オヤカクとは? 必要性が高まる理由とトラブル事例・対策を解説!

オヤカクとは? 必要性が高まる理由とトラブル事例・対策を解説!
目次

オヤカクという言葉をご存じでしょうか?
オヤカクは、企業の採用活動をスムーズに進めるために、近年注目されているキーワードです。

なぜオヤカクに注目が集まっているのか。
オヤカクしない場合のトラブル事例や、具体的なオヤカク対策について、くわしく解説いたします。

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オヤカク(親確)とは?

オヤカクとは、採用を検討している学生に「親御さんは自社に入社することを承諾していますか?」と聞いたり、企業が学生の親に直接確認を行うことを言います。

「親に確認を取る」を略して、オヤカクと呼ばれます。

内定者向けに実施されるケースが多く、学生の親や保護者へ挨拶したり、企業について紹介したり、内定に同意してもらえるかどうか、事前に確認する例がみられます。

一昔前と違い、親の反対で内定辞退する例が少なくありません。

新卒採用時は特に親の意見が反映されやすいため、時には直接足を運んで企業体制や魅力、働くメリットを伝えるケースがあります。

内定辞退率を下げるためにも、内定後のトラブルを未然に防ぐためにも、オヤカク対策をする企業が増加しています。


企業のオヤカク認知度は半数以上に上る

オヤカクする企業が増える中、オヤカクという言葉はどのくらい企業に認知されているのでしょうか?

株式会社ネオキャリアが2019年に実施したアンケートをみてみましょう。

参考サイト:株式会社ネオキャリア/就職活動における「企業」と「親」に関する調査 ~2019年「オヤカク」最新動向を公開~

認知度調査の結果によると、オヤカクという言葉を認知している人事担当者が59.5%に上り、前回よりも7.6ポイント上昇していました。

企業の規模別では、

・300名未満:51.4%
・300-1000人未満:56.3%
・1000名以上:70.9%

という結果になり、大企業になればなるほどオヤカクが認知されています。

アンケートを見てみると選考前、選考中、内定時や内定後など、さまざまはタイミングで、オヤカク施策が実施されています。

親へのアンケートでも、

  • 「企業によっては子どもに内定辞退を促す」20.4% 
  • 「子供の就職活動は親の意見も反映して進めるべき」14.6% 
  • 「子供に就職してほしい企業、してほしくない企業がある」55.3%


このように回答する家庭が多いことから、良い人材を獲得するために、オヤカク対策が注目を集めています。


オヤカク対策が必要な4つの理由

オヤカクに注目が集まっている背景には、4つの理由があります。
なぜオヤカク対策が必要なのか、その理由を見てみましょう。


理由1:売り手市場による内定辞退率の上昇

年間の出生数が年々右肩下がりの中、2022年以降も少子化が進むと予測されます。

結婚しない若者が増えていること、まだ続くコロナの影響などもあり、婚姻率が下がっていることから、出生率がさらに下がる恐れもあります。

働き手が少ない状態が続くため、就職活動を有利に進められる売り手市場化が止まりません。
複数の企業から内定を受け取る応募者が多くなり、辞退率は高まる一方です。

株式会社リクルート就職未来研究所の就職プロセス調査によれば、2023年卒の内定辞退率は57.8%で前回から5.0ポイント増加しています。

つまり複数の内定通知の中から、自社を選んでもらうためには、積極的なアプローチが欠かせません。

同じような業務内容、業種の内定通知を手に迷っている場合、オヤカクでのアプローチが決め手になる場合があります。

内定前から積極的に会社の情報を伝え、入社を切望することで、親からの後押しが得られやすいでしょう。


理由2:大企業の通年採用拡大

ここ数年、大企業の通年採用が増加しています。

これまで、大企業は新卒を一括採用するのが通例で、それ以外のタイミングでは採用活動をしていませんでした。

しかし、2018年に経団連のルール撤廃がされ、

「優秀な人材をより早期に獲得したい」
「通年採用で留学生や帰国子女を採用したい」
「内定辞退者がいた場合に通年採用で対応したい」
「一括採用のスケジュールでは、時間をかけて選考できない」

といった大企業側の事情から、通年採用に切り替えるケースが多くみられます。

大企業にとっては嬉しい変化である一方で、

「中小企業の内定を得た上で、大企業への就活を続ける」
「大企業への就職が決まり次第、中小企業の内定を辞退する」

といった就活生が増えるなど、中小企業への大きな影響が考えられるでしょう。

とりあえず中小企業へ就職しながら、大企業への中途採用を検討するケースも考えられます。

大企業同士の人材取り合いも、これまで以上に活発になると思われます。

このような時代を乗り越えるために、オヤカクで企業の魅力を積極的に伝える必要性がでてきているのです。


理由3:親と子のつながりが深くなっている

40歳以上の世代は、

「自分の将来は自分一人で決めるもの」
「就職のことを親に相談するなんて信じられない」
「子どもがたくさんいて就活に口出しする余裕はない」

そんな親の背中をみて、育ってきたと思います。

ですが、現在は時代が変わり、親子の絆が強い家庭が増えています。

少子化の影響もあり、一人ひとりの子どもに手をかけられるため、友達のような関係の家庭が少なくありません。

進学や恋愛、就職について親に相談するのは当たり前という世の中に変わってきていることから、就職先は親子で決めるのが当然、という時代に変わってきています。

親を置いてきぼりにしてしまうのではなく、子どもと親、双方へ真摯に対応できると、内定受諾につながります。


理由4:ブラック企業やブラック労働が問題化

ブラック企業の問題が露呈し、厚生労働省を中心にホワイトマーク(安全衛生優良企業)制度が進められるなど、働きやすい職場を求める求職者が増えています。

親にとっても、ブラック企業やブラック労働のニュースが多く報道される中、

「大切に育ててきた子どもがブラック企業に入社し、心の病気になってしまったら」
「誰にも言えず無理してしまった結果、過労死してしまったら」

このような不安が大きくなっています。

この問題を解決するためにも、オヤカク対策が欠かせません。

企業が直接説明すれば、ホワイトな印象を届けられます。

ブラック企業ではないとわかりやすく示すため、ホワイトマークや一般財団法人のホワイト企業認定などを積極的に取得し、本人や親にPRすると、内定受諾の可能性が高まります。


