レジリエンスって何? 意味や向上するメリット・高め方を解説

レジリエンスって何? 意味や向上するメリット・高め方を解説
目次

新型コロナが流行して以来、レジリエンスという言葉が多く聞かれるようになりました。

医療分野では、コロナによる心身の不調から回復する方法として、またビジネス分野でもコロナの影響や逆境から復活する力として、レジリエンスという単語が広く使用されています。

社員のレジリエンス力が高まると、離職率低下や採用力強化といった嬉しい未来につながります。

なぜ今、レジリエンスの力に注目が集まっているのか。
ビジネスの観点から言葉の持つ意味や、中小企業がレジリエンスを向上するメリット、高め方、人材確保につなげる方法を解説いたします。

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ビジネスにおけるレジリエンス

レジリエンス(resilience)にはそもそも、回復力や復元力、反発力、弾性(しなやかさ)、適応力、耐久力、再起力といった意味があります。心理学の世界では、精神的回復力を表わす言葉として使用されています。

それではなぜ、ビジネス用語としても、使用されるようになったのでしょうか?
まずは、言葉の由来をみてみましょう。


レジリエンスがビジネス用語になるまで

レジリエンスは、物理学から生まれた言葉です。外から何らかの原因で力を与えられた対象物が、もとに戻ろうとする反発力を指していました。

その後、心理学の世界でも、ストレスを感じたときに、もとの自分に戻れる人、ストレスに負けてしまう人の違いとして、レジリエンス力という言葉が使われるようになります。

ストレスを跳ね返せる人、乗り越えて回復できる人、柔軟に適応できるストレス耐性を持つ人はレジリエンス力が高い、といった研究が、世界中で進められるようになりました。

コロナ蔓延のタイミングでは、コロナから心身を回復していくための力として、テレビや新聞、ネット情報などで、レジリエンスという言葉が使用されるようになります。

ジリエンス力に注目が集まる中で、コロナやその他要因で業績が落ちてしまった企業、身体やメンタルが落ち込んでしまった従業員にもレジリエンス力が必要だと、重要視されるようになりました。



ビジネスにレジリエンス力が求められる理由

レジリエンス力は、いつ何が起こるか分からない現在において、課題や危機を乗り越える大きな力になります。新型コロナウイルスだけでなく、戦争や株価の変動、大企業の倒産などが世界中で起きている中、企業として困難に立ち向かうレジリエンス力が求められています。

企業経営においては、社員のレジリエンス力が売上や成果を左右します。社員の前に課題ができた時、個人やチームの力で跳ね返せる力、病気やストレスを抱えた時に早期回復できる力、そんなレジリエンス力が高い人材が求められています。

企業や従業員一人ひとりの力を高めるために、既存社員や企業全体のレジリエンス向上へ取り組む経営者も増えています。


レジリエンスの種類

レジリエンスという言葉は、物理学、心理学、ビジネス以外でも広く使用されています。どのような使い方があるのか、4つの例をみてみましょう。


災害レジリエンス

大規模な災害が多い日本では、地震や台風などに見舞われたとき、そこから早期復興する力が急務です。ライフラインをどう回復するのか、被災者に対して速やかなサポートができるかどうか、といった部分に焦点を当て、一刻も早い回復を目指す行動を、災害レジリエンスと呼びます。


環境レジリエンス

地球温暖化や気候変動といった問題を抱える地球において、環境問題をどう解決していくのかを考えるのが環境レジリエンスです。気温や砂漠化、海水面の上昇、生態系への影響など、あらゆる角度から環境問題を検討し、回復する力が必要とされています。


組織レジリエンス

組織レジリエンスは会社や企業を含めた組織が、社会情勢などの変化を乗り越えていく力を表わす言葉です。ビジネスだけでなく、家族や学校、地域などの集団も、組織の一つです。少子高齢化や過疎化などの問題から組織としてどう対応するのか、乗り越える力が求められています。


