録画面接とは|注目される理由やメリット・デメリットなどを解説
録画面接とは、企業側が設定した質問に対して、求職者側が動画を録画・送信して回答するタイプの面接のことを言います。
Skype・Zoomなどを使ったWeb面接と違い、求職者と面接官が直接やり取りすることなく面接できるのが特徴です。
この記事では、録画面接が近年注目を集めている理由や、実際に運用する際のメリット・デメリットなど、録画面接について幅広い観点から解説します。
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録画面接(動画面接)とは
録画面接は「動画面接」とも呼ばれ、スマートフォン・パソコンなどの端末にインストールされているビデオチャットアプリなどを用いて、求職者が録画する面接のことです。
単なる求職者の自己紹介に終始するものではなく、企業が口頭・テキスト等で質問を設定・送信し、求職者はそれに対して動画を録画する形で回答します。
求職者主体で行う自己PRとは異なり、あらかじめ質問したい内容を動画で確認できるため、動画面接での選考段階からミスマッチを減らすことにつながります。
求職者は企業が指定した方法で録画をする必要があるものの、基本的には好きな場所・好きな時間を選んで動画を録画・送信できます。
また、就活や一般的な面接のように、日取りを決めて面接をする必要がないことから、求職者・面接官ともに面接の負担を軽減することができます。
求職者を指導するキャリアアドバイザーも、録画面接ツールを使用した面接のコツ・面接対策をアドバイスするなど、録画面接は人事の業界全体で注目度が高まっている方法の一つです。
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なぜ録画面接が注目されるのか
録画面接はこれまでの面接と違い、リアルタイムで対面の必要がない面接方法です。
一見すると、直接人材と会わない分だけミスマッチのリスクが高まりそうに思えますが、なぜ録画面接は注目されているのでしょうか。
以下、人材採用の現場において、録画面接が近年注目されている理由について解説します。
デジタル化が進んだ
面接に限らず、人と人とのやり取りはオンライン化が進んでおり、ウェビナーの録画配信のようにあらかじめ録画した動画を使ってセミナーを実施するケースも増えてきています。
また、Skypeなどビデオチャットアプリの普及が進んだことで、多くの人は直接会うことなく会議や面談ができるようになりました。
少子高齢化の影響が著しい日本において、労働力確保はどの企業においても重要な課題となっており、採用活動のスピードも早くなっています。
そのような中、従来の面接方法を続けていると、企業が面接できる人材の人数にも限りが生じてしまうため、オンラインでの面接方法を取り入れている企業に差を付けられてしまうおそれがあります。
逆に、録画面接を採用して海外・地方などで暮らしている求職者が面接に参加しやすくなると、その分だけ求職者を増やすことが期待できるのです。
面接に対応できる人材が限られている
一般的な面接の場合、日時調整の段階で求職者・企業の双方がすり合わせを行わなければならず、面接日は面接官側でスケジュールを確保する必要があります。
数回の面接を予定している場合、面接以外にも多くの業務を抱えている面接官にとっては、少なからず面接が負担に感じられるでしょう。
しかし、録画面接を採用活動に取り入れた場合、求職者・面接官がそれぞれ都合の良い時間に面接の準備を進められます。
あらかじめ提出期限を決めておけば、複数の動画をまとめて確認することもでき、面接の作業を効率化できます。
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録画面接とWeb面接の違いについて
すでに自社でWeb面接を導入している、あるいはこれから導入しようと考えている場合、録画面接との違いを明確にしておくとよいでしょう。
以下、録画面接とWeb面接の違いについて解説します。
【録画面接=ビデオ(動画)視聴による選考】
録画面接は、企業側の質問に対して求職者が回答した動画を確認するタイプの面接方法です。
例えば、一昔前のオーディションのような、自分の姿・意気込みを撮影した「ビデオテープ」を郵送して応募するニュアンスでとらえると、イメージがつかみやすいかもしれません。
企業が質問してから、求職者からすぐ回答は得られませんが、面接官はそのタイムラグを別の仕事に割り当てることができます。
【Web面接=対面での選考をWeb上で行う】
Web面接は、PCやスマホを介してオンラインで求職者と面接官がやり取りします。
例えば、求職者が大阪、面接官が東京にいる場合、それぞれスマートフォンやパソコンなどの端末を稼働させて共通の通話アプリ・ソフトウェアを開き、ライブで面接を行います。
質疑応答を対面選考と同様に行えるメリットがある反面、それぞれ場所の準備やスケジュール調整は必要になります。
