初めて面接官を務める際の心得|役割・適性・選考時のポイント等を徹底解説

2022.08.03 /
面接官は、自社と応募者とのミスマッチを防ぐために応募者を見極める必要があるのはもちろんのこと、応募者が自社に魅力を感じられるよう、会社の顔としてふさわしい対応を心がけることが求められます。
この記事では、初めて面接官を務める人事担当者向けに、
について解説します。
面接官に求められること
新卒採用・中途採用を問わず、採用面接の現場において面接官に求められることを大別すると、大きく3つに分けられます。
以下の内容を理解すれば、面接に臨む際のスタンスがイメージしやすいかもしれません。
面接官が、応募者に対して面接を行う理由は、面接によって採用活動における所定の目的を達成するためです。
その「所定の目的」とは、以下の2つです。
どんなに優秀な経歴・スキルを備えていても、自社の社風・体制にマッチする人材でなければ、末永く自社で働いてもらうことは難しいでしょう。
極端な例ですが、残業と縁遠い職場で働くことを想定している人材が、みなし残業を前提とした職場で働くためには、体力などの実務能力とは違う面での適性が求められます。
また、複数の企業に応募している応募者は珍しくないため、優秀な人材の気持ちを自社に留めてもらうためには、面接の中で応募者に「この会社で働きたい!」と思わせるよう対応することが望ましいでしょう。
決して自社の魅力を高飛車にアピールするのではなく、応募者の不安要素にフォーカスして「自社の体制なら応募者の不安を解消できる」旨を伝えることが理想です。
面接官は、面接の中で主に4つの役割を担います。
そして、優秀な面接官は、4つの役割を理解した上でバランスよくこなしています。
初心者の段階ですべてを網羅するのは難しいかもしれませんが、役割を意識するだけでも面接の質は高まります。
以下、4つの役割についてご紹介します。
面接官の基本的な立場として「応募者に対しては味方であること」が求められます。
応募者の話をしっかりと聞き、面接の場で良好な関係性を築くことで、応募者が面接官に対して本音を話せるようにします。
また、話を聞く中で、応募者が考えをまとめるのを助ける役割もあります。
コミュニケーションの中で応募者の考えがまとまっていくと、応募者の中にある疑問点が解消されたり、採用に向けた期待が高まったりするメリットがあります。
何らかの理由で、応募者は自社を選んでくれたわけですが、面接に手ごたえを感じられないとモチベーションが下がってしまうかもしれません。
そこで、面接官は応募者に対して、面接を受けてくれたことへの感謝を伝えつつ、自社にどんな魅力があるのかをアピールすることで、応募者のモチベーションを高めていきます。
応募先の立場の人間が、応募者に対して積極的に話しかけることで、応募者は「この会社は自分に期待してくれているのではないか」と前向きな気持ちになります。
結果として、その応募者を見送ることになったとしても、少なくとも面接の場では応募者に悪い印象を与えるリスクは低いはずです。
自社に応募してくれた段階では、応募者の動機は「応募者自身の中だけにあるもの」です。
しかし、面接官と会話をする中で前向きな気持ちになれたら、やがて応募者の動機は「応募者が会社に貢献するためのもの」に変化します。
面接の中で、応募者が自社で働く覚悟を意識できれば、働く理由も明確になります。
面接官がポイントを押さえて応募者に問うことで、応募者の志望動機はより強いものになるのです。
面接官は、最終的に応募者に決断を促す立場です。
その一方で、応募者が自社にふさわしい人材かどうか、最後まで見極める立場でもあります。
応募者の側に悩みがあれば、それを払拭できるよう努力しなければなりませんし、面接官の立場から不安要素があれば、それを取り除かなければなりません。
応募者の悩み・応募者に対する不安要素が排除されて初めて、応募者は次のステージに進めます。
応募者は、面接官の印象から応募先の雰囲気を読み取ろうとします。
温かみの中に威厳がある印象の面接官を見て、応募先への信用が増すこともあります。ですが、逆の場合は応募者に不安を抱かせてしまうかもしれません。
面接官は、応募者にとって企業のイメージを左右する存在のため、常に丁寧な態度を崩さずに応募者と接するのが基本的なスタンスです。
その一方で、応募者に対する興味を明確に伝え、相手の話に積極的に耳を傾ける姿勢を示すことも大切です。
面接官は、応募者が「採用するに足る人材かどうか」「次のステージに進んでよい人材かどうか」をチェックするための存在ですから、いたずらに応募者を追い詰めたり、苦しめたりするべきではありません。
