新卒採用スケジュールを立てる際の基礎知識|近年の流れやポイントも解説

新卒採用スケジュールを立てる際の基礎知識|近年の流れやポイントも解説
目次

近年の新卒採用スケジュールにおいては、学生のインターンシップの参加率が高くなっており、その重要性が増しています。

また、求人ニーズの拡大・就活に関連するルールの強制力の無さなどを理由に、新卒採用は早期化の傾向が見られます。

この記事では、そのような事情を踏まえた上で、新卒採用スケジュールを立てる際の基礎知識をご紹介します。

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近年における新卒採用のスケジュール感


新卒採用のスケジュールは、就職協定の成立以後、長期にわたり青田買いの傾向が続いていましたが、近年はその動きに変化が生じています。

新卒採用担当者は、新卒採用の過去の歴史を振り返りながら現在に至るまでの流れを把握すると、スケジュールのトレンドを理解しやすいでしょう。


日本における新卒採用のあらまし

日本では、1953年に大学・企業・関係省庁による就職協定が成立したことをきっかけに、現在に至る新卒採用の歴史がスタートしています。

その後、新卒採用のスケジュールは長らく経団連が取り仕切っていましたが、就職協定は法律的制約がない紳士協定だったことから、採用選考活動の早期化・前倒しが昔から新卒採用の課題とされてきました。

新卒採用関連の就活ルールは時代とともに変化していますが、2010年以降の変化は特に顕著で、数年単位でスケジュールが見直されています。

2018年10月には、経団連が「採用選考に関する指針」を策定しない方針を明らかにし、2021年卒からは政府が主導となって就活ルールを定めることが決定しています。

なお、厚生労働省によると、2023卒・2024卒の就職・採用活動日程は以下の通り取りまとめられています。

広報活動開始
卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
採用選考活動開始
卒業・修了年度の6月1日以降
正式な内定日
卒業・修了年度の10月1日以降


注目年代①:16年卒までの新卒採用

近年の新卒採用スケジュールの動きを知る上で、最初におさえておきたいのは、16年卒までの新卒採用の動きです。

この時期はスケジュールが年によって複雑に変化しており、ポイントは大きく以下の通りまとめられます。

学年

インターンシップの時期

広報解禁時期

12年卒

夏の開催のみ(大学3年生の9月まで)

大学3年生の10月から

13年~15年卒

夏の開催のみ(大学3年生の11月まで)

大学3年生の12月から

16年卒

夏に加えて秋・冬も開催

大学3年生の3月から(翌年)

広報解禁時期が繰り下げられたのは13年~15年卒のタイミングからで、そこから16年卒はさらに繰り下がり、インターンシップも夏だけでなく秋・冬に開催されるようになりました。

16年卒は、選考時期の開始も大学4年生の8月に繰り下げられ、学業を優先する傾向が見られました。


注目年代②:24年卒までの新卒採用

16年卒以降から、大学4年生の学業優先の傾向が続くものと予想されましたが、一部中小企業は大手企業に先駆けて学生と接点を持とうと考え、選考解禁前の段階から活動を始めています。

大手企業に比べて、中小企業は総じて名前が学生に知られていないことが多いため、このような状況に至ったものと考えられます。

また、近年の新卒採用においては、学生のインターンシップ参加率が増加傾向にあります。

業界や企業・職場への理解を深めるなどの理由から、学生がインターンシップに参加する重要性が高まっていることも、24年卒までの新卒採用の傾向をつかむ上で重要です。


25年卒以降の新卒採用スケジュールはどうなる?

