成功する人事制度の設計方法とは?近年のトレンドや注意点も分かりやすく解説!

成功する人事制度の設計方法とは?近年のトレンドや注意点も分かりやすく解説!
目次

近年、組織力向上や企業の成長を目的に、人事制度の改定を行う企業が増えています。代表的な事例として、ニュースでも話題のジョブ型雇用やノーレイティングなどがありますが、どのようなメリットがあるのでしょうか。

そこで今回は、日本がこれまでに採用してきた様々な人事制度の特徴やメリット、話題のジョブ型雇用制度などをご紹介します。

人事制度設計のポイントや注意点、参考となる書籍も紹介しますので、人事担当者の方や経営者の方はぜひ目を通してみて下さい。

人事評価制度の全容|機能・目的・種類・導入方法・事例など幅広く解説

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人材管理に不可欠な人事制度とは

人事制度は、企業が人材を管理するために制定する仕組みです。主な目的としては、企業が達成すべき経営目標や、優秀な従業員の育成のために定めます。近年では従業員の処遇を決める仕組みとしても捉えられており、主に下記の 3つの制度から形成されています。


①等級制度

等級制度は、職務内容や能力、役割等に応じて人材の序列化を行う制度です。人事制度において基礎とされる仕組みであり、特定の基準で区分された等級ごとに給与や権限なども決定します。どのような基準を採用するかは自由ですので、企業の価値観がより出やすい部分となります。

主な等級制度には、以下の3つがあります。特徴や仕組みの違いを理解しておきましょう。

制度① 職能資格制度
職務遂行能力を基準にして等級を分類
し、その等級ごとに配置や昇格などを決定する施策です。従業員それぞれの能力に基づき評価を行いますので、透明性や公平性の高い等級制度と言えます。

制度② 職務等級制度
仕事の内容や難易度といった「職務価値」を基準に等級を区分する制度です。能力や勤続年数などの要素は昇給等に関係なく、職務の成果を重視した等級制度の仕組みです。

制度③ 役割等級制度
従業員の役職やキャリアに関係なく役割を設定し、役割の大きさに応じて報酬や序列を決定する制度です。職能資格制度と職務等級制度を合わせたハイブリッド型のような特徴があります。


②評価制度

評価制度は、評価基準や評価項目、評価の対象期間などを従業員に示す制度です。あらかじめ評価の基準等を明確に提示しておくことで、従業員のモチベーション向上を促す効果があります。逆に不明瞭な評価の基準では、不平・不満も発生しやすくなるため注意しましょう。

主な評価制度には、下記のような取り組みがあります。

評価① 能力評価
業務において必要な判断力や行動力などを対象とする評価方法です。基本的には「能力評価」「情意評価」「成績評価」の3つを評価基準とします。

評価② 職務評価
従業員ごとに課されている職務内容や責任の大きさなどに応じて、相対的な評価を行い判断する方法です。どのような要素を重視するかは、会社によって異なる特徴があります。

評価③ 役割評価
社員それぞれの役割を基準として評価する方法です。職務評価とは異なり、業務内容だけではなく役割の難易度や達成度なども加味して人事評価を行います。

評価④ 成果評価
契約数や売上高の目標、製造個数などの実績を基に評価する手法です。主に成果主義を重視する企業で採用される評価の仕組みです。

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③報酬制度

報酬制度は、給与や賞与などのルールを決定する制度です。前述までに解説した「等級制度」や「評価制度」に基づいて、報酬の支給額などを定める取り組みです。定めた等級ごとに給与や賞与の下限・上限を設定し幅を決め、その上で評価を行い具体的な金額を決定します。

報酬制度を構成する主な項目としては、以下のようなものがあります。

項目① 基本給
毎月固定で支払われる給料のベースとなる報酬金額です。年齢や勤続年数といった属人的な要素である「属人給」、業績・能力・成果などの要素の「仕事給」で構成されます。

項目② 手当
基本給に上乗せで支払われる支給金額です。主に役職手当や家族手当、住宅手当、通勤手当などの項目があります。なお、手当の種類は就業規則で定めておくようにします。

