雇用保険被保険者証の概要や発行が必要なタイミング、紛失時の再発行について

雇用保険被保険者証の概要や発行が必要なタイミング、紛失時の再発行について
目次

新しく従業員が入社した時に発行する必要がある「雇用保険被保険者証」。人事担当者は入社手続きの際に必要になりますが、紛失したなどの困ったケースもあるようです。

そこで今回は雇用保険被保険者証の概要や受け渡すタイミング、紛失時の対応の仕方などを解説します。被保険者証の管理方法についても説明していますので、労務管理をされている方は、ぜひ確認してみて下さい。


雇用保険被保険者証とは?

雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入している証明となる書類です。雇用保険の適用事業所となった事業主は、条件を満たす自社の従業員を雇用保険に加入させなければいけません。加入手続きに関しては事業主が行い、従業員に保険者証を渡すようにします。

なお、転職の際でも雇用保険被保険者証の被保険者番号は引き継がなければいけません。したがって、転職してきた従業員を雇用する場合、以前発行された雇用保険被保険者証を預かり、被保険者番号を確認する必要があります。

雇用保険の対象者となるのは、下記の要件すべてを満たす従業員です。転職してきた人がいる場合には、前の職場で雇用保険被保険者証が発行されていたか確認しましょう。

① 週に20時間以上の労働時間である 
② 31日以上の継続雇用が見込まれている 


1ヵ月以内の短期で雇っていた労働者や、週に20時間未満の労働であるアルバイトなどは雇用保険の対象とはなりません。

また、代表取締役や役員なども原則として雇用される側ではないため、雇用保険の加入はできません。


雇用保険被保険者証の受け渡しのタイミングについて

では次に、雇用保険被保険者証を受け渡すことになる3つのタイミングについて解説します。


①従業員を雇用した際

まずは従業員を新しく雇用した際に雇用保険被保険者証を交付します。前述したように、転職者が以前の職場で雇用保険の被保険者であった場合には、被保険者番号を引き継ぐために雇用保険被保険者証を預かる必要があります。

そして、事業主は預かった被保険者証の情報を基に「雇用保険被保険者資格取得届」などの書類を作成、ハローワークに提出して雇用保険の引継ぎ作業を行います。特に書類に不備などがなければ、新たな雇用保険被保険者証が交付されます。

なお、雇用保険の保険料については、事業主と従業員それぞれが一定の割合に応じて支払います。事業内容によって保険料率は変わりますが、農林水産や清酒製造、建設事業以外であれば一般事業の料率となります。詳しくは厚生労働省のホームページなどで確認できますので、チェックしてみて下さい。


②従業員が退職した際

続いては従業員が退職した際です。従業員が転職し新しい職場で雇用保険に入るためには、被保険者番号が書かれた保険証が必要です。自社で退職した従業員の雇用保険被保険者証を預かっている場合には、離職票と一緒に渡すと良いでしょう。

なお、離職票の発行方法については、まず離職証明書と雇用保険資格喪失届をハローワークに出します。離職証明書は退職の理由や賃金の支払い状況、離職日などを記載した書類です。発行期限は退職日の翌日から10日以内と法律で規定されているため注意が必要です。

そしてハローワークが離職証明書をチェックし、問題なければ2種類(被保険者、事業主)の離職票が発行されますので、被保険者離職票を退職者に送付します。被保険者離職票は退職者が失業給付(失業手当)を受ける際に必要ですので、早めに送ってあげましょう。


③従業員が教育訓練給付を受ける場合

最後に従業員が教育訓練給付を受ける際にも、雇用保険被保険者証が必要です。教育訓練は従業員の方の能力開発やキャリア形成に役立つ支援制度です。

対象となるのは雇用保険に加入している従業員ですので、自社の従業員から申請された場合には活用を検討しましょう。

手続きについては、教育訓練給付を受ける従業員本人が直接行う必要があります。当該従業員の居住地域を管轄するハローワークで手続きは行ってもらいます。書類には雇用保険被保険者証の被保険者番号を記載する必要があります。

なお、教育訓練給付の対象となる加入者は、下記の要件を満たす従業員となります。

① 雇用保険の保険者期間が1年以上で、これまでに教育訓練給付を受けたことがない従業員
② 前回の講座受講日から雇用保険加入の被保険者期間が3年以上ある従業員

詳細を知りたい場合にはハローワークに問い合わせて担当者に確認しましょう。


求職者が雇用保険被保険者証を紛失している場合は?