サイバーレジリエンス

企業や国に対してのサイバー攻撃が、世界中で増えています。次々に新しい手法が開発され、完全に予防するのが難しい中、いかに防衛するのか、攻撃からどう回復していくのか、といった力に注目が集まっています。


レジリエンスの基本用語

企業や社員のレジリエンス力向上に取り組む前に、レジリエンスの基本的な考え方や用語を知っておきましょう。


レジリエンスを構成する2つの因子

レジリエンスについて考える際、「危険因子」と「保護因子」という言葉が多く使用されます。

危険因子とは、回復や反発する前に起きる困難です。

医療問題であれば病気やストレス、家庭であれば離婚や虐待、その他にも戦争や災害、貧困、いじめ、ハラスメントなど、さまざまな危険因子があります。

この危険因子に対して、問題を改善するレジリエンス力となるのが保護因子です。

保護因子には、自分の性格や考え方で回復する個人内因子、家族や友人、上司、機関など他者の力を借りて跳ね返す環境因子、自らが成長する過程でレジリエンスを身につける能力因子があります。

種類

概要

危険因子

回復や反発する前に起きる困難

保護因子

問題を改善したり、乗り越えたりするための要素


個人内因子と精神的回復力

生まれ持った性格や考え方によるレジリエンス力を、個人内因子と呼びます。

心理学者である小塩真司氏らの研究グループは、この個人内因子が精神的回復力であるとし、精神的回復力を構成する因子である3つの力を発表しています。


1:新奇性追求

新奇性追求は、ポジティブにチャレンジする姿勢、前向きに動き出す行動力などを指します。新しいできごと、出会いに興味関心が高く、他人の意見に惑わされない気持ちを持てると、精神的回復力を得る大きな力になります。


2:感情調整

目の前に困難が訪れると、人は感情が乱れます。悲しいとき、怒りを感じたときに自分の力で感情をコントロールできる力があると、精神的回復力の向上につながります。


3:肯定的な未来志向

未来に明るい気持ちを持てる人は、精神的回復力が高まります。理想の将来を叶えるために、常に未来の予測を立てる、夢や目標を実現するために計画を練る、といった行動や実践でストレスや不安を緩和、回復していけます。


個人が持つ2つのレジリエンス因子

レジリエンス力向上には、持って生まれた個人内因子、そして成長とともに身につける能力因子があります。またこれらの因子には大きな違いがあるという、東京大学大学院教育学研究科平野真理氏らの研究があります。

個人内因子は、資質的レジリエンス要因、資質的要因と呼ばれ、生まれ持った性格や勧化方が大きく係わっています。社交力、行動力、楽観性、統率力などが挙げられ、成長しても変化しにくい部分とされています。

一方で能力因子は、獲得的レジリエンス要因、獲得的要因と呼ばれ、成長の過程で身につけやすいのが特徴です。自己理解を深める、他者心理を知る、問題解決力を高めるといった過程で、レジリエンス力が高まります。

社員のレジリエンス力を高めるなら、後からでも身につきやすい、能力因子からのアプローチがおすすめです。


レジリエンスの測定法

レジリエンスという言葉が広く使用されていますが、まだ世界的な基準、ルールなどは定まっていません。そのため、レジリエンスについての書籍や論文によって、内容や能力の測り方に違いがあります。

どのような研究・発表があるのか、主な4つの測定法をみてみましょう。

方法内容
精神的回復力尺度21の項目から精神的回復力を測定
二次元レジリエンス要因尺度資質的レジリエンス要因、獲得的レジリエンス要因から、レジリエンス力を知る方法
レジリエンススケール「個人的コンピテンス(Personal Competence)」、「自己と人生の受容(Acceptance of Self and Life)」の2因子、25項目からレジリエンス力を判断する方法
森敏昭氏らのレジリエンス尺度「I am因子」「I can因子」「I have因子」「I will/do因子」の4因子をレジリエンスの尺度として29の項目からレジリエンス力を測定