項目③ 賞与
基本給や能力給といった毎月支払う賃金以外の支給金額です。金銭による支払で行う必要はなく、就業規則に規定し一定条件(労働協約が必須のため労働組合があることが前提です)を満たせば、自社商品などを賞与にできます。

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人事制度のトレンドと近年の傾向

人事制度は時代と共にトレンドや傾向が移り変わり、重視される要素も変化していきます。これまでのトレンドの変遷や近年の傾向を把握して、新制度設計の参考にしましょう。


これまでの日本の人事制度の移り変わり

日本の人事制度は時代の変化に合わせて変遷してきました。2000年代までのトレンドの傾向は、下記のようになっています。


① 1970年代 年功序列主義
1970年代では、勤続年数や年齢に応じて昇給や昇進が行われる年功序列」の制度が基本でした。個人の能力やスキルなどは重視せず、勤続年数や年齢のみで評価を行います。基準が明確である点や人事評価のコスト・手間の掛からなさに大きなメリットがありました。

② 1980年代 職能主義

80年代からは年功序列だけでなく、個人の能力やスキルも考慮した評価もトレンドになります。ジョブローテーションで多くの職種を経験させていた時代背景も、この職能主義の考え方に起因しています。ゼネラリストの育成や企業のポスト不足改善に効果的でした。

③ 1990年代 成果主義
bします。年功序列は高いスキルを持つ若手社員には不満の溜まりやすい制度でしたが、成果主義によりモチベーション向上を図る目的もありました。

さらに、2000年代以降には、役割主義による人事評価も導入が開始されます。近年では上記の様な制度に、役割主義や他の評価制度を加えるなどして、複合的な人事評価システムを構築する企業が増えています。


近年増加するトレンドの「役割主義」とは?

1990年代から浸透し始めた「成果主義」による人事評価ですが、下記の問題点もありました。

・短期的な成果を求める従業員が増加し、社内の連携が乱れる 
・成果を出せなかった社員にとっては、精神的な負荷が大きい
・どのような成果を評価するか、定義するのが難しい 
・結果を出せない社員が退職し、離職率の上昇につながる


したがって、成果のみを重視する制度から、業務内容や職種ごとの役割・行動なども勘案する「役割主義」での評価が増加します。役割主義では「行動」も重要視されるため、従業員の心理的安全性を高められます。また、従業員にどのような行動が評価されるのかを提示しておけば、良い行動指針になるメリットも得られるようになりました。

さらに、成果主義では、従業員の結果が出るまで評価ができないデメリットがありましたが、役割主義では行動時点で評価を行えるため、スピーディーな評価が可能になりました。


等級制度や評価の問題を解決する制度への移行

前述のように、人事制度では様々な評価基準や制度が設けられました。しかし、近年では「等級制度」や評価に関する問題点も数多くあります。

等級制度は、能力・スキル・職務・役割等に応じて等級を区分し、従業員それぞれをランク付けする施策です。メリットはキャリアアップの指標として活用でき、モチベーション向上も期待できる利点があるでしょう。

ただし、一方では評価基準が明確でないと、従業員の不平・不満が溜まる要因にもなり得ます。さらに、等級制度は評価が年度末に行われ、評価期間が長くなるケースが多くあります。その場合、評価期間の初期より、評価期間の後期の方がより強く印象に残り、正しく評価を行えない問題も出てくるでしょう。

そのため、ここ最近では等級制度や評価の問題を解決する方法として、新たな評価・人事制度が広がりつつあります。具体的には、ランク付けを廃止した「ノーレイティング」や、1~2週間といった短期のスパンで評価を行う「リアルタイムフィードバック」の人事制度が出てきています。

今後も既存の評価基準や人事制度の改善目的で、様々な評価方法が考案されるでしょう。


評価のオープン化が従業員や会社の成長につながる

より満足度を高める人事制度の設計のためには、労働者側のニーズにも気を配る必要があります。特に近年では、透明性が高く公平な評価基準を求める社員が増えています。

したがって、これまでは非公開であった評価情報を、あえて個人の成長のためにオープンにして伝えるのも良いでしょう。

前述した「ノーレイティング」や「リアルタイムフィードバック」も、その流れを汲む取り組みの一例です。2つの制度には、より評価対象者と密にコミュニケーションを取るという共通点があります。

