採用活動における動画の活用法|作り方や外注の注意点も解説
昨今、応募する企業がどのような仕事をしているのか、社内がどのような雰囲気なのか、求職者はできるだけ具体的に知りたいと考える傾向が強くなっています
YouTubeや動画配信コンテンツが普及しているなか、自社の採用活動においても動画を活用する企業が増えてきています。
この記事では、自社で求人動画の活用を検討している人事担当者向けに、
- 採用活動において求人動画を活用する重要性
- 求人動画のコンテンツ例
- 求人動画の基本的な映像制作の方法
- 外注時の注意点
上記の内容について解説します。
求人動画(採用動画)とは
求人動画とは、Web上で採用に関する情報を動画コンテンツとして作成したもので、採用動画または求人広告動画と呼ばれることもあります。
従来の採用情報は、テキスト(文章)と写真(静止画)の組み合わせで構成されているものが多い傾向にありました。
しかし、音楽や動きのある動画を活用すれば、文章と静止画の組み合わせよりも多くの情報を伝えることができます。
求人動画は、採用サイトや企業の採用ホームページ・YouTubeチャンネルなどに掲載され、SNSや広告などを通じて拡散することもあります。
企画の方向性次第では、求職者の採用を目的とした動画作りに限らず、広く自社のファンを作るために動画を作成するケースも多く見られます。
求人動画が採用活動において注目されている理由
求人動画が注目されている理由としては、大きく分けて以下の3つが考えられます。
- 求職者とのコミュニケーションの変化
- 求職者の働き方における価値観の変化、多様化
- 求職者が転職先を探す際の意識の変化
以下、それぞれの理由について詳しく解説します。
求職者とのコミュニケーションの変化
求職者の仕事探しは、求人誌をはじめとした紙媒体が中心の仕事探しから、Webでの仕事探しが主流になっています。
新型コロナ禍により外出自粛が続いたこともあって、人々がYouTubeなどの動画コンテンツを見る機会が増え、採用活動においても動画コンテンツの活用が注目されるようになりました。
特に、新卒採用では、今まで以下のような手法で学生とコミュニケーションを図ってきたため、新型コロナ禍の影響は大きなものでした。
- 合同企業説明会
- 社員との座談会
- インターンシップ制度 など
応募者と対面で接触する機会が制限されたことで、より求職者に対して生に近い情報を提供するため、動画活用に力を入れ始める企業が急増したものと考えられます。
求職者の働き方における価値観の変化、多様化
求職者の働き方における価値観は、一昔前と比べて変化しています。
大手企業で昇進に向けてハードワークを重ねるといった、昭和的で画一的な働き方は、急激に陳腐化しています。
弊社が2020年10月に求職者に対して行った意識調査によると、以下のような結果が出ています。
【仕事探しの際に重視すること(価値観)】
調査結果を見ると、転職希望者が仕事探しの際に重視する点のトップ3は、以下の通りです。
- 人間関係のよい職場環境で働く(53.8%)
- やりがいのある仕事をする(50.6%)
- プライベートのバランスがとれる時間帯で働く(46.8%)
結果を見る限り、自分の人生をどう充実させるのかを考えながら、仕事を探している求職者が多いことが分かります。
特に顕著な傾向として「管理職などのポストに就く」と回答した割合が6.4%となっており、企業で部下を束ねる生き方は、求職者にとって魅力的でなくなりつつあります。
求職者が転職先を探す際の意識の変化
新型コロナ禍によって、テレワークなど新しい働き方が世の中に浸透したことにより、求職者の転職活動に対するスタンスにも変化が及んでいるものと推察されます。
「働きやすくなったからしばらく転職はいいかな」と考える人が出てきても、決して不思議なことではありません。
こうした求職者の働き方における価値観の変化・多様化に応えるためには、従来の求人広告だけでは不十分です。
もはや、テキスト・写真だけの情報では、企業が敬遠されてしまう時代を迎えているといっても過言ではないでしょう。
働きがいや人間関係の良さを就転職先に求める求職者は、 SNSなどで発信される「生の職場の情報」や、実際に従業員が働いている「現場の雰囲気」に興味を持つようになってきています。
そして、SNSは動画と相性がよく、良い動画は拡散されやすい傾向にあります。
このような事情も鑑みると、自社のリアルな情報を分かりやすく・たくさん伝えるには、求人動画を活用するのが効率的と言えるでしょう。
スマホさえあれば動画作成・配信ができる時代ですから、求職者の心に届くクオリティに仕上げられるかどうかはともかくとして、作成自体の難易度は低くなっているものと考えられます。
求人動画のコンテンツ例
求人動画には様々な種類がありますが、ここでは主なコンテンツの事例をご紹介いたします。
仕事内容の紹介動画