必要な情報をもれなく応募者から収集するためにも、面接時は笑顔・相づちを意識したコミュニケーションを心掛け、応募者が何でも話しやすい雰囲気を作れるよう努力しましょう。
面接官として心がけたいこと
自分が面接官として選ばれた場合、多かれ少なかれ企業から適性があるものと判断されているはずです。
不適切な応対によって、自社の評価を下げないためにも、以下のことを最低限心がけましょう。
面接官は、面接の中で応募者に対して質問する立場ですから、自分の殻にこもるような性格では仕事がこなせないでしょう。
最低限、他者に対し興味を持ってコミュニケーションをとることを意識しましょう。
特に、応募者の言動や価値観について「どうしてそのようにする(考える)のだろう?」と問いを持つことは、深い部分で応募者と自社とのマッチングを検討する際に役立ちます。
また、単純に興味を示すだけでなく、興味を持った根拠を言語化できることも、面接官に必要な要素です。
多くの場合、応募者と面接官は初対面ですから、お互いの心には壁ができている状況と言えます。
そのような状況で、面接官が一方的に質問しても、良い答えが返ってくる可能性は低いでしょう。
まず面接官自身が、自分のことを打ち明けるスタンスを示すことが大切です。
例えば、自分も転職して自社に入社した立場だとしたら、転職理由を聞く前に自分の転職理由を開示するようなイメージです。
面接官が転職面接で失敗した話など、応募者と同じ歩幅で歩くように過去を語ることで、応募者もまた自分の気持ちを整理して話しやすくなります。
いわゆる「ぶっちゃけ話」は、応募者の内面に踏み込むチャンスを増やせるため、自社にマイナスの印象を与えない範囲で工夫してみましょう。
人間は、思い込み・周囲の環境などに影響されると、合理的な判断ができなくなることがあります。
これを認知バイアスといい、面接官が面接に臨むにあたっては、人間の認知に関する特性を理解しておきたいところです。
具体的には、以下のような認知バイアスが、面接においてマイナスの影響をもたらす可能性があります。
面接官は、認知バイアスの種類についてより多く理解し、自分が罠にはまらないよう気を付けて面接に臨まなければなりません。
企業によっては、統一した採用基準で採用活動を行うため、AI面接官を導入しているケースもあります。
しかし、重要な面接では、採用担当者が面接評価シートを用意して面接を行うスタイルの方が一般的ですから、やはり認知バイアスについて理解しておく必要があるでしょう。
面接の基本的な流れ
面接官として、面接に臨む際の心構えができたら、実際の面接の流れについても頭に入れておきましょう。
スタンダードな流れを把握しておくと、面接をどう組み立てていくべきか、具体的にイメージしやすくなります。
応募者を迎え入れた後、いきなり面接をスタートさせてしまうと、応募者の気持ちの準備ができないまま面接が進んでしまいます。
できるだけ応募者がリラックスした状態で面接を受けられるよう、面接官は緊張をほぐすための質問をして、応募者が話しやすい環境を作るようにします。
この一連の流れをアイスブレイクといい、例えば応募者に対して以下のような質問を試みます。
場所に関する質問、天気に関する質問を選ぶと、当たり障りなく応募者の気持ちをほぐせるはずです。
オンライン面接の場合は、音声や画像の通信状態を確認したり、ビデオ通話ツールの使い方で分かりにくい部分がないかどうか聞いてみたりするのがよいでしょう。
アイスブレイクを試みたら、次に面接官の自己紹介、または自社に関する説明を行います。
応募者の緊張がアイスブレイクで十分にほどけなかった場合に備え、面接官が自己紹介することで、応募者に親近感を持ってもらえる可能性があります。
とはいえ、笑いを取る必要はまったくなく、面接官の名前・役職・担当業務を伝えるだけで十分です。
その次に、自社に関する説明をかんたんに行います。
多くの場合、応募者自身も応募先についてリサーチはかけているはずですが、さすがに内部の人間よりは情報を持っていないはずです。
そこで、自社サイト等には掲載されていない内容を少し掘り下げ、以下のような情報を応募者に伝えます。
自社の情報について応募者に伝えた際「なぜ今回の求人を出したのか」その背景についても説明します。
特に、応募者に任せたい業務について詳しく説明することは、ミスマッチの防止・モチベーション向上につながるため、丁寧に説明しましょう。
応募者と会話のキャッチボールができるようになったのを見計らって、いよいよ応募者に対して質問を行います。
質問時にベースとなるのは、履歴書・職務経歴書に書かれている内容となります。
評価項目としてどの点に注目するのかによって、質問の内容も変わってきます。
