内定者フォローとは?効果的なフォローの手順や取り組み事例、便利なツールも紹介!
「内定者フォロー」という言葉をご存知でしょうか?意味としては文字どおり企業が内定した学生等をフォローする行動を指しますが、現在その内定者フォローが重要視されています。
なぜこのような取り組みが活発化しているのでしょうか?そこで今回は内定者フォローが行われている理由や効果が出やすい手順、参考にしたいフォローの事例も含めてご紹介します。
最後には便利な内定者フォローのツールも説明しますので、採用・人事担当者の方はぜひ確認してみてください。
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内定者フォローとは何か?重視されている理由について
内定者フォローとは企業が内定を出した学生や応募者を、内定後にも積極的にフォローし入社へのモチベーションを高め内定辞退などを防ぐ取り組みです。
また、その他にも入社前後でのギャップによる早期離職を防ぐ狙いや、入社前に必要な準備等を行う意図もあります。
このような内定者フォローが増えている主な理由として、下記のような要因が考えられます。
要因① 極端な売り手市場による影響
近年では就職を希望する学生の人数よりも、企業が採用したい人数の方が多い「売り手市場」の傾向になっています。
一時期はコロナウイルスの影響で採用人数は減少した時期もありました。しかし、株式会社リクルートの調査によれば、2023年卒の大学生及び大学院生対象の大卒求人倍率は1.5倍程度と依然として高い水準を維持しています。
また、全国の民間企業の求人総数も直近の2022年から3万人ほど増加しており、学生の民間企業就職希望者数に対して25.8万人の超過需要となっています。
今後、コロナの影響が沈静化し採用活動が本格的に回復すれば、さらに売り手市場の傾向が強まっていくでしょう。
(出典:株式会社リクルート、第39回 ワークス大卒求人倍率調査(2023年卒) 【大卒求人倍率1.58倍】倍率は上昇、採用意欲は回復へ向かう ―中小企業は採用拡大に慎重な姿勢―)
そうなれば企業の人材獲得競争もより活発になり、これまで以上に内定者フォローで優秀な人材を確保する取り組みが必要となってきます。
要因② 採用予定者の内定辞退を防ぐため
前述した要因①とも関連しますが、重要視されている理由として内定者の辞退を防ぐためにフォローを行う背景があります。
売り手市場とされる近年の採用環境では、学生一人が複数社の内定を獲得するケースも珍しくありません。
そのため、優秀な人材が内定辞退で他社に行かないように、内定後も積極的に連絡を取りフォローし、学生からの心象を良くする必要があるのです。
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内定者が入社前に抱える悩みとは?
企業の人事や採用担当者が優秀な人材を確保するためには、内定者が入社前に抱える不安や悩みを知り、適切なフォローを行っていく必要があります。
内定者が抱えやすい悩みには、主に下記のようなものがありますので確認しておきましょう。
① 自身の能力で仕事についていけるか
② 業務でしっかりと成果を出せるか
③ 職場の人間と上手くやれるか
④ 生活環境の変化に対応できるか
⑤ 仕事が自分に合っているか
⑥ 会社の制度や待遇に納得できるか
⑦ 希望していない部署や地域に配属されないか
そして、内定者が主に求めるサポートとしては下記のようなものがあります。こちらもチェックし、入社前の内定者研修や内定者懇親会などで不安解消に取り組みましょう。
① 他の内定者との関係を築く機会が欲しい
② 先輩社員との関係を築く機会が欲しい
③ 社会人としてのスキルや仕事の進め方などを教えて欲しい
④ 業務で必要となる専門的なスキルを教えて欲しい
2023年の内定者フォローの動向
では、直近の企業の内定者フォローの動向として、どのようなサポートが多いのでしょうか?株式会社ディスコが調査した2022年卒の学生に対する調査では、主に下記のような点が挙げられました。
・オンラインでの内定式や内定者同士の懇親会
・オンラインでの社員との懇親会
・人事からの定期的な連絡
・対面での内定者同士や社員との懇親会
・内定者向けのサイトでの企画や他の内定者紹介
・社内報の送付
・社内施設等の見学会
(出典:株式会社ディスコ、調査データで⾒る「内定者フォロー」-2022年卒調査-)
なお、入社意欲が向上したかについては、オンラインよりも対面でのフォローの方がモチベーションの向上になったケースが多いようです。
効果が出やすい内定者フォローの手順について
それでは、実際に内定者フォローを行う場合には、どのような手順で行うと良いのでしょうか。効果が出やすいフォローの手順についてご紹介していきます。
ステップ① 内々定の連絡
まずは内々定の決定を早期に学生に伝えます。採用市場は競合も多いため、早いタイミングで「入社して欲しい」という意思を連絡し、学生からの心象を良くしましょう。また、学生のどのような点を評価して内々定を決定したのかも伝えると、モチベーションが高まり好印象になります。
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ステップ② 面談
連絡後は内定者をフォローする面談を行います。改めて合格を祝福し、内々定通知書や承諾書などを渡しておきましょう。併せて入社までのスケジュールや入社決定時期なども伝えておきましょう。
ステップ③ 内定者懇親会
内定者同士や社員との懇親会を開催します。入社前に同期や先輩社員と関係を作れる良い機会ですので実施しましょう。入社への不安を解消し、意欲を高める上で重要なステップです。
※内定者懇親会は必要? フォローの重要性や進め方・注意点を解説
ステップ④ 内定式
内々定の学生に集合してもらい内定式を行います。多くの企業で10月以降に実施される通例行事であるため、入社への意欲をより高めてもらうためにも実施すると良いでしょう。
ステップ⑤ 入社前研修や内定者アルバイト
内定式から入社までの期間も間がある場合には、内定者研修やアルバイトなどを実施するのも効果的でしょう。社会人としての基本スキル習得や、入社後のイメージを実感してもらうためにも良い機会となります。
採用担当者が知っておきたい内定者フォローの注意点とは?
