コロナ禍における新入社員研修の変化や研修カリキュラムの作成方法について

コロナ禍における新入社員研修の変化や研修カリキュラムの作成方法について
目次

新型コロナウイルスの影響で、企業の行う事業活動は大きく変化し、採用活動もオンライン化するケースが増えています。
しかしながら、オンライン化した採用活動には課題もあるのが事実です。

そこで今回は、コロナの影響で変化した新入社員研修の様子をチェックし、改めて新入社員の研修カリキュラムの作成方法を説明していきます。
作成における注意点やポイントも解説しますので、育成担当になった方はぜひ参考にしてみて下さい。


コロナ禍における新入社員研修の変化とは?

2020年頃より発生したコロナウイルスの影響で、従来行われていた会社施設での集合研修は中止が相次ぎました。

そこで企業が取り入れ始めたのが「オンライン研修」ですが、下記の様な課題が発生しています。

●人事や育成担当者とコミュニケーションが取りづらい
 ●新入社員同士で横の関係を築けない 
●一方的な研修や指導が多く、アウトプットの機会がない


そのため、現在ではオンラインによる研修と集合研修を合わせて行う「ハイブリッド型」での研修が主流となっている状況です。

また、人材育成会社のMON株式会社が人事・教育担当者に行った企業研修に関する調査アンケートでは、下記の様な調査結果となりました。

「オンライン研修で人事・教育担当者として不安・不満に感じたことは何か」という質問に

・「社員同士の関係性が強くならない」53.2%
・「他者からの発見、気づき、刺激がない」42.9%


参加者が各々の自宅や席から研修を受けることになった結果、社員間での交流不足やそれに伴う気づきの不足を懸念する方が多いことが分かりました。

引用元:MON 株式会社「コロナ禍における企業研修に関する調査」

こうした事実を踏まえると、研修を受ける新入社員だけでなく、人事や教育担当者も課題を感じていることが分かります。


今だからこそ確認したい!新入社員研修の目的について

従来の集合研修に加え、オンライン研修という選択肢も増えたことで、前述した課題や「どのように研修を行うか?」に注目が集まっています。

しかし、新入社員研修では最初に明確な目的を立ててから、それを達成するための研修方法を考えることが肝心です。

そこで、まずは新入社員研修の目的について改めて確認しましょう。新入社員の研修には主に下記の様な目的があります。


企業理念や自社事業を知る

新入社員は自社の企業理念や事業内容について知ることが大事です。そこで、研修において自社の沿革や行動の指針となる企業理念、社内ルールや事業内容についても知る必要があります。

その上で社内においての自分の役割や目標を設定し、仕事に取り組んでいくことが重要です。


ビジネスマナーやコンプライアンスを学ぶ

社会人経験のない新入社員はビジネスマナーや顧客対応のスキルが不十分であることが多いです。したがって研修によりビジネスマナーを学ぶことも必要でしょう。

また、近年ではSNSから情報が漏洩する問題も出ています。基本的なコンプライアンスについて学ぶ機会も設けましょう。


業務に必要なスキルを習得する

仕事では専門的な知識や技術、スキルも身につける必要があります。そこで配属先の部門や職場で必要となる知識やスキルも、基本的な部分は研修で習得させると良いでしょう。

営業であれば訪問営業の方法や電話でのアポイントの取り方、経理であれば帳簿の見方やソフトの使い方などを学ぶのがおすすめです。


同期や上司との交流で人間関係を築く

新入社員研修の目的には、上司との交流で人間関係を築くことや、同期とのつながりを強くすることもあります。離職の理由でも人間関係が原因であることが多いため、研修で早めに仕事がしやすい環境を作ってあげましょう。


新入社員研修で行うこととは?

続いて実際に新入社員研修で行うことを確認していきます。
研修を行うにはカリキュラムの作成が必要になりますので、下記の研修の種類を参考に、最適なカリキュラムを組んでみて下さい。


