インターンシップ採用とは?種類や特徴、導入手順について徹底解説
効果的な採用活動としてインターンシップを導入する企業が最近増えています。初めてインターンシップの導入に踏み切る場合、どんなことをすればいいのかがわからずに戸惑うかもしれません。
本記事では、インターンシップの種類や特徴、募集などについて解説しますので参考にしていただければ幸いです。
インターンシップとは?
インターンシップとは、主に新卒採用で用いられる制度で、学生が希望する企業で職場を体験することを言います。学生にとっては、仕事内容や会社の雰囲気などを肌で感じながら、仕事とは何かをリアルに体験できる貴重な時間です。
企業側にとっても、インターンシップを通じて多くの学生と触れ合うことができ、優秀な人材の発掘につながったり、入社後のミスマッチを減らせるメリットがあります。
経団連の就活ルールでは、インターンシップは採用選考に直結することは禁止されていましたが、企業も学生も積極的に制度を活用しているのが実態でした。
そこで実態とルールを合わせるべく、2022年6月にルールが改正され、2023年(現在の大学2年生)から「取得した学生情報を広報活動・採用選考活動に活用することが可能」となりました。
※「インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る 取組の推進に当たっての基本的考え方」
公式に認められることで、インターンシップは新卒採用の選考においてますます重要になると考えられます。
インターンシップの種類・特徴
インターンシップと一口に言ってもさまざまな種類があります。ここではインターンシップの3つの種類と特徴について解説します。
種類 | 内容 | 期間 |
説明会、セミナー型 | 講義やセミナーに参加するタイプ | 1日~数日 |
プロジェクト型 | 特定の課題に取り組むプロジェクトタイプ | 数日~数週間 |
就業体験型 | 週2~3日、社員と同じフルタイムで働くタイプ | 長期(半年~1年間) |
説明会・セミナー型
講義やセミナーに参加するタイプのインターンシップです。実際に職場を体験するよりも、その企業や業界についての一般的な知識を得ることに重点が置かれています。
1日〜数日と短期間の日程で終了するため、気軽に参加しやすいのがメリットです。1日で終わるインターンシップは1dayインターンシップと呼ばれています。まだ自社にそれほど興味を持っていない潜在的な就活生でも参加のハードルが低く、幅広い人材にアピールできます。
内容としては会社説明、オフィスの見学、現役社員との質疑応答、社員と参加者が混ざっての交流会などが一般的です。
プロジェクト型
参加者たちで特定のプロジェクトに取り組むタイプのインターンシップです。
説明会・セミナー型よりも、実践を通して学ぶことに重点が置かれています。インターン生は毎日会社に来て、専用に設けられた部屋で、インターン用に作られた擬似的なプロジェクトに取り組みます。
その過程でインターン生たちは、会社における仕事がどういうものか模擬練習を行います。
インターン生にとっては、自分の頭で考えて作業することや、グループワークにおける振る舞い方、プレゼンテーションのスキルなどが身につけられる点がメリットです。
企業にとっても、主体性のあるインターン生を見極め、採用選考活動のターゲットとするチャンスになります。
就業体験型
週に2回から3回程度、会社に来て社員と同じようにフルタイムで働くインターンシップです。
通常は新入社員と同じ責任の範囲で働きます。会社の仕事を実際に体験してみて、その会社の社風や文化、業務内容に慣れることに重点が置かれます。
期間はだいたい半年から1年程度の長期インターンシップとして行うのが一般的です。企業、求職者ともに相手が自分の価値観や文化に合うのかどうかを試せます。
インターンシップ採用の普及率
マイナビが2022年8月に実施した「2024年卒大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査」によると、 24年度卒業見込みの大学生の79.5%がインターンシップやワンデー仕事体験に参加した経験があるとのことです。
このことからインターンシップ採用の普及率は高く、学生の参加意欲も非常に高いことが窺えます。新卒採用において学生を集めるのに苦労している企業はインターンシップ制度の検討をするとよいでしょう。
【参考】2024年卒 大学生インターンシップ・就職活動準備実態調査(8月)/マイナビキャリアリサーチLab
インターンシップの導入手順
事前準備
インターンシップ導入の最初のステップは、事前準備です。インターンシップで何をしたいのかを踏まえ、以下の項目を決めていきます。
・期間
・学生の数
・職種
・プロジェクト
・指導者やメンター
学生の募集を開始する前に、インターンシップで何をしたいかを明確にすることが重要です。プロジェクトは必ずしも模擬的なものである必要はありません。
実際に現場に存在する課題で、緊急度や重要度がさほど高くないものをインターン生たちに解決してもらうという手法もあります。学生の本分は勉強であるという前提も忘れないようにしましょう。とくに秋冬インターンシップは学業と並行して行うので日程に配慮が必要です。
時期も考慮に入れるべきでしょう。インターンシップは3年生の春ごろから始まりますが、始まったばかりの段階では学生も気持ちが暖まっておらず、モチベーションも低いことが多いです。その時期には1dayインターンシップなど気軽に参加できる内容で企画し、時間が経つにしたがって就業型の濃い内容のインターンシップなどを企画してもよいでしょう。