効果的な内定者フォローを行うためには、フォロー時の注意点も意識しながら学生をサポートする必要があります。注意点については下記のような事項を覚えておきましょう。
注意点① 少人数のイベントも行う
大勢の人数の中では発言が苦手な学生もいますので、内定者それぞれと個別で対話しフォローする機会も設けましょう。
一人ひとりとしっかり向かう姿勢を見せれば、学生の不安が解消され企業イメージも良くなります。
注意点② 懇親会や交流会等に参加する社員を厳選する
内定者フォローでは食事や飲酒をともなう交流会等も行われますが、その際には参加させる社員を厳選しましょう。
お酒を飲むと不適切な態度や言動が出る社員では、内定者から悪い企業イメージを持たれてしまいます。
注意点③ 内定者の都合も配慮しておく
卒業が近い学生は卒業論文やテストなどで忙しい時期もあります。そのため、なるべく内定者の都合も配慮してイベントは企画してあげましょう。
なお、気をつけたいのはイベントの内容を問わず参加することに抵抗を感じる学生がいる点です。社内イベントはあくまで社内イベントであり、内定者に強制すべきではありません。
社員と交流が持てるというメリットを提示した上で、基本的には自由参加であると伝えましょう。また、参加できなかった内定者が不公平と感じないよう、別のフォローもしてあげると効果的です。
注意点④ 手厚すぎるフォローでの馴れ合いに注意
内定者に心を開いてもらう取り組みは大事ですが、あまりにも手厚いフォローで馴れ合いにならないよう注意しましょう。
優しい心遣いや配慮を見せることも大切ですが、時には仕事の厳しさや自らの課題について認識してもらう必要があります。
フォローの中でも学びがあるように企画を設計し、学生気分から脱却してもらいましょう。
参考にしたい内定者フォローの事例10選
続いて、内定者フォローの事例も確認しておきましょう。主なフォローの方法としては下記のような事例があります。
・人事担当者との面談
・ビジネスマナー研修やPCスキル講習
・ビジネスマナー研修やPCスキル講習
・資格取得支援 ・社内報の送付
・オフィスや現場の見学会
・内定者同士の懇親会
・SNSの導入
・座談会
・グループワーク
事例① 人事担当者との面談
内々定や内定承諾後、入社前の時期などに行うと効果的です。学生側への調査でも、不安解消になったフォローとして挙げているのが人事との面談です。
事例② ビジネスマナー研修やPCスキル講習
社会人としてのスキルを磨き基本的なスキルを高める上で効果的です。
事例③ ビジネスマナー研修やPCスキル講習
現場社員から業務の話を聞けるため参考になります。また、入社前に人間関係を構築できるため、入社後の不安解消にもつながります。
事例④ 資格取得支援
専門的な業務の場合には資格取得のサポートもしてあげると学生からは好印象となります。
事例⑤ 社内報の送付
企業の雰囲気や経営者の方針、最新情報などを知らせることができます。入社前後でのギャップを軽減する上でも効果的です。
事例⑥ オフィスや現場の見学会
社内の雰囲気や職場の様子を感じてもらうと学生の入社意欲向上に繋がります。
事例⑦ 内定者同士の懇親会
これから共に働く同期との関係をつくる機会を設けると、不安解消になります。
事例⑧ SNSの導入
内定者同士や企業と連絡が取れるSNSの導入も、入社へのモチベーション維持に役立ちます。
事例⑨ 座談会
内定者や先輩社員と気楽に話せる環境で対話することで、入社への不安を軽減できます。
事例⑩ グループワーク
他の内定者との関係構築や相互理解となり、心理的安全性も向上します。
こんな方法もある!ユニークな内定者フォローの事例3選
一般的な内容としては前述の内容が主な内定者フォローの事例ですが、他にもユニークな取り組みは存在します。そこで、今度は他とは違った面白い内定者フォローの実例も紹介します。
例① 内定者に動画を制作してもらう事
まずは内定者に動画制作をしてもらう事例です。動画の内容も内定者同士で相談し企画も行っていきます。主な内容として、内定者が就職活動で知った知識や先輩社員へのインタビューなどを入れることが多いようです。作った動画は次年度の採用活動で使えるためおすすめです。
その他には、簡単な自己紹介ムービーを作ってもらう取り組みも良いでしょう。自分の長所や過去の経験、入社に至るまでの経緯が整理できますので、モチベーションを高めて入社まで過ごしてもらえます。
