企業の成長を妨げる?|ゆるブラック企業の概要や特徴、ならないための対策を解説!

企業の成長を妨げる?|ゆるブラック企業の概要や特徴、ならないための対策を解説!
目次

近年ニュースで話題となっている「ゆるブラック企業」についてご存知でしょうか。
ブラック企業は知っている方も多いと思いますが、「ゆるブラック」はどう違うのでしょうか?

そこで、本記事では「ゆるブラック企業」の概要や特徴、「ゆるブラック企業」とならないために必要な対策なども確認します。

「ゆるブラック企業」になると、企業の成長性や生産性が低下する要因になりますので、ぜひチェックしてみましょう。

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ゆるブラック企業とはどのような会社か?

「ゆるブラック企業」は、よく知られている「ブラック企業」や「ホワイト企業」とは異なる特徴を持つ会社です。その特徴には以下のような点がありますので、自社が当てはまっていないかチェックしてみましょう。


① 残業なく定時退社できるが、スキルアップが難しい

「ゆるブラック企業」の特徴として、残業がなく定時退社可能ですが、働き続けてもスキルアップが難しい点があります。職場環境は悪くないため、仕事でストレスや疲労が溜まらないメリットはありますが、強みとなる能力やスキルが身に付かないのです。

過度なストレスは社員が体調を崩す要因になってしまいます。しかし、全くストレスがないと逆に集中力や向上心がなくなり、怠惰な勤務態度になりやすくなるため注意しましょう。


② 働きやすく雰囲気も良いが、将来性を感じにくい

「ゆるブラック企業」は、雰囲気が良く働きやすいメリットはありますが、仕事を通じた成長を感じにくい特徴があります。したがって、自分の将来のキャリアに関して良いイメージができない可能性が高いでしょう。

基本的に同じような業務を繰り返し、心理的・肉体的に負担が少ない状態が継続していれば、会社としては問題ないように思えます。しかし、成長を実感できない社員は将来性に疑問を感じ、別の働きがいのある企業に転職してしまうかもしれません。


③ 離職率が低い

さらに、「ゆるブラック企業」の特徴には離職率が低い点があります。業務が厳しくなく人間関係や雰囲気も良いため、退職する人が少ないことが理由です。仕事が楽なので続けたいと思う人が多いのも、離職率が低い要因でしょう。

一見すると、離職率が低いという特徴は企業にとって良いイメージになります。しかしながら、離職率の低さが業務の簡単さやぬるま湯のような職場環境から発生していれば、将来的には生産性・競争力の低下を引き起こす事態にもなりかねません。

【離職率とは】算出方法や業種別の傾向・下げるための対策について解説


ゆるブラック企業が出現した背景について

「ゆるブラック企業」の発生の背景には、働き方改革の推進やパワハラ防止法の施行などがあるとされます。近年では、ブラック企業と見なされないように、長時間労働を減らす取り組みやパワハラを抑止する施策が企業でも増えてきました。

しかし、パワハラ研修では『物言わぬ上司』が発生してしまい、結果的にパワハラを意識するあまり必要な指導やマネジメントができず、部下の成長が促進されない問題も指摘されています。

こうした事態が、表面的には問題がなさそうに見える「ゆるブラック企業」の発生原因であると思われます。

【徹底解説】働き方改革関連法の概要や改正点、対応方法や施行スケジュールなど

パワハラ防止法の概要と取り組むべき対策について【中小企業も要注意】


ゆるブラック企業で働きたくない理由とは?

実際に働く従業員は、どのような理由で「ゆるブラック企業」に勤務したくないと考えているのでしょうか。株式会社AlbaLinkの行ったインターネット調査では、以下のような回答が出ました。

<ゆるブラック企業で働きたくない理由> 
1位:成長できない 134人 
2位:収入が増えない 123人 
3位:やりがいがない 38人 
4位:将来が不安 30人 
5位:頑張っても評価されない 19人

※出典:AlbaLink|【ゆるブラック企業に関する意識調査】男女512人アンケート調査

最も多い回答は「成長できない」という理由です。具体的には「スキルを身に付けないと転職時に苦労する」といった不安が背景にあるため、スキルアップにつながる実務経験を積みにくい「ゆるブラック企業」を避けたい意識があるようです。

近年ではチャットGPT などのツールが出現し、既存の定型的な業務はAIで処理・対応できるようになりつつあります。

日本の就労者へのアンケートでは、「AIの導入を好ましいと考えるか」を質問したところ、「好ましい」と回答した方が3割程度いました。

※出典:総務省|平成28年版 情報通信白書 第4章 第3節『人工知能(AI)の進化が雇用等に与える影響』)

「好ましい」と回答した方は、AI導入で生産性向上や高付加価値化が図れると考える反面、『AIに既存の定型的な業務が奪われる』という危機感も認識しているようです。

また、2020年代以降、若い社員の成長意欲が強まっている傾向もあります。転職に関して前向きに捉え、収入やスキルを高められると考えているようです。

※出典:パーソル総合研究所|20代社員の就業意識変化に着目した分析

このようなAIの普及・若者の成長意識の高まりという背景も、スキルアップが難しい「ゆるブラック企業」を避ける要因であると推測できます。

2位の「収入が増えない」に関しても、将来的な支出増加の不安が起因となっています。特に若い世代は出産や育児、住宅購入などで将来的な支出は増加します。業務的に負担は少なくても収入増加が見込めない「ゆるブラック企業」では、生活が厳しくなってしまう心配があるのでしょう。