以下、主な質問例をご紹介します。
これらの例はあくまでも参考情報であり、本当に聞きたい内容は、自社の事情を踏まえて検討する必要があります。
効率的に面接を進めるためにも、質問内容は、できるだけ面接を行う前に整理しておくことをおすすめします。
応募者に聞きたいことを一通り聞いたら、次は応募者からの質問を受け付けます。
一人ひとりの応募者が質問する内容につき、事前にリスト等を作成するのは難しいので、面接官は応募者に対して可能な限り質問に回答する姿勢を見せるようにしましょう。
具体的には、単純に応募者からの質問に回答するだけでなく、コミュニケーションの中で必要に応じて確認を取るのも有効です。
例えば、採用後に配属される部署のことを質問された場合は、分からないまま答えずに「後ほど○○部の××に確認しましょうか?」などと確認を取ると丁寧です。
一通りやり取りが終わったら、応募者と今後のことを確認します。
面接で問題がなければ後日採用という場合、連絡方法・入社日・年収などを応募者とすり合わせます。
自分が一次面接を担当する場合は、二次面接・最終面接に関する説明のほか、自社から連絡を入れるタイミング・方法についても説明しておきます。
確認事項をすべて応募者と共有したら、面接は終了となります。
面接時に面接官が気を付けたい注意点
面接官は、自社の顔として面接に臨むわけですから、やはり応募者に対する態度にも注意が求められます。
特に、応募者が自社に悪い印象を持つような対応は、絶対に避けなければなりません。
面接官の中には、あからさまに応募者の意欲を失わせるような態度をとる人もいます。
例えば、腕組みや険しい表情は、自分なりに威厳を持たせようとしているケースも考えられますが、応募者にとっては不遜な態度に見えます。
また、応募者とのコミュニケーションにおいて、自分や自社の考え方と違う部分が見えたとしても、それをすぐさま否定するようなスタンスで面接に臨むべきではありません。
仮に、応募者が重大な誤解をしていたとしても、内容をすべて聞き終えた上で異なる点を指摘するにとどめ、決して感情的・高圧的な表現にならないよう心がけたいものです。
厚生労働省では、以下の2点を基本的な考え方として採用選考を実施すべきとしています。
※参照元:厚生労働省|公正な採用選考の基本
このほか、職業安定法・男女雇用機会均等法など、面接において企業が遵守すべき法律は多々あります。
法律に抵触する質問、すなわち就職差別・各種ハラスメントにつながる質問に関しては、NG質問になるので注意が必要です。
なお、具体的なNG質問について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
※参考記事:【採用面接のNG質問】面接官が応募者に絶対聞けないタブーとは
応募者は、求人情報をチェックしてから、企業に応募するかどうかを決めます。
よって、応募者の頭の中に入っている自社・仕事内容に関する情報は、基本的に求人情報の内容がベースになっているものと考えられます。
面接官が、求人記事に書かれている内容とは大きく異なる要素を持つ質問を行うと、当然ながら応募者は不安を感じます。
例えば、「転勤はほとんどありません」と掲げているもかかわらず、面接の話の流れで「転勤が可能か」といった質問を行うと、応募者は「求人募集の内容と違う」と不審に感じることでしょう。
特に、学生の場合は社会人経験に乏しい傾向にあるため、質問を額面通り受け取る可能性があります。
せっかく優秀な人材に出会えたのに、面接官の質問によって自社から心が離れてしまうのは、非常にもったいないことです。
応募者と面接官の意思疎通をスムーズにするためには、求人記事の内容につき、自社の意思・面接官の方針とリンクさせることが不可欠です。
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まとめ
面接官の仕事には、単純に応募者を見極めるだけではなく、応募者に対して「この会社で働きたい」と思わせる役割も含まれます。
自社のイメージ向上につなげるためにも、面接官としてふさわしい対応を心がけつつ、バイアスにとらわれない判断を下すことが大切です。
この記事では、初めて面接官を務める人事担当者向けに、
について解説します。
面接官に求められること
新卒採用・中途採用を問わず、採用面接の現場において面接官に求められることを大別すると、大きく3つに分けられます。
以下の内容を理解すれば、面接に臨む際のスタンスがイメージしやすいかもしれません。
面接官が「面接を行う理由」について理解する
面接官が、応募者に対して面接を行う理由は、面接によって採用活動における所定の目的を達成するためです。
