面接でアイスブレイクを成功させるポイント|各種ネタや失敗例も紹介
面接で応募者の本来の人柄や本音を引き出すために活用したいのが、リラックスできる雰囲気作りに役立つアイスブレイクです。
応募者は、自分が採用されるかどうか・採用されたとして新しい職場で上手くやっていけるかどうか、不安と緊張で面接に臨んでいるケースがほとんどです。そこで採用面接官は、応募者との間にある「緊張」という冷たい壁を壊すために、アイスブレイクという手法を用います。
この記事では、アイスブレイクが上手くできるかどうか心配な人事担当者・面接担当者向けに、成功のポイントや会話のネタ、注意したい失敗例についてご紹介します。
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面接でアイスブレイクを試みる目的とは
面接におけるアイスブレイクとは、応募者の緊張感を氷に例え、氷を溶かすように緊張感をほぐす手法を意味します。面接官がアイスブレイクを試みる目的は、大きく分けて3つあります。
以下、それぞれの目的について解説します。
応募者の緊張を軽減する
緊張は防衛本能の一種であり、自分がよく知らない相手と、よく分からない環境で話すことを強いられる面接は、多くの求職者に緊張を与えます。
サッカーに例えると、応募者にとって現職あるいは自宅の環境がホームなら、応募先はまだアウェーという立場です。
面接官側としては、将来的に応募者が自社をホームにする可能性があるわけですから、敵意がない(緊張しないで面接に臨んで欲しい)ことを応募者に伝えたいと考えます。
そこで、今の立場は違えど同じ人間であり、少しでも力を抜いて話して欲しいという意向を伝えるため、多くの面接官がアイスブレイクを試みています。
応募者の本心・本音に迫りやすい状況を作る
緊張感を保ったままでいると、応募者の前にある心理的な壁が崩れないため、よそ行きの言葉・当たり障りのない言葉しか応募者の口から聞けないことも珍しくありません。
そのような状況では、応募者が内心思っていることを確認できず、採用担当者としても採否を決断するのが難しくなります。
特に、転職面接において応募者の本心・本音が出ない場合、中途採用後のミスマッチに発展するリスクが高くなります。
過去に面接を経験している分だけ、応募者も仮面をかぶりやすいので、慎重に心の壁を壊していくことが求められます。
面接に臨む際、面接官はできるだけ、応募者が本心・本音を打ち明けやすい環境を整える必要があります。
そのための方法の一つとして、面接におけるアイスブレイクは重要です。
採否にかかわらず、自社に対する良い印象を与えられる
インターネットが普及した世の中では、自社の評判は瞬く間に拡散されます。
応募者の中に、面接で不快な思いをした人がいた場合、その情報がSNS等で多くのユーザーに知られてしまうかもしれません。
自社の悪印象を拡散されないようにするためにも、採否にかかわらず、応募者には「面接が終わるまで自社に対する良い印象を持ったままでいてもらう」ことが大切です。
それを実現するために、面接官にはアイスブレイクを効果的に使うことが求められます。
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面接でアイスブレイクを成功させる5つのポイント
アイスブレイクを意図して試みようとすると、話題選びやトークの流れを気にするあまり、本来の目的を見失ってしまうおそれがあります。
面接官自身がかえって緊張しないためにも、以下のポイントを押さえた上でアイスブレイクを実践すると、応募者の緊張や不安をほぐしやすくなるでしょう。
お礼と自己紹介で応募者に安心感を与える
アイスブレイクでは、応募者が聞いて心地よいことを話したり、共感できる話題を選んだりすることで、応募者に安心感を与えることができます。
具体的には、時間を作って面接に足を運んでくれたことに感謝するとともに、こちらからも自己紹介するなど歩み寄る姿勢を明確に示すことが大切です。
アイスブレイクの段階で話すこと・個人的なことまで採否に影響するのかなど、あらかじめ応募者が心配しそうな内容を把握し、先回りして「心配しなくて大丈夫」というメッセージを伝えてあげるのも有効です。
応募書類の情報の中から、面接官・応募者の共通点を洗い出しておき、それをベースにアイスブレイクを試みるのもよいでしょう。
・時間を作って面接に足を運んでくれたことに感謝する
・面接官から自己紹介する
・応募書類から共通点を洗い出し、それを話題にする
回答を限定させるような質問をしない
アイスブレイクの段階では、応募者に対して質問する際、極力話を膨らませられるよう心掛けましょう。
