アルムナイとは?退職者を採用する制度のメリット・デメリット、事例を解説
近年、採用現場で注目されているワードに「アルムナイ」があります。一度退職した社員を再雇用するアルムナイ採用は人手不足の中、良質な人材を確保するための新しい採用手法です。
本記事では、アルムナイ制度の概要とメリット・デメリット、始め方やアルムナイネットワークを構築するためのポイントをわかりやすく解説します。
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アルムナイとは?
アルムナイとは「OB・OG」と同じ意味で、なんらかの理由で自社を退職した人のことを指します。英語では「alumni」と表記し、語源はラテン語です。
もともとは学校の卒業生、いわゆる同窓生を指す言葉でしたが、近年、自社のアルムナイを採用しようという企業が増えてきました。その採用制度を「アルムナイ制度」といいます。
アルムナイ制度では、会社を退職した、自社の社風や働き方にある程度慣れている人材を再雇用することにより、採用のミスマッチを防げるだけでなく、即戦力として期待ができます。
アルムナイが近年注目を集めている背景
アルムナイが近年注目を集めている理由には、雇用に関する価値観の変化、働き方の多様化、労働人口の減少による人材不足などがあります。
従来、日本の企業は退職者を「裏切り者」や「ドロップアウトした者」などといったネガティブなイメージで捉えていました。しかし、ジョブ型雇用の促進や副業の解禁、終身雇用制度の終焉など、従来の日本型雇用の概念が変化してくるにつれ、退職者に対するネガティブなイメージも薄れてきました。
現在、超高齢化社会を迎える日本は、人材不足に苦しんでいる企業が多いです。人材不足への対応はほとんどの企業にとっての喫緊の課題とも言えます。
そのような背景があるため、自社のビジネスモデルや社風にある程度慣れているアルムナイが、即戦力として期待されるようになってきたのです。
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アルムナイ制度のメリット
アルムナイ制度にはさまざまなメリットがあります。主なメリットは以下の5つです。
人材採用・育成コストの削減
アルムナイ制度を導入すると人材の採用コストや育成のコストを低減できます。アルムナイはかつて自社で働いていた人物であり、すでに自社のビジネスについてある程度の知識や経験を保有しているからです。
雇用のミスマッチも少ないので、採用したあとにすぐに辞めてしまうといったことも少ないと考えられます。採用にかかるコストも経営を圧迫する原因となるので、これを低減できるのは大きなメリットです。
優秀な人材の確保
アルムナイ制度を導入すれば、優秀な人材の確保に繋がります。アルムナイは過去に自社に勤めていた人なので、その能力や適性もある程度わかっているからです。
しかも退職した後にある程度の年数が経っていれば、他社でスキルや経験をさらに積んだあとに自社に戻ってきてくれる可能性もあります。大きな企業であればあるほど退職者の数も多く、無視できない母集団の規模になります。
アルムナイとは、マッチング率が高く、優秀で、即戦力である採用チャネルなのです。
アンバサダーとしての活躍
アルムナイは自社の関係者として積極的に広報の役割を担ってくれる場合があります。定年退職などで円満に退職したアルムナイは自社へ勤務した経験を誇りに思っており、自社のファンである場合が多いでしょう。
そのようなアルムナイはSNSなどで自社の製品や職場の話などを通じて、潜在的な求職者や消費者たちによい情報を発信してくれます。アルムナイの個人的な人脈によって自社へ応募してくる求職者もいるかもしれません。その場合にはリファラル採用へ繋がります。
社外の視点の導入
アルムナイが現役世代の場合は退職したあとに他の会社に勤めていたり、自営業として働いていたりします。そのアルムナイを再雇用すると、社内の人間だけでは気づきにくい点を指摘してくれるかもしれません。
入社してから長い年月が経っていると、どうしても日々の業務に慣れて、当たり前になってきます。その結果、コンプライアンス状の問題や、業務上非効率な部分が生じるのです。アルムナイを再雇用することで、社外の視点を導入し、社内の風通しをよくすることができます。
取引先拡大の可能性あり
アルムナイが退職後に起業して他社の経営者になっていたりする場合があります。そのような場合、アルムナイが新しい取引先になってくれる可能性が高いです。自社の商品を売り込むのもよいでしょう。かつて働いていた会社の商品は思い出深いものですし、すでに利用してくれているアルムナイも多いかもしれません。
