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個人のキャリアと組織が相互にスパイラルアップしていくために~Vol.1 母子一体感という心理

2019.08.20 / 愛知・岐阜

大谷 直之

株式会社Reproject 代表取締役

こんにちは、株式会社Reprojectの大谷と申します。私は、「思い描く、あるべき姿に生まれ変わる」を企業コンセプトに、組織活性の支援を行っています。

弊社の企業コンセプトをさらに噛み砕くと「個人と組織が『ワクワク!』『イキイキ!』としながら働いていける」ことです。そのために社員研修、組織コンサルティングなど様々な角度から支援を行っております。

このシリーズでは、
経営者、組織開発担当、管理職、社員教育担当などの方に向けて、個人と組織が『ワクワク!』『イキイキ!』としながら成長していくために、組織人としての個人が持っておくべきベースとなる考え方をお伝えしていこうと思います。

今回はその第1回目「母子一体感」を、同じ場面に遭遇した新入社員A君とB君の事例でご紹介いたします。


A君とB君の物語



さて、いきなりですが、今からみなさんに「ある場面」を想像していただきます。
その「ある場面」にいる人物になりきって想像してみてください。
もし、似たような場面を経験したことがあれば、その場面のことを思い出しながら想像してもらえると、より効果的です。

【想像してみてましょう・・・】
あなたは、ある物流会社に入社した新入社員です。
現在は、東海を中心拠点する物流センターで出荷係として働き始めました。
仕事場はとても広く、沢山の荷物を扱っている、大きな倉庫です。
色々と教わりながら仕事をしていますが、仕事はまだまだ分からない事だらけ。

そんなある日、あなたにこんなことが起こりました。

なんだか、周りはバタバタしている・・・
どうやら、大口のお客様の荷物がトラブルにより、今日中に出荷を終えなければならないのに、出荷が大分遅れている様子。
みんな忙しくしていて、ピリピリしている。
とはいえ、自分はまだ仕事も満足に覚えられていない・・・
結局、どうしたら良いのか分からず、ボーっと立ち尽くした状態になっていると・・・
突然、
「ぼーっとしてないで、何かしろよ!!」

と忙しく動いていた先輩から怒鳴られました!

【少しイメージしてください。】
忙しい中ピリピリして、あまり良いとはいえない言い方で先輩から、
「ぼーっとしてないで何かしろよ!」と怒鳴られたあなた・・・

● あなたには、今どんな感情が沸き上がっていますか?
● 先輩に怒鳴られた時、あなたは頭の中でどんな言葉を発しましたか?
● 普段のあなたなら、この後どんな行動を起こしますか?

みなさんの頭の中で、自分の意識と行動はイメージできたでしょうか?
少しイメージができたところで、二つに分岐する物語を少し進めていこうと思います。


同じ状況に置かれたA君とB君



さて、先ほどみなさんにイメージしてもらった状況と同じ状況に今置かれている同期のA君とB君がいます。同じ状況にこの二人は置かれていますが、A君とB君の思考や行動は少し違っています。
どんなふうに違うのか?
少し、この二人の思考や行動を覗いてみたいと思います。

【A君の場合】
みんな忙しくしていて、ピリピリしている。
自分は、何をしたらいいのだろう。

すると突然「ぼーっと、してないで何かしろよ!!」 と忙しく動いていた先輩が怒鳴りました。
確かにその通りだ・・・。自分に何かできることはないだろうか?

パニックになりそうになりながらも、少し落ち着いて状況を見てみると、
トラブル状況のせいか、いつもに比べ作業道具や資材、ごみなどが散らばっており、
資材に足を躓けて転びそうになっている人もいた。

そこで私は特に指示をされたわけではないが、
『作業道具や資材などを使っている人がとりやすい位置に整理して、ごみも1か所に集めておいたら、 この忙しい作業の少しは足しになるのではないか?』と考え、

【作業している人が作業しやすいように整理をする】と決断し行動に移した。

「作業中すみません、この資材はこちらに集めておいて良いですか?」
「いらなくなった段ボールはこちらにまとめておいて良いですか?」と確認をしながら、分からないながらも一生懸命に行動した。