募集
次に、インターンシップに参加する学生の募集をしましょう。本採用の際に即戦力にしたいのか、ポテンシャルで採用したいのか、それによってインターンシップのコンセプトも変わってくるでしょう。
即戦力にしたいならば、本採用時に配属が想定されるような仕事内容でインターンも受けさせるべきです。OJTも兼ねたインターンシップになるでしょう。ポテンシャルで採用するのであれば、本人の主体性を重視した内容のインターンシップにしましょう
インターン選考
インターン生の希望者が多い場合には選考が必要になります。まだ本採用ではありませんので、採用選考とは別です。
応募者と面接をして、誰をインターン生として採用するかを決めましょう。このとき、注意しなければならないのは日程のスピーディーさです。あまり選考プロセスに時間をかけるべきではありません。
学生の就活の日程は非常にシビアであり、3年生の春頃から就職活動が始まり、4年生の夏頃までには内々定を獲得したいと考えています。
企業がインターンシップの選考に時間をかけていると学生はリスクを感じ、申込みをキャンセルして他社のインターンシップに応募してしまうかもしれません。
オリエンテーション
インターンシップに参加する学生を選んだら、次はオリエンテーションを行います。オリエンテーションをする理由は、学生たちに企業や組織の概要、インターンシップで期待されること、基本的な社会人としてのルールやマナーを教えるためです。
学生は社会で働くことに慣れていません。会社の一員として迎える前に、それらのことを理解してもらう場を作りましょう。
実施
次のステップは、インターンシップを実施することです。多くの場合、学生が劇的な成果を上げることは稀で、必ずといっていいほど壁にぶち当たります。
それは即戦力として採用を考えている学生でも同じことで、社会人なら誰でも経験がある成長過程のようなものです。
学生がうまく成長できるように、ある程度のキャリアを持つ社員を監督者に付けてフォローしましょう。
振り返り
インターンシップが終了したら、今度はその経験を振り返ります。これは学生がインターンシップのレポートを書いて今後の成長に繋げる意味があります。
企業にとっても、インターンシップのプログラム内容が妥当であったかどうかの振り返りが必要です。将来のインターン生のために常に評価と改善を繰り返すようにしましょう。
インターンシップの導入の注意点
インターンシップの導入にはいくつかの注意点があります。
目的をしっかり定める
インターンシップを導入する際には、なんのためにやるのか目的をしっかり決めましょう。明確な目的がなければ、インターンシップのプログラムが成功しているかどうかを評価することが難しいからです。
インターンシップ制度で効果を上げるには実施後の評価と検証が不可欠であり、何がどうなったら成功なのかをあらかじめ決めておくことが必要です。
全社一丸となって行う
インターンシップを成功させるためには、会社全体が協力し合う必要があります。学生は、インターンシップを通じて、社員の対応や雰囲気を見ています。
優秀で人柄のよい人たちと働きたいというのは学生でなくとも誰にでも共通する願望です。
インターンシップの運営を担当している社員がどれだけ細かい対応をしても、それ以外の社員が素っ気ない対応をしたりすると学生たちはその会社で働くべきなのか不安に思うでしょう。
できれば、インターン生への対応は非常に重要な業務であることを社員全員に説明するのが望ましいです。
情報管理は厳格に
インターンシップ生はまだ入社前なので、社外の人間になります。どの程度まで社内の情報を開示するかは考える必要があるでしょう。一般的な考えでは、協力会社のメンバーやアルバイトと同等のレベルの情報開示が適切であると考えられます。
対策としてはインターンシップ生が働く部屋を社員とは別の部屋にし、入室のレベルを分けるなどの対策が考えられます。インターンシップが始まる際にNDA(機密保持契約)を締結するなどの対策も必要です。
また、情報管理を厳格にしなければいけないのは社員側も同じです。学生情報を漏えいさせたりしないように注意しましょう。
労働基準法を守る
インターンシップ生は学生ですが、労働者性がある場合は労働基準法が適用されます。その場合には雇用契約を締結し、最低賃金以上の給料を保証する必要があります。
労働者性があるかどうかの判断は、明確な基準があるわけではありませんが、裁判所では以下のような要素を総合的に考慮して判断しているようです。
・インターンシップの期間が長期である
・継続的な出社がある
・時間の拘束が存在する
・指揮命令者(上司)が存在する
・業務のやり方について細かい指導がある
・仕事について自主的な権限に乏しい
目的に合わせて募集方法と募集開始時期を決めよう!
インターンシップ制度にはさまざまな種類があり、目的に応じて最適な形態が異なります。
1日で終わるセミナー型の形態から1年以上にもわたる就業型の形態もあります。自社の目的に応じて最適な形のインターンシップを企画しましょう。
その際には情報セキュリティやコンプライアンスへの配慮が必要です。それらも総合的に考慮しつつ、学生と企業の双方にメリットのあるインターンシップ制度にしていきましょう。
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