その「所定の目的」とは、以下の2つです。
どんなに優秀な経歴・スキルを備えていても、自社の社風・体制にマッチする人材でなければ、末永く自社で働いてもらうことは難しいでしょう。
極端な例ですが、残業と縁遠い職場で働くことを想定している人材が、みなし残業を前提とした職場で働くためには、体力などの実務能力とは違う面での適性が求められます。
また、複数の企業に応募している応募者は珍しくないため、優秀な人材の気持ちを自社に留めてもらうためには、面接の中で応募者に「この会社で働きたい!」と思わせるよう対応することが望ましいでしょう。
決して自社の魅力を高飛車にアピールするのではなく、応募者の不安要素にフォーカスして「自社の体制なら応募者の不安を解消できる」旨を伝えることが理想です。
面接官が「面接の中で果たす役割」について理解する
面接官は、面接の中で主に4つの役割を担います。
そして、優秀な面接官は、4つの役割を理解した上でバランスよくこなしています。
初心者の段階ですべてを網羅するのは難しいかもしれませんが、役割を意識するだけでも面接の質は高まります。
以下、4つの役割についてご紹介します。
●応募者の立場に「寄り添う」
面接官の基本的な立場として「応募者に対しては味方であること」が求められます。
応募者の話をしっかりと聞き、面接の場で良好な関係性を築くことで、応募者が面接官に対して本音を話せるようにします。
また、話を聞く中で、応募者が考えをまとめるのを助ける役割もあります。
コミュニケーションの中で応募者の考えがまとまっていくと、応募者の中にある疑問点が解消されたり、採用に向けた期待が高まったりするメリットがあります。
●応募者のモチベーションを「高める」
何らかの理由で、応募者は自社を選んでくれたわけですが、面接に手ごたえを感じられないとモチベーションが下がってしまうかもしれません。
そこで、面接官は応募者に対して、面接を受けてくれたことへの感謝を伝えつつ、自社にどんな魅力があるのかをアピールすることで、応募者のモチベーションを高めていきます。
応募先の立場の人間が、応募者に対して積極的に話しかけることで、応募者は「この会社は自分に期待してくれているのではないか」と前向きな気持ちになります。
結果として、その応募者を見送ることになったとしても、少なくとも面接の場では応募者に悪い印象を与えるリスクは低いはずです。
●応募者が働く理由を「創造する」
自社に応募してくれた段階では、応募者の動機は「応募者自身の中だけにあるもの」です。
しかし、面接官と会話をする中で前向きな気持ちになれたら、やがて応募者の動機は「応募者が会社に貢献するためのもの」に変化します。
面接の中で、応募者が自社で働く覚悟を意識できれば、働く理由も明確になります。
面接官がポイントを押さえて応募者に問うことで、応募者の志望動機はより強いものになるのです。
●応募者の悩み・応募者に対する不安を「排除する」
面接官は、最終的に応募者に決断を促す立場です。
その一方で、応募者が自社にふさわしい人材かどうか、最後まで見極める立場でもあります。
応募者の側に悩みがあれば、それを払拭できるよう努力しなければなりませんし、面接官の立場から不安要素があれば、それを取り除かなければなりません。
応募者の悩み・応募者に対する不安要素が排除されて初めて、応募者は次のステージに進めます。
面接官としてふさわしい振る舞いを身につける
応募者は、面接官の印象から応募先の雰囲気を読み取ろうとします。
温かみの中に威厳がある印象の面接官を見て、応募先への信用が増すこともあります。ですが、逆の場合は応募者に不安を抱かせてしまうかもしれません。
面接官は、応募者にとって企業のイメージを左右する存在のため、常に丁寧な態度を崩さずに応募者と接するのが基本的なスタンスです。
その一方で、応募者に対する興味を明確に伝え、相手の話に積極的に耳を傾ける姿勢を示すことも大切です。
面接官は、応募者が「採用するに足る人材かどうか」「次のステージに進んでよい人材かどうか」をチェックするための存在ですから、いたずらに応募者を追い詰めたり、苦しめたりするべきではありません。
必要な情報をもれなく応募者から収集するためにも、面接時は笑顔・相づちを意識したコミュニケーションを心掛け、応募者が何でも話しやすい雰囲気を作れるよう努力しましょう。
面接官として心がけたいこと
自分が面接官として選ばれた場合、多かれ少なかれ企業から適性があるものと判断されているはずです。
不適切な応対によって、自社の評価を下げないためにも、以下のことを最低限心がけましょう。
他者に興味を持つ