それぞれの職種で、具体的な仕事内容や1日のスケジュールなどを紹介する動画。
例:入社2年目の介護スタッフの1日
オフィス紹介動画
オフィスツアーなど、社内を紹介する動画。実際に自分が働く仕事場がどんな雰囲気化を伝える動画。
例:●●営業所のオフィスツアー
社員インタビュー・座談会動画
実際に働いている社員のリアルな情報を伝える動画。働くモチベーションや、仕事のやりがいや大変さなどを等身大で語ることでミスマッチ防止にも役立ちます。
会社紹介動画
事業内容や自社独自の強みといった企業戦略、これまでの歩みや今後の方向性など核心をついた内容を伝える動画。会社説明会などでも使える内容。
インタラクティブ動画
いま注目の新しい動画コンテンツ。動画内にクリック要素が用意され、視聴者の選択によってシナリオや内容が分岐する動画。記憶に残りやすく、コンバージョンにつながりやすいと言われている。
採用活動において求人動画を活用するメリット
求人動画を作成・活用すると、主に文字情報だけで求人広告を作成するのに比べて、たくさんのメリットがあります。以下、主なものをご紹介します。
動画は文章や写真よりも情報量が豊富
文章や写真による求人広告は、どうしても読者の想像力に解釈をゆだねる部分があり、書き手または読み手の誤解が生じるおそれがあります。
しかし、動画は「映像化されている情報のすべて」がそのまま伝わるので、文章・写真に比べて情報量が圧倒的に多くなります。
よく、求人広告の中で、以下のようなフレーズを目にすることがあると思います。
- アットホームな職場です
- 上下関係のない風通しのよい職場です
- みんな明るく元気な職場です
こういった抽象的な表現は、多くの企業が使い回してしまうので、企業としての個性が伝わりにくくなります。
例えば、一口に「アットホーム」といっても、アットホームがどのような環境・状態を指すのかについては、求職者の想像する内容によって変わってきます。
過去に弊社で実施した求職者アンケートで「求人情報で、信用できないと感じる表現を教えてください(複数回答)」という質問をしたところ、もっとも信用できない表現が「アットホームな職場」となっています。
求職者に信用されない求人広告を出しても、なかなか人は集まりにくいものです。
その点、動画で職場の雰囲気を紹介できれば、本当にアットホームなのかどうか、雰囲気が伝わりやすくなります。
ミスマッチのリスクを減らせる
せっかくお金をかけて求人広告を展開する以上、自社にとって有用な人材を雇いたいと考えるのは当然です。
しかし、現実としてミスマッチが発生するリスクは一定数存在しており、人事担当者としてはミスマッチの発生件数をできる限り少なくしたいと考えるはずです。
書類選考や面接の段階で、自社にマッチしない人材を除外できる体制を整えることは大切です。
しかし、ミスマッチのリスクを減らしたいと思うあまり、あまりに踏み込んだ質問をしてしまうことで、かえって求職者に敬遠されてしまうおそれもあります。
採用したい人材を安心して集めるためには、求人開始・あるいはそれ以前の段階で「自社が欲しい人に応募してもらえる」ような求人広告を展開することが重要です。
例えば、普段の仕事内容を動画で定期的に紹介することにより、興味度の高い人材だけが応募してくれる好循環を作りやすくなります。
求職者としても、応募の段階で不明点が少なくなりますし、あったとしても職場環境等に関する積極的な質問が多くなるものと考えられます。
これからの採用活動は、応募者をふるい分けるのではなく、そもそも「自社が興味を持てるような応募者に来てもらう」ために、動画を活用するフェーズを迎えているのです。
効率的な採用活動ができる
動画マーケティング会社・株式会社LOCUSによる、静止画と動画に関する調査によると、静止画と動画を比較した際、以下の通り動画の方が圧倒的に記憶に残りやすく、好感度が高いという結果が出ています。
なぜ、動画の方が静止画よりも記憶に残りやすく、好感度が高くなるのでしょうか。
それは、人の記憶に影響をもたらす3つの要素「文字・音(声)・映像」が、動画にはすべて含まれているからです。
文章のように自ら意識して読まなくてもよいので、視聴者が動画を視聴する心理的ハードルも低くなります。
また、動画もコンテンツの一つなので、一度制作してしまえば一定期間同じものを採用活動に使うことができます。
企業情報・業務内容の説明についても、中身が大幅に変わらない限りは、同じものを自社サイトに掲載し続けても問題ありません。
自社で作成した動画は、一度作っておけば大きな財産となり、効率的に採用活動を続けるのに役立ちます。
動画の内容によっては、求人広告以外にも会社説明会などで使えますから、通常業務の合間をぬって動画制作を行う価値は十分にあるはずです。
自社で採用活動向け求人動画を作成する際のポイント
やみくもに求人動画を作成しても、あまり採用活動における効果は期待できません。
以下、求人動画を作成する際に押さえておきたいポイントをいくつかご紹介します。
