離職防止には欠かせない?メンター制度のメリットや導入方法、注意点も解説!

離職防止には欠かせない?メンター制度のメリットや導入方法、注意点も解説!
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労働人口が減少し人手が足りないとされる日本企業。少しでも社員の定着率を高めて、優秀な人材の確保を目標にする企業は多くあります。

しかし、新入社員の早期離職は一向に改善されず、依然として高い傾向が続いています。そのような中、注目されているのが「メンター制度」です。仕事上のアドバイスだけでなく、メンタル面もサポートする制度ですが、どのような効果があるのでしょうか。

今回は効果やメリット、導入方法や取り入れる際の注意点も解説します。

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メンターとは


メンターは経験や知識が少ない若手社員、部下などにアドバイスを与え、時には相談を受け成長を促す人物を指します。

主な業務は仕事の助言だけでなく、キャリアや悩み・課題などの解決をサポートすることも含まれます。多くの企業では、ある程度の経験やキャリアを持つ先輩社員がメンターを担当します。

なお、アドバイスなどを受ける部下や社員は「メンティー」と呼ばれます。

これまでの日本の一般的な指導方法としては、先輩社員や上司が自らを見本として業務を教える方法が主流でした。しかし、現在ではキャリアや価値観、仕事の方法も多様化しているため、部下の見本となる人物が見つかりにくくなっているのです。

そこで、相手の見本とならずとも様々な人材を活躍させられる「メンター制度」が注目されるようになりました。

メンター制度ではマンツーマンでの指導方法である「メンタリング」により、個人の力を最大限に引き出す狙いがあるのです。


組織におけるメンター制度の効果について

メンター制度は導入することで様々な効果を得ることができます。具体的には下記のような点がありますので、参考にしてみて下さい。



① 新入社員の離職防止

近年では、新入社員の早期離職が深刻化しています。そのため、メンター制度導入で、「相談できる人がいない」「誰にも頼れない」といった理由での離職防止効果があります。


② 社員の定着率アップ

メンター制度は社員の定着率を高める効果があります。活発なコミュニケーションで相手との相互理解を深め、良い相談相手やアドバイザーを得る機会にもなります。

社歴の浅い新入社員の離職を防ぐのはもちろん、その他の社員にも行えば定着率を高める効果が生まれます。


③ 上司や先輩社員の指導力の向上

上司や先輩社員はメンターになることで、指導力を向上させる効果があります。教えることで、新たな気づきとなり自身の成長にもつながります。

今後の会社経営において、管理職の成長は企業の成長につながるでしょう。


④ 企業内コミュニケーションの活発化

メンター制度では部署という区切りを超えて、様々な社員と話すことが可能です。特に最近は社内の人間関係も希薄であるため、メンター制度を導入し社内交流を活性化させる効果があります。

メンター制度の導入で、社員が独自に問題や悩みをメンターに伝えられれば、自ら解決しようとする自主性や課題解決力も養えるでしょう。


OJT、リーダー、マネージャーとの違いについて

メンタリングと似たような指導方法として「OJT」があります。また、メンターと似たようなポジションとして「リーダー」や「マネージャー」といった役割があります。そこで、今度はこれらの違いについて解説します。

まず、メンタリングとOJTの違いについては、下記のような点があります。


対話内容の違い

〇 メンタリング → キャリアやプライベートな事柄、メンタルケアなど、業務以外の内容も含まれる
〇 OJT → 実務に基づいた教育が中心


指導方法の違い

〇 メンタリング → 異なる部署の上司が指導することも多く、教えるというより共に考える指導スタイル
〇 OJT → 業務を通じて同じ部署の上司や先輩が教える

次に、メンターとリーダー及びマネージャーの違いについては、下記のような違いがあります。


仕事内容の違い

〇 メンター → 業務に限らず、部下や後輩の悩みや課題を聞きサポートする
〇 リーダー及びマネージャー → チームや事業計画の管理を行い、他の社員をまとめる役割を担う

似たような言葉ですが、上記のような違いがありますので覚えておきましょう。


メンターやメンティーにとってのメリットとは?

組織にメンター制度を取り入れると、様々な効果が生まれることが分かりました。では、メンターやメンティーにとっては、どのようなメリットがあるのでしょうか。

メンターのメリットとメンティーのメリット、それぞれについてご紹介していきます。


メンターのメリット



① 育成スキルや責任感のアップ
まずは育成スキルの向上が期待できます。メンターは1対1で対話を行い、相手の自主性や成長、気づきを促します。そのため、指導する社員は部下の性格・考え方などを考慮し、上手くアドバイスを行う必要があります。

こうしたメンタリングを繰り返せば、メンター自身の育成スキルも向上するでしょう。また、責任感も高まるため、育成意識を向上させたい時にも効果的です。

② 自らのキャリアについて考えられる
メンターになった社員は、自らの経験からアドバイスできる内容を探さなければいけません。したがって、今までのキャリアを振り返り、成功した経験や失敗した事例などを棚卸しする必要があります。

キャリアの振り返りを行うことで、メンター自身も今後どのような目標や成長を目指すかを考える良い機会となります。

③ コミュニケーションスキルの向上
メンターは相手の悩みや問題に対してしっかりと耳を傾け、分かりやすくアドバイスを伝える必要があります。そのため、基本的なヒアリング能力はもちろん、相手の気持ちや考えを把握できる思考力、また課題分析力や提案力も磨く必要があります。

