採用のコストについて考えてみた
人を採用するのにいくらかかる?
中小企業の社外広報部を目指すTeam N+1の三ッ口洋一です。
採用にかかる費用なんて一概にいくらとは言えませんね。
正社員、契約社員、新卒者、アルバイト・パート・・・対象も条件も様々です。
手段もいろいろあります。
・ハローワーク
・大学や専門学校など
・各種求人メディア
・人材紹介サービス
・ソーシャルメディア
・縁故
などなど
いずれも一長一短で、ソーシャルメディアなど、たとえ見た目の費用はかからないものでも、それなりに時間や労力がかかったりします。そのあたりの事情は各社異なりますから、普段ご利用の皆さんのほうがお詳しいことでしょう。それもお仕事のうちですから仕方がないとは言え、人件費や時間も換算すると結構恐ろしい金額になったりします。
とある企業では、新卒学生の採用に1年で1千万円ほどの費用がかかったそうです。採用できた社員は10人だそうですが、人事担当者は「一人100万円ずつ差し上げているようなものだよね」と嘆いていました。
採用後のコストは?
ほとんどの場合、人は採用するだけでは済みませんね。
まずは基本的な社内ルールを知っていただき、会社・組織の理念や業務内容を理解していただき、戦力になってもらわなければなりません。総務部や人事部が研修を行う場合もあれば、現場の上長や先輩が業務を通じて指導する場合もあるでしょう。そこでもコストは発生しています。
たとえば優秀な営業マンが後輩を指導する場合、営業マンの売り上げに影響を及ぼすということもあるかもしれません。しかもその間、たとえ試用期間であったとしても、新人さんの給料は支払われるのです。
さて、その新人さんが期待される、あるいは果たすべき仕事の成果を出せるようになるのに、何日かかるのでしょうか?業種によっては何ヶ月も何年もかかるかもしれませんね。
採用費は経費ではありません
会社や組織は、必要に応じて人を採用します。何がしかの役割を期待し、採用費や教育費、人件費を経理処理上はともかく、人に『投資』しているわけです。
従業員や職員はその期待を超える働きをしていただかないと割が合いません。投資ですから、すぐに回収できなくとも、いつかちゃんと何らかの価値として返していただかないと困るわけです。
「給料が安い」とボヤく従業員さんもいますが、本来は『新人さん=赤字社員』だったときのことも忘れてはならないのです。そんな方には問いましょう。本当に十分すぎるほどの価値を会社に返せていますか?と。
ですから、経営者の方々は「俺のやり方が気に入らなければ辞めるがいい。新しい人を採るだけだ」などと安易に考えてはならないことがわかります。経営者としては投資したのですから、それ以上のお仕事をしていただこうではないですか。そんなことは私などに言われなくても皆さんお分かりですよね。
会社を辞めるときにホンネなんて言いませんよ
さてさて、それでは採用にかかる時間・労力・費用を最小限にするにはどうすれば良いのでしょうか?
そうです!誰も辞めなきゃいいんです。そうすれば人不足は解消します。ってそんな単純ではないです。
従業員さんたちには、それぞれ辞める理由があるでしょう。でも会社を辞めるときにわざわざホンネを言うでしょうか?当たり障りのない理由をつけて、お互いに嫌な気分にならないように気を遣う人がおそらく大半でしょう。
だからそれを真に受けてはいけません。転職経験のある方はご自身の胸に手を当てて聞いてみてください。私もそうでしたよ。
もし本当の理由を知りたければ、辞めた人と仲の良かった人に訪ねて頂いて、改めて理由を聞いてもらうといいでしょう。「今だから言うけど、実は・・・」という話が聞けるかもしれません。「真の理由」を知ることなく、採用環境の改善は無理ですからね、はっきり言って。
辞めたくない会社・組織づくりとは?
当たり前のことですが、まずは従業員さんを大事にすることです。能力の高い低いに関係なく信頼し、守ります。
人の脳は死ぬまでほとんど使われないそうじゃないですか。ということは誰もが必ず何らかの潜在能力を持っているということなんです。
それを信じられるかどうか、引き出せるかどうかが、リーダーや経営者の腕の見せどころです。従業員さんがいつまでも役立たずだとしたら、それはご本人よりもあなたのせいなんです。
そして会社・組織の方向性とそれと連動する個々人の役割をきちんと伝えます。それぞれの能力に見合う業務が当てられ、業務の出来不出来を手応えとしてフィードバックする仕組みが必要です。
社内研修や社外教育の支援などで、個人の能力を磨きます(従業員さんの能力を高めるための社員教育には厚生労働省から多種の助成金が出ています。小さな会社さんほど、ぜひ活用してくださいね)。
働く人にとって、働く場の選択は経営者や上司が思っているよりはるかにシビアです。もちろん待遇も重要ですが、昨今はそれ以上に人間関係や仕事の手応えを重視する傾向にあるようです。
守られる、してもらうことにどっぷり浸かって育った世代は、それだけメンタルが弱くなっているのかもしれませんが、少なくとも『昭和なド根性おじさん』である私たちの価値観は全く通用しないと考えたほうがいいでしょう。
そこまでやらなきゃならんのかね?
という経営者の嘆きが聞こえてきそうですが、採用するそばから辞めていかれるようでは、人手不足廃業などということもあながち冗談ではなくなりつつあるのです。大手だからいい、中小だからダメという問題などではないのです。
海外の先進国では学生の就職先のランキングの上位にNPO(非営利活動法人)が入っています。人は待遇だけを求めているわけではありません。毎回同じことを繰り返し言いますが、会社や組織がどこを目指しているのか、共感が得られるビジョンなのか、それが最も大事です。
もちろん教育にも多くの時間と費用がかかります。それでも人が辞めたいと思わない・友達も誘いたくなるような会社を目指そうとするなら、そのスタンスこそがブランディングなのです。
1961年名古屋市生まれ。プロトコーポレーションと中部経済新聞社で、雑誌編集、経済部記者、ビジネスセミナー開催、広告営業、フェイスブックページ運営などを手がける。
約30年間のメディア業界で得たノウハウと2万人を超える人脈とで「中小企業のための社外広報部」というニーズに応えるべく2014年独立。2016年には名古屋女子広報チームNPR48B(Nagoya Public Relations 48 for Business)発足。2018年から多目的スペースOSpace管理人。
中小企業庁未来企業サポート「ミラサポ」登録専門家。メルマガ「不定期ビジネスニュース」管理人。起業家支援イベント「N-1グランプリ」実行委員。
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