「違う!それはこっちにまとめておいて!」
と指摘されることもあったが、自分が今日中に終わらせなければならない仕事の一員になれている気がした。

一緒に作業をしていると、徐々に全体の動きも分かってきて、少しずつではあるが、どのように動いたら効率的なのかも分かってきた。

作業が一段落したところで、
先輩から
「A君が、資材やごみを整理してくれたおかげで、助かったよ。」
と声をかけてもらい、なんだかとても誇らしい気持ちになった。

まだまだできないことだらけではあるが、自分にもっとできる仕事を増やしていって、この職場の力になりたいと思った瞬間だった。

【B君の場合】
みんな忙しくしていて、ピリピリしている。
なんだか雰囲気も悪く、話しかけづらい・・・。
上司も先輩も指示してくれないから、何をしていいのかもわからない。
今までも似たような場面が何回もあった。本当にうんざりする。

なんで、こんな雰囲気になっちゃうのかな。
もっと気遣ってくれたら、みんな仕事しやすいのに・・・

バタバタと忙しくなる仕事の仕方をしてるなんて、うちの会社効率悪いよな。

すると突然「ぼーっと、してないで何かしろよ!!」 と忙しく動いていた先輩が怒鳴りました。
口には出さなかったが、「はぁ!?」とその瞬間とても腹が立った。

そんなこと言われても、何をすればいいのかもわからないし、なんの指示もしないくせに!
しかも、何もそんな言い方しなくてもいいんじゃない?!

今日だけじゃない、いつもそうだ。

何をしたら良いか指示もしないくせに・・・。

本当に嫌な先輩だ。
偉そうに言うくせに、現場はごちゃごちゃしてるし、ごみも散乱してるじゃないか。

大体、仕事を始める前にちゃんと説明をしていなから余計に現場が混乱するんだよ!
みんなも迷惑してるはずだ。

あの先輩本当に仕事のできない人なんだよな。
あの先輩の下じゃ全くやる気にならないよ。

どうせ何か手伝ってもまた怒鳴られるだろうし。

今更、自分がこの仕事を手伝ったところで、
どうせ全体のスピードはたいして変わらないだろうし・・・

だったら、僕は明日の仕事の準備をしたほうが効率いいのにな。
あー、めんどうだな・・・。


A君とB君を分けた要因とは?



少し、考えてみてください。
A君とB君、この先どちらがより良いキャリアになっていくと思いますか?
もし二人の未来のキャリアが違ったものになるのであれば、それを分ける要因は、何なのでしょうか?

【自覚していない隠された要因】
実は、A君とB君の思考や行動の違いには、本人も自覚していない要因がいくつか隠されています。
その隠された要因が本人のキャリアに少しずつ影響してきます。

これからその隠れた要因を具体的に解き明かしていきたいと思います。


「母子一体感」と「離別感」という二人の心理状態



「母子一体感」と「離別感」という言葉。初めて聞く言葉かもしれません。
言葉のニュアンスだけを聞くと、「母子一体感」はホンワカあったかいイメージで、「離別感」は何か物寂しく冷たいイメージに聞こえるでしょうか。
実は先の物語での、B君は「母子一体感」という無意識に持ってしまった心理状態にあり、A君は「離別感」という自分で意識的に持った心理状態にあります。

では、まず「母子一体感」とは一体何なのでしょうか?

B君が持ってしまった心理状態「母子一体感」とは、
子供が母親に対して抱く、「甘え」「依存心」のことです

「なんで分かってくれないの!そんなの当たり前じゃない!」
と母親に駄々をこねている様子を思い浮かべてもらえると分かりやすいかもしれません。

「自分の感情や考えを、相手が理解してくれて当たり前」
「相手が自分の求めていることをやってくれて当然」
といった、
無意識に親の庇護のもとにいる感覚を、「母子一体感」といいます。


「母子一体感」とは5歳児の心理状態



「母子一体感」をもう少しイメージしやすくすると、以下の例文のようになります。
5歳の少年とその母親のやり取りです。

子「お母さん、お腹すいた!!」
母「ちょっと待っていて。今、洗濯物を干すところだから。」
子「今すぐじゃなきゃイヤ!!早くして!!」
母「わかったよ、じゃクッキーをどうぞ。」
子「クッキーじゃない‼僕が好きなのはチョコレートでしょ!」
母「はいはい、そうね。はい、チョコレートよ」
子「このお皿は違う!僕が電車を好きなの知っているでしょ!」
母「はいはい、電車のお皿に変えるわね。」

この母子のやりとりが、まさに「母子一体感」です。
この母子のやりとりから想像する「母子一体感」のイメージはどうでしたか?