そのため、評価情報をより詳細に共有でき、上司と部下の評価に対する認識のズレも解消しやすくなります。

なお、人事評価において重要な「透明性」を確保するには、下記の4つの要素を考慮する必要があります。

<評価の透明性確保のための4要素> 
① 評価者は誰か
② 評価のプロセスは明確か 
③ 評価基準は分かるか
④ 評価結果がフィードバックされるか


ぜひ、上記の要素も加味しながら人事制度設計に取り組んでみましょう。満足度の高い評価方法を行えば、従業員個人だけでなく会社全体の成長にもつなげられます。

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大企業中心に広がるジョブ型の人事制度の目的や導入方法

2020年頃より、大企業を中心に広がる「ジョブ型」の人事制度が注目を浴びていますが、どのような目的や意図があるのでしょうか。改めて概要も確認しながら、導入方法もチェックしておきましょう。

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ジョブ型雇用の人事制度の概要や特徴


ジョブ型雇用は、職務(ジョブ)に適した人材を雇用する人事制度を指しています。なお、従来の日本型の雇用は、「メンバーシップ型」と呼ばれるシステムが一般的でした。「ジョブ型」と「メンバーシップ型」には、それぞれ下記のような特徴があります。

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項目
ジョブ型
メンバーシップ型
基本概念
仕事に人をつける
人に仕事をつける
採用方法
欠員の補充や新規事業要員の採用が中心
新卒の一括採用などの定期採用が中心
等級
職務等級制度が基本
職能資格制度が基本
昇給等
年次は関係なく実績を重視
勤続年数や年齢を重視
賃金
職務ごとに変化
年功で上昇
育成方針
職務ごとに社内外で教育
年次によって社内教育を変える


従来では終身雇用や経済の安定的な成長という背景があったため、メンバーシップ型の人事制度や雇用システムが上手く機能していました。

しかし、少子高齢化やキャリアの多様化、コロナウイルス拡大等により経営環境は大きく変化しました。従来の雇用方法や人事制度では競争力を維持できないとの認識が拡がり、ジョブ型雇用を導入する企業が増えているのです。


なぜジョブ型人事制度が注目されるのか

ジョブ型雇用が進む背景には、どのような要因があるのでしょうか。より具体的に普及が拡がる背景を知り、注目されている理由をチェックしておきましょう。

ジョブ型の人事制度が重要視されている理由として、下記の要因があります。

① 専門スキルを持つ人材の不足
グローバル化とともに、企業の競争力確保のため高いスキルを持った人材の採用が必要となりました。しかし、従来のメンバーシップ型の人事制度では、経験や知識の乏しい新卒社員を一から育て、専門性の高い人材にするには非常に時間が掛かります。

したがって、専門的な職種に充てる人材を、欠員補充で採用できるジョブ型の人事制度が注目されました。また、高度な知識や技術を必要とする職種は、ジョブ型の報酬制度でないと人材確保が難しいという現状も背景にあります。

② リモートワークの普及
コロナウイルスの感染拡大によるリモートワーク普及も要因の一つです。働く時間や場所を制限する概念が薄れ、より成果を重視した評価方法や人事制度に移行する企業が増えてきたのです。

また、従来までは「会社に行かないと仕事ができない」という考え方が多くありました。しかし、リモートワークの普及で、会社に行かずとも仕事で成果を出す社員が増えました。その結果、実力をより報酬に反映させられるジョブ型の人事制度を採用する傾向が高まったのです。


ジョブ型の人事制度のメリットやデメリット

大企業を中心にジョブ型の人事制度は普及が進んでいます。導入する際にはメリット・デメリットの把握が大事ですので、確認しておきましょう。

主なメリット・デメリットには以下のような点があります。

項目概要
メリット① ピンポイントで必要な人材を確保できる
② 賃金コストの適正化
③ 採用コストの削減や生産性の向上
デメリット① 契約した内容以外での業務を頼めない
② イレギュラーな業務に対応できる人材を養えない
③ コミュニケーションや助け合いの精神の希薄化


