「部下の𠮟り方」令和へアップデートできていますか?
元CAで研修講師歴12年の浪越あゆみと申します。
- 部下を叱れなくて困っている。部下を怒れない。指導をどこまですればいいか考えてしまう。
- コレを言うとパワハラになってしまうのではないか?と考えて言うのを躊躇してしまう。
- 注意したらすぐに機嫌悪くなるので注意することをやめてしまった。
こういった声を研修先でよく耳にします。世代の違う若い方との接し方に迷いがある方も多いと感じることがあります。
この記事では、部下への叱り方について、今の時代の常識からどう叱るのが効果的かまで紹介していきます。
これから新入社員を迎える時期に入るので、部下の指導に頭を抱えている方の力になれれば幸いです。
パワハラを恐れて叱れない
会社である以上、部下を育てていかなければ成り立ちません。指導しなければ部下は育ちません。
「頭では分かっているけど、どうやって育てていけばいいのか?」これが悩みだと思います。
パワハラという言葉が世間で飛び交っている影響で、必要以上にパワハラを恐れている方も多いと思います。
何か言えば「それはパワハラです。」何を話せばいいか分からないから雑談の中で無理やりプライベートのことを聞くと「それはセクハラです。」と言われてしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「彼氏いるの?」「1人暮らし?」
こんな日常会話も今の時代はタブーとなっているので、言葉に出す前に色々なことを考えすぎてしまうと思います。
こういった背景から、叱るなんてとんでもない。部下のためを思って注意したら逆ギレされてしまい、その日から目を見てくれなくなったという話しも聞いたことがあります。
Z世代の新常識を理解する
そもそもZ世代は怒られることがないまま社会人になっているケースも珍しくありません。学校の先生にも怒られたことがない、親にも怒られたことがないというZ世代と私はこれまでたくさん出会ってきました。
ですので、少し大きな声を出されただけで「すごくキツく怒られた」と思ってしまうこともあります。
私は高校で授業をすることもあるのですが、私が学生の頃では考えられないほど、先生が生徒を叱ることが少なくなっていることを感じます。
昔は居眠りしている生徒がいればゲンコツされたり立たされたりが当たり前でした。
しかし、今はそういったケースは見た事がありません。というより、ゲンコツや立たせることがあればそれは大きな問題として取り上げられてしまう時代となってしまいました。
親にも叱られたことがないのに、いきなり第三者の会社の上司から怒鳴られると、それは大きな衝撃として記憶に残るのも無理がないと思います。
こういった背景から、自分達がされてきた方法で今のZ世代を叱ってしまうと、何が悪かったのかを理解し反省する前に、「怒られた!!」という強い印象の方が前に出て、パワハラと言われてしまう可能性もあると思います。
部下を上手に叱る近道は
部下を上手に叱る方法を習得する近道は、部下を変えようとするのではなく自分達がまずは変わることを意識してみてはいかがでしょうか?
こういう話をすると、怪訝な顔をされる方もいらっしゃいます。
なぜ自分達が変わらないといけないのか?
変わらないといけないのはZ世代の子達だろう!!
と言われる方もいらっしゃいます。もちろんZ世代の皆さんに理解してもらい変わってもらうことが一番だと思いますが、自分達が叱られたように同じ叱り方をしても伝わりません。
だとしたら、理解してもらえないような叱り方をずっと続けるより、Z世代に通じる𠮟り方・指導の仕方をする方が早いしストレスもたまらないと思います。
ポイントは「叱らないではなく、伝わる叱り方」をすることです。
こんな叱り方は逆効果
1.人格否定の言葉や大声で怒鳴る
容姿や卒業校を否定するような言葉や、必要以上に大声で怒鳴り威圧感を与える叱り方。大声で怒鳴ることは感情のコントロールができないまま、感情任せという印象が残ってしまいます。
また必要以上に大声で怒鳴る事は、部下を委縮させてしまったり恐怖心を与えてしまう可能性があります。
2.皆がいる前で怒鳴る
同じ部署の方がたくさん居る中で立たされて叱られたり、お客様の前で失敗を指摘されると、恥をかかされたという感情がでてしまい、恨みや反発心が生まれる可能性があります。
一時的な感情が強く出てしまうと、叱られたことを反省するどころか逆効果になることもあります。
3.以前の失敗を持ち出して叱る
今起こっていることを叱っていたのに、段々と過去の話を持ち出し過去の失敗をまた叱る。
叱るときのルールは、今起こっていることを叱る。
「そういえば前も」「そういえばあの時も」という感じで過去をさかのぼって叱るのは、本来今何を叱られているのか曖昧になってしまうので逆効果になる恐れがあります。
4.話を聞かず一方的に叱る
説明しようとしているのに、「言い訳はいらない」と一方的に話を止め叱る。
叱られることをした方が悪いですが、そうなってしまった理由や原因があるかもしれないので、まずは叱る前に耳を貸すことが大切です。
「何でこんなことになってしまったの?」「何か理由があるのではないかな?」という言葉を掛けることで、状況を把握しやすくなると同時に、部下も話を聞いてくれたという感情がでてきて素直に耳を傾けてくれるでしょう。
5.自分の若い頃と比べる
自分が若かった頃はもっと努力していた、先輩たちはもっと怖かった、お前たちは甘え過ぎだと言いながら、自分の過去と比べて叱る。
自分が若かった頃と比べても、その話を素直に耳に入れることは難しいのではないでしょうか?
