ポテンシャル採用とは?導入のメリット・デメリット・事例を紹介!

ポテンシャル採用とは?導入のメリット・デメリット・事例を紹介!
目次

経験や能力ではなく、その人材の潜在能力に着目した「ポテンシャル採用」という採用方法を取り入れる企業が増えています。

ポテンシャル採用とは、どんな採用方法なのか。
導入する企業が増えている背景やメリット・デメリット、導入のポイントや事例をご紹介いたします。


ポテンシャル採用とは?


「ポテンシャル」という言葉には、潜在能力や可能性、将来性といった意味があります。
「ポテンシャル採用」はその名の通り、応募者が持つ潜在能力や将来性に着目した採用方法です。

現時点では業界経験やスキルがない応募者であっても、企業側が将来的に伸びると判断した場合は採用につながります。

大手企業を中心に導入が進むポテンシャル採用ですが、誰でも応募できるわけではありません。新卒や第二新卒を中心とした、30歳までを対象にしている例が一般的です。

ポテンシャル採用を導入する企業側の手腕が高ければ高いほど、潜在能力を引き出し、大きな戦力にできるでしょう。


ポテンシャル採用に注目があつまる理由

ポテンシャル採用を積極的に取り入れる企業が増えている背景に「少子化」が挙げられます。

人材不足が年々深刻になり、中途採用が難しくなる中、少しでも自社へ入社する若手を確保したいという想いで導入が進められています。

応募者の潜在能力を見抜ければ「伸びしろが大きい人材を獲得できる」という点がポテンシャル採用のメリットです。

IT業界、メディア業界、エンジニア業界など、ポテンシャル採用の動きが広まったことで、採用後の指導・研修に取り入れるべき内容も知られるようになりました。

当社で実施した採用担当者調査でも、中途正社員採用において「経験よりも他の要素を重視する」と回答した企業が4割超え、他の要素として「社風マッチ」や「ポテンシャルを感じるかどうか」を重視する声が多かったです。

●「経験よりも他の要素を重視して採用する」と回答された方に伺います。重視する要素は何でしょうか?

経験よりも「ポテンシャル」を重視!【採用担当者366人アンケート】


ポテンシャル採用のメリット


ポテンシャル採用ですが、若手人材を採用できること以外にも多数のメリットがあります。


メリット1:意欲的な人材を採用できる


新卒一括採用や第二新卒採用は、所持している資格やスキル、学歴といった部分から応募者を絞り込むケースが多く、人材の持つポテンシャルには触れづらいという点がありました。

ポテンシャル採用の場合、応募条件がゆるく設定されるケースが多く、これまでに出会えなかった可能性を持った人材と出会いやすくなります。

ポテンシャル採用を希望する応募者は、新しい職場へのやる気に満ちている傾向にあります。このことからもポテンシャル採用は、より意欲的な20代を採用できるチャンスです。


メリット2:基礎的な研修を省略できる


新卒以外の人材をポテンシャル採用する場合、社会人としての基本的なマナーをすでに習得しているので新人研修の時間や費用を削減できます。

入社後はすぐ、ポテンシャル開花に向けた教育へ入れるため、時間を有効活用できるでしょう。

このような基礎研修費を浮かせるため、ポテンシャル採用へ力を注いでいる企業が少なくありません。

「せっかく新人を育成してもすぐに辞めてしまう」
「新人研修のコストが企業の財政面に影響を与えている」
という場合は、ポテンシャル採用の幅を広げてみましょう。


メリット3:年齢構成を刷新できる


年齢に応じた教育を施して、適齢期になったら管理職に昇進する。
ポテンシャル採用は、このような年齢構成の刷新を図れます。

他社で優れた教育を受けてきた、スキルの高い求職者を採用することで、自社教育するよりも早く責任あるポジションを用意できるでしょう。

「新卒採用を控えた結果、社内の平均年齢が上がってしまっている」という場合も、ポテンシャル採用が解決の一手になります。


メリット4:学生の取り合いをしなくても良くなる


新卒一括採用を導入している場合、毎年限られた学生を、ライバル企業と取り合うことになります。より良い候補者と出会うためには、多額の広告費が必要になり、コスト面で負担を感じている担当者の方が少なくありません。