精神的回復力尺度

先程紹介した、精神的回復力に注目した小塩真司氏らの研究です。21の項目から精神的回復力を測定します。新奇性追求、感情調整、肯定的な未来志向の3つに焦点を当てた、得点化も可能です。


二次元レジリエンス要因尺度

こちらも先程紹介した、資質的レジリエンス要因、獲得的レジリエンス要因から、レジリエンス力を知る方法です。「Temperament and Character Inventory (TCI)」と呼ばれる、個人の気質、性格を分けて捉える尺度が用いられています。


レジリエンススケール

レジリエンススケールは、「個人的コンピテンス(Personal Competence)」、「自己と人生の受容(Acceptance of Self and Life)」の2因子、25項目からレジリエンス力を判断する方法として、Wagnild&Youngらによって開発されました。内的整合性、妥当性が高いため、さまざまな年代を対象に使用されています。


森敏昭氏らのレジリエンス尺度

森敏昭氏らの研究では、自分自身を受け入れる「I am因子」問題解決力を測る「I can因子」、他者との信頼関係構築力である「I have因子」、成長力である「I will/do因子」の4因子をレジリエンスの尺度としています。29の項目からレジリエンス力の測定が可能です。


レジリエンスに関連する4つの用語

ビジネスの場面では、レジリエンス力に関連する言葉が他にも使われています。
レジリエンス力向上のために、合わせて覚えておくと便利です。


ストレス耐性

ビジネスにおけるストレス耐性は、仕事で受けた精神的ストレス、心理的ストレスに耐える力です。最近は減りましたが、以前はストレス耐性を測るために、圧迫面接が広く使用されていました。

かつて面接で重要視されていたように、ストレス耐性の強さは一人ひとり違い、ストレス耐性が高ければ、少々のストレスでは落ち込みません。ストレス耐性が高い人は、トラブルや問題をそもそも困難だと捉えていないケースもあり、問題からの早期回復が可能です。


メンタルヘルス

心の健康状態をメンタルヘルスと呼びます。メンタルヘルスを扱うメンタルクリニックの看板を掲げる心療内科、精神科があるように、医療業界を中心に広く使われている言葉です。

ビジネスにおいても、従業員50名以上の企業では年1回のストレスチェックが義務化されているなど、メンタルヘルスが重要視されています。メンタルヘルスに特化した相談サービス、サポートを要している企業も少なくありません。

メンタルヘルスの状態が悪い場合、回復するためのレジリエンス力が必要です。従業員50名未満の会社では努力義務のストレスチェックですが、レジリエンス力向上を考えるために、実施する企業もあります。


ストレスコーピング

ストレスコーピングは、ストレスへの対処を表わす言葉です。ストレスの元になっている事由(ストレッサー)に対して、どう対処するのか、どのような行動を起こすのか、その手段を指しています。

ストレスコーピングの方法は人によって違い、カラオケで思い切り歌ったり、友人に話を聞いてもらったり、冷静に問題を分析したり、などさまざまです。ストレスコーピングがうまくできると、ストレスを溜めにくくなりレジリエンス力が高まります。


ハーディネス

ハーディネスはストレスの多い環境にいながらも、ストレスに負けない力、ストレスから自分を守れる特性を指します。1回のミスで落ち込んでしまう人がいる一方で、何回失敗してもくじけることなく飄々としている人もいます。

ストレスを感じにくい人、落ち込みにくい人はハーディネスが高く、レジリエンス力も高い傾向にあります。またハーディネスは個人の性格特性のため、意識して高めるのは難しいと言われています。


中小企業がレジリエンス力を高めるメリット4つ

中小企業のレジリエンス力が高まると、企業にとって嬉しいメリットが待っています。
どのような変化が期待できるのか、4つの良い点をみてみましょう。

  1. 離職を未然に防げる
  2. 目標達成できる社員が増える
  3. 社会の変化に対応できる
  4. 採用や他社取引が有利になる


メリット1:離職を未然に防げる

採用に悩まされる中小企業が多い中、既存社員の離職は頭の痛い問題です。その一方で、人材不足で業務が増えたり、休みが減ったり、といった状況になり、従業員がストレスを抱えるケースが少なくありません。