新入社員研修で行うこと① 導入研修


まず新入社員研修で行うこととして「導入研修」があります。導入研修では新入社員に基本的な社会人としてのスキルを身につけてもらうため、下記の様な研修を行います。

 ● ビジネスマナー研修 
● コミュニケーション研修
 ● 企業理念や会社の事業について知る研修 
● 社会人としての心構えを学ぶ研修


業務に必要なスキルだけでなく、新たに社会人としての意識を高め、自主性を高めるような研修が効果的です。


新入社員研修で行うこと② 職種別研修

続いて、導入研修が終わった後には職種別の研修も行います。職種別では下記の様な研修を行うと良いでしょう。

● 営業職の場合
→ 新規開拓営業、ルート営業、クロージング営業、プレゼン営業の研修 など

● 販売職の場合

→ 販売力強化、コミュニケーション力向上、集客・販促力アップのための研修 など

● 経理職の場合
→ 経理用語や簿記に関する知識、会計ソフトやパソコンスキルを学ぶ研修 など


新入社員研修で行うこと③ ロジカルシンキング研修 

ビジネスではあらゆる場面で相手に物事を説明すること、そして理解を得られるように提案する能力も不可欠です。

そこで効果的なのが「ロジカルシンキング研修」です。
ものごとを分かりやすく、筋道を立てて考える力を身につけることで、課題発見能力や提案力、コミュニケーション力が養われます。

新入社員だけでなく管理職や経営者の方にもおすすめです。組織全体として研修内容に取り入れるのも良いでしょう。


新入社員向けの研修は外注が良いか?内製の方が良いか?

新入社員向けの研修で目的や内容を決定すると、研修を社内で行うか、それとも外注にするかといった迷いも出てきます。そこで、研修を外注で行う場合と、社内で内製により実施する場合のメリットやデメリットも確認しておきましょう。


外注化するメリット・デメリット

それでは、まず新入社員研修を外注で行う場合のメリットとデメリットについてそれぞれ確認していきます。

<外注化のメリット>
● 専門知識のあるプロの講師が指導を行うため研修の質が高い
● 研修の全ての準備を行う必要がないため手間が省ける
● 自社にはないノウハウや知識、様々な視点を学べる

<外注化のデメリット>
● 費用が高く負担が大きい場合がある
● 研修内容が自社の理念や目的に合わないことがある
● 社内で研修の内容を深く把握できない

外注ではコストは掛かりますが、その分質の高い研修が受けられます。ただし、自社の社風や目的達成に合っているかは確認しなければなりません。
また、研修の内容が詳細に把握できないため、効果が分かりにくいことや、研修内容で質問があっても答えられないことがデメリットです。


内製にするメリット・デメリット


続いて内製によって新入社員研修を行う場合のメリット・デメリットについても確認します。

<内製のメリット>
● 自社で全ての研修の準備を行うため費用が削減できる
● 社内の人間の研修を行うスキルが向上する
● 企業理念や目的に沿った研修内容を行える


<内製のデメリット>
● 手間が掛かるため人事や講師担当の社員の負担が大きい
● 外部のプロの講師に比べると指導力や知識が劣る
● 研修内容が自社内の知識や情報だけになり質が下がる

内製での研修は費用が抑えられるメリットはありますが、人事や講師役の社員の負担が増えるデメリットがあります。また、研修の質も外注に比べると下がる可能性が高いでしょう。


メリットデメリット
外注・専門知識のあるプロの講師が指導を行うため研修の質が高い
・研修のすべての準備を行う必要がないため手間が省ける
・自社にはないノウハウや知識、様々な視点が学べる
・費用が高く、負担が大きい場合がある
・研修内容が自社の理念や目的に合わない場合がある
・社内で研修の内容を把握できない
内製・自社で全ての研修を行うため費用が軽減できる
・社内の人間の研修を行うスキルが向上する
・企業理念や目的に沿った研修内容を行える
・手間がかかるため人事や講師担当社員の負担が大きい
・外部プロの講師に比べると指導力や知識が劣る
・研修内容が自社内の知識や情報だけになり質が下がる


新入社員研修作成の手順やポイント、注意点について

次に新入社員研修作成の手順やポイント、注意点も確認しましょう。ぜひ下記の様な点も意識してカリキュラムを組んでみて下さい。


ポイント① 正しいステップや手順で作成を行う

新入社員研修では目的や研修方法を決めるだけでは上手くいきません。正しい手順を把握し、ポイントを抑えて研修を作成する必要があります。
具体的には下記の様な手順で作成すると良いでしょう。


