アルバイトに雇用契約書は必要? 作成時に気を付けるべき点をチェック!

アルバイトに雇用契約書は必要? 作成時に気を付けるべき点をチェック!
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こんにちは、人事・採用担当者のためのお役立ちサイト ヒトクルのヒトクル編集部です。

「アルバイトを採用する際、どのような書類を用意するべきか分からない」
という声を多く耳にします。

雇用契約書や労働条件通知書の作成は必須なのか。
書類作成にあたっての注意点や、従業員とのトラブルを回避するポイントについて解説いたします。

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アルバイトに雇用契約書は必要? 書類を作成するメリット

アルバイト採用の際、雇用契約書を作成するかどうか、悩む人事担当者や店舗経営者が少なくありません。

まずは、雇用契約書の作成が必要かどうか。
契約時に見かけることの多い労働条件通知書はどこが違うのか、詳しく見てみましょう。

労働条件通知書と雇用契約書の違い|記載事項や兼用・交付についても解説


雇用契約書や労働条件通知書の作成は必須?

アルバイトやパートなど、有期雇用労働者との契約は民法の「諾成契約(だくせいけいやく)」にあたります。

諾成契約は、当事者の合意によって契約が成立する契約類型であり、当事者の意思に基づいて法律行為が行われる、という原則があります。

諾成契約であるアルバイトとの契約は、雇用契約書もしくは労働契約書がなくても口頭での契約が可能です。

したがって、雇用主に雇用契約書の作成義務はありません。
ですが、雇用契約書を作成しなかった場合、賃金や勤務時間、契約期間など、労働条件の食い違いが出る恐れがあります。


「書類がないため、アルバイトが後から契約内容を確認できない」
「あいまいな部分をそのままにしてしまった結果、業務や退職時にトラブルが起きてしまった」
といった問題が起きる場合もあるでしょう。

また、雇用契約書は不要でも、労働条件が明示された「労働条件通知書」の作成は雇用主の義務です。

言った言わないを避けるためにも、雇用主としての義務を順守するためにも、間違いのない労働条件通知書を作成しましょう。

雇用契約書と労働条件通知書には、主にこのような違いがあります。

交付義務通知方法
雇用契約書なし双方の合意に基づいて作成
労働条件通知書あり企業から一方的に通知

雇用契約書は義務ではないものの、双方の合意に基づいて作成されるため、雇用者へ労働契約、労働条件をより分かりやすく伝えられるというメリットがあります。

就業におけるトラブルを未然に防ぐためにも、労働条件通知書(雇用契約書は労働条件通知書を兼ねることができます)と合わせて作成しておくと安心です。

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「雇用契約書」と「労働条件通知書」を兼ねてもOK!

雇用契約書と労働条件通知書は、別々に作成する必要はありません。

労働基準法やパートタイム・有期雇用労働法で決められている内容が含まれていれば、雇用契約書兼労働条件通知書として、1通で作成可能です。

・労働条件通知書へ、雇用主とアルバイトが合意の上署名する
・雇用契約書に労働条件通知書の内容を含める

いずれの形でも問題ありません。

雇用契約書を交わす場合は、内容を確認後、雇用主とアルバイト両方の署名が必要です。

以前は合意の際、署名だけでなく押印がセットでした。
ですが、2020年以降内閣府・法務省・経済産業省より「契約書には必ずしも押印の必要はない」と発表されています。

慣例的に契約書へ押印している企業がみられますが、省いてしまって問題ありません。


労働条件通知書の記載事項

アルバイトを雇用する際、労働基準法やパートタイム・有期雇用労働法に準じた労働条件通知書が必要です。どのような点について記載するべきか、内容を詳しく見てみましょう。

労働条件通知書には、絶対的明示事項と相対的明示事項があります。

絶対的明示事項は、法律によって定められている、必ず明示するべき事項です。

それに対して相対的明示事項は、法的な義務はないものの、記載しておくとトラブル予防や企業を守るなどの面でメリットが多い事項です。

それぞれに何を記載すれば良いのか、内容を見てみましょう。


絶対的明示事項

絶対的明示事項の記載は労働基準法、パートタイム・有期雇用労働法で定められています。
雇用契約時に絶対的明示事項が通知されていない場合、労働基準法違反になるため注意しましょう。

具体的には、このような内容を明記します。

●労働基準法による絶対的明示事項

・労働契約期間 
・期間の定めがある契約を更新する場合の基準
・就業場所や従事する業務内容 
・始業・終業時刻、休憩時間(交替勤務の場合は就業時転換について)
・賃金の決定や計算方法、支払い方法、支払い時期 ・退職に関する事項(解雇の事由を含む)


これらの通知は正社員、契約社員、アルバイト共通で義務化されています。
アルバイトの場合はさらに、以下の項目が必要です。

●パートタイム雇用法による絶対的明示事項

・昇給の有無 
・退職手当の有無
・賞与の有無 
・相談窓口について


アルバイト採用が決まったら、漏れのないように作成しておきましょう。


相対的明示事項

絶対的明示事項に加えて、必要に応じた相対的明示事項(定めをする場合は、必ず記載すべき事項)を記載しておくと、アルバイトも安心できます。

●相対的明示事項

・賞与や各種手当について 
・退職手当支給時の計算方法や支払方法、支払日 
・食費や交通費、作業用品などの費用負担 
・安全衛生について
・資格取得や職業訓練について 
・災害補償について 
・業務外の傷病扶助 
・表彰、懲戒処分、減給などの制裁について 
・休職について 