重要度の高い二次面接などはWeb面接を使い、一次面接は録画面接で幅広い求職者の情報を集めるなど、Web面接と録画面接を使い分け、面接の効率化と精度を両立させる方法も考えられます。
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録画面接を行う企業側のメリット
録画面接は、求職者が送信したデータを確認して行う面接のため、対面のケースと違い「データの活用」ができる点で多数のメリットが存在します。
以下、録画面接を実施するメリットをいくつかご紹介します。
採用のスピードアップ
対面・Web面接は、面接官・求職者のスケジュールを調整するだけでなく、場所の確保や面接に必要な資料準備等にも時間・労力がかかります。
しかし、録画面接で必要な手続きは、基本的に「質問内容を作成してファイルを求職者に送信する」だけなので、担当者一人で面接準備を進めることも十分可能です。
結果的に、採用活動がスムーズになり、採用のスピードアップが見込めます。
面接辞退によるダメージが少ない
当初は応募を予定していた求職者が、何らかの事情から面接を辞退した場合、それまでに準備したことがすべて無駄になってしまいます。
その点、録画面接は求職者とやり取りするための準備を基本的に必要としないため、面接辞退が発生してもごくわずかな損失で済みます。
締切日までに動画データが送られてこなかった場合であっても、あらかじめ「連絡なく締切日までに動画が届かなかった場合は辞退とみなす」と求職者に伝えておけば、より効率的に面接を進められるでしょう。
面接官それぞれのタイミングでデータを確認できる
録画されたデータは、複数人のスタッフで内容を確認できるため、例えば面接官が出張中でも現地で内容をチェックできます。
回答期限までに録画された内容を見返したり、別日に確認したりすることもでき、対面に比べて柔軟な面接が実現します。
交通費などのコスト削減につながる
対面での面接は、面接の都度交通費が発生しますし、各種準備にもコストがかかります。
しかし、録画面接であれば交通費はかからず、会場を準備する手間も省けるため、採用担当者の負担が大幅に軽減します。
求職者の「本当の姿」が見えやすい
録画面接では、求職者自身が自分のスマートフォン等の端末で動画を撮影するため、求職者の“素”が見えやすい傾向にあります。
撮影された動画を視聴することで、求職者の話し方や表情、背景など、求職者の本当の姿を知る上で重要な情報を数多く確認することができます。
遠方で暮らす人材にもアプローチが可能
録画面接は、求職者が居住地から離れることなく面接できる利点があり、面接のため遠方に向かわなければならないという求職者の心理的負担を軽減することにつながります。
全国各地から優秀な人材をつのることができるため、地元でなかなか優秀な人材が見つからない場合、録画面接を採用するメリットは大きいでしょう。
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録画面接における企業側のデメリット
メリットが多い録画面接ですが、対面で面接を行うのとは勝手が違うため、採用担当者や面接官が戸惑ってしまうことも十分考えられます。
以下、録画面接における企業側のデメリットについて解説します。
求職者とリアルタイムでコミュニケーションがとれない
録画面接は、求職者が録画したデータを視聴する方法のため、画面越しに求職者に質問するなどのコミュニケーションがとれません。
視聴内容によっては、質問を重ねる中で、求職者の考えをもっとよく知りたいと感じることもあるでしょう。
面接官としては、求職者が映っている動画をもとに人柄・対応力などの見極めが必要になるため、ある意味では対面よりも難易度は高くなるかもしれません。
録画ミスや機材トラブルのリスクが生じる
録画面接において、映像データを用意するのは求職者側であり、基本的には求職者側の環境から録画する必要があります。
使用する端末や機材について、求職者と情報を共有しておかなければ、思わぬ録画ミスや機材トラブルが生じることもあるでしょう。
映像データ送信時にファイルが破損するリスクもあるため、求職者に対しては機材・送信方法の詳細を丁寧に伝え、万一の事態が起こった際のチュートリアルも共有しておくと親切です。
情報流出のリスクがある
録画面接で収集した映像データは、求職者の「プライバシーの塊」といっても過言ではないものです。
録画されたデータの管理がしっかりしていないと、操作ミスやハッキング等の理由から動画が流出するおそれもあるため、高セキュリティのWebシステムを採用しなければなりません。
同時に、データを視聴する面接官に対しても、映像データを確認する際の環境に留意するなど、情報流出リスクの基本的事項を共有しておきましょう。
応募者の離脱につながる可能性も