<ジョブ型のメリット>
① ピンポイントで必要な人材を確保できる
ジョブ型雇用は仕事に人をつける採用方法です。したがって、新規事業の開始や既存業務の欠員で人材が必要になった場合、業務に不可欠なスキルを持つ人材をピンポイントで採用できます。また、求職者にとっても、どのようなスキルが求められているのか把握できるメリットがあります。

② 賃金コストの適正化
年功序列の賃金制度では、パフォーマンスが低くても高年齢の方や勤続年数が長い人には割高な報酬を支払う必要がありました。しかし、ジョブ型雇用は職務の実績や難易度、責任等を重視し報酬が決まるため、賃金コストの適正化が可能となります。

③ 採用コストの削減や生産性の向上
メンバーシップ型の人事制度では、人員に対して仕事を充てるため、社員の増加にともない仕事を増やす必要がありました。その結果、余計な仕事が増え企業の生産性が低くなっていましたが、ジョブ型では必要な職務のみに人材を充てるため、採用コスト削減や生産性向上につながります。

<ジョブ型のデメリット>
① 契約した内容以外での業務を頼めない
ジョブ型雇用では、あらかじめ取り組んで欲しい職務内容を明確にして採用を行います。したがって、仮に契約内容以外の業務が発生した場合には、従業員に依頼できないデメリットもあります。

② イレギュラーな業務に対応できる人材を養えない
ジョブ型で雇用した人材は、特定の職務範囲でしか業務を行わないため、イレギュラーな業務や事案に対応してくれる人材を育てられないリスクもあります。従業員にとっても、自らが携わる部署や業務が無くなった場合、新たなスキルを一から習得しなければいけない難点があります。

③ コミュニケーションや助け合いの精神の希薄化
職務ごとに人を充てるジョブ型の人事制度では、他の人の業務に携わる機会も必要性もありません。したがって、部署や業務の垣根を超えたコミュニケーションも乏しくなり、助け合いの精神も希薄化する可能性が高くなります。


ジョブ型の導入手順や成功のポイントとは?

前述のようにジョブ型には様々なメリットやデメリットがありましたが、導入する際には以下の手順を把握しておきましょう。制度を開始する前にチェックしてみてください。


<ジョブ型の導入手順>
① 業務内容と責任範囲の明確化
従業員に行っている業務内容を記述してもらう、もしくは上司からヒアリング等を行い、業務内容と責任範囲を決定します。記述してもらう方法では、従業員が虚偽申告する可能性もあるため注意しましょう。

② 管理職クラスから導入を開始する
日本の人事制度はメンバーシップ型が主流でしたので、急に社内全体でジョブ型にすると混乱が発生する可能性があります。したがって、まずは管理職クラスから導入を開始して様子をチェックし、慣れてきたら他の社員にも制度を適用します。

③ 業務の報酬水準を決定する
ジョブ型を導入する職務の要件定義を行ったら、市場価値や職種等を加味しながら業務の報酬水準を決めます。業務の難易度や内容、責任の大きさなども考慮して調整を行い、適切な報酬を定めましょう。

<成功のポイント>

ジョブ型の人事制度の大きな目的には、職務や役割などの具体化でマネジメントを見直し、組織力の強化につなげる点があります。したがって、ジョブ型を導入する職務や役割をまず明確化する必要性があるでしょう。

なお、その際には前述したジョブ型のメリット・デメリットを理解しつつ、自社の事業や経営方針等に合わせて柔軟に導入を行います。従来のメンバーシップ型の人事制度にも良い点はありますので、必要に応じて年功序列の賃金制度や教育方法も取り入れると良いでしょう。

特に人事制度の設計や評価方法の決定では、年齢や勤続年数などの「人基準」なのか、もしくは役割や職務をベースにした「仕事基準」なのかを明確化することが大事です。両方の場合は複雑になるため、管理する負担も大きくなる点に注意しましょう。

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人事制度の正しい設計フローについて

新しい人事制度を導入する際には、事前に自社の分析や状況把握を正しく行い、制度設計から始める必要があります。主な人事制度の設計フローは下記のとおりですので、参考にしてみてください。


