2022年最低賃金は30円~33円の大幅UPの見込み。最低賃金の基礎知識も解説

2022年最低賃金は30円~33円の大幅UPの見込み。最低賃金の基礎知識も解説
目次

例年10月に改定される最低賃金。2022年も厚生労働省から全国の改定後の最低賃金額の答申状況が発表されました。

2022年の最低賃金は都道府県によって異なりますが、30円~33円の上げ幅となり、昭和53年度に目安制度が始まって以来の最高額となります。

最低賃金改正にともない本記事では、2022年の最低賃金改定の概要、最低賃金の基本、種類、決め方、上昇する背景について解説します。

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2022年の最低賃金改定の概要

2022年9月現在、厚生労働省の発表によると2022年は各都道府県で30~33円ほど最低賃金が引き上げられる見通しとなっています。

【地域別答申状況(一部抜粋)】


※厚生労働省「令和4年度 地域別最低賃金答申状況」


最低賃金とは?

最低賃金は、従業員を雇用するにあたりどのような意味を持つのでしょうか。
まずは、そもそも最低賃金とはどのような概念なのか、意義・役割を確認していきましょう。


最低賃金制度における「賃金の最低限度」のこと

最低賃金とは、最低賃金制度における、賃金の最低限度のことです。
国は、企業・組織が労働者を雇用する場合の賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の金額を支払うことが義務付けられます。

最低賃金に関するルールは「最低賃金法」で定められており、その目的は「労働者の生活の安定と労働力の質的向上、及び事業の公正な競争の確保」にあります。
また、最低賃金の対象となるのは「基本給」と「諸手当」に限られるため、例えば以下のような手当等は最低賃金に含まれません。

・精皆勤手当 
・通勤手当 
・家族手当 
・時間外勤務手当 
・休日勤務手当 
・深夜勤務手当 
・ボーナスや結婚手当 など 


最低賃金は、あくまでも「賃金最低額」を定めたものなので、最低賃金以上の賃金を支払う分には問題ありません。
逆に、労働者に対する最低賃金未満の支払いが露見した時点で、雇用者は何らかのペナルティを課せられます。


最低賃金額より低い賃金は無効

最低賃金に地域差が生じている現実はともかく、最低賃金という概念自体は制度・法律で保護されているため、企業はルールに従わなければなりません。
仮に、最低賃金額よりも少ない賃金を労働者に支払ったとしても、それは法律によって無効となり、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

これは、最低賃金額よりも低い賃金を、労働者・使用者双方の合意の上で定めた場合でも同様です。
要するに、最低賃金を下回る賃金を企業が支払った場合、最低賃金額と比較した際の差額を支払う必要があります。


法律で罰則も定められている

最低賃金の支払いが正しく行われていない場合、使用者は法律に定められている罰則の対象となる可能性があります。

大まかに罰則についてまとめると、

・地域別最低賃金額以上の賃金を支払わない使用者は、50万円以下の罰金 

・特定(産業別)最低賃金額以上の賃金を支払わない使用者は、30万円以下の罰金


上記の罰則の対象となる可能性があります。

よって、使用者は事業所の所在地の最低賃金以上の額の賃金を、労働者に支払わなければなりません。
労働基準監督署も、最低賃金違反は重点的に監督・指導する立場ですから、企業は最低賃金を下回ることのないよう十分注意する必要があります。

ただし、別々の都道府県に本社と事業所が分かれている場合、事業所の規模がごく小規模で独立性がない場合は、本社機能を持つ事業所と同一とみなされます。
その場合、本社機能をもつ事業所の所在地の最低賃金が採用される可能性がありますので注意が必要です。


最低賃金の種類について

最低賃金は、地域別最低賃金・特定最低賃金の2種類に分かれています。
以下、それぞれの種類について触れつつ、最低賃金が適用される労働者や最低賃金の計算方法について解説します。


地域別最低賃金

最低賃金の具体的な金額は都道府県ごとに異なり、最低賃金額は時間(時給)によって定められます。
この都道府県ごとに異なる賃金を「地域別最低賃金」といい、産業や職種に関わりなく、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその雇用者に対して適用されます。

最低賃金法によると、地域別最低賃金は、以下の3点を総合的に勘案して定めるものとされています。

・地域における労働者の生計費 
・地域における労働者の賃金 
・通常の事業の賃金支払い能力


都道府県ごとの最低賃金を見ると、東京・神奈川・大阪・愛知など、大都市圏ほど最低賃金が高い傾向にあります。働く人の生活費や企業の賃金支払い能力などを考慮した結果、このような地域差が最低賃金の決定に反映されています。

ちなみに、最低賃金の額を全国一律に調整するかどうかは難しい問題で、仮にすべての都道府県で最低賃金を一律にした場合、賃金を支払えず採用を見送る企業が増えるものと推察されます。

その一方で、地域差が激しくなると、最低賃金の低い地方から高い都市部へ人口が流出してしまうおそれがあるため、極端な賃金差が生まれるのも好ましくない状況と言えるでしょう。


特定最低賃金

特定最低賃金とは、特定の産業につき設定されている最低賃金のことで、産業別最低賃金とも呼ばれます。
企業内の賃金水準を設定する際の、労使の取り組みを補完するものという位置づけです。