録画面接は比較的新しい面接方法のため、録画面接についてよく知らない求職者・端末を使用した録画に慣れていない求職者は、録画面接というだけで応募を見送る(離脱する)可能性があります。
株式会社マイナビが実施した調査「マイナビ 2023年卒 学生就職モニター調査 6月の活動状況」によると、特に“録画式のWeb面接”が苦手と回答した学生の割合は45.4%となっています。
また、苦手意識を持つに至った具体的な理由としては、次のようなものがあげられます。
- 何度も撮り直さないといけなくなった(54.2%)
- 相手がいない状況でひとりで話すのが苦手(53.7%)
- うまくいったかどうかの手ごたえがない(50.2%)
少しでも多くの求職者から応募をつのるためには、このような人材側の苦手意識を把握した上で、録画面接の一連の流れ・使用するシステムやアプリ等の情報を丁寧に説明することが大切です。
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録画面接を導入する際の注意点
録画面接が採用活動の効率化につながるからといって、やみくもに導入したとしても、十分な成果につながるとは限りません。
録画面接を導入する際は、以下の点に注意しましょう。関係者に導入目的を周知する
実際に動画面接を導入する際は、自社がなぜ録画面接を導入しなければならないのか、関係者にその目的を周知しましょう。
当然、導入にあたって混乱も予想されるため、その手間をかけても十分なメリットがあることを説明しておかないと、面接官の面接に対するモチベーションも下がってしまうおそれがあります。
全国各地から応募者をつのる、多数の求職者を効率よく面接するなど、関係者の意識を統一することが面接の効率化には不可欠と心得ましょう。
欲しい人材像を明確化する
職種・役職・社風など、欲しい人材像は「人材を必要とする背景」や「新たな人材に求める条件」によって変わってきます。
録画面接の場合、求職者がカメラに向かって話した言葉・映っている姿が評価対象であるため、評価基準として欲しい人材像が明確でないと、面接官それぞれの主観が評価に反映されやすくなります。
企業として、欲しい人材像のイメージを統一しておくことが、録画面接におけるミスマッチ防止につながります。
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録画面接を導入した企業の声
録画面接を導入する理由・ニーズは、企業により様々です。
以下、録画面接を導入した企業の声として、よく聞かれるものをまとめました。
筆記試験で分からない“人柄”を知りたい
多くの場合、筆記試験は求職者の基礎能力をはかるために実施されますが、その回答から人柄を推し量るのは難しい傾向にあります。
しかし、録画面接であれば、求職者が持つ雰囲気や、録画というシチュエーションにおいて面接官に配慮できるコミュニケーション能力などが把握できます。
求職者に関する情報量を増やす目的で録画面接を導入しているケースは、採用の現場において比較的よく聞かれる意見の一つです。
求職者と向き合う時間を確保したい
企業の中には、アットホームな社風を大切にしているところもあり、そういった企業では面接に時間をかける傾向にあります。
新しい“家族”として人材を迎え入れる意識を持つ企業は、それだけ一人ひとりの求職者と向き合う時間を増やす必要がありますが、対面での面接はどうしても準備に手間と時間がかかってしまいます。
そこで録画面接を導入した結果、面接準備にかかる時間を短縮し、求職者と向き合う時間が確保できたという意見もあります。
遠方の意欲的な求職者の負担を軽減したい
録画面接のメリットとして思い浮かべやすいものに、遠方に住む意欲的な求職者の負担軽減があります。
導入企業の声としては、「遠方からの応募選考が進んだ」・「応募者が増えた」などがよく聞かれます。
実際、全国から応募者をつのったとしても、交通費や日程の関係から辞退してしまう求職者は少なくありません。
その点、録画面接では応募者・企業ともに移動の手間が省け、時間の調整もしやすくなります。
面接のオンライン化を実現したい
オンラインでやり取りができるのであれば、あえて対面で面接をする必要はないと考えている企業は少なくなく、録画面接の導入によって面接のオンライン化が進んだという声も無視できません。
拠店等での面接が不要になり、面接会場を準備しなくてもよい分、採用スピードも向上することが見込めます。
企業によっては、派遣スタッフのフォローに活用するケースもあるようです。
各地の面接をWeb面接に集約したい
全国各地で人材を採用する企業の中には、Web面接の導入によって遠方の求職者と面接するため、各地で行われる面接をWeb面接に集約したいという声も聞かれます。
この点について、面接の録画機能を活用し、本社で行った面接の様子を各拠点で確認してもらうなど、採用の効率化を目的とした使い方を模索する企業も多いようです。
