2022年女性活躍推進法の改正や企業に必要な取り組みを解説!

2022年女性活躍推進法の改正や企業に必要な取り組みを解説!
目次

日本では少子高齢化により労働人口が減少しており、女性の力が求められています。働き方改革でも女性の活躍や働きやすい環境を目指す取り組みが進んでおり、「女性活躍推進法」もそのひとつとして制定されました。

2022年4月には改正女性活躍推進法が全面施行され、一般事業主⾏動計画の策定や情報公表の義務が、常時雇用する労働者数 が301人以上の事業主から101人以上の事業主まで拡大されました。

そこで今回は「女性活躍推進法」について、その改正内容や制定の背景、企業が取り組むべきことなどを確認していきます。

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女性活躍推進法とは?

女性活躍推進法の正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」と言います。

2016年に施行された同法律は、2019年6月に一部改正、さらに2022年4月に全面施行されました。自らの意思で働き、活躍したいと希望する女性のために、個性や能力を発揮できる社会の実現を目指し制定された経緯があります。

主な内容としては国や自治体、企業の事業主に女性の活躍状況の把握や、女性の活躍推進に向けた行動計画の策定・公表を義務付ける法律になります。

施行された当初は「常時雇用する労働者が301人以上の事業主」が対象とされていました。しかし2022年4月の全面施行に伴い「常時雇用する労働者が101人以上の事業主」に対象が拡大されました。

さらに2022年7月の改正により、常時雇用する労働者が301人以上の事業主を対象として、「男女の賃金の差異」が情報公表の必須項目となっています。


女性活躍推進法で企業が取り組むべきこととは?

それでは、女性活躍推進法の制定・改正によって、企業が取り組むべき内容を確認していきます。同法律によって、常時雇用する労働者が101人以上の事業主は下記の取り組みを行う必要があります。

【対象】 
 常時雇用する労働者が101人以上の事業主  

【3つの取り組むべきこと】  
① 自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析  
② 状況把握・課題分析を踏まえた行動計画の策定・社内通知・公表 
③ ⾏動計画を策定した旨の届出


ここからは、3つの取り組むべきことの詳細に関して解説します。


① 自社の女性の活躍に関する状況把握・課題分析

最初に自社の女性労働者がどの程度活躍しているか、現状把握と課題分析を行います。基礎項目として必ず把握すべき内容が下記の4つ。各項目で数値を算出して現状把握を行い、数値が低い項目があれば課題を抽出し分析します。

● 採用した労働者に占める女性の割合
<目的>…男性の方が採用で優位になっていないか確認
<計算方法>…女性の採用者数÷全採用者数×100

● 男女の平均勤続年数の差異
<目的>…勤続年数の増加に伴い女性比率が減っていないか確認
<計算方法>…女性の平均勤続年数÷男性の平均勤続年数×100

● 月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況
<目的>…長時間労働が必要以上に行われていないか確認
<計算方法>…月ごとの対象労働者の残業時間数合計÷対象労働者数

● 管理職に占める女性労働者の割合

<目的>…女性管理職の比率が少なくなっていないか確認
<計算方法>…女性の管理職数÷全体の管理職数×100


② 状況把握・課題分析を踏まえた行動計画の策定・社内通知・公表

①の状況把握と課題分析を踏まえ、抽出された課題を改善する『一般事業主行動計画』の策定を行います。計画に関しては、下記の4つの事項を取り入れて作成を行うようにします。

● 計画期間
 → 平成28年~令和7年までの期間を、おおよそ2~5年という期間で区切ります。

● 数値目標
 → 状況把握と課題分析で抽出された問題に対して、最も大きな問題から優先的に対応し、数値目標を定めます。

● 取組内容
 → 数値目標を設定した後、その項目をどのように達成するか検討し、必要な取り組み内容を決定します。

● 実施時期
 → 上記の取り組みから必要なタスクなどを決定し、実施する時期とともに記載します。

一般事業主行動計画の策定が終わりましたら、策定した計画の周知を社内で行うようにしましょう。

【社内周知の方法】 
事業所の廊下や休憩所などへの掲示、メールでの送付 
社内ネットワークへの掲載、書面での配布など



そして、行動計画は外部公表も行う必要があります。

 【外部への公表方法】 
・会社ホームページへの掲載 
・厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」への登録 



