年齢制限のある求人は出せる? 「例外事由3号のイ」などの意味を解説!
求人広告を作成する際、年齢制限が原則禁止されています。
ところが、原則禁止にも関わらず、求人サイトや求人誌をみていると、「例外事由3号のイ」といった表記と合わせて、年齢制限しているケースがみられます。
どのような理由があれば、年齢制限しても良いのでしょうか?今回は、6つの例外事由について詳しく解説いたします!
※求人募集・採用時の年齢制限は原則NG|例外的に認められるケースも含め解説
例外事由とは?
求人情報をハローワークや求人サイトに掲載する際、年齢を限定しての募集は原則禁止です。しかし、中には例外が認められる場合があります。
このように年齢を限定した募集の例外が適用されるケースのことを、例外事由と呼びます。
例外事由は「1号」「2号」「3号イ」「3号ロ」「3号ハ」「3号ニ」の全部で6区分あり、特に多く目にするのが「例外事由3号のイ」です。
企業の雇用管理実態などを踏まえ、“年齢による制限を必要最小限にする”という観点からみて合理的な制限である場合は、年齢制限が可能となります。
「自社の求人内容が、例外事由に該当する」
という場合は、求職者や求人サイトへ情報を掲載する際に、就職や転職にあたりなぜこの条件が必要なのか、例外事由の番号と理由を記しておきましょう。
求人における年齢制限禁止は、正社員だけでなく、パートやアルバイト、派遣などを雇用する際にも適用されます。
非正規雇用の際に年齢制限がある場合も、例外事由に該当するかどうか確かめておきましょう。
「年齢不問で募集しているけれど、実際はある決まった年齢しか採用していない」という場合は法に違反しています。求人内容を見直して、例外事由がある場合は、正しく記載をしましょう。
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例外事由6区分を詳しく解説
採用における例外事由には、どのような区分があるのでしょうか?
希望する年齢がある場合は、事前に例外事由の中身を知り、該当する形で広告を作成しましょう。
それでは6つの例外事由について、内容を詳しくチェックしてみましょう
種類 | 内容 |
---|---|
例外事由1号 | 定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合 |
例外事由2号 | 労働基準法その他の法令の規定により、年齢制限が設けられている場合 |
例外事由 3号 イ | 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合 |
例外事由 3号 ロ | 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合 |
例外事由 3号 ハ | 芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合 |
例外事由 3号 ニ | 60歳以上の高齢者または特定の年齢層の雇用を促進する政策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる人に限定して募集・採用する場合 |
例外事由1号
定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
60歳定年の企業で、60歳未満に限り雇用する場合は、例外事由にあたります。
1年間のみなど、期間を定めた雇用の場合は、例外事由に該当しません。
また、定年年齢が60歳の場合に40歳以下、50歳以下など下限年齢を指定して募集する方法はNGです。
60歳定年で、業務の取得に時間がかかる仕事の場合も、
「仕事を覚えるまで3年程度かかるため、57歳以下を募集します」
といった記載はできません。
募集は60歳(定年年齢)未満とし、業務の習得に3年程度必要、と別に記載しておきましょう。
例外事由2号
労働基準法その他の法令の規定により、年齢制限が設けられている場合
労働基準法やその他の法令で、特定の年齢層の就労が禁止・制限されているケースがあります。この場合は例外事由にあたり、年齢制限が認められます。
18歳以上でなければ働けない、仕事の一例をみてみましょう。
- 深夜帯のコンビニやファミレスなどのアルバイト業務
- パチンコ、パチスロ店などギャンブルに関連する業務
- ボイラーや危険物の取扱いやクレーン運転士、足場の組立・解体など(労働基準法第62条 危険有害業務の就業制限)の仕事
- 警備員(警備業法第14条 警備員の制限)の仕事
- 焼却・清掃、酒席に侍する業務など(年少則第8条 福祉上有害な業務)の仕事
これらの分野で人員募集する場合は、例外事由2号に該当するため、年齢制限が可能です。
例外事由 3号 イ
長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
例外事由3号のイにあたる若年者層とは、主に35歳未満を指します。
今後長期的にキャリアを築く必要がある場合、例外事由3号のイの対象になります。
対象者の職業経験は不問にすること、新卒者以外も賃金や有給休暇付与日数などを新卒同等の処遇にすること、という条件がある点を覚えておきましょう。
就職が厳しかった時期に正社員になれなかったフリーターや派遣社員、ニート層など、若年層へ配慮するために設けられた例外事由です。
35歳未満という年齢制限は可能ですが、必ず経験不問で募集してください。
免許の有無や高卒者など、資格や学歴の指定は可能です。
例外事由 3号 ロ
技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
特定の年齢に労働者が少なく、ノウハウ継承が難しい場合に認められる例外事由です。
特定の年齢は30~49歳のうち、5~10歳までの間で指定します。
相当程度少ない基準については、その他年齢層と比較して労働者数が1/2以下の場合を指します。
仮に20~29歳が10人、30~39歳が5人、40~49歳が15人の職場の場合、30~39歳の年代に限定して求人募集できます。
例外事由 3号 ハ
芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
芸術作品のモデル、演劇・映像に出演する子役俳優など、限られた年齢が求められる場合は例外事由にあたります。
30歳未満のビールの売り子、モーターショーのコンパニオン、といった募集の仕方は芸術・芸能分野と関連がないため、認められません。
例外事由 3号 ニ
60歳以上の高齢者または特定の年齢層の雇用を促進する政策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる人に限定して募集・採用する場合
助成金活用などを目的に、60歳以上の高齢者を雇用する場合、年齢制限が可能です。
60歳以上の年齢は不問とし、60歳から70歳まで、といった募集はできません。
また国の助成金対象であっても、60歳未満が含まれる場合は、例外事由に該当しません。
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年齢制限付きで掲載する場合の書き方
年齢制限付きで求人原稿を作成する場合、例外事由に当てはまるように配慮した記載が必要です。どのような形で掲載すれば良いのか、3つの例をみてみましょう。
①未経験の若年層(35歳以下)を募集したい場合(例外事由3号のイ)
長期勤続によるキャリア形成を目的に、35歳以下の若手を募集したい場合、例外事由3号のイに該当します。
若年層として35歳を想定した例外事由ですが、必要なキャリアは企業によって違います。
そのため、明確な理由があれば25歳以下でも45歳以下でも構いません。
募集条件欄へ、
35歳以下(例外事由3号のイ:長期キャリア形成を目的にした募集のため)
このように記載しておきましょう。
これまでの経験は不問であること、契約期間などの定めがない求人募集であることを確認の上、掲載してください。
②氷河期世代(35歳以上55歳未満)を募集したい場合(例外事由3号の二)
例外事由3号のニでは、高齢者向けの助成金活用向け雇用でなく、2023年3月31日までは就職氷河期世代に絞った採用が可能です。
氷河期を理由に、正社員として働けなかった層を対象に、35歳以上55歳未満を募集できます。
注意点としては、これまでの職業経験を問わないこと
契約期間などの定めがない求人募集であること
ハローワークに求人を掲載すること
といった条件があります。
求人を出す際は、募集条件欄に、
35~54歳(例外事由3号二:就職氷河期世代向けの募集のため)
と記載しておきましょう。
社会人経験を持つ、アラフォー、アラフィフ世代のサポートを得たい企業は、就職氷河期時代を例外事由に求人募集してみてください。
③技能・ノウハウの継承の観点から年齢層を限定したい場合(例外事由3号のロ)
特定の職種において、年齢層が特に少ない場合は、例外事由3号のロに則り求人募集できます。
特定の職種は、厚生労働省が定める職業分類の小分類や細分類、もしくは総務省が定める職業分類の小分類を参考にしましょう。
【参考サイト】
ハローワークインターネットサービス/厚生労働省編職業分類
総務省/日本標準職業分類
特定の年齢層が30~49歳の間である場合。
その他の年代と比較して1/2以下である場合は、例外事由3号のロに該当します。
30歳~35歳、35歳~45歳など、5~10歳幅の間で、年齢を指定しましょう。
基本は企業単位ですが、一部の事業所で特定の年代が少ないといった事由がある場合は、事業所単位での募集も可能です。
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求人における年齢制限は原則禁止
6区分の例外事由がありますが、求人における年齢制限は2007年の雇用対策法改正により、原則禁止です。
求人広告を出す場合は、基本的に年齢不問にする必要があります。
この改正により、
「事業主は労働者の募集及び採用について、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないこと」
とされ、年齢制限の禁止が義務化されました。
求職者の年齢を理由に応募を拒否する
書類選考や面接の際、年齢を理由に雇用を制限する
特定の年齢層には業務が難しい、厳しいからと採用しない
これらの行為は、法の規定に反します。
年齢制限が必要な場合は、必ず例外事由に該当する形で募集しましょう。
年齢制限を設けず募集した企業の中には、
「管理職が若いという点を記載して募集した結果、40代の経験者を雇用できた」
「子どもの学習指導者を募集。子どもの気持ちを理解できる親世代からの応募があり、寄り添ってもらえた」
「経験者として45歳以上のリーダー雇用を想定していたが、30代応募者でも十分指導力を持っていた」
「週の休みが不定期な仕事のためか、若い世代よりも50代以上の方が面接で意欲的だった」
など、年齢を問わずに募集した結果、良い結果になった例もあります。
むやみに例外事由を持ち出すのではなく、幅広い視点で求人募集してみるのもおすすめです。
まとめ
求人採用における年齢制限は、例外事由に該当していれば指定できます。
自社で採用したい人物像が例外事由に適しているかどうか、助成金や人員不足を理由に特に募集したい年代層があるかどうか、といった点を検討の上、法律を順守した適正表記で掲載してください。
年代不問で採用した結果、思いがけない良い人材に出会える場合もあります。本当に例外事由が必要なのか、よく考えてから採用をはじめると、希望に近い人材に出会えるでしょう。
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求人情報誌発行・人材派遣の会社で広告審査や管理部門の責任者を18年経験。 在職中に社会保険労務士試験に合格し、2005年に社会保険労務士杉本事務所を起業。
その後、2017年に社会保険労務士法人ローム(本社:浜松市)と経営統合し、現在に至る。 静岡県内の中小企業を主な顧客としている。
顧客企業の従業員が安心して働ける環境整備(結果的に定着率の向上)と、社長(人事担当者含む)の悩みに真摯に応えることをモットーに活動している。