配置が換わった、急に忙しくなった、という度に、社員がストレスで落ち込んでしまうと、業績への悪影響が考えられます。社員のレジリエンス力を高めて、ストレスへ適応できる人材、早期回復できる人材を育てられると、長くポジティブに働いてもらえます。

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メリット2:目標達成できる社員が増える

自律型組織に注目が集まるなど、従業員一人ひとりのアイデア、活発な取り組みを求める中小企業が増えています。レジリエン力の高い社員が増えると、ミスや失敗をバネに成長していけるため、目標達成につながるでしょう。

新しいチャレンジ、高い目標をクリアするためにも、レジリエンス力が欠かせません。ピンチをチャンスに変えられる人材を増やして、企業の成長を目指しましょう。


メリット3:社会の変化に対応できる

コロナウイルスで突然リモートワークになるなど、ある日を境に社会情勢が大きく変わるケースが今後も予想されます。この時、社員のレジリエンス力が高ければ、前向きな気持ちで困難に立ち向かえます。

取引先の経営状態が悪くなる、業界全体のニーズが落ち込んでいるなど、ピンチの時こそ新しい施策や取り組みが必要です。社会環境に対して、柔軟性を持って対応できるスタッフを増やし、乗り越える力を蓄えておきましょう。


メリット4:採用や他社取引が有利になる

先ほど紹介した「精神的回復力尺度」などの尺度を使うと、企業のレジリエンスを測定できます。レジリエンス力に注目が集まる中、「社員の定着率が良い」「チャレンジ精神が旺盛」など、自社のレジリエンス力をアピールできれば、採用活動をしている人材や、取引先から好意的に受け止められるでしょう。

企業が成長した際は、投資家へのPRや融資の際のアピールポイントとしても使えます。自社の魅力を底上げするために、レジリエンス力向上の取り組みを進めながら、定期的にレジリエンス力を調査してみてください。


中小企業のレジリエンス力を高める6つの要素

レジリエンス力には、個人の性格や考えによる因子と、あとから育てられる因子があります。また、あとから育てられる因子は、何歳からでも向上を図れます。社員のメンタルを強化して、トラブルに負けない未来へ導きましょう。

次に、企業のレジリエンス向上にどのような要素が必要なのか、チェックしてみましょう。

  1. 自分自身と向き合う
  2. メンタルを制する
  3. 柔軟な思考を持つ
  4. 楽観的に考える
  5. 自分の力を信じる
  6. 人間関係を向上する


要素1:自分自身と向き合う

レジリエンス力を高めるには、まず自分自身がどのような性格なのか、どのような場面でストレスを抱えやすいのかなど、個人の傾向に向き合う必要があります。考え方や感情、短所や長所、大切にしている価値観、普段の行動などを思い返し、把握しておきましょう。

その上で、ストレスを抱えた時に、感情ではなく俯瞰で判断します。客観的に置かれている立場、問題を分析し、自分の能力でどう対処するべきか考えられると、心身の回復力が高まります。


要素2:メンタルを制する

ストレスや困難から回復するためには、一時の感情に振り回されず、自らを抑える行動が必要です。自己認識に加えて、セルフコントロール力が身につくと、マイナスにつながる行動を選びにくくなります。

ネガティブな感情の時こそ、前向きな考え方を取り入れる。心のままに動かず、気持ちを落ち着けてから対処する、といった力を蓄えて、レジリエンス力を育てましょう。


要素3:柔軟な思考を持つ

こうあるべき、こうするべき、という考え方が強いと、思うようにならなかったときに、精神が落ち込んでしまい、回復が難しくなります。自分の意志は一度横に置いて、他者目線で物事を捉えたり、問題となっている本質を見抜いたりできる、精神的柔軟性が大切です。