自社のパートナー企業としてアルムナイの会社に業務をアウトソーシングするケースもあります。アルムナイは自社の考え方やワークフローにある程度慣れているので、自社にとってよきパートナー企業となってくれるでしょう。
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アルムナイ制度のデメリット
アルムナイ制度を取り入れることによって、企業にデメリットが生じる場合もあります。導入前の注意点として確認しておきましょう。
現役社員からのネガティブなイメージ
近年の採用現場で注目されているアルムナイですが、社内で概念が浸透していないと、現役社員にネガティブな印象を持たれてしまう場合があります。
退職者に対するネガティブなイメージや、優秀なアルムナイへの好待遇から「辞めずに貢献している自分の方が評価が低い」といった不満を招くケースが考えられます。
このようなデメリットが生じないよう、社内でのアルムナイについての研修や、アルムナイ採用の明確な条件設定を行い、現役社員に受け入れられる体制を構築することが大切です。
現役社員の退職を後押しする場合がある
アルムナイ制度を設けると、一度退職した元社員との関係性を維持できる一方で、現役社員からは「退職しても再雇用してもらえる」といった認識を持たれやすくなります。
現役社員の捉え方によっては、退職を決意するハードルが下がり、離職率が高まりやすくなる点はデメリットです。
アルムナイ採用ではどのような人材を再雇用するのか、待遇はどうなるのかを共有し、アルムナイ制度の定義への理解を促すことが重要です。
情報漏洩のリスク
元社員であるアルムナイとのコミュニケーションにあたっては、事前に社内の情報をどこまで開示しても問題ないのかを定義し、情報漏洩に注意する必要があります。
アルムナイの自社に対する理解やこれまでの関係性があるために、安心感から機密情報を漏洩してしまうリスクが高いです。
たとえ良好な関係を築けているアルムナイであっても、あくまでも現役社員ではなく外部の人間であることを忘れないようにしましょう。
アルムナイと募集職種のミスマッチ
アルムナイは自社への適応力があり、即戦力としての活躍が期待できますが、採用のタイミングによっては求めている職種とマッチしない場合もあります。
カルチャーフィットする人材でも、スキルや経験と現在の募集職種の業務内容が合っていない場合には、ミスマッチを生む恐れがあります。
アルムナイ採用を成功させるためには、ただ再雇用するだけではなく、アルムナイの能力や適性に合った環境を用意することも必要です。
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アルムナイ制度のはじめ方
アルムナイ制度を始める際にはいくつかのステップがあります。
1. 従業員のエンゲージメントを上げる
アルムナイ制度を始める際には在籍中から対策を打つ必要があります。前提として退職した後も自社とよい関係性を持ち続けてもらわないと意味がありません。在籍中の社員たちのエンゲージメントを高める必要があります。
2. できるだけ円満退職にする
社員が退職する際にはさまざまな個人の考え方や価値観が影響しています。慰留するのはかまわないですが、頭ごなしに社員の決断を否定してしまうのは避けるべきでしょう。
とくに直接の上司にとっては今まで育ててきた部下が辞めてしまうのは感情的につらく、退職日までの期間に冷たく当たってしまう場合も多いです。そうならないためにも退職の意向を伝えられた段階で、冷静に本人と話し合い、お互いに折り合いを付けておくことが大切です。
3. アルムナイ・ネットワークを作る
SNSなどを利用してアルムナイ同士のコミュニティを作ることをアルムナイ・ネットワークと言います。アルムナイが自発的に作る場合もありますし、企業がアルムナイのために主導する場合もあります。
企業が導入する場合は自社のドメイン内に会員サイトを作り、自社の最新情報を発信したり、オフ会などのイベントを開いたりする場合が多いようです。このようなコミュニティがあるとアルムナイと企業との繋がりが密なまま維持できますので、再雇用にも繋がりやすいです。
アルムナイネットワークを構築するためのポイント
アルムナイネットワークを構築し、退職者を再雇用しやすくするために意識したいポイントを紹介します。
退職者は裏切り者ではない
