農業の「働き方の多様化」をもっと知ってもらいたい。人事担当者と農業を繋ぐ「しず農コネクト」誕生の秘話に迫る。

農業の「働き方の多様化」をもっと知ってもらいたい。人事担当者と農業を繋ぐ「しず農コネクト」誕生の秘話に迫る。
目次

静岡県農業協同組合中央会 担い手支援部
(写真左より)嘉茂さん 川下さん 中島さん


こんにちは、ヒトクル事務局です。

コロナショックにより、すべての業界において「働く意識」が変わりつつあります。「毎日決まった場所に行き仕事をする」といった固定観念が徐々に薄れ、リモートワークが広がっています。また、1つの会社に属しながら他の仕事にも携わる「副業・ダブルワーク」も都心を中心に主流となってきました。

農業においても例外ではなく「副業・ダブルワーク・異業種研修・ボランティア活動」など、様々な形態に対応できる現場が生まれています。

そのような状況下で、今回ご紹介するのは静岡県のJAグループが一般企業と連携する新たな取り組み「しず農コネクト」です。

今回取材したのは、JA静岡中央会・担い手支援部の嘉茂さん、川下さん、中島さん。
「しず農コネクト」とは一体どんな仕組みなのか、農業と企業がどのように連携するのか、本取り組みが誕生した背景・過程についてお話を伺いました。


「しず農コネクト」について

「しず農コネクト」とはそもそもなにか?また設立までの背景についても教えてください。


「しず農コネクト」とは農業と企業を繋げる新しい働き方の形を提案する仕組みです。


https://domonet.jp/shizuoka/c/ja-nouka/interview-202012/

例えば、コロナ禍において「製造ラインが一旦ストップした」「急な雇止めをしなければならない」といった従業員の方の雇用機会を担保するために、一時的に農業で働くことができます。
その他にも「平日はオフィスワーク、週末は副業として農業に携わる」といった働き方も実現可能です。

雇用関係ではなくても「農業を異業種研修の一環として体験してみたい」や「ボランティア活動として農業に貢献したい」といった携わり方もできるため、柔軟かつ多様な対応ができる仕組みとなっています。



静岡県のJAグループでは、職業紹介事業や求人サイト「しずおかの農業で働こう」の運営を中心に農業に携わる人の数を増やす取り組みを進めており、静岡県各地のJAでの人材紹介実績は年々増加しています。
しかしながら、収穫期など労働力需要が集中する際には、現状の取り組みだけでは充足することが困難であることも課題としてあがっていました。

そこで通常の労働力確保事業に加え、多様な人材(企業で働く就業者や学生)とのマッチング機会を増やし、農業に携わる人を増やすべく、「しず農コネクト」の仕組みを構築するに至りました。


「しず農コネクト」の具体的なサービスについて

「しず農コネクト」のサービス内容ついて教えてください。


「しず農コネクト」とは多様な働き方を支援するサービスです。

企業と連携する場合は、その企業の就業規則(副業規定や時間外労働規定など)に則り「農業と連携することでどんなメリットがあるのか?」「なにを実現したいのか?」などを協議しながら、オーダーメイドで仕組みをつくっていきます。

「副業・ダブルワーク・異業種研修・ボランティア活動」など、様々な形態に対応できる現場があるため、ご要望に応じながら、ご希望に沿えるような現場を紹介します。




具体的な提携事例ついて

「しず農コネクト」を利用した提携事例はありますか?


求人サイトの運営・支援をしてもらっている㈱アルバイトタイムスさんに農作業体験を行ってもらいました。

今回は雇用関係ではなく「地域に貢献したい」という理由から、静岡県のみかん農家(極早生みかん)の収穫作業をお手伝いしていただきました。



実際に体験していただいた声としては、以下のような声をいただいています。

(40代男性)
・普段はデスクワークなので青空の下での作業は気持ちがいい。
・出荷にあたり商品であるみかんを傷つけない苦労、畑の手入れの大変さが分かり、普段当たり前に食べていた食物に対して改めて感謝したいと思った。
・甘いみかんの見分け方など、プロならではのテクニックを教えてもらえたことは、貴重な財産となった。

(30代女性)
・収穫の際、みかんの皮に傷がつかないよう枝を長めに切り、そして、収穫かごの中で他のみかんが傷つかないよう、切り残したところを切る。そんな細やかな配慮がされていることを初めて知った。普段、「食べ物」としてみかんを見ていたが、農家さんにとっては「商品」なのだとあらためて気づかされた。
・農家の方の作業が速い。みかんを見極めるスピードも収穫作業も。その道を極めるのは農業もサラリーマンも一緒だと感じた。
・みかん畑で高くなった秋の空を見たり、涼しい空気を感じたりで、季節を自然から感じられることができた。

普段のオフィスワークでは「体験できない環境・作業」であるためリフレッシュができること、一方で「その道を極めるのは農業もサラリーマンも一緒」であり、普段の仕事に活かせる経験であったことなど、様々なご意見・ご感想をいただきました。


農業のこれからついて

「しず農コネクト」を含めた、今後の農業の展望はありますか?


今回の取り組みで「農業における多様な働き方のサポート」について、最初の一歩を踏み出すことができました。

今後は「しず農コネクト」の導入・運用をする上で得られた課題をどのように整理し、解消し、より促進していけるかが重要だと考えています。

農業の機械化・IT化が進んできている中ではありますが、農業はまだまだ人手が必要な産業であることは事実です。人材の採用が農業の未来を左右すると言っても過言ではありません。

JAグループでは、今後も農業発展のため、採用・雇用領域での支援を継続してまいります。


(取材日/2020年12月11日)


多様な働き方・携わり方を実現しつつある「農業」。先の見えない今だからこそ、先に備えた多様性・柔軟性のある取り組みであることは間違いなさそうです。

話を伺ってJAのみなさんの農業への熱い想いが伝わってきました。


取材協力
静岡県農業協同組合中央会
静岡県静岡市駿河区曲金3丁目8-1 静岡県農業会館4階
しず農コネクトページ/https://domonet.jp/shizuoka/c/ja-nouka/interview-202012/
HP/http://group.ja-shizuoka.or.jp/

ヒトクル編集部
記事を書いた人
ヒトクル編集部

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