通常業務に加えて面接の時間を確保するのが難しい企業においては、録画面接が面接時間の短縮につながっているものと推察されます。
対面での面接前に求職者の人物像を把握したい
新卒採用などで、エントリーシートの情報から就活生の人物像を把握するのは、決して簡単なことではありません。
対面で行う面接の前に、求職者の人物像を把握したいという声は、おそらく多くの企業の人事で聞かれるものだと思われます。
録画面接を導入すると、面接前に求職者の人物像を把握しやすいだけでなく、映像データを後から見返して再考することもできます。
この点を評価し、採用のオンライン化に踏み切った企業も少なくありません。
採用担当者の負担軽減と納得できる採用を両立させたい
ベンチャーなど少数精鋭の企業においては、選考に時間がかかると採用担当者の負担が大きくなり、結果としてミスマッチが発生してしまうという声がよく聞かれます。
この問題を解決するため、録画面接を導入したところ、求職者を多角的に見られる・役員間で意思決定が円滑に進むなどのメリットを享受できた企業もあります。
導入後、採用担当者の負担軽減と納得できる採用が両立できた企業もあることから、人材不足に悩む企業ほど録画面接のメリットは大きいと言えるかもしれません。
これから録画面接を導入したい企業向けツール5選
録画面接をスタートするには、自社で問題なく運用できるツールを選ぶため、複数のツールを比較検討することが大切です。
以下、これから録画面接を導入したい企業におすすめのツールを5つご紹介します。
インタビューメーカー
インタビューメーカーは、株式会社スタジアムが提供する採用面接システムです。
録画面接のほか、Web面接・採用管理機能・採用管理システム(ATS)との連携機能なども備えています。
録画面接の流れは、採用担当者が質問を作成・設定後、URLを応募者に送って録画面接を実施し、求職者から届いた動画・回答を確認して評価する形になります。
動画の内容を文字起こしで確認したり、 蓄積した動画データをもとに合格人材のAIモデルを構築したりする機能も備わっているため、多様な活用法を模索できます。
ApplyNow
ApplyNowは、株式会社ApplyNowが提供する、動画選考で採用を効率化する「スマート選考ソリューション」を掲げたサービスです。
企業だけでなく自治体でも導入されているサービスで、例えば外部委員を面接官に迎えて面接するケースがある自治体では、ApplyNowを円滑な日程調整に役立てている例もあります。
また、求職者側でアプリのダウンロードを必要としないため、応募にあたっての負担軽減にもつながっています。
100人を超える選考を1日で終わらせた企業の例もあり、スピーディーな選考を実現したい企業にとっては使い勝手の良いサービスになる可能性を秘めています。
harutaka(ハルタカ)
harutakaは、株式会社ZENKIGENが提供する採用ツールで、動画面接やオンライン面接機能のほか、面接当日のライブ実況状況をダッシュボードで一元管理できる機能を備えています。
複数人で面接を実施する際に、エラーの早期発見やフォローが可能となるだけでなく、当日の通信トラブルを未然に防ぐことも期待できます。
録画面接機能に関しては、応募者への質問フォームを自由な形式で作成できるため、自社で本当に知りたいこと・聞きたいことを確認しやすいでしょう。
実際に導入した企業の中には、雰囲気・人柄といった部分の定量化や、労力半減を実現しているところもあります。
BioGraph(バイオグラフ)
https://www.biograph.jp/recording_interview/
BioGraphは、株式会社マージナルが提供するWeb面接・録画選考ツールです。
採用担当者はテキストだけでなく動画でも質問を設定することができるため、求職者に対して安心感を与えることにつながります。
実際にツールを使用したユーザーの中には、「サポートの対応が真摯だった」という意見をあげる人もいます。
機能面だけでなく、アフターサービスの面でも安心して利用できるツールと言えるでしょう。
HireVue(ハイアービュー)
HireVueは、2004年にアメリカで開発されたデジタル面接プラットフォームで、日本ではタレンタ株式会社が総代理店となっています。
37ヶ国以上に対応し、年間30万名以上が利用している、非常に人気の高いシステムです。
動画面接以外にも、プログラミングコードテスト・AIによる面接選考支援などのオプション機能を備えており、様々な採用ニーズを満たすことができます。
まとめ
録画面接を導入することで、これまで対面を想定しなければならなかった面接のプロセスを、大幅に効率化することが可能になります。
面接に対応できる人員が限られる中、効率的かつ精度の高い採用を実現したい企業にとっては、非常に魅力的な面接方法の一つと言えます。
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