【セミナーレポート】Z世代の心をつかむ採用×育成手法
65才以上の高齢化率が3割となる日本において、若年層採用は年々難しくなっています。
そこで本セミナーでは、特に中小企業の採用ご担当者様や採用業務を少人数で対応されているご担当者に向けて、Z世代の採用と育成がより有効に進められるようなノウハウをご紹介します。
第一部のZ世代の採用については、弊社アルバイトタイムスの長野が担当します。
第二部では、地方中小企業の人材育成に定評のある株式会社BottoKの井手様をお迎えし、Z世代の育成についてお話いただきました。
今回はセミナーレポートとして、その中でも特に重要な点をピックアップしながらセミナーの様子を紹介していきます。
【プログラム】
第一部:Z世代の心をつかむ採用戦略
講師:株式会社アルバイトタイムス リーダー 長野裕之
第二部:Z世代を早期戦力化するには?
講師:株式会社Bottok シニアマネージャー 井手景子
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第一部 Z世代の心をつかむ採用戦略
第一部は、株式会社アルバイトタイムスの長野裕之による、Z世代の心を掴むための採用戦略に関するお話でした。
セミナーの内容を見ていきましょう。
Z世代は、自分らしさを大事にし、効率性を重視する世代
Z世代とは、一般的に1996~2012年までに生まれた人のことを言います。
Z世代の特徴として以下の4つが挙げられました。
- デジタルネイティブ世代
- 自己承認欲求が強い
- 自分らしさが何より大事
- 現実主義・効率主義
Z世代は、幼少期からインターネットを使いこなしている人が多く、情報を集める際もSNSなどを駆使して幅広く収集し、その中から自分に合ったものを選んでいく傾向にあります。
他人からの評価にも敏感で、コミュニティーの中でも共感や称賛を得ることにやりがいを感じます。
また、効率性を重視し、いわゆるコスパ(コストパフォーマンス)・タイパ(タイムパフォーマンス)のよさを求める傾向も非常に強いという特徴が見られます。
Z世代に有効な訴求をするには、ターゲットを明確にすることが重要
Z世代の就業観は「転職ありきのマルチキャリア」「オープンでフラットな社風」「専門性を身に付け、成長できること」「現実主義・効率主義&保守的」などの傾向があると考えられています。
Z世代は、次のステップではこういうことをやりたいという明確なキャリアビジョンを持っています。
ただ、いわゆる管理職を目指すのではなく、エキスパートやスペシャリストといった専門性を追求する傾向にあります。
また、挑戦やリスクを極力避けて堅実な道を選ぶ傾向もあり、特に失敗することに関して敏感です。
また、「魅力的な会社があればどんどん転職したい」という人がいる一方で、「今の会社で長く勤めたい」という人も一定数おり、Z世代の就業観は二極化しています。
Z世代に対して有効な訴求をするためには、どちらの傾向にある人をターゲットにするかを明確に定めて採用活動を進める必要があります。
採用市場が変化し、従来のやり方は通用しなくなっている
中小企業にとって若手人材の採用が難しくなっている背景には、複数の要因があります。
1つは、採用市場全体が売り手市場となっており、従来のやり方が通用しなくなっているという点です。
もうひとつには、これまで新卒を中心に採用活動をしていた大手企業が、中途採用を重視し始めていることが挙げられます。
少子高齢化により若年の求職者数が減少している一方で、企業側の20~30代の正社員採用に関する需要は高まっており、競争が激化しています。
このような状況下で、中小企業が従来の採用方法を続けていると、意図せずして大手企業と同じフィールドで競争してしまう可能性があるでしょう。
Z世代(若手人材)の採用戦略のポイント
Z世代の採用戦略を立てる際は「採用計画を立てる」「ペルソナ別の記事」「魅力の整理&発信」の3つを意識することが大切です。
年間の採用計画を立てることが重要
新卒・中途採用を含めた年間の採用計画を立てることが非常に重要です。応募数の状況に合わせて、有料・無料の求人サービスを使い分けましょう。
年間の採用計画を立てておけば、採用にかける予算も立てやすくなります。
具体的なペルソナを設定し、ペルソナ別の記事を作る
採用戦略を立てる前に、ペルソナ(自社にとっての理想的な人材像)をできるだけ具体的に決めておくことが重要です。
しかし、採用担当者様からは、一番苦労するのがこのペルソナ設定という声も聞きます。
まず、ターゲットする層を決め、具体的な人物像に絞り込んでいくと良いでしょう。
求人記事を作成する際は、ぜひ面談したいと思う基準となる「WANT条件」や、譲れない部分としての「MUST条件」をしっかりアプローチすることも大切です。
ペルソナによって、訴求ポイントも大きく変わります。
ペルソナを設定する際は、現在働いている従業員にヒアリングするのがおすすめです。
自社の魅力を整理して事実を発信する
自社の魅力を整理し、ひと言で伝えられるようにしておくと、記事を読む側も理解しやすくなり訴求力もアップします。
また、例えば「自分で学ぶ姿勢が大事」「残業時間が発生する」など、大変なポイントに関しては、教育支援制度や業務効率化ツールを導入しているというように、対策も伝えることが重要です。
昨今の求職者の仕事探しは、長期化および手法の多様化という傾向にあります。
そのような状況下で効果的なアプローチをするためには、様々なメディアに求人情報を掲載することが必要です。
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第二部 Z世代を早期戦力化するには?