退職者を裏切り者扱いする文化を社内から払拭しなければアルムナイ制度の構築はできません。従来、日本企業には退職をネガティブに捉える文化がありました。退職者は組織を裏切って去って行ったという価値観です。
たとえば終身雇用が前提の時代はそうだったかもしれません。しかし、現在では働き方が多様化したため、退職理由が必ずしもネガティブなものであるとは限りません。
働き続けたいにもかかわらず、育児や介護などで断念する場合もあります。新しいことにチャレンジしたいので退職するという場合もあるでしょう。
そのようなポジティブな理由による退職は、企業側もポジティブに捉えましょう。
雇用形態や働き方を柔軟にする
アルムナイを人材として活用するには、雇用形態や働き方を柔軟に考えましょう。従来のように本格的に正社員で働きたいと思うアルムナイばかりではありません。
たとえば先述したように、育児や介護で不本意な退職をしたアルムナイにただ正社員の席を用意しても復帰は難しいでしょう。そのような場合には勤務時間を短くしたり、テレワークで働けるようにしたり、柔軟な対応が必要です。
給与や待遇は慎重に決める
給与や待遇は慎重に決める必要があります。適当に決めてしまうと既存の社員との不公平感を誘発する可能性があるからです。
とくに大企業は給与や昇進の体系が終身雇用前提になっているケースが多く、同程度のスキルや経験にもかかわらず再雇用したアルムナイの給与が低くなりがちです。その結果、アルムナイが不満を抱きやすい傾向にあります。
アルムナイ制度を導入する際には評価基準を客観的にするなどの公平性を十分に確保するべきでしょう。人によって優遇されたり冷遇されたりしていると思われることはあってはなりません。
アルムナイを受け入れられるカルチャーを醸成する
アルムナイ採用を快く思わない現役社員がいると、採用後に双方が働きにくさを感じてしまう恐れがあります。
アルムナイ制度は新しい概念であるため、退職者との関係性を築くだけではなく、社内でスムーズに受け入れられる体制を整えておくことが大切です。
制度についての周知はもちろんのこと、日頃から多様な人材の採用や、柔軟な働き方への対応をすることにより、新しい価値観が馴染みやすいカルチャーを醸成できます。
企業としての価値を高める
アルムナイネットワークを構築し、退職者と良好な関係を維持するためには、アルムナイにとって魅力を感じられる企業であることも重要です。
一度退職しても「また働きたい」「繋がっておきたい」と思ってもらえるように、企業としての価値を高め、イメージの向上に努めましょう。
現役社員がアルムナイになることを見越し、働きやすい環境作りや、戻りやすい風土の醸成をしておくことで、アルムナイ制度が活用されやすくなります。
アルムナイ採用の活用事例
実際にアルムナイ採用を導入している企業の事例を紹介します。アルムナイ制度がどのように活用されているのか、参考にしてみてください。
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アクセンチュア
アクセンチュアでは退職のことを「卒業」と称し、アルムナイのことを「大事な家族であり仲間」と位置づけています。
全世界にまたがる巨大なアルムナイネットワークを構築しており、30万人以上のアルムナイが在籍していると言われています。
アルムナイ専用の活動プログラムも用意され、再雇用されて活躍しているアルムナイも多数存在するそうです。アルムナイを戦略的に活用している企業といえるでしょう。
サイボウズ
サイボウズ株式会社は自社エンジニアと交流できるミートアップを毎月開催していますが、この中で「やめたエンジニアMeet up」と称し、アルムナイとの交流の場を設けています。
サイボウズ株式会社の内と外を知るアルムナイと定期的に交流を持つことで、常に外部の視点を会社に取り込み、マーケティングや採用戦略に活かしているそうです。
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まとめ
アルムナイとは自社を退職した人を指す言葉で、アルムナイを再雇用する制度をアルムナイ制度と言います。この制度にはさまざまなメリットがあります。
ただし、日本に旧来からある離職者に対するネガティブなイメージを払拭しなければ導入は難しいでしょう。合わせて、社内の人事制度を公平にしたり、多様な働き方ができるように改革したりするのも重要です。
アルムナイが戻りたいと思えるように体制を整え、長期的な人材確保につながるアルムナイネットワークを形成していきましょう。
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