学生採用をポテンシャル採用へ切り替えると、この取り合いから抜け出せます。
採用にかかるコストを大幅に減らしながら、やる気あふれる若い世代と出会いましょう。


メリット5:ダイバーシティ化を進められる


ポテンシャル採用は、社内のダイバーシティ化(多様な人材を雇用すること)を進めている企業と相性が良い人材採用方法です。

「新しいアイデアを取り入れたい」
「これまでにない風を吹き込みたい」
という場合は、ポテンシャル採用で他業種の経験者を採用してみましょう。

小売業界の営業担当をマーケティング採用、マスコミ関連業のディレクターをエンジニア採用など、たくさんの若手が異業種で活躍しています。

売上が伸び悩んでいる原因を打破できたり、斬新な改革で新しいイベントや企画にチャレンジしたり、ポテンシャル採用人材が会社の未来を大きく変えるきっかけになります。


ポテンシャル採用のデメリット3つ

将来性の高い求職者に出会えるポテンシャル採用ですが、メリットだけではなく当然デメリットもあります。


デメリット1:業界知識の教育が必要


ポテンシャル採用候補者は、別の企業で新人教育や業界知識を学んでいます。

これらの経験に期待を寄せる一方で、自社業種の知識を新しく教える機会が必要です。

業界によっては、一から指導するのに時間がかかる可能性があります。今後ポテンシャル採用を日常化させたい場合は、ポテンシャル採用人員向けの教育マニュアルや進め方を決定しておくのがおすすめです。


デメリット2:ポテンシャルを開花できるとは限らない


ポテンシャル採用で入社した人材の潜在能力をどう引き出すかは、企業の手腕にかかっています。
「ポテンシャルがあるから、勝手に育ってくれるはず……」
このような考えでは能力を開花できないまま、普通の社員として終わってしまうかもしれません。

ポテンシャル採用の若手人材には、モチベーション高く仕事に取り組める環境が必要です。

なぜ採用したのか、理由を明確にした上で、採用者に期待している仕事、動きを共有しておくと潜在能力開花までのスピードを早められます。


デメリット3:条件によっては再転職の可能性も


ポテンシャル採用に応募する人材の多くは転職に積極的なタイプです。
そのため経験を積んだ後、再びポテンシャル採用やキャリア採用を目指す可能性が当然考えられます。

長く働いてもらうなら能力を思う存分発揮できる環境だけでなく、良好な人間関係、働きに見合った給与も重要です。

転職が多い業界である場合はより慎重にポテンシャル人材が輝ける企業体制で迎えましょう。


ポテンシャル採用を導入する際のポイントや注意点


ポテンシャル採用に成功している企業、失敗してしまった企業には、採用の進め方に違いがあります。どのようなポイントに注意して採用するべきか、導入前にチェックしておきましょう。


1:求めるポテンシャルを明確にする


ポテンシャル採用と一言で表しても採用基準は企業によって違います。

「提案力のある人材が欲しい」
「リーダーとして活躍できる人材が欲しい」
「営業力やコミュニケーション力が高い人材を探している」

など、どのようなタイプの候補者に向けて発信するべきか、じっくり検討するとミスマッチを防げます。

応募者の持つ潜在能力は、書類や面接だけでは見抜きづらい部分です。
潜在能力の診断テストなどを用いて「どのような人物なのか」読み解くのも良い方法です。


2:入社後の待遇・キャリアビジョンを共有


ポテンシャル採用を取り入れる企業が増える今、優秀な人材を得るためには、他社以上のメリットを伝える必要があります。

採用情報に興味を示した候補者が、
「一緒に働きたい!」
という気持ちになるように、求人要項や面接で入社後の待遇やキャリアビジョンを共有しましょう。

採用を成功に導くなら、応募者がどのようなキャリアを歩みたいのか、丁寧に聞き出す時間を持ちましょう。希望に対して、企業ができるサポートや用意できる待遇を提示できれば、入社の可能性を大いに高められます。