フロー① 企業理念や事業方針の再確認

会社を形成するリソースとして人材は欠かせません。したがって、まずは自社にとって理想的な人材を採用・育成できるよう、企業理念や事業方針の確認は徹底しましょう。

その上で、組織や従業員単位などで理想となる方向性を示した「人事ポリシー」を明文化し、人事制度設計の柱とするのが基本です。


フロー② 現状分析と人事制度のアウトライン設計

既存の人事制度がある場合には、社内アンケートなどを実施して現在の制度に関する意見を調査します。各部門や役職、等級などでヒアリングをしてみましょう。

出された意見を集めたら課題を検討し、他社の給与・人事制度や自社の企業理念等も勘案しながら、新たな人事制度のアウトラインを設計していきます。


フロー③ 等級制度の設計

人事制度の大枠の決定後は、システムの根幹である等級制度から設計を開始します。等級制度には「職能」「職務」「役割」の3つのタイプがありますので、いずれかをベースにして等級の段階数や、等級に必要な資格等を決めます。

具体的にどのような要件を満たせば等級が上がるのか、分かりやすく定義しましょう。


フロー④ 評価制度の設計

等級制度の決定後は、定義した等級ごとの要件に応じて評価基準も決めておきます。評価制度では、何が評価されるのか(評価項目)、どのように評価するか(評価基準)を明確化します。

評価制度次第で社員のモチベーションは大きく変わりますので、企業理念とも結びつけながら、従業員の意識向上につながる評価方法を策定・明示しましょう。


フロー⑤ 報酬制度の設計

策定した評価基準をベースに、給与・報酬制度を設計していきます。等級ごとに下限と上限を決定し金額の幅(レンジ)を定めます。おおよそどのくらいが適正か、従業員が生活に困らないかといった点も含め検討します。

他社の報酬制度や評価制度も参考にすると良いでしょう。


フロー⑥ 制度移行へのシミュレーション

新制度の設計後は、制度移行による影響もシミュレーションする必要があります。既存の人事制度からどのくらい総人件費が変化するのか、生産性はどのように変わるのかも想定しておきます。

また、従業員への周知方法や必要な事務処理、準備期間等も確認しておきましょう。


フロー⑦ 制度の公表・運用と周知作業

新しい人事制度を公表した後は、定着させるための運用や周知活動も行います。最初は納得感を得られない社員もいる可能性があるため、制度移行の背景や理由も含めて説明を行いましょう。

必要に応じて定期的にアンケートや意識調査を行い、制度への満足度を測るのも効果的です。

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人事制度の設計で失敗しないための注意点

人事制度の設計を行う際には、いくつか注意すべき点も存在します。意識すべき点を理解してから人事制度の改革や新制度の設計は行いましょう。


① 企業理念との連携や一貫性

人事制度は、自社にとって「理想的な組織をつくる」という目的が前提にあります。したがって、既存の人事制度の問題を解決する新しい仕組みだけでなく、最終的に目指すべき組織のイメージも描きながら制度全体を設計すべきでしょう。

その意味では、人事制度と企業理念の連携や一貫性も必要な要素です。設計フローでも解説したように、企業理念や事業目標の再確認、適合性のチェックは必ず行いましょう。

例を挙げると、人との和や協調性を目指す経営理念等であれば、人事制度も協調性の高い人材の雇用や育成、評価を重視する仕組みにして一貫性を持たせます。


② 公平性や明確化を意識する

人事制度の設計時には、運用時に従業員から不平や不満が出ないよう、公平性や明確化を意識しておく必要があります。新しい人事制度を導入しても、社員に受け入れられなければ失敗します。必ず公平で明確な評価・報酬システムを設計しましょう。

既存の人事制度がある場合には、従業員にアンケートやヒアリングを行い、制度の課題や改善すべき点を聞いておくのも効果的です。特に曖昧な評価基準や評価方法は見直しを行い、新しい人事制度では納得感を得られるシステムに変えましょう。

また、成果のみを評価する仕組みだけでなく、成果を出すまでのプロセスも公平に評価する体制を整えておくと、社員のモチベーションも高まります。


③ フィードバックの機会を作る

いかに公平性や明確化ができている人事制度を設けても、評価者からの適切なフィードバックがなければ、従業員も自らの行動改善や成長ができません。必ずフィードバックの時間は十分に確保して、適切なアドバイスや改善指導を行えるように制度設計しましょう。

特に重要な点は、従業員が自身の業務遂行のレベルや改善すべき課題を認識することです。評価結果を伝えて、現状の立ち位置を理解してもらいましょう。その上で、さらに高い目標を目指してもらうのが効果的です。

なお、フィードバックの際には上司の伝え方も重要です。一方的な伝え方や高圧的な態度で話すと、不平・不満が溜まる要因になるため注意しましょう。評価を行う人員も適切に育成する必要があります。


どのようなタイミングで人事制度は見直すべきか?