「母子一体感」の心理状態を持ったまま行動してしまう人を一言で言うと、
「子供の心理状態のままである」ということです。

そしてポイントなのは、
誰しもが「母子一体感」をもち、それが無意識であるということです。

子供のころ、多くの人が自分の思っている感情を受け止めてもらう経験を重ねて成長します。
自分のことをわかってくれて当たり前という「母子一体感」の感覚を、子供時代に自然と持つものです。
つまり「母子一体感」という感覚は、無意識に「相手はボクの願いを全て聞いてくれる存在」であるといった感覚です。

親であればいくつになってもあなたの思っていることを、受け止めてくれるかもしれません。
あなたの「母子一体感」を多めに見てくれるかもしれません。
ただ、当たり前ですが、私たちの社会生活において、相手が「自分の思っていることを理解してくれる存在」というわけではありません。

私たちは社会において、千差万別の他人を相手にすることになります。
そして、他人は必ずしもあなたの思っていることを当たり前のように受け止めてくれるとは限りません。
そうやって、大人になっても「母子一体感」を強く持ったまま他人と接すると、様々なトラブルを生むこととなっていきます。


「母子一体感」、あるある事例



【こんな経験をしたことありませんか?】
あなた自身が誰かにしてしまった・・・
または、あなたの周りの誰かがやっている・・・
母子一体感が原因となって発生する感情や行動には以下のようなものがあります。
例えば、以下のような経験をしたことはないでしょうか?

● 思い通りにならないとすぐに腹が立つ
● 相手を責める・相手のせいにする
● 上手くいかないと拗ねる・逆ギレする
● 注意されるとすぐに逆ギレする・泣く・拗ねる
● 相手に理解してもらえないと怒る・いじめる・泣く
● 相手に拒否されると泣く・逆ギレする・仕返しする

想像してもらえると分かるとは思いますが、こういった心理や行動は「自分のことを相手は分かってくれて当たり前」という子供の心理です。
この母子一体感という心理は、若い方だけではなく、だいぶ年を重ねた人でも持っている場合があります。


部下に対して抱く「母子一体感」もある



これはある管理職の方にコーチングをしていた時の話です。
※ご本人には本記事に掲載することを了承いただいております。
相談内容としては、部下に注意をしても全く伝わらないという内容でした。
「あいつには何十回も言っているのに、全く理解しない!こんな当たり前のことが何で分からないのだ!」と憤慨されていました。

その時にお話ししたのは、
「何十回と言っているのに伝わらないという事実があるのに、それでも何回も同じように注意をするというのは、少しナンセンスではないかと思います。」

「もしかすると、『自分の思っていることを相手は理解してくれて当たり前』という『母子一体感』という意識を無意識化で持ってしまっているのかもしれませんね」
続けて「母子一体感」についてお話しすると、「ああ、そうかもしれないな」と理解をしていただけた様子でした。

「母子一体感」は無意識の感覚です。
もし、思考と行動が、この無意識の感覚である「母子一体感」に流されると、先ほど挙げたような感情や行動が起点となり、組織の中で「トラブル」を生み出していきます。
組織に属する各個人全員が十分に注意する必要があります。


母子一体感をコントロールするためには?



色々と面倒なことを引き起こす「母子一体感」ではありますが、元々、子供のころから「誰しもが持つ」無意識の感覚なのです。
しかし、この「母子一体感」を上手にコントロールし、自分の思考・行動をきちんと成果に結びつけている人もいます。

この「母子一体感」を上手にコントロールして成果を出していくにはどうしたら良いのでしょうか?
それは、物語の中でA君が持っていた「離別感」という心理が重要なポイントとなってきます。

次回、この「離別感」という心理について、詳しく説明していきたいと思います。

筆者プロフィール

大谷 直之
大手人材サービス会社に新卒入社。マネージャーとして、多くの新規出店、立て直し事業に従事。そこで身につけた実践力を武器に独立。組織活性化のためのビジョン明確化~課題発見~アクションプランの策定を得意とし、自らも組織コンサルタント、研修講師として様々な企業問題解決に取り組んでいる。

「思い描く、あるべき姿に生まれ変わる」が企業コンセプト。クライアントが目指すビジョンを、時間をかけじっくりと明確化させたうえで行うコンサルティングは、満足度の高さに定評がある。

株式会社Reproject代表取締役 静岡大学教育学部卒。2級キャリアコンサルティング技能士。趣味は園芸。

株式会社Reproject http://re-pjt.com/

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