転職してきた労働者に雇用保険被保険者証の提出を求めても、「紛失してしまった」「なくなってしまった」といったケースがあるかと思います。このような場合には下記の方法を行いましょう。


方法①雇用保険資格取得届を被保険者番号なしで届出する

転職してきた従業員から前職(あるいは前々職)の勤務先会社名を確認し(一般的には本人が提出した履歴書に記載があります)、雇用保険資格取得届の備考欄に記載して提出します。

個人番号(マイナンバー)は必須ですが、上記のような場合は、ハローワークが雇用保険被保険者番号を検索して、氏名・生年月日・前職が一致した場合は、被保険者番号が判明します。


方法②ハローワークに直接行き再発行

従業員が雇用保険被保険者証を無くしていた場合には、本人にハローワークに行ってもらい被保険者証を再発行してもらいましょう。

再発行を行う際には本人確認書類が必要となります。本人確認書類は運転免許証やマイナンバーカード、もしくは国民健康保険証などで大丈夫です。申請する本人の印鑑も準備しておきましょう。


また、発行には前の会社の名称や所在地、電話番号等の情報も必要になるため、確認しておく必要があります。

なお、前述した雇用保険の加入要件を満たしていない短期の労働者や、短時間労働のアルバイトの方は再発行できません。

あとは前職の退職が7年以上前である場合も、再発行はできませんので気を付けましょう。

もし本人がハローワークに行けない場合には、代理人による申請も可能です。その際には家族や友人、介助者などがハローワークで手続きを行うようにします。

ちなみにハローワークは土日や祝日休みとなります。再発行を行う際には、必ず手続きができる時間帯も確認しておくことが大事です。


方法③郵送もしくは電子申請による方法

平日にハローワークに行く時間がない、もしくは忙しくて行けない場合には、郵送や電子申請による再発行も良いでしょう。

郵送の場合には、まずハローワークのページから雇用保険の被保険者証再交付申請書をダウンロードします。そして、記入した申請書は本人確認書類のコピー、切手を貼り付けた返信用封筒も同封して郵送しましょう。

電子申請の場合には24時間受付可能であるため便利ですが、事前に「電子署名」の準備が必要です。

電子署名は電子申請を行う際に必要となる署名であり、認証局からまず電子証明書の発行を受けることで利用することができます。また、ICカードを読み込むためのカードリーダーも使いますので、事前に準備しておきましょう。

これらの方法は直接行く手間は省けますが、再発行までに時間が掛かってしまいます。郵送の場合には1週間程度掛かってしまいますので注意しましょう。即日発行したい場合には、直接ハローワークに行くことが望ましいでしょう。


雇用保険や社会保険の被保険者証の管理について

最後に雇用保険被保険者証や被保険者番号の管理についてです。雇用保険被保険者証は従業員に預けたままだと紛失するおそれもあるため、会社保管としている企業も多くあります。

しかし、被保険者証の会社保管は雇用保険法施行規則により認められていません。したがって、必要な情報などを確認したら本人に返却し、適切に管理するように指導を行いましょう。

なお、雇用保険でなく社会保険の資格取得時も同様になります。年金手帳などを確認した後には、こちらも会社保管ではなく本人に返さなければいけません。

しかし、実務上は従業員の雇用保険被保険者番号や基礎年金番号などが必要になるケースも多々あると思います。

そのため、従業員情報は給与ソフトや勤怠システムなどで管理すると良いでしょう。ソフトなどを使用していない場合にはエクセルなどで情報をまとめておくのもおすすめです。

従業員の入社日や被保険者番号、生年月日なども記載し管理して下さい。


雇用保険被保険者証は適切に管理を行うようにしましょう

雇用保険被保険者証の概要や受け渡すタイミング、再発行の方法や管理の仕方についても確認しました。

雇用保険は労働者にとって大切な保険制度です。被保険者証や必要な書類の交付を忘れないように注意しましょう。また、保険証の管理の仕方も気を付ける必要があります。基本的には労働者に保管してもらうように指導し、適切な管理をするようにしましょう。

ヒトクル編集部
記事を書いた人
ヒトクル編集部

「ヒトクル」は、株式会社アルバイトタイムスが運営する採用担当者のためのお役立ちサイトです。

「良いヒトがくる」をテーマに、人材採用にかかわる方々のヒントになる情報をお届けするメディアです。「採用ノウハウ」「教育・定着」「法務・経営」に関する記事を日々発信しております。各種お役立ち資料を無料でダウンロ―ドできます。

アルバイトタイムス:https://www.atimes.co.jp/

杉本雄二 社会保険労務士法人ローム静岡 所長
監修した人
杉本雄二 社会保険労務士法人ローム静岡 所長

求人情報誌発行・人材派遣の会社で広告審査や管理部門の責任者を18年経験。 在職中に社会保険労務士試験に合格し、2005年に社会保険労務士杉本事務所を起業。 
その後、2017年に社会保険労務士法人ローム(本社:浜松市)と経営統合し、現在に至る。 静岡県内の中小企業を主な顧客としている。
顧客企業の従業員が安心して働ける環境整備(結果的に定着率の向上)と、社長(人事担当者含む)の悩みに真摯に応えることをモットーに活動している。