2018年10月に、経団連が2021年度以降入社対象の採用選考に関する指針を策定しないことを決定しました。

それに伴い、大学と経団連代表との間で率直な意見交換ができるよう「採用と大学教育の未来に関する産学協議会(略称:産学協議会)」が2019年1月に設置されています。

産学協議会の2020年の検討において、高学年学部生および大学院生向けのインターンシップでは、取得した学生情報の採用活動への活用は「採用活動開始以降に限り“可”」とされました。

つまり、一定の要件を満たしてインターンシップに参加した学生の情報を、企業は採用選考時に利用できるようになったのです。

このことから、25年卒以降の新卒採用においては、インターンシップからそのまま選考へと移行する確率が高まり、実質的に選考解禁の前倒しにつながるものと考えられています。

※厚生労働省:令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります


新卒採用時期における学生・企業それぞれの動向

新卒採用スケジュールは、大学3年生または大学院1年生の夏季休暇で、学生たちがインターンシップに参加するタイミングからスタートするイメージです。

最終的に内定を出した学生が入社するまで、およそ1年半という長丁場になるため、企業には学生の動きに合わせながら適切な形で行動することが求められます。

以下、新卒採用時期における学生・企業それぞれの動向について、重要な時期ごとに区切り解説します。


夏季(6月~8月)

大学3年生・大学院1年生が夏季休暇に入るタイミングの6月~8月において、学生・企業それぞれの主な動きは以下の通りです。

学生

○夏季休暇を利用してインターンシップに参加

○インターンシップを見据えた自己分析

企業

○前年の採用振り返り

○採用計画やスケジュールの立案(予算含む)

○求める人物像の作成

○採用職種の決定

○インターンシップ実施を見据えた社内スケジュール調整

○秋・冬に実施するインターンシップの準備

どうしても入社したい企業・働きたい業界があるなど、就職活動に強い意欲がある学生は、早期のインターンシップ参加を検討しています。

働く意欲が高い分、優秀な学生も見つけやすいため、企業としても積極的に学生と触れ合えるよう準備を怠らないようにしましょう。

また、夏季のタイミングは選考までかなり時間的猶予があるため、この時期は採用計画や新卒採用全体のスケジュール立案などを進めましょう。

企業として今年はどんな人材に来て欲しいのか、採用したい職種も含め決めておくと、欲しい人材像がブレにくくなるでしょう。

なお、25年卒以降に適用される「学生のキャリア形成支援における4つの類型」では、タイプ3の「汎用型能力・専門活用型インターンシップ」の実施時期について、卒業・修了前年度ないし卒業・修了年度の長期休暇期間中と指定されています。

長期休暇には夏季休暇も含まれるため、今後はさらに夏の時期のインターンシップが盛んになると言えるでしょう。

※厚生労働省:令和5年度から大学生等のインターンシップの取扱いが変わります


秋季(9月~11月)

秋季における、学生・企業それぞれの主な動きは以下の通りです。

学生

○業界分析・企業分析

○秋季インターンシップへの参加

企業

○秋・冬インターンシップの実施

○インターンシップ後の学生つなぎ止め

○企業情報の作成(取材)

○募集情報の作成

○採用手法の検討・準備

○説明会および面接内容検討

秋季における学生の動向は、夏季インターンシップに参加しているかどうかで、大きく2つに分かれます。

夏季インターンシップに参加した学生は、その経験をもとに選考を受けるべき企業を絞るため、業界分析・企業分析に注力する傾向にあります。

夏季インターンシップに何らかの事情があって参加できなかった学生は、秋季インターンシップに参加して、自分が気になっている業種・業界について把握しようとします。

企業としては、夏季または秋季のインターンシップを通じて、ターゲットとなる学生とつながっておくことが重要です。

具体的には、インターンシップの対応のみに終始せず、優秀な人材のつなぎ止めに注力し、学生を放っておかないようにしましょう。

また、このころから、企業は各種媒体に掲載する企業情報・募集情報の作成をスタートさせます。

説明会や面接など、採用活動の詳細を詰めていく時期のため、少しずつ採用活動のペースアップを進める時期ともいえます。


直前期(12月~2月)

