~安易な離職と指示待ち人間を生まないために~

2019.01.25 / 愛知・岐阜

大谷 直之

株式会社Reproject 代表取締役

はじめに


はじめまして、株式会社Reprojectの大谷と申します。私は、「思い描く、あるべき姿に生まれ変わる」を企業コンセプトに、支援を行っています。

新年も明け、新入社員を採用した企業はあと3ヵ月弱もすると、今後組織の戦力となってもらうべくフレッシュな若者を迎えることとなります。もしかすると「上手く仕事を教えられるだろうか」「的確なコミュニケーションがとれるだろうか」と、不安を抱いている先輩社員・管理職の方も多いかもしれません。

しかし、最初は誰もが新入社員でした。初心を思い出して、広い心で迎え入れる準備を整えておけば、新入社員も親しみと意欲を持って新たな環境で力を発揮してくれるはずです。

本記事では、筆者のやらかしてきた失敗談と比較しながら、新入社員を迎える際に心がけるべき意識とコツをいくつか取り上げたいと思います。


筆者の失敗談~指示待ち人間を生み、やる気を削ぐ勘違い上司





新卒で人材業界に入社し、私が初めて新入社員のT君を迎えたのは中規模支店の支店長を任せられた時でした。

当時、新卒で入社してから、寝る間も惜しみがむしゃらに働いたおかげで、成果も上がり、高く評価もしてもらったことで、ありがたいことに支店長にも抜擢され、「自分はできる!」と大きな勘違いをしていました。そんな調子ですから、新卒入社してきたT君には、完全に自分のやり方を基準と接することとなります。

思い出すたびに、本当に情けなく、申し訳ない気持ちになりますが、当時の私はいつも以下のような状態だったかと思います。

 できないことにいら立つ
 自分と比較して頑張っていないと決めつける
 いちいち細かくダメ出しをする
 自分の力を見せつけようとする


こんな調子でした。
ですから、やる気を持って入社してきたT君も、段々と「怒られないように」指示したこと以外はやらなくなり、当然のことながら日に日にやる気は低下していきます。そしてまた「なんでもっと頑張らないんだ!」などと叱咤するという、悪循環です。

この後T君がどうなったかは、皆様の想像のとおりです。1年ほど経った時に退職していきました。


上司の仕事とは何なのか?





前述の失敗を振り返った時に、欠けていた視点は何だったのかと改めて考えてみると、まず一つ目は、「上司の仕事とは何なのか?」という点において「正しい視点」を欠いてことです。

当時、支店長であった私は、一支店という狭い範囲の中でしか物事を考えておらず、目の前の売上、成績等の数字をいかに上げるのか、一プレイヤーとしての視点からしか考えていませんでした。

今考えれば、当たり前のことですが、T君を採用するには会社として募集~採用まで多大な費用・労力等のコストがかかっています。言い方は適切ではないかもしれませんが、このコストは「投資」であり、減価償却期間を経て、何年か会社にとっての利益を生み出してくれる「資産」となっていくものです。

 上記のことから考えると、当時の私がとっていた行動と結果は「最悪の行動」です。多大なコスト(採用コストだけでなく、給与、時間、労力等含む)をかけて採用した新入社員を、会社に利益を生みだす「資産」とすることなく、かけたコストを溝に捨てたようなものです。以下で示すところの、「未回収」です。

 回収の遅延化
採用した新入社員が利益を出し始めるタイミングが後ろにずれることにより、かけた投資の回収が遅れる。

 利益の矮小化
採用した新入社員がポテンシャルを十分に発揮できないことにより、本来見込める利益額より少ない額となる。

 コストの未回収
採用した新入社員が利益を出し始める前に離職してしまうことにより、かけた投資分の回収ができない。

 資産の塩漬け
採用した新入社員のキャリアプランが明確化されないことにより、期待する利益を出せないで雇用し続ける状態となる。


財務的な損失だけでなく、会社全体で考えれば「長期的な視点で人材の配置や育成ができない」「会社への風評被害(離職者による誹謗・中傷)」等もあります。

当時の私には、上記のようなことは、全く見えていませんでした。プレイヤーとしての自信もあり、余計に目の前のことしか目に入っておらず、「思い込み」で物事を判断し、行動や言葉にしていたのでしょう。
部下を持つこととなった場合には、「思い込み」を外し、物事をもう一つ二つ上のレベルで考える、正しい視点を持つことが必要だったかと思います。