【情報公開する項目】
常時雇用する労働者が101人以上300人未満の事業主は、下記16項目から1項目以上の情報公開が必要です。



2022年7月の改正により、常時雇用する労働者が301人以上の事業主は、「男女の賃金の差異」に関する情報公開が義務付けられました。

●「男女の賃金の差異の情報公表のイメージ」

厚生労働省|女性活躍に関する情報公表について


③ 自社の女性の活躍に関する情報の届出

行動計画を策定したら管轄の労働局への届出を行います。電子申請や郵送、持参でも届出は可能です。届出の様式は厚労省のホームページからダウンロードが可能です。

※厚生労働省「女性活躍推進法女性活躍推進法特集ページ(えるぼし認定・プラチナえるぼし認定)」内の「一般事業主行動計画の策定について」でダウンロードできます。

【様式第1号(省令第一条及び第五条関係)】


えるぼし認定で大きなメリットも!

前述した行動計画の策定・届出によって、女性の活躍推進への取り組みが優良と判断され、かつ要件を満たすと「えるぼし認定」を受けられます。認定を受ければ公共調達での加点評価や、日本政策金融公庫の「働き方改革推進支援資金」を低金利で利用できます。

さらに「えるぼし認定」のうち、より高い水準の要件を満たした企業は、特例認定制度の「プラチナえるぼし認定」を受けることができます。プラチナえるぼし認定を取得すれば、行動計画の策定免除などの特典が受けられます。

こうした認定を受けることで、厚労省の認定マークを名刺、商品、広告などに使用することが可能になりますので、企業のイメージアップ効果も期待できるでしょう。


女性活躍推進法が施行された背景について

女性活躍推進法が施行された背景には、日本における女性の地位の低さや就業割合の低さ、性別での格差や不平等を是正する目的があります。女性の活躍を後押しする制度としては、1986年に男女雇用機会均等法、1991年には育児休業法などの制定で、女性の社会進出はサポートされてきました。

しかしながら、先進諸外国と比較すると日本は依然として女性の管理職の割合が少ない状況です。非正規雇用の割合でも女性は非常に高く、出産時期や育児時期における就業率の低下も問題視されています。

また、世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数2020」という男女格差を測る指標においては、日本は153ヵ国中121位という低さであり、男女間の不平等さも際立っている状況です。

さらに今後は、少子高齢化により労働人口が減少します。そのため、女性の就労は日本の労働力確保に欠かせないものとされているのです。


女性活躍推進法で期待される効果、メリットとは?

上記の様な女性活躍推進法による取り組みが活発になり、女性が活躍できる環境づくりが進めば様々な効果も期待されます。将来的な労働力不足の解消をはじめ、出産や育児で能力の向上や就労が難しい女性のキャリア形成にも役立つと考えられます。

また、企業にとっても女性活躍推進に取り組めば、下記の様なメリットがあるでしょう。

● 企業のイメージアップや認知度の向上
● 公共調達や融資において優遇される
● 女性活躍や職場環境改善で助成金を申請できる
● 多様な人材を雇用するためのノウハウも獲得できる


女性活躍のための計画は立てるだけでなく実行しましょう!

女性活躍推進法は、2022年の改正で常時雇用している従業員数が101人以上の事業主が対象となりました。まだ手探りの企業も多いとは思いますが、取り組みのメリットは企業にも多くあります。

ぜひ、本記事を参考にしながら、計画するだけでなく実際に女性が意欲的に働ける環境を整え、多様な人材が活躍できる企業を目指していきましょう。

ヒトクル編集部
記事を書いた人
ヒトクル編集部

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