多くの企業や店舗が取り入れている下記内容を参考に、自社に適した内容をアルバイト雇用契約書、労働条件通知書へ記載してみてください。

・秘密保持義務
・スマートフォンやSNSの利用規制
・各種手当が適用となる労働者の範囲
・服務規程


アルバイト向けに雇用契約書を作成する際の注意点

アルバイト向けに雇用契約書、もしくは雇用契約書兼労働条件通知書を作成する場合、いくつかの注意点があります。

気持ちの良いスタートを切ってもらうために、3つのポイントをおさえておきましょう。

雇用契約書は必ず2部用意

雇用契約書などの契約書は、トラブルや問題が起きた際の証拠書類となります。
必ず2部用意してそれぞれに署名の上、企業とアルバイトそれぞれが保管してください。

アルバイトが雇用契約書を紛失してしまった場合も、署名済みの1部が手元に残るため、スムーズに話を進められます。

守秘義務を順守の上、間違いのないように保管しておきましょう。


試用期間がはじまる前に作成

アルバイトとの雇用契約は、試用期間の時点ですでにはじまっています。

試用期間であっても、法律的には労働契約が成立している状態です。
本採用後との違いとしては、試用期間中は解約権(解雇権)が留保される「解約権留保付労働契約」の扱いとなります。

試用期間を経て、採用にいたらない場合も、雇用契約書や労働条件通知書を作成し、試用期間がはじまる前に渡しておきましょう。

試用期間を設ける場合は、試用期間の開始日や終了日、試用期間中の賃金、正式採用にいたらない場合の条件(遅刻や無断欠勤、経歴詐称など)を明確に記しておくと安心です。


解雇ルールを十分に検討

アルバイトを正式採用した後、さまざまな事由で解雇となるケースがあります。
この時、適切で明確なルールがなければ、アルバイトは納得しません。

解雇ルールが適切でない場合、パワハラや不当解雇だと訴えられてしまう例もあるため注意しましょう。

有期契約のアルバイトの場合、契約の更新をしないで満了終了することを「雇止め」といいます。雇止めを検討する場合は、納得できる雇止め理由を伝えるようにしましょう。

具体的には、

・事業縮小
・アルバイトが従事していた業務が終了した
・契約更新回数の上限に達した
・契約更新時に次回更新はしない旨を合意済み 
・業務遂行能力が不十分
・勤務態度に問題がある 
・違反行為が発覚した


このような理由が挙げられます。

トラブルを避けるためにも、これらの事由に該当する場合は解雇対象になる旨を、労働条件通知書へかならず記載しておきましょう。

解雇理由に該当するアルバイトがいる場合、30日前までに通知します。

アルバイトの態度や行動に問題がある場合、最低30日分の平均賃金を解雇予告手当として支給し、解雇する場合もあります。

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雇用契約書を渡すタイミングと渡し方

雇用契約書や労働条件通知書は、渡すタイミングと渡し方があります。
間違いのないように、正しいタイミングを覚えておきましょう。


雇用契約書を渡すタイミング

雇用契約書や労働条件通知書は、労働契約が締結された時点で渡します。
アルバイト従業員の採用が決まったら、採用内定日もしくは実際に採用した日を基準に書類を作成し、渡しましょう。

後からのトラブルを避けるためにも、できるだけ早めの作成が重要です。
自社用のテンプレートを用意して、必要な相手へすぐに書類を渡せるように準備しておきましょう。


労働条件通知書の届け方に決まりはある?

労働基準法15条で定められている労働条件通知書は、採用内定日、もしくは実際の採用日に届けなければいけない通知です。

絶対的明示事項をきちんと含めて、完成後速やかに届けましょう。

2019年4月以降、労働条件通知書はメールやFAX、SNS、LINEを利用しての通知が認められています。書面で出力できる形であれば、通知方法は問いませんので、アルバイト従業員からの希望がある場合は、対応しましょう。

雇用契約書と兼ねる場合はデータ出力の上、双方の署名が必要です。事前に労働条件を伝えて、思い違いやトラブルを未然に防ぎましょう。


まとめ

アルバイト採用であっても、労働条件通知書が必要です。義務ではありませんが、雇用契約書も合わせて用意して、アルバイト従業員との良い関係を目指しましょう。

2通の作成が大変な場合は、雇用契約書兼労働条件通知書を選びましょう。

アルバイトの詳しい雇用内容、解雇ルールを定めておけば、退職時や解雇時の手続きもスムーズに進められます。

労働基準法で定められている、最低限の内容を含めた労働条件通知書のテンプレートは、こちらからダウンロードできます。

必要に応じてカスタマイズ可能です。ぜひ、アルバイト採用にご活用ください。

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ヒトクル編集部
記事を書いた人
ヒトクル編集部

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社会保険労務士法人ローム静岡 所長 杉本雄二 
監修した人
社会保険労務士法人ローム静岡 所長 杉本雄二 

求人情報誌発行・人材派遣の会社で広告審査や管理部門の責任者を18年経験。 在職中に社会保険労務士試験に合格し、2005年に社会保険労務士杉本事務所を起業。 
その後、2017年に社会保険労務士法人ローム(本社:浜松市)と経営統合し、現在に至る。 静岡県内の中小企業を主な顧客としている。
顧客企業の従業員が安心して働ける環境整備(結果的に定着率の向上)と、社長(人事担当者含む)の悩みに真摯に応えることをモットーに活動している。