3位の「やりがいがない」については、単純業務であるためモチベーションを維持できず、苦痛になってしまう背景があるようです。業務は「収入を得られている」だけでなく、「社会や会社に貢献できている」「上司やお客様から評価されている」という実感もあった方が意欲的になれます。

「ゆるブラック企業」ではこうした「やりがい」を感じられないため、働きたくないと思う人が多いのでしょう。

なお、「ゆるブラック企業」に関する調査では、その他にも以下のような質問が行われました。

【質問1】 あなたの職場は「ゆるブラック企業」だと思いますか?
とても思う・・・23.2% 
まあ思う・・・44.2% 
あまり思わない・・・25.8% 
全く思わない・・・6.8%

【質問2】 「ゆるブラック企業」で働きたいと思いますか? 
全く思わない・・・21.9% 
あまり思わない・・・46.1% 
まあ思う・・・27.3% 
とても思う・・・4.7%

※出典:AlbaLink|【ゆるブラック企業に関する意識調査】男女512人アンケート調査

自社が「ゆるブラック企業」である認識を持つ回答者が多い結果となりました。しかしその反面、「ゆるブラック企業」で働きたくないと思っている方も多いようです。

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「働きやすさ」と「働きがい」の違い

会社の成長を妨げる「ゆるブラック企業」とならないための対策はあるのでしょうか。そのポイントは「働きやすさ」と「働きがい」の違いを知り、それぞれの改善策を整えることです。

一般的に「働きやすさ」とは、労働環境や福利厚生などの「働くこと自体の行いやすさ」を示すものとされます。他方で「働きがい」とは、成長の実感や適切な評価、仕事への興味といった「前向きに働ける要素や状態」を示しています。

前述した「ゆるブラック企業」では、長時間労働の是正や職場環境の改善などの「働きやすさ」に関する対策は行われています。しかし、仕事への適切な評価や仕事への関心を向上させる取り組み、チャレンジングな業務を認めるなどの「働きがい」を高める施策がないのです。

したがって、働きやすいが意欲や向上心を持てない「ゆるブラック企業」とならないためには、「働きやすさ」と「働きがい」の両方を高める対策を行う必要があります。以降の内容で「働きがい」のある会社について確認しますので、自社で行う施策の参考にしてみましょう。

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従業員からみた働きがいのある会社と5つの要素

続いて、「働きがい」のある会社とは何かを考えてみましょう。米ビジネス誌「フォーチュン」で「働きがいのある会社ベスト100」を発表しているGPTW社によれば、従業員にとっての働きがいは、下記の5つの要素で構成されるとしています。

  1. 信用・・・従業員の会社に対する信用があるか 
  2. 尊敬・・・会社が従業員の生活や家庭を尊重し、敬意などを示しているか 
  3. 公正・・・従業員への評価・報酬・採用・昇進などが公正であるか 
  4. 誇り・・・従業員が会社と自分の仕事に誇りを持てているか 
  5. 連帯感・・・従業員のつながりや個性を認める環境があるか

したがって、従業員にとって働きがいのある会社とは、上記の要素を満たす企業を指します。具体的には、従業員が経営陣を信用している必要があります。そして、会社から敬意を払ってもらっていると従業員に認識してもらうことが大事です。

さらに、評価や報酬が公正で意見や不満なども伝えられる、チームワークを大切にする環境がある、自社サービスや商品に誇りが持てているといった要素も必須です。ぜひ、社内で上記のような要素を向上させる施策を検討しましょう。

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会社からみた働きがいのある会社と9つの領域

次に、会社からみた働きがいのある会社について確認しましょう。GPTW社では、企業制度や文化などの観点から9つの領域に分類して働きがいを評価しています。なお、9つの領域は以下の3つの種類に大別できます。


① 組織目標を達成する

まずは組織目標を達成するための領域の種類です。「触発する」「語りかける」「傾聴する」の3つの領域があります。具体例で言うと、従業員の意見を取り入れ対応する取り組み、従業員に仕事の重要性を感じてもらうための仕組みなどが該当します。


② 個人能力を発揮する

2つ目は個人能力を発揮するための領域の種類です。「感謝する」「育成する」「配慮する」の3つの領域が該当します。具体的には、従業員の努力や仕事に感謝する、能力開発の機会を与える、各従業員の個性を大切にするといった取り組みです。


③ ひとつのチームや家族のように働く

3つ目はチームや家族のように働くための領域の種類です。「採用する」「祝う」「分かち合う」の3つの領域があります。事例で言うと、成功体験や連帯感を育む施策、良い企業文化を継続するための採用活動や新入生歓迎などが当てはまります。


働きがいと働きやすさを理解して、ゆるブラック企業への対策を!

「ゆるブラック企業」の概要や特徴、発生の背景や働きがいについても確認しました。「ゆるブラック企業」にならないためには、前述のように「働きがい」と「働きやすさ」の違いを理解しなければなりません。そして何より、従業員にとって働きやすく、意欲向上につながるような職場環境を整える必要があります。

ぜひ、本記事を確認しながら「働きがい」を高める要素や領域を確認し、必要に応じて社内制度を改善していきましょう。

ヒトクル編集部
記事を書いた人
ヒトクル編集部

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