女性社員が7割を占める印刷会社が、心がけていることとは?女性が働きやすい仕組みづくりに迫る

2018.10.17 / 名古屋

ヒトクル事務局

こんにちは、ヒトクル事務局です。

人手不足が叫ばれる中で、女性社員の活用を検討する企業が増えています。

当社が静岡・愛知の採用企業に実施した「女性社員の活用」に関する調査では、9割以上の企業が推進したいと考えているにも関わらず、取り組めている企業は4分の1程度にとどまっている、という結果が出ています。

【調査レポート】女性社員の活用に関する調査(2018年9月)

本日ご紹介するのは、現場のほぼ9割を男性が占めるという印刷業界において、全社員24人中17人が女性社員という印刷会社です。同社は、女性が活躍できる職場づくりを推進している企業として、様々なメディアで取り上げられ、現在は健康経営やワークライフバランスを推進している企業としても注目を浴びています。

浜松市東区に本社をおく株式会社第一印刷 代表取締役 田中一兆さんにお話しを伺いました。


女性のパワーを実感したできごと


女性社員が活躍するようになったきっかけは?

まだ会社を創業して間もないときに、営業社員を募集したところ、多くの方に応募いただいたのですが、その中に離婚したばかりで子供を2人かかえた女性がいました。
当時は印刷会社の営業というと、今よりもさらに男性が主力の時代です。

面接を終え履歴書を受けとると、その女性は帰りしなに「私は経験もないし、ひとりで子供を育てていて、しかも女性です。きっと不採用ですよね。他の会社でも、ことごとく不採用でした。でも、一生懸命がんばって働きます。何とか試用期間を3か月間いただけないでしょうか」と言いました。

私は、彼女の熱意に負けて、「まあ、3ヵ月もたないだろうな」と思いましたが採用しました。ちょうど人手が足りなく、彼女に配送の仕事をお願いしました。印刷会社の配送といったら、荷物が重くて男性でもきつい仕事です。しかし彼女は、3か月間しっかりとやり遂げてくれたのです。

しかも、配送先では
「明るくて、挨拶もハキハキしていて気持ちが良いよ。しかも納品したら、倉庫中の整頓までしてくれている」
とお客様の評判も非常に良く、その後は営業としても実績を上げ、配送も限られた時間で効率よく回る方法を自分なりに工夫するなど、会社に貢献する存在に育ってくれました。

また当社では、4機の印刷オペレーターも全員女性なのですが、工場見学をされた方に「田中さんのところの印刷機はいつも稼働しているね」と言われます。印刷機というのは、セッティングをしたりする準備がいるので、どうしても動いていない時間が出てしまうのですが、当社の社員は段取りよく印刷と並行して準備作業を進めているため、その時間がほとんどないのです。

私は、そういった女性の段取り力や効率的に作業する力、粘り強く仕事をやり遂げるパワーを一緒に働いていて目の当たりにし、感動をさせられました。このことが、今の女性社員の活躍に関係していると思います。


「工場内もいつも整理整頓されています」


「仕事の見える化」で気兼ねなく休めるように


女性社員が活躍するために整えた制度や環境づくりについて
当社では、いろいろと女性が活躍する仕組みがありますが、代表的なものをご紹介しますね。

「仕事の見える化」
小さい子供がいる社員は、どうしても急に休みをとらなくてはならないことがあります。子供に手がかかるのは一時期のことですし、周りも同じ境遇を経てきている社員が多いので、みんな快く応じています。

でも、どうしても本人が周囲に気兼ねして休みにくい、ということが出てきますよね。

当社では、「個人の仕事量の見える化」をしています。例えば印刷オペレーターは、その月の個人目標があるのですが、その目標に対してどのくらいの進捗状況なのかをグラフで貼りだしています。

これを導入することで休まなくてはならない社員も、目標をクリアしていたら休みやすいですし、周囲も「目標をクリアしているから納得!」とさらに受入れやすくなりました。

実はもともとは、社員から「自分がした仕事をしっかりみんなにも評価してもらいたい」という要望から「見える化」するようになったのですが、上記のような効果がでています。

「キッズルーム」


「窓を大きく配置し、外から見えるようにしています」

これは、たまたまお客様から急遽依頼された仕事があり、社員に土日出勤をお願いしたことがきっかけとなっています。

「出勤するのは大丈夫です。でも会社に子供を連れてきても良いですか」ということで出勤してもらったことがあり、その後も保育園がお休みのときは「会社に子供を連れてきてもOK」が当たり前になり、キッズルームを設置することになったのです。

また、当社では、社員旅行や飲み会などの社内行事にも子供連れを歓迎にしています。
なぜなら、子連れ出勤をするときに子供は慣れない場所だとどうしても行きたがらないですよね。
ですから、普段からお子さんに会社との接点をもってもらい、「お母さん、お父さんの会社」を身近に感じてもらうようにしています。


社員の人生の一部に「仕事」がある


特に心がけていることは何でしょうか?


私は、社員は会社のために働くものだという意識はありません。社員には、それぞれ社員の家族があり、自分の生活があります。その中のひとつの時間として働いてくれ、会社に貢献してくれているのです。

ですから、社員のプライベートと仕事を切り離して考えるのではなく、社員の人生そのものが丸ごと幸せになることを考える事が、結果的に仕事にも好影響を与えてくれると思って接しています。

だから、社員との面談にも非常に時間をかけて行います。年に2回、社員との個別面談の機会を設けていますが、社労士を雇ってしっかりと個人の思いや家庭事情を把握した上で、アドバイスをもらっています。

また、男女や入社年数など関係なく社員の意見はどんどん取り入れていくようにしています。
実際に、いまある制度や仕組みは、ほとんど社員からの発案で整えてきたものです。私が「NG」ということはほとんどありません。
とりあえず「社員の意見でやってみよう、ダメだったら変えればいい」という意識で受け止めています。

(取材日:2018年10月5日)

取材協力
株式会社第一印刷
静岡県浜松市東区大瀬町529番地
事業内容:印刷業
HP:http://www.dosukoi.co.jp/
表彰実績:
平成28年度 静岡県「男女共同参画社会づくり活動」知事報奨 受賞
平成28年度 浜松市「浜松市ワーク・ライフ・バランス等推進事業」認証表彰 受賞
平成29年度 経済産業省「健康経営優良法人」認定 その他多数

筆者プロフィール

ヒトクル事務局
東海地域の店長・人事担当のみなさまのお役に立てるよう、日々様々な情報を収集・配信しているサイトです。地域のトレンド情報やノウハウ、採用成功事例や各種データなど、配信コンテンツは多岐に渡ります。また、月に1回程度のペースで、セミナーを実施しています。この採用難の時代を乗り切るべく、少しでも多くの方々のお悩み解消につながれば幸いです。

「ヒトクル」は、株式会社アルバイトタイムスが運営しています。