【独自調査】働く主婦77人に「配偶者控除の改正の影響」について聞きました。

【独自調査】働く主婦77人に「配偶者控除の改正の影響」について聞きました。
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こんにちは、ヒトクル事務局の池田です。

2018年1月から、配偶者控除と配偶者特別控除の適用条件が大幅に変わっています。ヒトクルでも以前、この改正の影響についてご紹介させていただきました。

では、実際にどのような影響がでているでしょうか。この記事では、改正のポイントをおさらいすると同時に、その影響について考察してみました。


配偶者控除および配偶者特別控除 改正のポイント


それでは、もう一度変更のポイントについておさらいしてみましょう。

ポイント1
従来、配偶者控除は本人(所得の少ない配偶者を持つ人、以下「世帯主」とする)の所得制限がなかったが、改正後は所得制限が設けられた。

具体的には、所得が900万円以下ならば満額の控除対象となりますが、900万円を超えた場合には控除額が段階的に引き下げられ、1000万円を超えると控除額がゼロになります。

ポイント2
2017年までだと、配偶者特別控除の対象となるのは、配偶者の年収が141万円未満の場合でした。
2018年からは配偶者特別控除の枠が広がり、年収201万円以下まで対象になりました。(配偶者控除の対象は配偶者の年収が103万円以下の場合で、これは2017年までと変わりません)

ポイント3
配偶者の年収が150万円までは、満額38万円の控除が受けられるようになりました。

現政権は、専業主婦やパート主婦の社会進出を図るために、2018年から103万円の壁を取り払って150万円に引き上げる改正を実施しました。

ただし以前の記事でもご紹介しているとおり、所得税の103万円の壁はなくなりますが、社会保険の130万円の壁がおおきく立ちはだかることは間違いありません。

では、実際に主婦の働き方に変化はあったのでしょうか?


改正によって働き方を「変えなかった」が約9割

そこでヒトクルでは、静岡・愛知で働くパート主婦77人に「今回の改正によって働き方を変えたかどうか」について、アンケートを実施いたしました。


Q.平成30年度の税制改正(いわゆる配偶者控除の改正)について、どのような内容か知っていますか?
「知っている」が18%、「何となく知っている」が52%、「知らない」も30%いるという結果となりました。
ニュースなどで何となく話題になっているのは聞いたことはあるけど、詳しい内容までは知らないというところでしょうか。意外に関心が低いことが見て取れます。

Q.この改正をうけて、あなたは働き方を変えましたか?


改正への関心も低かったことから想像がつきますが、働き方を変えた方は約1割、10人に1人程度にとどまりました。

Q.変えた方は、どのように変えたのか教えてください。

・パートの時間を増やし、130万の壁まで収入枠を増やした。
・勤務時間を増やして社会保険に加入した。
・扶養外で働いていたものを扶養内で働くようになった。

変えた方は、勤務時間を増やした方以外に扶養内で働くようになった方もいるようです。


Q.変えなかった方は、変えなかった理由を教えてください。

・知らないので変えてない。
・詳しく理解していなかったのと、めんどうなので変えずに現状維持にしました。
・関係するほど働いていないため。子供が小さく、保育園にも入れなかったため時間が増やせなかった。
・これ以上働かなくてもいいので。体力・金銭的に。

変えなかった方の理由として多かったのが、「よく分からないから」という回答です。また「関係するほど働いていない」という回答も目立ちました。

調査方法:インターネット調査
調査期間:2018年8月中旬  
調査対象:静岡、愛知のアルバイト・パートで働く女性
サンプル数:静岡55人 愛知22人 合計77人


非正規社員の女性の31.7%が就業調整、所得別では「50万~99万円」



総務省が発表した平成29年(2017年)就業構造基本調査によると、「非正規の職員・従業員」のうち就業調整をしている方は、558万6000人で、「非正規の職員・従業員」に占める割合の26.2%となっています。

就業調整とは?
主としてパートタイムで働く主婦が、所得税の非課税限度額や、配偶者の雇用保険・厚生年金の加入要件、あるいは配偶者手当の支給要件などを意識して、年収を一定額に抑えるために就労時間を調整すること。


男女別に見ると、男性は94万9000人(男性の「非正規の職員・従業員」に占める割合の14.2%)、女性は463万6000人(女性の「非正規の職員・従業員」に占める割合の31.7%)となっています。


都道府県別でみると、静岡県の「非正規の職員・従業員」に占める就業調整をしている方の割合は、配偶者がいる女性で37.8%と、実に3人に1人以上となっています。
愛知県では、その割合が全国で最も高く45.8%とほぼ2人に1人が就業調整をしているという結果が出ています。

また、就業調整をしている方を所得別の割合をみると、「50万~99万円」(49.6%)および「100~149万円」(32.9%)で8割を超えています。

上記のことからも、まだまだ女性で時間・日数を調整して働いている方が多くいることが見て取れます。


静岡・愛知のパート主婦で一番多いのは「所得50万~99万円」

ここで、もうひとつ別のデータをご紹介いたします。先ほどの平成29年(2017年)就業構造基本調査から、静岡県の非正規職員の女性の年齢と所得(主な仕事からの年間収入・収益)に関するデータをみてみましょう。

【静岡】

【愛知】
静岡・愛知の非正規の職員・従業員の女性の年収で一番多いのは「50万~99万円」で31%、ついで「100~149万円」で28%となっています。

年齢別に見てみましょう。静岡では、30歳を境に「50~99万円」の所得層の割合が最も多くなり、40歳台では「50~99万円」と「100~149万円」の所得層の割合がほぼ同じ、50歳代で「100~149万円」の所得層の割合が逆転して最も多くなっています。

これは、30歳くらいから家事・育児との両立のために働く時間をセーブし、子供がある程度大きくなり今度は教育費にお金がかかるようになったため、再度働く時間を増やしていると考えられます。

愛知では、どの年代も同じく「50~99万円」の所得層の割合が最も多く、年齢が上がっても働く時間を増やす傾向は見えません。愛知では大手自動車会社で働く方が多く、夫の出張も多いため妻が働きに出るのが難しいのかもしれません。

子育て中の主婦の方は、子どもの学校行事や地域のイベント、はたまた子どもの習い事の送り迎え、家事などでとにかく時間がありません。

共働き家庭が増加しているとはいえ、圧倒的に女性の家事・育児の負担が多い日本の現状を考えたとき、1日8時間、週5日などのフルタイムで働くのはかなり難しい選択と言えるのではないでしょうか。

いかがでしたでしょうか。
本日は、2018円1月施行の配偶者控除改正のポイントをおさらいすると同時に、その影響について最新のデータを元に考察いたしました。結論としては、税制改正によって、女性の就業時間に今のところ大きな変化は出ていないようです。

今後、女性の社会進出を後押しするには、まずは「家事・育児は女性がするもの」という意識を女性自身を始め社会全体で変えていく必要がありそうです。

ヒトクル編集部
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ヒトクル編集部

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