第二部は、株式会社BottoKの井手景子氏にZ世代の早期戦力化についてお話していただきました。
Z世代の傾向を踏まえた仕組みを作る
日本能率協会マネジメントセンターの調査結果によると、約85%の企業が新入社員・若手社員の早期戦力化を重要な課題と認識しています。
中でも、企業視点で見た新人の早期戦力化に関する課題の上位を占めているのが以下の3点です。
- 成長意欲を持ち、必要な経験を自ら開拓する
- 目的を設定し確実に行動する(やり抜く、挑戦する)
- 働くことの意味・目的を考えて行動する
新入社員意識に関する調査などのデータも紹介され、学生側にとっても「試行」「自発」といった部分が課題になっていることが分かりました。
データ上では、企業側も学生側も試行や自発ということに関して課題を感じており、一見お互いの要望は一致しているようにも見えます。
実際の現場はどうなのでしょうか。
表向きは試行したい・挑戦していきたい・経験したいという意思があるものの、実は自己肯定感が低く、失敗したくない・出る杭にはなりたくないと考えてしまうのがZ世代の傾向です。
そのため、試行・挑戦・経験をさせたい企業側と、自己肯定感が低く取り組みに対して心理的なハードルを感じてしまう若手社員の間に不一致が起こっているのが現状です。
Z世代のこの傾向を踏まえた上で、試行・挑戦・失敗経験・主体性を発揮するような仕組みを作っていくことが重要になります。
Z世代を早期戦力化するポイント
Z世代の早期戦力化には、この世代に合う形で自己肯定感の底上げをサポートし、自発・試行・挑戦を促進できる環境を構築することが必要です。
具体的なポイントとしては、以下の2点が挙げられます。
- 経験前学習機会を整備し、経験学習のサイクルを促進させる
- こまめな目標設定・PDCAサイクルを通じて、自己肯定感を高める育成環境を整備する
とりあえずやってみようとか、やっていることの良し悪しが分からないような伝達の仕方では上手く行きません。
きちんと情報を与え、ゴールとプロセスがはっきり分かるような仕組みを作ることが大事です。
経験前学習の機会を与えるという観点を持つ
Z世代の育成方法を解説するにあたり、デービッド・コルブの経験学習モデルを参考としました。
デービッド・コルブの経験学習論によると、人は、現場での実践→経験の蓄積→振り返り→概念化という繰り返しによって成長していくものといわれています。
Z世代を戦略化するには、この一連のプロセスを回す上での世代的な特徴を知っておくことが大切です。
これまでの世代は、例えば教えてもらっていない業務に関して、やってみる→知識として蓄える→理解を深めるというプロセスを踏んでいました。
しかし、試行への心理的ハードルが高いZ世代の場合、
学ぶ→やりながら事前の知識と照らし合わせる→経験を重ねて理解を深める
というサイクルになっています。
Z世代は、事前に学んでから実行に移すという経験前学習によって経験学習論を回すのが特徴です。
これから若い世代の育成やマネジメントに関わる方は、この特徴を理解し、いかに経験前学習の機会を与えるかという観点を持って取り組むことが重要になります。
マニュアルの整備やメンター制度が有効
若い世代の中には、マニュアルに載っていないことが発生すると、自分では試行せずに手を止めて先輩や上司に聞く人が増えています。
そういう状況を踏まえても、マニュアルの整備やメンター制度などの取り組みが有効です。
メンターを付けるときは、新入社員が自分のキャリアパスをイメージしやすいように年齢の近い若手社員を選ぶと良いでしょう。
メンターのパーソナルな部分が分かるような情報もあれば、気軽に声をかけやすくなります。
OJT後もメンターと定期的な振り返りの期間を設け、育成のゴールに対する進捗具合や課題に感じている部分などを確認しながら、概念化をサポートしていくのが有効です。
ゴールを見える化し、段階的に指導する
若手人材の育成には、ゴールを見える化することが重要です。
では、どのようなゴールを見える化すれば良いのでしょうか。
若い世代が仕事において知りたいこととして、主に以下のような項目が挙げられました。
- 仕事の全体像や、全体の流れ
- どの部署が何をやっているのか
- 理解しておかなければならないことの優先順位
- 手が空いたときに何をすれば良いのか
これらの項目を、ゴールとして見える化するだけでも非常に効果的だと言います。
また、ゴールを設定する際に、段階を踏むことの重要性についても解説がありました。
例えば、「営業マンとしての基礎素養を身に付ける」ことを1年後のゴールとする場合、そこに至るまでに身に付けたいスキルや知識を細分化し、月ごとの目標として設定するのがポイントです。
それをリストにして1on1などでの定期的な面談でのチェックポイントにし、できていることは褒めて、できない部分に関してはどうすれば良いのか声をかけていくと良いでしょう。
この方法は、上長側にとっても分かりやすいのでおすすめです。
教えられる側にとっても、できることがどんどん増えていくのが分かるので、自己肯定感が醸成されやすくなります。
まとめ
Z世代の採用戦略や早期育成化においては、まず世代の特徴や傾向を理解することが重要です。
従来の方法に縛られず、採用市場の変化に応じた戦略を立案し、特性に合った育成の仕組みを考えていきましょう。
株式会社アルバイトタイムスでは、ワガシャdeDOMOというサービスで、若手社員の採用に関する課題を解消するお手伝いをしています。
また、株式会社BottoKでは、社内研修などに関するセミナーの実施や人事領域に関するさまざまな資料などを提供していますので、ご興味がある方はぜひ参考にしてみてください。
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