自分以外の人はどう考えるのか、日頃から聞く機会を持ったり、幅広い思考を認めたりする習慣をつけて、心の柔軟性を高めていきましょう。


要素4:楽観的に考える

レジリエンス力が弱い人の多くが、物事をマイナスで考えます。最悪の場合を想定してしまい、ストレスや悩みが増えてしまうパターンです。レジリエンス力を高めるなら、なんとかなる、自分ならもっとよくできる、といった現実的楽観性が求められます。

楽観性が向上すると、ストレスや困難を感じる場面を、成長の糧として捉えられるようになります。心配しすぎず、ポジティブな行動を選ぶ人材を育てるためには、ミスや失敗を執拗に責めないといった、周囲のサポートやフォローも必要です。


要素5:自分の力を信じる

自分はできる、困難に打ち勝てる、そんな自信を自己効力感と呼びます。なんとかなるという自信があれば、落ち込む暇なく次の手段を講じたり、改善のための行動に移ったりできるため、早期回復につながります。

小さな成功体験を積み重ねながら、自分の力を信じられるようになっていくと、レジリエンス力が高まります。勇気を持ってチャレンジできるように、風通しの良い会社、心理的安全性の高い企業づくりを意識しましょう。


要素6:人間関係を向上する

一人では乗り越えられない壁でも、仲間と協力すれば難なくクリアできる場面がたくさんあります。特に会社は、社員同士が協力しあって商品やサービスを開発したり、事業の売上を達成したり、協力関係が欠かせません。

他者の困難に対して、周りの人がそっと手を差し伸べられる企業経営ができれば、全体的なレジリエンスが高まります。日頃から、良好な人間関係を築いておきましょう。


企業のレジリエンス力を高める4つの方法

企業のレジリエンスを高めるために、社員に向けた対策、そして企業全体での対策が必要です。どこから進めていくべきか迷ったら、次の4つの方法を取り入れてみてください。


方法1:レジリエンス力の重要性を社員と共有する

社員のレジリエンス力を高めるなら、まずはレジリエンス力の重要性、向上させるメリットを社員と共有しましょう。上司から指導する、研修やセミナーを実施する、マニュアルを作成するなどの方法で、周知しましょう。

この土台が整っていると、社員側もワクワクした気持ちで、レジリエンス力の向上に取り組めます。「ストレスに負けるな」といった厳しい指導ではなく、寄り添う姿勢を大切に進めていきましょう。


方法2:会社の目標を社内全体で把握する

会社としてこれから達成したい目標、将来的な夢やビジョンがあると思います。この目標を社員と共有できると、向かっていく方向性が明らかになるため、落ち込む暇なく次にトライできます。

ミスや失敗があっても、最終的なゴールを目指すために必要なこと、そう捉えられる環境を整えて、前向きな気持ちで業務に取り組める体制を整えてください。

目標がはっきりしていると、レジリエンス力が高い社員が増え、落ち込みやすい社員、悩みを抱えやすい社員にも良い影響を与えます。ポジティブな社員をどんどん増やして、企業全体のレジリエンス力を向上させましょう。


方法3:積極的な行動を褒める

レジリエンス力が高い社員は、新しいチャレンジに次々取り組んだり、アイデアを出したりします。積極的な行動をしている一方で、目の前の仕事をそつなくこなす人材よりも、ミスや失敗の機会が増えやすいでしょう。

この時、できなかったことを叱るのではなく、チャレンジしたことを褒める会社になれると、社員の自尊感情が高まり、レジリエンス力強化につながります。

チャレンジを表彰する機会を作る、新しいアイデアをどんどん募集するなど、企業全体で行動を促していくのがおすすめです。上手くいかなかった場合も責めず、情報を全体へ共有して、次に生かせる土壌作りを心がけましょう。