極端な話、はい・いいえの回答だけでやり取りが完結するようなコミュニケーションは、アイスブレイクにおいてほとんど意味がありません。
会話を続けていくうちに、応募者のトークに対する熱量が上がっていき、次第にコミュニケーションを取りやすい空気が生まれていきます。
面接官は、自分の口を動かすこと以上に、応募者の口が動いているかどうか意識しながら質問を投げかけましょう。
・極力話を膨らませるような質問をする
・応募者の口が動いているかどうかを意識する
アイスブレイクに対して極端に時間をかけない
面接の本分は、あくまでも応募者を採用するための情報を収集することであって、アイスブレイクによる雑談ではありません。
自社の説明や応募書類を資料とした質問・逆質問など、面接では一つひとつやるべきことを消化していかなければなりません。
面接全体のタイムスケジュールを把握した上で、仮に面接時間が30分だった場合、アイスブレイクにかけられる時間はせいぜい3分といったところです。
よって、アイスブレイクに対しては、極端に時間をかけずに面接を進めることを意識しましょう。
応募者との共通点を見つけて話す
履歴書に書かれている趣味や特技、応募者との会話の中で共通点があれば伝えてみましょう。
例えば応募者の趣味が読書だった場合には、「私も読書が好きなんです。おすすめの本はありますか?」といったように、自然に話を広げることができます。
また、適度に自己開示しながら共通点を伝えることによって、親近感を持ってもらいやすくなります。面接官を身近に感じ、リラックスしてもらう手段として有効です。
質問や会話のパターンを用意する
面接当日に面接官自身が緊張し、アイスブレイクで何を話せばいいか慌ててしまっては本末転倒です。
あらかじめ会話を進めやすい質問やトークのパターンをいくつか用意しておき、スムーズにアイスブレイクを進められるように準備しましょう。
履歴書を読み込んだ上で質問を作成したり、次項で紹介する安定したネタを覚えておいたりすると、落ち着いて臨機応変に対応できます。
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今すぐ使える「安定のアイスブレイクネタ」
アイスブレイクで話すことをぶっつけ本番で決めていくのは、よほどトークの経験がない限り、極力控えるのが賢明です。
アイスブレイクに関しては、面接官自身が悩まないよう、安定したネタを用意しておくことをおすすめします。
交通手段や道のりに関すること
対面形式の面接では、応募者に自社まで足を運んでもらうことになります。
多くの場合、応募者は電車やバス・地下鉄などに乗って自社を目指すため、道中で何か起こることは十分考えられます。
それを踏まえた上で以下のような質問をすると、応募者も自然に話しやすいでしょう。
・本日はバスでいらしたんですか?
・移動中はちょうど混雑する時間から外れていたと思いますが、電車は混みましたか?
・このあたりの道は分かりにくかったと思いますが、道に迷いませんでしたか?
面接日の天気に関すること
面接日の天気は、自社の中にいても把握できますし、面接官自身が出社したタイミングの天気を話題にしても、ある程度場をつなぐことができます。
晴れ・曇り・雨といった天気予報の情報に限らず、以下のように気温や気象現象について触れるのもよいでしょう。
・朝は霧がひどかったですが、○○さんが家を出られた際はいかがでしたか?
・今朝は天気予報で-20℃まで冷え込んだそうですね。私が出社してすぐストーブを炊いたのですが、まだ寒いようでしたらコートはそのまま着ていただいて構いませんよ。
Web面接に関すること
応募者が遠方にいる場合、Web面接を行うケースも増えてきています。
ただ、応募者の暮らしている環境によっては、Web面接が一般的でないことも十分考えられます。
オンラインでの面接というシチュエーションを利用して、以下のような切り口でアイスブレイクを試みましょう。
・これまでにオンライン面接の経験はおありですか?
・リモートワークの頻度は多い方ですか?
趣味・特技に関すること
応募者個人への興味をアピールする意味で、履歴書に書かれた趣味・特技について聞いてみることも、アイスブレイクのやり方としては一般的です。
応募者としても、以下のような形で履歴書の内容に触れられることは嬉しいはずですから、結果的に面接官に対する緊張をほどくことにつながります。
・登山が趣味とのことですが、いつ頃から始められたのですか?
・MT車の運転が好きとのことですが、MT車のどういった点に魅力を感じられていますか?