オヤカクしなかった場合のトラブル事例

オヤカクしなかった結果、内定辞退や入社後の早期退職につながってしまうことがあります。どのようなトラブルが考えられるのか、事前に確かめておきましょう。


事例1:親が内定先の企業を嫌っている

親が感じている企業イメージが悪い場合、子どもを働かせたくないという気持ちで、反対されるケースがあります。この場合は、悪いイメージを覆すため、オヤカクで企業の良い部分を目いっぱい伝えましょう。企業側からの低姿勢なアプローチが実り、好きになってもらえる場合があります。


事例2:名前を知らない企業だからと否定された

中小企業への入社の場合、地元ではない企業に入社する場合、名前を知らないという理由で否定される場合が少なくありません。

事前にどのような事業を展開している企業なのか、どのような取引先があるのか、信頼につながる実績などと合わせて親へ知らせておきましょう。


事例3:上京や寮生活を親から反対された

子どもが家から離れるのが嫌、そう反対する親の例です。入社にあたって一人暮らしや寮生活が必要な場合は、理由と合わせて企業からどのようなサポートができるのか、きちんと説明しておきましょう。


事例4:業務時間が長いと親から指摘され退社

応募者の親が定時で帰ってくるような場合、残業が多い環境を心配し内定辞退や退社につながる可能性があります。

勤務時間について、業界の常識も交えながら、あらかじめ親に確認を取っておくと安心です。休日や有給制度についてもしっかり伝えておきましょう。


事例5:企業の財務状況を理由に親が辞退を促した

企業によっては財務状況が悪い場合があります。

内定先企業の情報を調べた結果、倒産するのでは? という不安を覚えた親から辞退を促されるケースが少なくありません。

しかし、将来へ投資した結果、一時的に財務状況が悪い場合もあります。なぜ現在の財務状況なのか、将来はどのように事業展開していく予定なのか、理由を伝えて辞退を未然に防ぎましょう。


事例6:オヤカクしない企業は常識がないだと言われた

オヤカクという言葉が知られるようになった結果、
「オヤカクをきちんとしない企業は常識がない」
と言われ、内定受諾につながらなかったケースです。

この傾向は、今後も多くなると思われます。
採用したい求職者にはすべてオヤカクしておくと、企業イメージアップにつながるでしょう。


具体的なオヤカクの対策

安心して入社してもらうために、オヤカク対策が求められています。
どのような対策が必要なのか、具体的にみてみましょう。

  1. 資料を送付する 
  2. 企業サイトのイメージアップ 
  3. 自社商品やサービスを知ってもらう 
  4. 親に手紙を送付する 
  5. 親と直接会う時間を作る


1. 資料を送付する

企業情報を知ってもらうため、応募者の親に対して、会社案内や採用案内などのパンフレット、DVDなどを事前に送付しましょう。

パンフレットが古いままの場合は、入社したくなるデザインに刷新するのも良い方法です。不安を感じている親に向けてのメッセージを合わせて届けると、より印象が良くなります。


2. 企業サイトのイメージアップ

子どもが応募している企業サイトを、事前にチェックする親がほとんどです。時代に合わせて企業ホームページ、採用ホームページをリニューアルしながら、最新の情報を届けましょう。

実際に働いている社員の声を、採用ページやYouTubeを通じて届けると、雰囲気が伝わりやすくなります。

企業サイトがなかったり、古くて更新されていない場合、「いまどき企業サイトもないなんて・・・」と思われてしまう可能性があります。


3. 自社商品やサービスを知ってもらう

商品を製造販売している場合、サービスを展開している場合、自社商品やサービスの利用チケットなどを送り、どのような仕事に携わっているのか知ってもらいましょう。

商品をただ送付するだけでなく、
「ぜひお試しいただければ嬉しく思います」
といった親向けのメッセージを添えるとより好印象です。


4. 親に手紙を送付する

内定を出すと決めたら、あらためて親に手紙を送りましょう。

応募のお礼と合わせて、なぜ内定にいたったのか、理由を個別に説明すると親への良いアプローチになります。

直筆の手紙、社長のサインが入った手紙であれば、より印象が良くなります。
合わせて入社同意書へ親のサインをもらっておくと、内定後のトラブルを避けやすいでしょう。


5. 親と直接会う時間を作る

親の心を動かし、子どもを入社させたい、という気持ちにするなら、直接会うのが最善です。

・採用担当者や社長からご挨拶の電話をする
・親向けの食事会や懇親会イベントを開催する
・採用担当者や社長が直接家へ足を運ぶ

など、実際に電話で話す、顔を見て対話する機会を作り、安心や信頼につなげましょう。

中には遠方まで、社長や採用担当者が家庭訪問する例もあります。
ビデオチャットなども上手に活用しながら、応募のお礼や入社してほしい気持ちを伝えましょう。


まとめ

子どもが安心して働けるよう、親が快く送り出すために、オヤカク対策をする企業が増えています。

パンフレットやホームページに見直すべき点があれば早めに対処して、親にも子にも魅力が伝わる企業情報を提供しましょう。
特にホームページがない、もしくは古いまま更新されていない場合は、早めに対応したほうがよいでしょう。

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ヒトクル編集部
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