自律型組織とは? 種類や取り入れるメリット・デメリットを解説!
企業の組織形態として、自律型組織という言葉が多く聞かれるようになりました。
社員が主体的に動く組織を作る取り組みとして、注目される一方で、自律型組織について良く分からない、導入方法で悩んでいる、という企業が少なくありません。
今回は、自律型組織とは何か、企業にどのようなメリット・デメリットをもたらすのか、導入する際のポイントなどについて、詳しく解説いたします。
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自律型組織の定義とは
自律型組織とは、社長や管理職などのリーダーの指示に従うのではなく、それぞれの従業員が自ら考え行動する組織を指します。
自律分散型組織、自律分断型組織といった言葉で呼ばれる場合もあります。
自律型組織の企業には、上下関係がありません。新入社員であっても、自ら考え決定できる環境が用意されている一方で、指示待ちタイプの人材は適応できない場合があります。
個人の主観で間違った方向に進んでしまう社員、立ち止まってしまう社員が出ないように、自律型組織づくりに取り組む場合は、自社に適した手法を選んで、自律型人材の育成からはじめるのがおすすめです。
階層型組織の定義を再確認
自律型組織と比較されやすい組織づくりに、階層型組織があります。
階層型組織は従来の日本で多くみられた組織形態で、経営陣や上司がメインとなり意思決定を行います。
上下関係を大切に、経営陣や上司が決めた決定事項を、社員全体で実行するのが階層型組織です。
優れたトップがいる場合は、企業の業績や売上アップに大きく貢献できる一方で、意思決定から実行までに時間がかかるというデメリットがあります。
自律型組織に注目が集まる理由3つ
ここ数年、自律型組織という言葉に、多くの注目が集まっています。なぜ組織を自律型に見直したい、変えたいと考える企業が増えているのか、3つの理由をみてみましょう。
理由1:テレワーク・リモートワーク
新型コロナウイルスの流行で、テレワークやリモートワークを選ぶケースが多くなりました。コロナ後も、継続して在宅勤務を続けている企業もたくさんあります。
テレワークやリモートワークは、従業員が自分らしく働けるメリットがある一方で、自宅で一生懸命仕事に打ち込んでいても、努力が評価されにくい、というデメリットがあります。
また、上司に相談しないと次の行動ができない、指示がないと動けない、というタイプの人材ばかりの場合、管理職の社員が部下ひとりひとりにオンラインで対応することになり、管理職の負担が増える、業務の効率が悪くなる、といった結果を招く恐れがあるでしょう。
自ら動ける社員が増えれば、このような状況を打破できます。変わりゆく働き方へ対応するために、自律型組織に注目する経営者が増えています。
理由2:VUCA時代
現在は、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったVUCA時代と呼ばれています。いつ何が起きるか分からない世の中だからこそ、臨機応変に対応できる企業力が必要です。
多様化する社会の中で、柔軟な発想力を得たり、これまでにない施策を打ち出したりするために、スピーディーな意思決定で動ける自律型人材が求められています。
自分から情報を集め、業務に活かせる自律型人材が増えれば、顧客ニーズに合った商品やサービスを提供できるでしょう。
理由3:個を大事にする社会性
企業だけでなく、学校でもプライベートの時間でも、それぞれの個を大切にする社会へ変わってきています。
従来のように、従業員は言われた仕事を最低限できれば良い、という考えでは、若い世代がやりがいや存在価値を感じられず、退職してしまうでしょう。
自分の意見を遠慮なく言える、自分の裁量で物事を決定できる、そんな組織であれば、働きたいと考える人材が増えます。
採用や従業員の定着という面でも、自律型組織への転換が注目されています。
主に取り入れられている3つの自律型組織
従業員に上下関係がなく、それぞれが意思決定できる企業を「自律型組織」という言葉で表します。ですが実際は、自律型組織の中にもいくつかの種類があります。
どのような組織があり、どの形態が自社の組織運営に向いているのか、内容をチェックしてみましょう。
組織形態 | 概要 |
アジャイル組織 | 実践しながら、エラーがあったらその都度修正しながら実行していく組織。 |
ティール組織 | 個人が独自に考え、目標に向かって進んでいく組織。 |
ホラクラシー組織 | 新しいプロジェクトを立ち上げるごとに、メンバーを組閣する組織。 |
実行力に秀でた「アジャイル組織」
機敏、すばしっこいといった意味を持つアジャイルという言葉の名の通り、意思決定が早い組織、臨機応変な対応ができる組織が、アジャイル組織です。
時間をかけて計画を立てるのではなく、まずはやってみる行動を大切にして、失敗をしてもその場で柔軟に修正しながら進んでいきます。
