新卒研修担当の最重要ミッションは「自社のDNAを入れ込む」こと

新卒研修担当の最重要ミッションは「自社のDNAを入れ込む」こと
目次

初めまして。株式会社Human Creationの山川勇之丈です。

前職では、東証一部上場のウェディング会社で人事責任者をしており、年間100名以上の新卒研修を担当。その経験を活かし、現在は企業の新卒採用コンサルティングをしています。

新入社員の歓迎準備に追われる4月。

人事担当者にとって、新たな才能を迎え入れる喜びと同時に、彼らが早期に離職してしまうリスクへの対策が重要な課題となります。

本記事では、新入社員が会社に溶け込み、長期的に活躍できる環境を整えるために、最も重要なことをお伝えします。


新卒採用のメリットとは?

具体的なポイントをご紹介する前に、そもそも新卒採用のメリットについてお伝えしたいと思います。

新卒採用の企業にとっての価値は、社会人経験がない、まっさらな人材に企業の文化や価値観をゼロベースから落とし込めること」です。

一方で中途採用は、社会人経験があり、即戦力人材であることが魅力ですが、すでに前の会社の文化や価値感に染まっています。

「自社のDNAを一から入れ込む」ことができるのは、新卒採用ならではメリットです。
それをふまえて、新卒の新入社員研修の重要なポイントについてご紹介していきます。


最も重要なのは「企業文化・価値観」の落とし込み

新卒の新入社員研修で最も重要なのは、ずばり「企業文化・価値観」の落とし込みです。

前項でお伝えしたとおり、新卒採用のメリットは「企業文化をゼロベースから落とし込めること」です。

新卒採用だけにしかない、そのメリットを最大限活かすために、しっかりと「企業文化」を落とし込まなければなりません。

MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)、行動規範、クレドなど、言い方は様々ですが

  • そもそもこの会社はどこに向かっているのか?
  • その会社にとってのよい行動、そうでない行動は何か?

を時間をかけてしっかりと伝えましょう。

新入社員が企業文化を理解し、それに溶け込むことができれば、職場への適応と長期的なエンゲージメントが促進されます。


「企業文化」に基づいた組織が最も強い

人が組織に共感する要素として、「4つのPがある」と言われています。

  1. Philosophy=理念・目的:組織のビジョン・目的に対する魅力
  2. Profession=仕事・事業:組織の活動に対する魅力
  3. People=人材・風土:メンバーと接する事で得られる魅力
  4. Privilege=特権・待遇:組織に属する事で得られる処遇や特権

上記のうち、最も長期かつ強い組織は、「Philosophy=理念・目的」に基づいた組織といわれています。

みなさんの身近にもそういった組織がありますが、わかりますか?

それは「宗教」です。

国境や人種、そして時代も超えて、宗教の「経典(理念)」で強固に結びついています。

「仕事・事業」に基づいても、部署移動や、時代とともに事業内容が変わることもあるでしょう。

「人材・風土」も、尊敬している経営者や先輩・同僚はいつまでも同じ会社にいるとは限りません。

「特権・待遇」は、高額な報酬に惹かれて入社するケースですが、短期的にはよいですが長くは続かない傾向があります。またもっと高額な報酬の会社があれば、簡単に離職してしまうでしょう。

もっとも強固な結びつき、それが「「Philosophy=理念・目的」なのです。


どうやって「企業文化」を落とし込むのか

それでは、具体的にはどのように「企業文化」を落とし込んだらよいでしょうか?


MVVを言語化し、社員全員が自分の言葉で話せるか?

企業文化を新入社員に伝えるためには、まず組織のミッション、ビジョン、バリューを明確に定義し、それらを組織全体で共有する必要があります。

皆さんの会社では、ミッション、ビジョン、バリューを言語化できていますか?
また、経営者だけでなく管理職、リーダー、現場社員までが自分の言葉で話せますか?

新入社員に落とし込むには、まずは社員全員が常日頃から「企業文化」について語れることが大事です。

パーパスとは?MVVとの違いやメリット、運用方法まで徹底的に解説


ケーススタディ「あなたならどうする?」

新卒へ企業文化の落とし込みをする際、言葉で説明するだけでは、実際に理解できたとは言えません。

そこで、言葉で説明したあとに、

【ケーススタディ:こんな時あなたが自社の社員だったらどんな行動をとる!?】を実施します。

下図は、実際に私がコンサルティングしている会社での事例です。

このように、具体的なケースを用いて概念理解と状況理解をセットで入れていくことをオススメします。


新卒研修にリソースがさけない場合は?

そうはいっても「ひとり人事なので、新卒研修にそれほど時間がさけない」

といった悩みを聞くことがあります。
その場合は、「現場の管理職やリーダーを巻き込みましょう」というのが私のこたえです。

ぜひ、事業部長や課長、現場のスタッフにも、研修の一部でもよいので担当してもらいましょう。
そうすることで、社員も考えるきっかけになります。

私が知っている採用がうまくいっている会社は、新卒研修で経営者が重要な役割を果たしていることが多いです。

その根底には「経営で最も大事なのは未来の人づくり」という想いです。
経営課題として人材の育成を考えているから、トップダウンで社員を巻き込んでいるのです。


まとめ

かつてないほど新卒採用が難しい時代。せっかく採用した新入社員の早期離職は、企業にとって大きな損失です。

早期離職を防ぐ方法は、メンター制度やキャリアパスなどいろいろありますが、最も大事なのは「企業文化・価値観」の落とし込みです。

改めて、会社の企業文化・価値観について考える機会でもあります。
ただの表面的な言葉では伝わりません。 

社員全員が新入社員へ「リアルな言葉や事例・行動を通じて」自社の文化や価値を伝えていきましょう。


株式会社Human Creation(ヒューマンクリエイション) 山川 勇之丈
記事を書いた人
株式会社Human Creation(ヒューマンクリエイション) 山川 勇之丈

2014年新卒でアイケイケイホールディングス株式会社東証一部上場企業に入社。ウェディング事業のプロデューサーとしてBtoC向けの営業経験後、最速で管理職にあたる支配人へ24歳で昇格。28歳で人事戦略イノベーション室室長として人事責任者を経験。2022年新卒のマイナビ人気企業ランキング九州沖縄部門で1位を獲得。20222月より出身地沖縄にて地方創生を人の創生からというビジョンでHuman Creationを立ち上げ。新卒採用特化コンサルティング事業、新卒採用インターン企画事業などを行う。