不安に対して共感すること
応募者の緊張がピークに達していると、社内に入った段階からすでに面接がスタートしているものと考え、心身ともに硬直してしまっている可能性があります。
そこで、アイスブレイクで緊張をほぐす方法として、現在応募者が感じている不安を理解し共感するアプローチがあげられます。
具体的には、以下のようにあらかじめ断りを入れるイメージです。
・これからちょっとした世間話を行いますが、その内容は採否に影響しませんので、どうかリラックスしてください。
・(Web面接で)接続状況に異常が発生し、やり取りが一時的に途絶える場合もあると思いますが、そのような障害は評価に一切関係しませんのでご安心ください。
新しい発見・最近よかったことを話してもらうのも一手
アイスブレイクは、こちらから応募者に対して質問を投げかけるスタンスが一般的ですが、逆に応募者の側からいろいろと話してもらうアプローチもあります。
いわゆる「GOOD&NEW」と呼ばれるもので、以下のように面接官自身が手本を見せることで、応募者の自由な発言を促します。
面接をスタートする前に、○○さんが最近発見した新しいことや、いいなと思ったことを教えてください。たとえば私の場合は、「昨夜のニュースで××の新型が発売されることを知って、さっそく予約しよう」と思っています。
こういったニュアンスで、簡単に話していただければと思います。
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オンライン面接でのアイスブレイクの注意点
近年はオンライン面接を取り入れる企業が増えました。同じ面接でも対面とは環境が異なるため、アイスブレイクの際に注意しておきたいポイントがあります。
万が一の接続不良について伝えておく
オンライン面接では、意図せず接続が途切れてしまったり、音声が聞き取れなかったりといったトラブルが発生するケースもあり得ます。
応募者がそのような事態に不安を感じなくて済むように、あらかじめ緊急連絡先の電話番号やメールアドレスを伝えておきましょう。
また、アイスブレイクの際には「途中で不具合があれば遠慮なくおっしゃってください」といった一言があると、安心感を持ってもらえます。
話すスピードと声の大きさを意識する
オンラインでの音声の聞こえ方は対面時と異なります。双方にタイムラグが生じるケースもあるため、聞き取りやすい安定したスピードと声の大きさを心がけましょう。
また、万が一音声が聞き取りにくかった場合には、応募者が「聞き返すと失礼なのではないか」と気を遣ってしまうケースも考えられます。
事前に「聞き取りにくかった場合は聞き返してください」と伝えておくことで、コミュニケーションが円滑になります。
話を聞いていることが伝わるようにする
応募者が話している最中に面接官の反応がなかったり、画面とは違う方向を向いていたりすると、「ちゃんと聞こえているのだろうか」と気になってしまう場合があります。
アイスブレイクではもちろん、面接を通して傾聴の姿勢を見せることは大切です。無表情にならないよう意識し、応募者の話にうなずくリアクションをとると、話を聞いていることがしっかり伝わります。
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アイスブレイクの失敗例
幅広い話題を選べるアイスブレイクですが、何でも話せる時間だからこそ、アイスブレイクではやってはいけないこともあります。以下、主な失敗例についてご紹介します。
※【採用面接のNG質問】面接官が応募者に絶対聞けないタブーとは
当たり前のことを聞かない
応募者の立場なら誰でも思うようなこと・感じるようなことは、アイスブレイクの質問に使わない方がよいでしょう。
例えば、応募者が面接官に「緊張していますか?」と聞かれても、大半の応募者は「はい」と答えるはずです。
他にも、面接の受けた回数・自社を知ったきっかけなどを聞いてしまうと、それが合否に影響するものと応募者を警戒させるおそれがあります。
一般論として「面接なら当たり前」のことは、アイスブレイクの話題として選ぶべきではありません。
出身地の話をするのはリスキー
面接官の出身地が応募者と同じだった場合、親近感を与える意味合いで出身地の話を振るのは、アイスブレイクでもよく見られるケースの一つです。
しかし、厚生労働省では、以下の2点を基本的な考え方として採用選考を行うべきと定めているため、出身地の話をすることはNGと判断される可能性があります。
・応募者の基本的人権を尊重すること
・応募者の適性・能力に基づいて行うこと
※参照元:厚生労働省|公正な採用選考の基本
もう少し具体的に言うと、本籍・出生地に関することを、応募書類に記載させたり面接で質問したりすることは、就職差別につながるおそれがあります。
よって、出身地の話を振る場合、観光スポットに行った話をからめるなど、何らかの配慮が必要です。
時事ネタにはデリケートなものもある
時事ネタは、面接に限らず話題としてはホットなものですが、一方で特定の人にとっては不快になるテーマも少なからず存在しています。
そのため、時事ネタをアイスブレイクに利用するのは、可能であれば控えた方が賢明です。
最悪の場合、面接の中でキーワードが出ただけでも、後日SNSにさらされるおそれがあります。時事ネタの扱いは、面接全体の中でも慎重に行いましょう。
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面接前にカジュアル面談をする企業も増えている
アイスブレイクのポイントやネタについてご紹介してきましたが、アイスブレイクの大きな目的として「応募者をリラックスさせ、普段の姿を見る」ことがあります。
その目的のために、最近では「カジュアル面談」を導入する企業が増えてきました。
「カジュアル面談」とは面接のように選考する場ではなく、「カジュアルに」仕事の内容や不安なことなどをざっくばらんにお話する場です。
面接よりハードルが低いため、「応募しようかどうか」迷っている応募者の後押しをしたり、コミュニケーションをとることでミスマッチを軽減する狙いがあります。
※採用面接とは違う「カジュアル面談」とは?目的と流れ、事前に準備しておきたいことなどを解説
まとめ
アイスブレイクは、応募者の緊張を解きほぐし、自社に対する本当の気持ちを聞き出すための大切なプロセスです。応募者の気持ちに寄り添って、普段の自分を出してもらえるように心がけましょう。そうすることが、自社にとってよりよい人材の獲得のチャンスが広がることにつながります。
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