過去と比べるのではなく、これからどうしようか?どうやって課題を解決していこうか?未来に向けての話をすることで、解決策が見つかると思います。
6.他の同期と比べて出来ていないことをバカにしたような言い方をする
個人を叱っているはずなのに、同期と比べたり、後輩と比べて出来ていないことをバカにしたような感じで叱る。
人と比べられても解決には繋がりません。
人と比べるのではなく、未来の〇〇さんに期待しているからどうやってこの問題を解決していこうか?という話の方が良い方向へ進む可能性が高いでしょう。
部下に思いが届く叱り方
1.何が悪かったのか気付いてもらう叱り方
本来叱る目的は、二度とこういうことが起こらないように本人に何が悪かったのか気付いてもらうことです。
感情的に怒鳴っても、その思いは伝わりません。
どういう言葉を使い、どんな表情で、どのタイミングで叱ると伝わるかをよく考えることが大切です。
感情的にその場の雰囲気や流れで怒鳴ることは意味がない叱り方になります。
2.叱る場所とタイミングを考える
叱るタイミングはとても重要です。話を集中してできる場所で目を見て叱ることで伝わることも多いと思います。
自分自身の心が落ち着いていることも大切なことです。
まずは叱る前に、自分自身の心を整えどの順番でどのように伝えるかを考えることはとても大切です。
3.あと良し言葉
事実を伝え今後どうするかを本人に考えてもらったあとは、最後に期待している言葉をつけるとモチベーションにも繋がります。
その他にも「〇〇さんらしくないミスだけど何かあった?」という感じで「らしくない」という言葉を伝えることで、普段のあなたはちゃんとしていることを把握しているよという意味にも捉えてくれると思います。
ただ叱るだけではなく、普段の頑張りや努力している姿を声に出して認めてあげることも大切です。
4.解決策を自分で考えてもらうと同時に、アドバイスを求められればそれに答えてあげる
重要なのは、アドバイスを求められていないのに、一方的にアドバイスすることです。
その場合、素直に入っていかないケースもあると思いますので、あくまで答えは自分で考えてもらうことが先です。
一方的な押し付けは部下の成長を止めてしまいます。成長するときは、自分で気付いたときだと思います。
自分で気付けるように、叱るというよりは対話の時間を増やしてみるのもおススメします。
まとめ
今の40代・50代以上の方は、「背中を見て覚えろ」と言われてきた世代。
正直、自分たちが今まで常識だったことを変えるのは大変でしょう。
ですが、時代は変わったのです。
いつまでも昭和の常識を引きずっていても関係性は変わらないどころか、優秀な若者たちは
「こんな古い考えの会社ではやっていけない」とサラリと転職してしまうでしょう。
ぜひ「叱る目的」を今一度考えたうえで、相手に伝わる方法を模索してみてください。
令和へアップデートしていきましょう。
長崎県出身。長崎の大学を卒業後、客室乗務員へ。結婚を機に退職し、産後、客室乗務員で学んだことを活かし、研修講師に。客室乗務員の経験+マナーアドバイザーとして、四国を中心に社員研修・新人研修・接客指導・店舗接客改善アドバイスなどを行っております。またコミュニケーショントレーナーとして話し方セミナーや表現を学ぶセミナーも開講しています。
研修講師歴12年 これまでの受講者数約4万人
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