一つひとつ上に確認せず、実践してできるため、ゴールまでの時間を短縮しやすいのが特徴です。
個と個が協力し合う「ティール組織」
ティール組織は、上からの指示やマネジメントがなくても、個人が独自に考え、目標に向かって進んでいく組織形態です。
個人に意思決定の裁量が与えられますが、個としての活動だけでなく、どう協力したら最善の結果にたどり着けるのか、全体をみながら行動するのが特徴です。
2014年、フレデリック・ラルーの著書「Reinventing Organizations」で紹介されたのをきっかけに、日本にもティール組織という組織風土が伝わりました。
業務ごとにチームを作る「ホラクラシー組織」
ホラクラシー組織は、新しいプロジェクトを立ち上げるごとに、メンバーを組閣する組織形態です。
一度形成したホラクラシー組織は、任務完了に伴い解散され、新事業が立ち上がるタイミングで再度適したメンバーが招集されます。
プロジェクトに合った、専門知識を持つ社員でチームを作れるため、テンポ良く事業を進めていける点が特徴です。
自律型組織を形成するメリット
自律型組織を形成すると、企業にとって嬉しいメリットが待っています。どのようなポジティブな変化を期待できるのか、2つの良い点をみてみましょう。
意思決定までの時間を短縮できる
こうしたら良いのでは? というアイデアを即時実行できるのが、自律型組織の持つメリットです。
係長に聞いて、次は部長の許可を得て、最終的に経営陣が首を縦に振ってから……このような時間をカットし、最速で新しい施策を実行できます。
流行や社会的な変化を逃さず対応できるため、顧客ニーズへ速やかに答えられる、社会の問題や困りごとを一番乗りで解決できる、といった未来につながるでしょう。
部下の意見を毎回聞いて、上司の意見を交えながら計画を直して、といった労力を減らせるため、企業全体の効率を上げられる点もメリットです。
幅広い意見をもとに会社を動かせる
自律型組織では、意思決定をそれぞれの社員に任せます。上司の意見、これまでの慣習などを気にせず、アイデアを形にできるため、これまで以上の売上や事業展開につながりやすい手法です。
個人が一人一人考え実践するため、業績を伸ばすためにはこうするべき、という概念が、根底から覆される場合もあるでしょう。
社員側も、自分が良いと思った活動を続けられるため、のびのびと楽しく仕事に取り組めるというメリットを得られます。
自律型組織を形成するデメリット
自律型組織の導入には、デメリットもあります。組織形成を目指す前に、どのようなマイナス面が考えられるのかを知り、対策を検討しておきましょう。
周囲へ現状が伝わりにくくなる
自律型組織では、一人ひとりが権限を持ち、目標達成のために動きます。スピーディーに話が進む一方で、周囲への情報共有が手薄になりやすく、トラブルを引き起こす恐れがあるでしょう。
企業規模が大きければ大きいほど、社員が今何に取り組んでいるのか、管理が困難になります。
同じ施策を同時に進めてしまった、失敗例を共有できておらず繰り返してしまった、といった無駄を省くために、情報や進捗を確認できるツールなどを導入しておくと安心です。
企業の目標達成というゴールに向けて、個で動きながらも、周りが何をしているのか確認できる、そんな仕組みを作っておきましょう。
自律型人材を育成する必要がある
自律型組織を形成するには、自律型人材の育成が欠かせません。ところが、これまで一斉にまとめて研修を受けてきたり、上司からの指示で動いていたり、という社員の多くは、いきなり能動的には動けません。
企業のルール自体を見直す、自律型組織について説明する、新しい考え方で動いてもらう、という工程に、多くの時間がかかる場合もあります。
一部の部署から取り入れる、すでに自律している人材を組織作りのリーダーにする、といった方法で、効率良く育成しましょう。
自律型組織をスムーズに形成するテクニック4つ
自律型組織をスムーズに形成するために、覚えておきたいテクニックがあります。従来の管理型組織を変えていくために、どのような点に注意しながら進めれば良いのか、4つのポイントをチェックしてみましょう。
テクニック1:企業のゴールを明確にする
自律型組織も管理型組織も、企業が向かうべきゴールは同じです。階層型組織、管理型組織では、経営陣や上司が目標達成のための計画やビジョンを策定していましたが、自律型組織では個人がそれぞれ方法を検討します。
間違った方向に進んでしまわないように、企業の目標や大切にしたい想い、進んでいきたい未来像などを、全員と共有しておきましょう。
ゴールが漠然としている場合は、目標や理念から作り直して、行動につながりやすい環境を整えましょう。
全員が同じゴールを目指して、切磋琢磨し合いながら、それぞれの方法を実現できる。そんな会社を目指してください。
テクニック2:達成できる目標を設定する
