主婦パートを「補助サポート」と見ていませんか?【主婦パート・アルバイト育成ノウハウ(1)】
このコラムでは、主婦パートの「教育」「戦力化」「定着」について、現場ですぐに実践できるノウハウや主婦パート育成で押さえておくポイントなどを具体的な事例を用いて、解説させていただきます。
主婦パートのコラムを担当します、株式会社エスエスブレーンの鈴木ゆかりと申します。今後、当社の関美分と交代で執筆をしていきます。どうぞよろしくお願いいたします。
私たちは静岡県浜松市の人材育成の会社で、SS経営コンサルティンググループの一員です。グループは、税理士法人SS総合会計、社会保険労務士法人SS総合労務、株式会社ビーティーシー、浜松建設事務センター等、『税理士を超えた経営のパートナー』をかかげ、サービスを提供しています。
グループの従業員数は57名、うち扶養の範囲内で働く主婦パートが31名、主婦パートから準社員になった者が11名、正社員が15名です。私たちは積極的に主婦パートを採用し、活用しています。
このコラムでは、採用した主婦パートをどのように教育し、戦力化を図り、定着させているかを私たちの現場で行っている順番でお伝えします。何か一つでも「これ使えるな」とご参考になることがあれば幸いです。
私たちは、主婦パートをどのように捉えているか
私たち会社の採用ページには「お子さまの病気や学校行事などは優先してください」と書いており、実際に保育園から電話があった時には「早く帰ってあげて」と周りのメンバーもサポートするなど、主婦パートが安心して働ける職場です。
私たちは主婦パートの働き方は、「家庭第一優先」と考えています。
ただし、職場では主婦パートも正社員も仕事の上では同じで、ただ勤務時間が短いだけと捉えています。
ですから、主婦パートが申告書を作成し、顧客先の会計監査にも行き、経営者と話をします。私たちも以前は主婦パートで、各企業に出向き研修を行った際、「え、パートなんですか」と担当者に驚かれたことも多くあります。
主婦パートを「戦力」と見るか、「補助サポート」と見るかで、主婦パートの活用は決まります。
というのも、現在、主婦パート活用のセミナー(※)を全国で行っていますが、会社側が主婦パートを補助サポートと見ているところでは、残念ながら活用がうまくいっていません。
主婦パートを戦力と考え、期待をして教育し、会議にも出席させ、会社の方針を伝え、理念を共有していく。
こうしたことを行うことで、戦力となる主婦パートが育ちます。
主婦パートの方々と日々接していると、主婦パートを補助サポート業務だけにとどめておくのは本当にもったいないと思います。人口が減り、これからますます貴重な労働力となる主婦パートを戦力として活用する職場が増え、また同時に主婦パートの方々が生き生きと働くことができる機会が増えてほしいと願っています。
それでは入社した主婦パートに最初どのような教育を行っているのか、今回は概略を説明します。
2週間の価値観教育
私たちは、入社してきたメンバー全員に2週間の教育を行います。
この2週間の教育というのは、ディズニーランドでも同じだということをセミナーで聞いたことがあります。ディズニーランドでトレーナーだった講師の方が、「人は環境動物、環境に慣れるまでの2週間が勝負」とおっしゃっていました。
2週間も教育するなんて無理!と思われる方もいらっしゃると思います。ここでは、「これは使えるね」と参考になるところを見つけていただければと考えています。
2週間で何を伝えるかというと、この4つです。
これらを伝えていないと、会社側の期待と主婦パートの理解と行動がずれてしまいます。
まずは会社側の期待を正確に具体的に伝えることが重要です。
とはいえ、なにも難しく考える必要はありません。
例えば私たちの会社で大事にしていることは二つ、あいさつと気配りです。
皆様の会社でもうちではこれを大事にしているということは必ずあると思います。
大事にしていることを入社してすぐに伝えると、この会社ではこのことに注意していけばいいんだなと、働く上での指針がわかり、パートさんにとっても働きやすくなります。
ここでは伝え方も重要です。
「あいさつと気配り、気をつけてやってね。」
これだけだと会社の期待するレベルには至りません。
あいさつの声の大きさは、どこでどのようにあいさつするのか、そして何より、なぜうちではあいさつを大事にしているのか、その背景を伝える必要があります。
次回は2週間の価値観研修で伝えている内容について、より具体的にお話しさせていただきます。
世界遺産の鹿児島県屋久島生まれ。短大卒業後、東京のアパレル会社に勤務。
結婚を機に浜松へ転居し、同社に入社。総務経理担当を経て、講師になる。
講師経験は24年、一部上場企業から中小企業まで、年間97日研修を担当する。
コーチングスキルを用い、受講生のモチベーションを内側から引き出すことを得意としており、管理職向けの部下指導の研修も評価が高い。自社のパートスタッフの育成と活用に着目し、日本初のパート社員がビジネス書の著者となる『利益を生み出す主婦パートを育てるすごい方法』を東洋経済新報社から出版。新聞雑誌に数多く取り上げられる。自社のパートスタッフの活用戦略で蓄積した、採用・教育・OJT指導などのノウハウを提供する事業を展開中である。
株式会社エスエスブレーン:http://ss-brain.com/