方法4:BCP(事業継続計画)を策定する

BCP(事業継続計画)は、企業が災害に巻き込まれたり、テロなどの被害に遭ったりした際に何をするべきかが書かれた計画書です。

緊急事態はいつ起きるかわかりません。また中小企業は倒産や破産に追い込まれやすいことから、万が一の際に会社を守るための計画が必要不可欠です。

有事の際に企業をどのように復旧させるのか、ここが決まっている会社は、レジリエンス力が高い企業といえます。自然災害が起きた場合、サイバー攻撃を受けた場合など、さまざまな場面を想定しながらBCPを策定しておきましょう。

BCP(事業継続計画)の内容を、社員に共有しておくと、よりスムーズに対処できます。

参照サイト:https://www.kaonavi.jp/dictionary/resilience/#i-13


レジリエンス力を高める方法

レジリエンス力は、持って生まれた特性ではありません。そのため、誰でもトレーニング次第で能力を高められます。

アメリカの心理学会(APA)が、「レジリエンスを築く10の方法」を提唱しています。

1.家族や友人と良好な関係を維持する

一人で向き合うのではなく、支えてくれる人がいる環境を作りましょう。

 

2.危機を乗り越えられない問題として捉えない

トラブルやストレスを感じたとしても、なんとかなると前向きに捉えましょう。

 

3.変えられない状況を受け入れる

変えられない状況は、どれだけ頑張っても変わりません。変えられない部分は受け入れ、変えられる部分に目を向けて、レジリエンス力が高めましょう。

 

4.現実的な目標を立て、ゴールに向かって進む

大きすぎる夢ではなく、小さな目標を立てて、一つ一つ達成を目指しましょう。

 

5.不利な状況にあっても、決断し行動する

厳しい状況でも、できることを見つけ、行動してみましょう。

 

6.うまくいかないときは、自己発見の機会と捉える

失敗は成功のもとという言葉があるように、ミスや失敗の裏側にはかならず学びや、次につながる経験があります。マイナスではなく、プラスに捉えるようにしましょう。

 

7.肯定的な視点を持つ

自分に自信を持ち、大丈夫、すべてOKだと認めてあげましょう。

 

 8.広い範囲で長期的な視点を持つ

ビジネスにおける事由について広い視野で考える、目先の利益や結果ではなく、将来を見据えた視点を持ちましょう。

 

9.楽観的に考えて希望的な見通しを維持する

なんとかなるという楽観的な考え方、きっと良い結果になるという希望的な見通しでものごとに取り組みましょう。

 

10.自分がやりたいことに目を向け、心身をケアする。

自分は何がしたいのか、どんな人になりたいのか、振り返ってみましょう。ニーズに応えるために必要な生活習慣の改善、運動や趣味の時間を持つなど、心身のケアに努めましょう。


レジリエンス力が高いのはこんな人

これからレジリエンス力の高い人材を採用したい、社内にいるレジリエンス力が高い社員を中心に、新しいプロジェクトをはじめたい、と言う場合は、7つのポイントに注目してみましょう。

  • アイデア力や発想力が高い
  • すぐに落ち込んだり怒ったりしない
  • 自分の力を過小評価していない
  • チャレンジ精神が豊富
  • まずは楽観的にやってみる
  • 家族や友人と仲が良い
  • 心や身体を大切にしている

このように、逆境にあっても自分の力を信じ、感情に流されない人材、楽観的にアイデアを出したり、チャレンジしたりできる人材は、レジリエンス力が高い傾向にあります。

家族や自分自身を大切にしているかどうか、と言う点も重要なポイントです。

これから人材を採用する場合は、面接でこれらの力を測る質問を用意して、レジリエンス力をチェックしてみてください。


まとめ

レジリエンス力が高い社員、企業になれると、事業の成長や人材の定着といったメリットがあります。

レジリエンス力が元から高い人材を採用する、既存人材のレジリエンスを企業全体で高めるといった施策で、困難に負けない従業員を増やしていきましょう。

何が起きるか分からないVUAC時代と呼ばれる今こそ、レジリエンス力が企業経営の大きなカギとなります。

社員へレジリエンスの力を共有する、チャレンジを褒める会社づくりで、新しい挑戦ができる企業、逆境に負けない企業を目指してください。