面接官は、面接の中で応募者に対して質問する立場ですから、自分の殻にこもるような性格では仕事がこなせないでしょう。
最低限、他者に対し興味を持ってコミュニケーションをとることを意識しましょう。
特に、応募者の言動や価値観について「どうしてそのようにする(考える)のだろう?」と問いを持つことは、深い部分で応募者と自社とのマッチングを検討する際に役立ちます。
また、単純に興味を示すだけでなく、興味を持った根拠を言語化できることも、面接官に必要な要素です。
面接の中で「自分について打ち明ける」機会を作る
多くの場合、応募者と面接官は初対面ですから、お互いの心には壁ができている状況と言えます。
そのような状況で、面接官が一方的に質問しても、良い答えが返ってくる可能性は低いでしょう。
まず面接官自身が、自分のことを打ち明けるスタンスを示すことが大切です。
例えば、自分も転職して自社に入社した立場だとしたら、転職理由を聞く前に自分の転職理由を開示するようなイメージです。
面接官が転職面接で失敗した話など、応募者と同じ歩幅で歩くように過去を語ることで、応募者もまた自分の気持ちを整理して話しやすくなります。
いわゆる「ぶっちゃけ話」は、応募者の内面に踏み込むチャンスを増やせるため、自社にマイナスの印象を与えない範囲で工夫してみましょう。
各種認知バイアスについて理解し、合理的に判断する
人間は、思い込み・周囲の環境などに影響されると、合理的な判断ができなくなることがあります。
これを認知バイアスといい、面接官が面接に臨むにあたっては、人間の認知に関する特性を理解しておきたいところです。
具体的には、以下のような認知バイアスが、面接においてマイナスの影響をもたらす可能性があります。
面接官は、認知バイアスの種類についてより多く理解し、自分が罠にはまらないよう気を付けて面接に臨まなければなりません。
企業によっては、統一した採用基準で採用活動を行うため、AI面接官を導入しているケースもあります。
しかし、重要な面接では、採用担当者が面接評価シートを用意して面接を行うスタイルの方が一般的ですから、やはり認知バイアスについて理解しておく必要があるでしょう。
面接の基本的な流れ
面接官として、面接に臨む際の心構えができたら、実際の面接の流れについても頭に入れておきましょう。
スタンダードな流れを把握しておくと、面接をどう組み立てていくべきか、具体的にイメージしやすくなります。
アイスブレイクを行う
応募者を迎え入れた後、いきなり面接をスタートさせてしまうと、応募者の気持ちの準備ができないまま面接が進んでしまいます。
できるだけ応募者がリラックスした状態で面接を受けられるよう、面接官は緊張をほぐすための質問をして、応募者が話しやすい環境を作るようにします。
この一連の流れをアイスブレイクといい、例えば応募者に対して以下のような質問を試みます。
場所に関する質問、天気に関する質問を選ぶと、当たり障りなく応募者の気持ちをほぐせるはずです。
オンライン面接の場合は、音声や画像の通信状態を確認したり、ビデオ通話ツールの使い方で分かりにくい部分がないかどうか聞いてみたりするのがよいでしょう。
面接官の自己紹介・自社に関する説明を行う
アイスブレイクを試みたら、次に面接官の自己紹介、または自社に関する説明を行います。
応募者の緊張がアイスブレイクで十分にほどけなかった場合に備え、面接官が自己紹介することで、応募者に親近感を持ってもらえる可能性があります。
とはいえ、笑いを取る必要はまったくなく、面接官の名前・役職・担当業務を伝えるだけで十分です。
その次に、自社に関する説明をかんたんに行います。
多くの場合、応募者自身も応募先についてリサーチはかけているはずですが、さすがに内部の人間よりは情報を持っていないはずです。
そこで、自社サイト等には掲載されていない内容を少し掘り下げ、以下のような情報を応募者に伝えます。
求人の背景について伝える
自社の情報について応募者に伝えた際「なぜ今回の求人を出したのか」その背景についても説明します。
特に、応募者に任せたい業務について詳しく説明することは、ミスマッチの防止・モチベーション向上につながるため、丁寧に説明しましょう。
応募者に対して質問を行う
応募者と会話のキャッチボールができるようになったのを見計らって、いよいよ応募者に対して質問を行います。
質問時にベースとなるのは、履歴書・職務経歴書に書かれている内容となります。
評価項目としてどの点に注目するのかによって、質問の内容も変わってきます。
以下、主な質問例をご紹介します。
これらの例はあくまでも参考情報であり、本当に聞きたい内容は、自社の事情を踏まえて検討する必要があります。