つまり、組織において「先輩・上司の仕事」の最重要項目は、部下に「成長し、定着してもらう」ことだと、当時の私は気付かねばならなかったのです。


新入社員の気持ち~新入社員が真っ先に覚える感情は「不安」





次に考えた時に欠けていた視点は「共感」です。
幸か不幸か、当時の私は「やってやるぞ!」という気持ちが強く、仕事や職場になじめずに「不安」を感じても「自分が弱いから、『不安』を感じているんだ!自分で乗り切らなければならない!」と思って、自分で乗り越えたと勘違いしていました。

今考えると、当時私を引き受け育ててくれた上司は、私の性格を理解し、適正な仕事と仕事量を与えてくれ、うまく職場になじめるようにしてくれていたのだと思います。

しかし、当時の私は傲慢にも「自分の力だけで『不安』を乗り越えた」と勘違いしていたため、T君に対しても「『不安』を覚えても、そんなものは自分で乗り越えるものだ」と軽く考え、「不安」を増大させるような行動・言動を平気で行っていました。

「上司の仕事は、部下に成長し、定着してもらうこと」という視点に立てば、真っ先にすべきことは、「新入社員の不安な気持ちを理解し、安心感をもって仕事に臨んでもらえるよう接する」だったはずです。

心理学の用語の中に「ラポール」という言葉があります。人と人との間に「心が通い合っている」「分かってくれている」という「信頼」や「親しみ」といった意味を持つ言葉です。我々キャリアコンサルタントはカウンセリングの勉強をする際に、何度も何度も口酸っぱく「まずはラポールを築きなさい」と言われる基本中の基本のものです。

最初の段階で新入社員と上司との間に、この「ラポール」が築けていないと、上司の言葉をなかなか素直に受け入れることができないため、言葉をいくら投げかけても「打てど響かず」の状態になってしまいます。

そして、この「ラポールを築く」ために必要なのが、「共感」です。仕事を教える前に、ちょっと一呼吸おいて、いろいろ質問等しながら「耳を傾けて聴き」、新入社員が不安に感じている気持ちを理解し、共感し、大丈夫だよという「信頼」や「親しみ」を持ってもらうことが必要です。

フランクリン・R・コヴィー著の「7つの習慣」の中にある第五の習慣では「理解してから理解される」というものがあり、人は以下の5つのレベルのいずれかで聞いているそうです。


当時の私はT君に対し、気持ちを共感しようとも理解しようともしていなかったため、「ラポール」を築けず、いくら言葉を投げかけても響かない状態となっていたのかと思います。

私の失敗談から考えてみましたが、もし4月から新入社員に接することが決まっている教育担当の方などは、私と同じような失敗を犯さないためにも、
「部下を持った上司の役割とは何か?」
「『不安』を抱えた新入社員に、心を開いて安心感を持ってもらうためにはどのように接していくか?」
等を今のうちから考えておくと良いのではないでしょうか。

次回、Vol.2では「お客様にすると、勘違いする」をテーマにお伝えできればと思います。

筆者プロフィール

大谷 直之
大手人材サービス会社に新卒入社。マネージャーとして、多くの新規出店、立て直し事業に従事。そこで身につけた実践力を武器に独立。組織活性化のためのビジョン明確化~課題発見~アクションプランの策定を得意とし、自らも組織コンサルタント、研修講師として様々な企業問題解決に取り組んでいる。

「思い描く、あるべき姿に生まれ変わる」が企業コンセプト。クライアントが目指すビジョンを、時間をかけじっくりと明確化させたうえで行うコンサルティングは、満足度の高さに定評がある。

株式会社Reproject代表取締役 静岡大学教育学部卒。2級キャリアコンサルティング技能士。趣味は園芸。

株式会社Reproject http://re-pjt.com/

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