関係労使の申し出に基づいて、最低賃金審議会の調査審議を経た後、同審議会が「地域別最低賃金よりも金額水準の高い最低賃金を定めること」が必要と認めた産業に設定されています。

例えば、2021年度の「特定最低賃金の審議・決定状況」を見てみると、北海道の地域別最低賃金は889円となっています。
しかし、以下の4業種においては、特定最低賃金が地域別最低賃金よりも高くなっています。


※参照元:令和3年度 特定最低賃金の審議・決定状況

また、地域によって、特定最低賃金に該当する産業やその数は異なります。
もし、特定最低賃金よりも地域別最低賃金が低い業種があった場合、その業種に関しては地域別最低賃金額が適用されます。


最低賃金が適用される労働者

地域別最低賃金は、産業・職種にかかわらず、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその雇用者に適用されます。
よって、正社員だけでなく、以下の雇用形態の労働者も対象となります。

・パートタイマー 
・アルバイト 
・臨時、嘱託職員

※参照元:最低賃金の適用される労働者の範囲

特定最低賃金は、各都道府県で特定最低賃金の対象となっている産業の基幹的労働者と、その雇用者に適用されます。
ただし、以下の人は適用の対象から除外されています。

 ・18歳未満または65歳以上の者  
・雇入れ後一定期間未満で技能習得中の者
  ・その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する者(清掃や片付けなど)  


※参照元:最低賃金の適用される労働者の範囲/奈良労働局 最低賃金制度


最低賃金の減額が認められている労働者

原則として、最低賃金はすべての労働者に適用されるルールです。
しかし、一般的な労働者に比べて著しく労働力が低い場合など、最低賃金を一律に適用すると逆に雇用機会を狭めるおそれがある労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件に、個別に最低賃金の減額の特例が認められています。

具体的には、以下の労働者につき、特例が認められます。

・精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者 
・試用期間中の者 
・基礎的な技能等を内容とする認定職業訓練を受けている人のうち、厚生労働省令で定める者 
・軽易な業務に従事する者 
・断続的労働に従事する者 


※参照元:最低賃金の適用される労働者の範囲


最低賃金はどのように決まるのか

最低賃金は、最低賃金審議会において、賃金の各種統計資料をもとに審議を行い決定します。
最低賃金審議会とは、厚生労働大臣または都道府県労働局長の諮問に応じて、最低賃金に関する重要事柄を調査・審議する組織のことです。

中央最低賃金審議会は厚生労働省に設置されており、地方最低賃金審議会は各都道府県労働局に設置されています。

地域別最低賃金を決める場合、毎年、中央最低賃金審議会が「金額改定のための引き上げ額の目安」を提示し、その目安を参考にする形で、地方最低賃金審議会が地域の実情に応じた改正に向けて審議を行います。

このような流れで最低賃金を決定することにより、全国的な整合性を図ります。


最低賃金が上昇する背景

2016年の「経済財政運営と改革の基本方針」の中で、最低賃金に関しては、以下のような具体的な数値目標が掲げられています。

最低賃金については、年率3%程度を目途として、名目GDPの成長率にも配慮しつつ引き上げていく。これにより、全国加重平均が1000 円となることを目指す。

※引用元:経済財政運営と改革の基本方針 2016 について


この方針は、2022年においても引き継がれているため、最低賃金の上昇自体はある程度予想できたものと考えられます。

その他、「社会情勢の変化にともなう物価上昇」も背景にあるという意見もあります。
ロシア・ウクライナ情勢の悪化は、急激な物価の上昇を招いており、労働者の家計だけでなく企業経営にも影響を与えています。


他社の動向をチェックしましょう

今回の最低賃金改定に伴い、現在最低賃金を割っている企業はもちろん、それ以外にも時給の見直しが必要な企業がでてくるでしょう。

採用担当者のみなさんは、まずこの機会に自社の時給が、同じ職種・同じ地域の他社と比較して適正かどうかを確認しましょう。

そのうえで、周辺の企業の時給の動向をチェックしておくことが大事です。

求職者が仕事探しで重視しているのは、もちろん給与だけではありません。採用ターゲットを設定したうえで、それに合った採用手法・訴求点・募集条件・採用期間を最適化する必要があります。

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ヒトクル編集部
記事を書いた人
ヒトクル編集部

「ヒトクル」は、株式会社アルバイトタイムスが運営する採用担当者のためのお役立ちサイトです。

「良いヒトがくる」をテーマに、人材採用にかかわる方々のヒントになる情報をお届けするメディアです。「採用ノウハウ」「教育・定着」「法務・経営」に関する記事を日々発信しております。各種お役立ち資料を無料でダウンロ―ドできます。

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杉本雄二 社会保険労務士法人ローム静岡 所長
監修した人
杉本雄二 社会保険労務士法人ローム静岡 所長

求人情報誌発行・人材派遣の会社で広告審査や管理部門の責任者を18年経験。 在職中に社会保険労務士試験に合格し、2005年に社会保険労務士杉本事務所を起業。 
その後、2017年に社会保険労務士法人ローム(本社:浜松市)と経営統合し、現在に至る。 静岡県内の中小企業を主な顧客としている。
顧客企業の従業員が安心して働ける環境整備(結果的に定着率の向上)と、社長(人事担当者含む)の悩みに真摯に応えることをモットーに活動している。