効率的に面接を進めるためにも、質問内容は、できるだけ面接を行う前に整理しておくことをおすすめします。
応募者からの質問を受け付ける
応募者に聞きたいことを一通り聞いたら、次は応募者からの質問を受け付けます。
一人ひとりの応募者が質問する内容につき、事前にリスト等を作成するのは難しいので、面接官は応募者に対して可能な限り質問に回答する姿勢を見せるようにしましょう。
具体的には、単純に応募者からの質問に回答するだけでなく、コミュニケーションの中で必要に応じて確認を取るのも有効です。
例えば、採用後に配属される部署のことを質問された場合は、分からないまま答えずに「後ほど○○部の××に確認しましょうか?」などと確認を取ると丁寧です。
今後のことを確認する
一通りやり取りが終わったら、応募者と今後のことを確認します。
面接で問題がなければ後日採用という場合、連絡方法・入社日・年収などを応募者とすり合わせます。
自分が一次面接を担当する場合は、二次面接・最終面接に関する説明のほか、自社から連絡を入れるタイミング・方法についても説明しておきます。
確認事項をすべて応募者と共有したら、面接は終了となります。
面接時に面接官が気を付けたい注意点
面接官は、自社の顔として面接に臨むわけですから、やはり応募者に対する態度にも注意が求められます。
特に、応募者が自社に悪い印象を持つような対応は、絶対に避けなければなりません。
応募者の意欲を失わせるような態度をとる
面接官の中には、あからさまに応募者の意欲を失わせるような態度をとる人もいます。
例えば、腕組みや険しい表情は、自分なりに威厳を持たせようとしているケースも考えられますが、応募者にとっては不遜な態度に見えます。
また、応募者とのコミュニケーションにおいて、自分や自社の考え方と違う部分が見えたとしても、それをすぐさま否定するようなスタンスで面接に臨むべきではありません。
仮に、応募者が重大な誤解をしていたとしても、内容をすべて聞き終えた上で異なる点を指摘するにとどめ、決して感情的・高圧的な表現にならないよう心がけたいものです。
NG質問をしてしまう
厚生労働省では、以下の2点を基本的な考え方として採用選考を実施すべきとしています。
※参照元:厚生労働省|公正な採用選考の基本
このほか、職業安定法・男女雇用機会均等法など、面接において企業が遵守すべき法律は多々あります。
法律に抵触する質問、すなわち就職差別・各種ハラスメントにつながる質問に関しては、NG質問になるので注意が必要です。
なお、具体的なNG質問について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
※参考記事:【採用面接のNG質問】面接官が応募者に絶対聞けないタブーとは
求人情報とかけ離れた内容の質問をする
応募者は、求人情報をチェックしてから、企業に応募するかどうかを決めます。
よって、応募者の頭の中に入っている自社・仕事内容に関する情報は、基本的に求人情報の内容がベースになっているものと考えられます。
面接官が、求人記事に書かれている内容とは大きく異なる要素を持つ質問を行うと、当然ながら応募者は不安を感じます。
例えば、「転勤はほとんどありません」と掲げているもかかわらず、面接の話の流れで「転勤が可能か」といった質問を行うと、応募者は「求人募集の内容と違う」と不審に感じることでしょう。
特に、学生の場合は社会人経験に乏しい傾向にあるため、質問を額面通り受け取る可能性があります。
せっかく優秀な人材に出会えたのに、面接官の質問によって自社から心が離れてしまうのは、非常にもったいないことです。
応募者と面接官の意思疎通をスムーズにするためには、求人記事の内容につき、自社の意思・面接官の方針とリンクさせることが不可欠です。
中小企業向け採用サービス「ワガシャ de DOMO」では、求人記事の質にこだわって50年、おかげさまでたくさんの企業様にご利用いただいております。
応募者のみならず、社員・面接官にも誤解を与えることのない求人記事を作成し、スムーズな面接・採用を実現いたします。
運用面では、Indeedをはじめとした複数の求人サイトとの連携によって、応募数の増加につなげてまいります。
まずは、お気軽にご要望をお聞かせください。
まとめ
面接官の仕事には、単純に応募者を見極めるだけではなく、応募者に対して「この会社で働きたい」と思わせる役割も含まれます。
自社のイメージ向上につなげるためにも、面接官としてふさわしい対応を心がけつつ、バイアスにとらわれない判断を下すことが大切です。
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