1.受講者のレベルを確認する
→ 社員それぞれで理解力や知識も異なるため、まずは受講者である
社員のレベルやスキルについて把握します。

2.研修における目的を決める
→ 研修は進め方で迷うことがないように注意が必要です。そのため、最終的に研修で達成したい目的を設定しておきましょう。

3.必要な期間を設定する
→ 目的達成のためには、どの程度の期間研修を行わなければいけないのか、あらかじめ知っておくことが大切です。

4.カリキュラムを決める
→ 上記の1~3を基に、具体的な研修でのカリキュラムを決定します。研修を行う順番も意識して、効率良く消化できるようにしましょう。

5.研修方法を設定する
→ 最後に研修の方法を決めます。どのような形式か、内製か外注か、そしてオンラインか集合研修かなども考えて最適な方法にしましょう。


ポイント② 最適な研修形式を決める

新人研修では目的に合わせて最適な研修の形式を選ぶことも大切です。研修方法には下記の様な種類がありますので、職種や研修環境なども考慮し、最も効率が良い方法を選ぶようにして下さい。

研修方法① OJT
→ 実務を行いながら上司に指導をしてもらう方法です。
個人ごとの理解力に合わせて指導できるメリットがあります。

研修方法② OFF-JT
→ 現場業務や実務から離れて行う研修です。
ビジネスマナー研修やコーチング研修などが該当します。

研修方法③ ロールプレイング
→ コミュニケーション力を養うために行う研修方法です。
座学などを行った後に学んだことを実践すると効果的です。

研修方法④ グループワーク
→ 主体性や協調性を身につけるためにグループ単位で行う研修の方法です。
ディベート形式や課題解決形式など様々な種類があります。

研修方法⑤ フォローアップ研修
→ 新入社員研修後に学んだことを定着させるために行う研修です。
定期的にフォローを行い課題や改善点の確認も行います。


ポイント③ オンライン研修での交流の仕方を工夫する

コロナ禍での新入社員のオンライン研修では、「社員同士の関係性が強くならない」「他者からの発見、気づき、刺激がない」といった課題がありました。そのため、オンラインで研修を行う場合には下記の様な工夫をしましょう。

● 双方向性のある進行で研修を進める
→ 対話形式やディスカッション、質疑応答なども含めて研修を行うようにすると、コミュニケーションが活発になり関係性も深まります。

 参加者にリアクションを意識してもらう
→ チャットなどを有効活用して、参加者にただ聞いてもらうだけでなく、意見や質問も書き込んでもらってリアクションを促しましょう。
参加意識も高まりますので、研修での臨場感も出てきます。

● 参加者のビデオカメラをONにしてもらう
→ 顔を出して研修することで緊張感や集中力も高まり、参加意識も高まります。特にグループディスカッションでは、顔や表情を見ながら対話することで、対面に近い感覚でコニュニケーション力を磨けます。

また、その他にもオンライン研修では下記の点もチェックしておきましょう。

● マイクやカメラのオン/オフ切り替え方法の確認、指導
● 資料共有方法の確認
● 通信機器の動作や接続チェック


ポイント④ 研修会社や助成金の活用を検討する


その他、ポイントとしては外部の研修会社や助成金の活用を検討することです。研修会社では下記の様な会社が新入社員研修を行っていますので、
自社でのノウハウや時間の余裕がない場合は頼んでみましょう。

● 株式会社ノビテク
https://www.nobetech.co.jp/
→ 200名を超える講師が在籍し、数多くの会社と取引実績のある研修会社です。ビジネスマナー、文書研修などの現場で役立つ様々な研修を用意しています。

● 株式会社パーソル総合研究所
https://rc.persol-group.co.jp/
→ 社員研修や人材開発、組織コンサルティングを行う会社です。ビジネスマナーだけでなくロールプレイングでの研修も行っています

● LSP×Coaching
https://lspcoaching.com/
→ レゴ・ブロックを用いたユニークな研修サービスを提供する研修会社です。脳科学やコーチングの効果も活かした独特なプログラムを実施しています。

そして、助成金については下記の様なものがありますので、適用の条件などを確認した上で、ぜひ活用を検討してみて下さい。

● 人材開発支援助成金
→ 労働生産性向上に資する訓練や若年者への訓練で活用できる助成金制度です。
厚生労働省|人材開発支援助成金リーフレット

● 社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金
→ 東京都の中小企業が行う短時間の職業訓練に活用できる助成金制度です。


新入社員研修は事前の準備と計画性が非常に大事です!

以上、新入社員研修のコロナ禍における変化や、新入社員研修の目的、研修カリキュラムの作成方法などをお伝えいたしました。

研修の作成には非常に多くの時間やコストが掛かります。
掛けた時間や労力を無駄にしないためにも、ぜひ事前の準備で前述のポイント、注意点を把握し、計画的に研修を組んでみて下さい。

そして、自社にとって理想となる社員の育成を目指しましょう!

ヒトクル編集部
記事を書いた人
ヒトクル編集部

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