事例② お絵描きワークショップ
自分のなりたい姿や変化を絵に描き、グループで深掘りやフィードバックをする事例もあります。将来の自分をイメージする必要があるため、モチベーションの向上に繋がります。また、グループで話すことで他の内定者や社員との人間関係構築にも役立ちます。
ワークショップでは正解もなく自分の考えを話すだけですので、楽しく取り組めてモチベーションを維持できる効果があります。
事例③ 謎解きゲーム
さらにエンターテイメント性の高いイベントとしては、謎解きゲームを実施するフォローなどもあります。内定式で謎解きのゲームを準備し、内定者に謎解きを行ってもらいます。解決すると内定証書が見つかるという面白い仕様です。
こうした取り組みも内定者同士のコミュニケーション機会の創出やサプライズ演出にもなるため、企業に対するイメージは良くなるでしょう。既存社員だけでの親睦を深める社内イベントなどを、内定者フォローで行ってみるのも効果的です。
コロナ禍でも可能なオンラインでの内定者フォロー施策例3選
続いてオンラインでもできる内定者フォローの実例についてご紹介します。コロナによる影響を気にする必要がないため、取り組んでみると良いでしょう。
事例① オンラインでの内定者懇親会
これまで会場などで食事しながら行っていた内定者懇親会を、オンラインで実施する企業が増えています。基本的には経営者や上司からの話、内定者同士の交流がメインですので、Zoomなどを活用すればオンラインでも開催は可能でしょう。
その他にも、前述したゲームや座談会などをプログラムに取り入れる事例も近年では多くなっています。
事例② オンラインワークショップ
対面で行っていたワークショップをオンラインで行う事例もあります。共通のテーマや課題などを出して、グループごとに分かれ解決方法を議論します。コミュニケーション能力向上や内定者同士の相互理解、チームワークの醸成にも役立ちますので取り入れてみましょう。
オンラインでは手作業での共同作業は難しいため、ビジネスにおける課題のテーマを設定し、解決策を発表するプレゼンの形式が良いでしょう。
事例③ e-ラーニング
定番にはなりますが、e-ラーニングの導入もオンラインでできる内定者フォローで多い事例です。最近では課題の取り組み状況や学習スピードをリアルタイムで把握し、社員を個別にフォローする企業も増えています。
導入には初期コストが掛かるデメリットはありますが、時間や場所を選ばずに各社員のフォローやスキルアップ支援ができるため人材育成にも効果的です。
知っておくと便利な内定者フォローのツール
最後に便利な内定者フォローツールもご紹介していきます。様々なタイプがありますので、自社で行いたい施策に合わせて利用を検討しましょう。
ツール① バヅクリ
※https://buzzkuri.co.jp/
社員同士の交流を深められる社内イベントや研修を提供するサービスです。複数人で課題解決やゴールを目指す「チームビルディング」の意識向上ができるプログラムが受けられます。「アソビ」を通じたワークショップでモチベーションを維持できますので、堅苦しい研修にしたくない場合におすすめです。
ツール② Chaku2 NEXT
※https://www.chaku2.jp/
Chaku2 NEXTはSNS投稿機能のあるコミュニケーションツールです。内定者に社内の雰囲気や先輩社員の働く様子などを撮影した投稿写真を見てもらえます。1対1でのメッセージやグループトークも可能ですので、個別連絡やエリア・職種ごとに連絡したい時も便利です。
また、プッシュ通知機能もありますので、メッセージの開封率も上がり綿密なフォローを行うこともできます。その他、アンケート機能や社員プロフィール掲載機能、Q&A機能なども活用すれば、入社後のギャップ軽減効果も得られるでしょう。
内定者辞退の防止には積極的な連絡や発信が不可欠!
内定者が抱える悩みや内定者フォローが重視される背景、手順や事例も紹介しました。優秀な人材の獲得競争が激化している昨今では、いかに内定者にとって「良い企業か」を示す必要があります。
そのためには、内定通知を出して時々連絡をするだけでなく、入社に対する不安や悩みをケアし、積極的にフォローしていく施策も行いましょう。ぜひ、本記事を参考にしながら内定者フォローの取り組みを実施してみて下さい。
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