12月から翌年2月までは、新卒採用が本格化する直前期となりますが、この時期における学生・企業それぞれの主な動きは以下の通りです。

学生

○早期選考

○企業情報の収集

企業

○早期選考の実施

○採用活動の人員手配

○大学への挨拶回り

○会社説明会の日程決め、会場の選定および予約

インターンシップ等で企業と接点を持った学生は、企業の早期選考に参加している場合があります。

早期選考は、学生にとっても選考経験を積む・早い段階での内定が獲得できるなどのメリットがあります。

そのため、優秀な学生が他の企業に奪われてしまうのを防ぐ意味で、早期選考は企業にとって有効な施策の1つといえるでしょう。

実際、この時期に内定を獲得している学生もいます。

しかし、早期選考に参加する学生が必ずしも自社の求める人材像にマッチしているとは限らないため、本選考に向けた準備も進めていく必要があります。

企業の動向における注意点として、直前期は採用サイトの仕様変更が生じることが多く、この時期から会社説明会の告知が可能になるケースが多いようです。

そのため、大学への挨拶回りと並行して、採用サイト掲載向け文章の最終確認・会社説明会の準備も滞りなく行いましょう。


採用広報以降(3月~5月)

3月から、新卒採用の広報活動が解禁されるため、以下の通り学生・企業ともに活動が本格化します。

学生

○会社説明会への参加

○エントリー開始および選考への応募

○国家公務員総合職試験(4月下旬)

企業

<3月>

○就職情報サイトへの情報公開

○エントリー受付開始(必要に応じて増強策の実行)

○エントリーした学生に入社案内を発送

<4月>

○会社説明会の開催

○選考試験の開催

○学内セミナー等への参加

○面接実施

<5月>

○エントリーシート・筆記試験など広義の選考活動の合否出し

○早期選考学生への内定出し

3月から5月は、新卒採用の中でも非常に忙しい時期の1つです。

会社説明会に参加する学生が、数多くの企業の中から自社に注目できるよう、アプローチを工夫しましょう。

会社説明会は、3月中旬~7月中旬まで随時行い、人材の取りこぼしを防ぐようにします。

また、4月は【会社説明会→選考試験→面接】の流れを積極的に実施することが大切です。

この時期に企業が注意しなければならないのは、選考の合否連絡・次回選考日程の調整が継続的に発生することです。

数多くの学生とのやり取りが予想されるため、連絡漏れを起こさないよう、情報管理の体制を整える必要があります。


選考時期(6月~9月)

選考時期における、学生・企業それぞれの主な動きは以下の通りです。

学生

○一部企業の選考中

○国家公務員 一般職・専門職試験(6月上~中旬)

○各種地方公務員試験(6月下旬)

○修士試験(7月以降から)

○夏休み(7月中旬~9月中旬)

企業

○採用選考および面接実施

○内々定の通知

○第2クールの計画・実施

選考時期を迎えると、内定を取得した学生も増えてきますが、企業はまだまだ安心できない時期です。

自社よりも他社に魅力を感じている学生の場合、他社の結果次第で選考辞退・内定辞退につながるおそれがあるからです。

企業としては、学生の辞退を防ぐため、選考対応時や内定後に積極的にフォローをかけたいところです。

場合によっては、内々定者懇親会などを必要に応じて開催することも検討しましょう。

大手企業は、ほぼこの時期に採用終結となりますが、自社で十分な人員を確保できていない場合は、第2クールの計画・実施も検討する必要があります。


内定時期(10月~4月)

内定時期における、学生・企業それぞれの主な動きは以下の通りです。

学生

○内定式への参加

○入社前研修

○内定者同士の懇親会

○冬休み(12月下旬~1月中旬)

○春休み(2月上旬~3月中旬)

○卒業式(3月中旬)

企業

<10月>

○内定式開催(10月1日)

○会社説明会・選考試験・面接を引き続き実施

○内定出し後は徐々に採用活動終了へ

<11月~3月>

○定期的な内定者懇親会の開始

○通信教育等

○アルバイト雇用の検討

<4月以降>

○入社式・配属(試用期間開始)