人材に向けて、企業のゴールを示すのは大切ですが、「年商○億円」「月の売上○百万円」といった大きすぎる目標では、個人の計画が立てづらくなります。
会社としての目標を達成するために、まず何からスタートすればよいのか、身近なゴールを設定して、クリアを目指していくのがおすすめです。小さな目標のクリアは、従業員の自信にもつながります。
成果指標(OKR)を取り入れるのも良い方法です。OKRは、従業員と企業の目標を揃えた上で、あえて達成するのが厳しい目標を掲げ、6~7割の達成率を目指す目標管理手法です。
OKRを設定しておくことで、一人ひとりの成果が見えやすくなります。目標達成までのルートをツリー形式で表す、3ヶ月などの早い頻度で目標を見直す、といった部分がOKRの特徴です。
目標を達成したときに、会社がきちんと評価できる体制も重要です。
個々が前向きにそれぞれのゴールを目指しながら、最終的に企業の目標が叶えられる仕組みを作っておくと、自律型組織の良さを存分に引き出せるでしょう。
テクニック3:情報共有できる場を用意する
自律型組織は、上司やチームへの報告や連絡の機会が減りがちです。ですが、それぞれが目標達成を目指す中で、他社の意見や理解が必要な場面もあります。
気軽にコミュニケーションできるツールを取り入れたり、企業主体でのランチミーティングやイベントを開催したり、社員同士が意見を交わせる場所を用意しましょう。
管理型組織の社員も、自律型組織の社員も、ミスや勘違いなどの失敗がつきものです。一人では解決できないような、深刻なトラブルに備える意味でも、自発的な情報共有が求められます。
テクニック4:実力を発揮できる職場づくり
自律型組織では、社員一人ひとりが思う存分、力を発揮できる環境が求められます。
自分の意見を遠慮なく口に出せる風通しのよい職場、育児や介護などが必要な場合に時短勤務やリモートワークできる職場など、働きやすい企業であれば、より良いアイデアをたくさん引き出せるでしょう。
考えたことをすぐに実践できるサポート、といった部分も重要です。
仕事だけでなく、福利厚生の充実といった施策がやる気につながる場合もあります。個にまかせるだけでなく、個が輝ける自律型組織を目指して、職場環境を整えましょう。
自律型組織づくりをスムーズに進めるツール3選
自律型組織づくりをスムーズに進めるなら、便利なツールを活用してみましょう。これから組織形成をはじめる企業が知っておきたい、3ツールを紹介いたします。
1.Schoo for Business
https://schoo.jp/biz/theme/businessmanner/
「Schoo for Business」は、社員の自律支援につながるオンライン研修サービスです。
用意されている8000本を超える動画の中から、自律学習に最適な内容を選んで、学びを深められます。
自律学習だけでなく、社員が伸ばしたいスキルを学ぶ機会にもなります。講師を呼んで研修を行う時間や予算がない、という場合にも、オンラインで完結する研修サービスなら便利に活用可能です。
2.Wantedly Pulse
https://www.wantedly.com/about/engagement/pulse
「Wantedly Pulse(パルス)」は、社員マネジメントに特化したツールです。
導入後は、チームの状態を可視化できるため、何に課題を感じているのか、周りの社員がどのような仕事をしているのか、という点をすぐ理解できるようになります。
入力はSlackを通じて5秒で済ませられるため、業務の負担になりません。自律型組織を形成しながらも、コミュニケーションで支え合えるため、企業全体の成長を目指せます。
3.ベネフィット・プラットフォーム
https://pr.benefit-one.co.jp/bs/all01/
従業員のモチベーションを上げたいけれど、何から取り入れたら良いのか分からない。そんな時に便利なのか、総合福利厚生サービスです。
「ベネフィット・プラットフォーム」は、社員によってそれぞれ違う要望に応えられるように、日常で使える福利厚生特典、健康支援や教育・研修支援、Netflixプランなど、さまざまなサポートが受けられます。
その他にも、福利厚生のサポートサービスが多数展開されています。比較検討の上、自社社員が喜びそうなサービスがあれば、加入してみてください。
まとめ
自律型組織を形成できると、スピーディーな決定、柔軟なアイデアでニーズに応える商品やサービスの提案、企業活動の改善が期待できます。売上が思うように伸びない、従業員が自ら動かない、という悩みがあるなら、自律型人材の育成を検討してみてください。
自律型組織づくりには時間がかかります。階層型組織、管理型組織の経営に限界を感じている場合は、自社に合った手法を選択の上、焦らず導入を進めましょう。
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