こうした能力を養えば、メンター自身のコミュニケーションスキルも大きく向上するでしょう。


メンティーのメリット


①  仕事や人間関係に関する悩みなどを相談できる
指導を受けるメンティーは、業務経験が豊富なメンターに相談できるメリットがあります。仕事についてはもちろん、人間関係や自身の健康、キャリアの悩みについてもサポートを受けられます。

特に入社したばかりの新入社員にとっては、メンター制度があると非常に心強いでしょう。

②  自主性の向上や考える習慣が身につく
メンタリングでは、メンターと自らの課題や問題について話し合い、どうすれば解決できるかを考えます。

メンタリングを繰り返せば、メンティーは自ら考えて課題を分析する力や、必要な解決策を見出す力が養われます。そのため、自主性や思考能力の向上、計画性や実行力のアップにもつながります。

③ 上司や先輩社員との信頼関係の構築
新入社員は人間関係の構築に苦労します。しかし、メンター制度があれば、上司や先輩社員と話す機会がありますので、信頼関係の構築ができる良いきっかけになります。その結果、職場にもスムーズに馴染むことができ、早期離職の防止や主体性の向上にもつながるでしょう。


メンター制度を導入する際の注意点

実際にメンター制度を導入する場合、どのような点に注意するべきなのでしょうか?主な注意点としては下記の事項があります。


① メンターとメンティーの相性を考慮する

まずはメンターとメンティーの相性を考えることです。メンター制度が失敗する要因として、相手との「ミスマッチ」があります。考え方や意見が合わない場合もありますので、その点は考慮して組み合わせは考えましょう。メンティー自身にどのメンターが良いか選んでもらう方法も有効です。


② メンターの育成やケアも行う

メンター制度は、メンターによって効果の差が大きくなります。そのため、指導が苦手な社員でもメンタリングできるよう、メンター研修などを行う必要があります。

また、メンター制度はメンター側に負担が掛かりやすくなります。通常業務と並行してメンタリングも行うと大変ですので、負担を減らす施策やケアを取り入れましょう。


③ 目標設定と効果測定を必ず行う

さらに注意点として目標設定や効果測定があります。メンター制度を導入したものの、明確な目標設定がないため形骸化しているケースが存在します。

また、メンター制度で効果が出ているか分からず、メンターの時間を浪費している場合もあります。必ず目標設定や離職率・若手の意識調査なども行い、改善が見られるか確認しましょう。


メンター制度導入のためのステップ

続いて、効果のあるメンター制度にするために導入のステップも見ていきましょう。主な手順は下記のような流れとなります。


STEP① 目標設定や効果測定の方法を検討

まずは目標設定を行います。「新入社員の離職を防止したい」「従業員満足度〇%を目指したい」といった目的を設定しましょう。

また、この時点で目標達成となる基準や、進捗を知るための効果測定方法も決定しておくと成功に近づきます。


STEP② メンターとメンティーの選定

メンターは十分なコミュニケーションスキルや対応方法を習得した人を選びます。メンティーはどのような悩みや課題を相談したいか、事前に考えておくと良いでしょう。


STEP③ 面談方法や頻度などの決定

メンタリングを行う方法や場所、時間や頻度などを決定していきます。通常業務への支障や、メンターへの過度な負担が出ないよう注意しながら決めましょう。


STEP④ 制度体制の構築や対象者への周知

さらに、全社的にメンター制度への取り組みを推進するための体制づくり、社内ルールの構築なども行います。メンター・メンティーとなる対象者への周知も行っておきましょう。


STEP⑤ メンタリングの実施、効果検証

メンタリングを実際に行って効果を検証します。実施したら記録も取り、成功した事例や課題などは意見交換の機会を設けて共有しましょう。

また、成果が分かるようにアンケート等で効果測定を行うことも大切です。


メンター制度の導入事例

次にメンター制度の導入事例に関して確認してみます。成功事例を参考にして自社でも取り組んでみましょう。


事例① ソフトバンク株式会社

ソフトバンク株式会社では、女性管理職を増やすために「社外メンター」の制度を導入しました。

これまでも女性向けの研修などは行っていましたが、一人ひとり異なった家庭環境や仕事の役職、描きたいキャリアなどがあることを考慮し、当該制度を施行しました。

メンターを探す場合、部下の見本となるキャリアや経験を積んでいる社員が、社内にいないというケースもあります。

しかし、社外メンター制度であれば、自社内に理想とする人がいなくても、社外のメンターを参考に自らのキャリアを描けます。ソフトバンクは当該制度により、女性社員がより活発に働ける環境を作り出しました。


事例② 株式会社資生堂

メンター制では、何も上司から部下へアドバイスする形でなくても良いのです。その良い事例となるのが、資生堂が行う「リバースメンター制度」です。当該制度では、 ITツールやアプリなどに詳しい若手社員がメンターとなり、別部署の管理職や役員であるメンティーに知識を教えます。

この取り組みの結果、役員の間でもITツールの活用が活発化し、スキルも非常に高まりました。役員の若手社員に対する評価も向上し、部署を超えたコミュニケーションも増え、事業戦略でも成果をあげています。


メンター制度は適切なマッチングと体制の整備が不可欠です!

メンター制度の導入方法やメリット、注目される背景や導入企業の事例も紹介しました。制度の導入には注意すべき点や、意識すべきポイントが数多くあります。手間も非常に掛かる取り組みですが、その分成功した時の成果は大きいものになるでしょう。

何より大切なことはメンターとメンティーの適切なマッチング、そして社内全体で育成に対する意識を高め、協力できる体制を築くことです。

ぜひ、本記事を参考にしながらメンター制度を取り入れ、定着率アップや優秀な人材の育成を目指しましょう。

ヒトクル編集部
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ヒトクル編集部

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