訴求したいターゲットを明確にする
求人動画は、誰に来て欲しいのかを明確にしなければ、単なる自社紹介で終わってしまう可能性があります。
どんな人材に来て欲しいのか、関係部署も巻き込みながら、具体的にイメージした上で動画作成を行います。
最低限、自社としての必須条件と希望条件を洗い出して、その条件をもとにターゲットをイメージする段階までは分析を進めておきましょう。
社員インタビューを動画で発信するなら、できる限り自社で欲しい人材のモデルに近いスタッフを選びます。
目的に応じて動画の方向性を決める
求人動画を制作する際は、以下の4つの観点から、動画の方向性を決めます。
- 仕事内容
- 人材紹介
- 理念紹介
- 待遇説明
自社の仕事内容や働き方に関する特徴をアピールしたいのであれば、1日の業務や具体的な仕事内容の紹介にフォーカスします。
人柄重視の採用を行うつもりなら、モデルケースとなる社員のインタビュー動画を作り、共感してくれる人材を採用するのがベターです。
社長の求心力を強調するのであれば、経営者メッセージやコンセプトムービーという形で、動画をまとめるのがよいでしょう。
同業他社との待遇差が大きいなら、なぜそれを実現できるのかも含め、待遇の説明を中心に動画制作を進めるのも一手です。
離脱させない動画作りを意識する
動画制作において注意したいのが、視聴者が視聴途中でコンテンツを見るのを止めてしまうことです。
いわゆる「離脱率」を下げるような動画作りを意識することも、採用活動の効率化において重要なことです。
ネット動画の各種分析を手がける、アメリカのVisible Measures社の調査によると、動画視聴者の20%は平均して最初の10秒で視聴を止めていることが分かっています(300秒未満の動画)。
よって、サムネイルにこだわるのはもちろん、冒頭でどれだけ言いたいことを伝えられるかが肝心です。
例えば、タクシードライバー募集の求人動画の中には、ドライバーに転職した主人公のストーリーを全編パラパラ漫画でまとめているものもあります。
オリジナリティがあり、かつ共感度の高い動画が作れると、反響も大きくなります。
求人動画を外注する際の注意点
自社だけで求人動画を制作するだけのリソースを確保できない場合、動画制作を外注することも検討する必要があります。その際は、以下の点に注意しましょう。
メリット・デメリットを比較検討する
動画制作会社や映像制作会社に、自社の求人動画撮影・映像制作を外注した場合、制作会社にすべての作業を丸投げすることができます。
一定の動画編集技術・ノウハウを持つ人材の手で動画が制作されるため、品質の高さも期待できるでしょう。
しかし、制作スタッフは自社の事情に精通しているわけではないため、定期的に自社のブランドイメージや商品の説明を行う時間を確保する必要が生じます。
自社制作に比べてコストも大きくなるため、動画が必要なタイミングで毎回外注を依頼できるかどうかは、企業の懐事情に左右されます。
動画制作を外注しようと考えている場合、企業担当者はこのようなメリット・デメリットを比較検討しながら判断しなければなりません。
使い分けを考える
動画制作は、そのすべてを外注に頼る必要はなく、場合によっては職場で撮影した動画をアップするだけで事足りる場合もあります。
例えば、定期的に自社アカウントから動画をアップすることが目的なら、事務所・オフィスで働くスタッフだけでかんたんに動画を撮ることができるでしょう。
しかし、Web広告やデジタルサイネージへの掲載を目的とした動画を制作する場合、素人の撮影では心もとない部分は否めません。
映像の品質が問われる場面で動画を配信するなら、やはりプロの技術を頼った方が賢明です。
視聴者との距離が近くなるサービスを活用する
ただ動画を配信して終わりではなく、求職者との距離を近づけるようなサービスがあると、プロモーションの効率が増します。
例えば、会社説明会動画を配信して、求職者からの反応を見る方法などがあります。
弊社・アルバイトタイムスでは、静岡県の転職・就職サイトJOBの採用動画サービスとして「いつでも企業セミナー」をご用意しています。
「企業セミナー動画」で興味を喚起し、動画を視聴した求職者の不安は「匿名質問・カジュアル面談」などの仕掛けで払しょくする仕組みとなっています。
これまで求人動画を制作した経験がない企業様も、過去に求人動画を作成したが効果が今一つだった企業様も、ぜひお気軽にお問い合わせください。
※いつでも企業セミナーはこちら
まとめ
求人動画で求職者に伝えられる情報はとても多いため、文章・画僧主体の求人広告で十分な効果が出ていないなら、求人動画の運用を試してみましょう。
動画制作・運用にあたっては、必ずしもクオリティを必要としないケースも多いため、まずはSNSへの定期的なアップからスタートしてみてはいかがでしょうか。
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