3:候補者に応じたアプローチ


候補者は、様々な方法でポテンシャル採用の求人を探しています。

この候補者に届く形で採用活動を進めなければ、応募には至りません。

採用したい人材が、スマホやSNSを多用する年代であれば、Web検索に強い求人媒体を選ぶ必要があります。求人サイトを活用するのか、転職エージェントを利用するのか、スカウト型サイトから探すのかなど、幅広い可能性からアプローチ法を決定しましょう。

すでに導入している大手企業を見てみると、自社ページや求人サイトからポテンシャル採用の案内を出しているケースが一般的です。

採用サイトがない場合は、安価に簡単に作れる採用管理システムを利用するのも一つの手です。採用サービス「ワガシャ de DOMO」は採用サイトを安価に簡単に作成でき、さらに求人票の作成や運用もプロが代行するサービスです。


優れたポテンシャル人材の見抜き方

ポテンシャル人材を受け入れる準備が整ったら、次に企業にとってプラスになる候補者の見抜き方を覚えておきましょう。学歴や経験がなくても就職・転職できるポテンシャル採用だからこそ、知っておきたい選び方を紹介いたします。


1:意欲的な人材であるかどうか


ポテンシャル採用は、入社後の意欲的な学習・行動が求められます。

新しい環境であっても積極的に飛び込む意欲があるか、知識を高めたいという前向きな気持ちがあるかという点を考慮し、採用を検討しましょう。


2:志望動機が自社とマッチしているかどうか


ポテンシャル採用を目指す人材がなにを目指しているのか。
この志望動機と企業の考えがマッチしている場合、早期に大きな戦力となる人材である可能性が高いでしょう。

前職のスキルや経験、机上のポテンシャル診断結果だけでなく、どのような思いで入社を検討しているのか、気持ちに向き合いながら最適な人材を採用しましょう。


3:企業理念や方向性への理解があるかどうか


ポテンシャル採用候補者の多くが、これまでに他業種を経験しています。

20代を中心とした若い世代のため、すぐに切り替えられる場合が多いのですが、前職と比較しがちだったり、方向性に理解がなかったりする場合、ミスマッチにつながる恐れがあります。

会社全体の考え方、向かっていきたい未来像など、事前に理解を求めた上で、一緒に歩んでいけるかどうか見極めましょう。


ポテンシャル採用の導入事例

ポテンシャル採用を導入している企業は、制度をどのように活用しているのでしょうか?
大手企業の導入事例をみてみましょう。


ヤフー株式会社


https://about.yahoo.co.jp/hr/potential/

ヤフーでは、2016年から新卒一括採用が廃止になり、30歳以下を通年で採用するポテンシャル採用とキャリア採用のみが導入されています。

学生のための施策で、学業に集中したい学生、海外留学している学生を中心に、自由な就活ができると好評で、採用数も伸びているそうです。


サイボウズ株式会社


https://cybozu.co.jp/recruit/entry/potential/

もともと若い世代を採用するためのU-29採用を導入していたサイボウズ株式会社。
より採用の幅を広げるため、現在は年齢や経験不問のポテンシャル採用を取り入れています。

実際にさまざまな職種でポテンシャル採用人材が活躍中。
応募要件や企業理念に共感した応募者が、毎年集まっています。


株式会社エイベックス


https://recruit.avex.co.jp/2022recruit/

株式会社エイベックスでは「“志”ポテンシャル採用」という名で、社会人歴4年未満の人材を募集しています。何度でもチャレンジできるオープンポジション採用が特徴です。

HPに候補者へのメッセージや先輩の事例など、参考になる情報が多数掲載されています。これからポテンシャル採用をはじめるなら、ぜひ目を通してみてください。


まとめ

2021年、経団連が、「新卒一括採用を見直すように」と企業へ促す方針を出したことで、多くの企業がポテンシャル採用への転換をはじめています。

廃止になるという話はまだありませんが、今後ポテンシャル採用枠が主流になれば、自由な時期に就職活動できる社会が当たり前になるかもしれません。

「多彩な人材と出会いたい」
「より力のある社員を採用したい」

このように考えている採用担当者・人事担当者の方はぜひ、ポテンシャル採用を導入してみてください。ポイントをしっかり押さえて、長く活躍してくれる人材を確保しましょう。

ヒトクル編集部
記事を書いた人
ヒトクル編集部

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