○新入社員研修、OJT等の実施

学生の就職活動は、10月の内定式以降は収束する傾向にあります。

企業との接点も徐々に増えていき、学生の入社への意思が確定する時期といえます。

企業側も、すでに内定が決まった学生が自社から離れないよう、定期的に懇親会等を実施して学生をつなぎ止める必要があります。

また、この時点で採用目標に達していない場合、追加採用も実施しなければなりません。

採用候補となる学生は少ないものと思われますが、内定辞退者や公務員試験不合格者などにアプローチすれば、採用のチャンスは十分あるはずです。


新卒採用スケジュールの組み方のポイント

採用スケジュールを立てる際は、良くも悪くも「学生の動向」に合わせて企業が随時手を打っていくのが基本戦略となります。

以下、新卒採用における採用スケジュールの組み方のポイントをご紹介します。 

  • 採用予定の学生の動向を確認する
  • インターンシップに注力する
  • 学生の事情に合わせたアプローチ・アピールを行う
  • 前年度の取り組みをブラッシュアップする
  • 大手企業・ライバル社の動向を確認する


採用予定の学生の動向を確認する


新卒採用は毎年行われるイベントであり、学生は就活イベント等を機に就職活動をスタートさせます。

就職に前向きな学生は、その前から就職活動を進めている場合があるものの、基本的には例年通りの動きになるものと予想されます。

企業としては、前年の結果を踏まえた上で、ターゲットとなる学生が多いであろう大学等にフォーカスし、採用・広報のスケジュールを立てていくのが確実です。

イベントのスケジュール・内容に目を通し、どうすれば自社の露出を増やせるのか考えることも大切です。


インターンシップに注力する

インターンシップは、今後採用活動の主軸になる可能性を秘めており、インターンシップ参加者の中から人材を先行する動きも活発化することが予想されます。

もちろん、インターンシップの実施だけで学生が自社を志望してくれるとは限りませんが、少なくとも自社に魅力を感じてもらえる確率は高まるはずです。

インターンシップを実施する際は、学生・企業それぞれにメリットがあるようなカリキュラムを組むことが大切です。

また、選考基準は「特に重要と思われる2点」までに絞った方が、効率的に選考できるでしょう。

インターンシップ採用とは?種類や特徴、導入手順について徹底解


学生の事情に合わせたアプローチ・アピールを行う

学生が就活をスタートさせる時期は、インターンシップも含めると、概ね大学3年生の後半からです。

しかし、体育会系の学生は部活動引退が大学3年生の冬ごろになりますし、公務員試験の合否が出るのは大学4年生の夏から秋にかけてです。

同時期の就活をメインに据えた学生に比べると、就活をスタートさせるのが遅くなるため、接触のタイミングやアピールポイントも変わってきます。

体育会系部活を引退した学生に対しては、年明け以降から少しずつアプローチをかけ、公務員試験不合格者に対しては福利厚生・ワークライフバランスの観点からアピールを試みましょう。


前年度の取り組みをブラッシュアップする

新卒採用自体は例年行われるイベントですが、採用活動の手法については適宜見直しをかける必要があります。

前年度の取り組みの中で、学生から人気だった取り組み・採用数増につながった取り組みのほか、不評だったもの・反応が薄かったものについても分析を試みましょう。

今年も良い結果が見込めるものは採用しつつ、悪かったところは見直して、取り組みを年々ブラッシュアップすることが大切です。


大手企業・ライバル社の動向を確認する

大手企業やライバル社など、自社の新卒採用と求める人材がかぶってしまうおそれがある競合他社の動きは、採用活動と並行して追いかける必要があります。

例えば、選考日程がかぶってしまうと、その分だけ参加できたはずの学生を取りこぼすリスクが増えるため、選考日程のスケジュールを考える際は他社のスケジュールにも目を通しておきましょう。

新卒採用の経験が少ない場合は、他社が新卒採用活動をスタートさせる時期を確認したり、採用手法を参考にしたりするとよいでしょう。

大手企業の選考スケジュールを把握しておくと、大手企業の不採用者に向けてアピールするタイミングをはかることもできます。


まとめ

新卒採用スケジュールは長期にわたるため、優秀な人材を少しでも多く採用するためには、学生の立場に立って採用活動を進める必要があります。

少子高齢化が進む中で新卒採用をあきらめることは、採用戦略上、多くの企業にとって厳しい決断になるはずですから、できるだけ優秀な人材を取りこぼさないスケジュールを組むことが大切です。

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ヒトクル編集部
記事を書いた人
ヒトクル編集部

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