人事制度の概要や設計方法、注意点等を解説しましたが、制度の見直しはどのようなタイミングで行うべきなのでしょうか。

主に見直しを行うべきタイミングとして、下記のような時期があります。


① 企業の競争力向上や成長を目指すとき

これまでに解説したように、人事制度の改革は、成功すれば従業員のモチベーションや成長意欲を大きく高めるきっかけになります。高い成長意欲や能力を持つ社員が自社内に育てば、企業の競争力向上や業績アップなどの成長も見込めるでしょう。

実際に大企業でも、人事制度の改革で明確な目標設定が可能となり、会社全体でのモチベーション向上につながった事例が多くあります。ぜひ人事制度導入の成功事例を調べて、新たな制度設計の参考にしてみましょう。

なお、成功事例の共通点として、評価者と従業員のコミュニケーションを密に行っている点が挙げられます。評価者の上司と評価される部下との間に良質な信頼関係を築ける制度を設け、納得感を得やすい環境を整えているのです。


② 会社規模が大きく変わったとき

従業員が大幅に増加した場合や、新たな事業を始める際にも人事制度の見直しは欠かせません。管理者のタスクや負担が増加し、従業員一人ひとりに対して適正な評価を行う時間も減ってしまうためです。

そうなれば、働く社員にとって、会社の人事制度に疑念や不満を感じる要因となります。放置すれば離職率の増加や優秀な社員の流出にも繋がりますので、会社規模が大きく変化したときには人事制度を見直しましょう。

なお、人材が増えた場合には、多様な働き方を認める人事制度の構築も必要です。従業員が増えるとそれだけ様々な価値観をもった社員が増加します。外国人スタッフや女性スタッフ、在宅社員など、それぞれの従業員が働きやすい制度設計を心掛けましょう。


③ 法改正や社会的な変化があったとき

労働法の改正や社会環境の変化時も、人事制度を見直すタイミングの一つです。特に2019年からは働き方改革も施行されたため、多くの企業で人事制度の見直しが行われています。

法改正時などの国全体の社会環境が変わる場合、迅速に対応しないと他の企業に採用競争で負ける可能性も高まります。近年の法改正は、従業員の働きやすさや多様性を認める施策が多く、人事制度もそれに応じて整備しないと「働きにくい会社」と思われてしまうためです。

したがって、社会環境に大きな変化があった場合には、柔軟かつ迅速に既存の人事制度を見直し、法律や社会の流れに適合させる必要があります。社会全体の労働や採用に関する変化は常に注視して、人事制度との相違がないようにしましょう。

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人事制度の見直しや設計で役立つ本のご紹介

最後に、人事制度の見直しや設計の際に役立つ書籍をご紹介します。ぜひ参考にして人事制度への理解を深めてみて下さい。

書籍① 『人事の組み立て~脱日本型雇用のトリセツ~』
人事制度の策定にあたり参考になる一冊です。欧米との雇用形態・キャリアパスからの違いや、ジョブ型制度に関する内容も解説されています。経営戦略に資する人事制度とは何かを考える上で、見ておきたい書籍の一つです。

書籍② 
『NETFLIXの最強人事戦略~自由と責任の文化を築く』
創業20年程度で、世界的な大企業に成長したNETFLIX社の元最高人事責任者の著書です。先鋭的な人事制度をはじめ、組織運営、採用の考え方等も学べます。人事担当者だけでなく、チームリーダーやマネジメント担当者にもおすすめの一冊です。

書籍③ 『心理的安全性のつくりかた 「心理的柔軟性」が困難を乗り越えるチームに変える』
人材定着や社員のパフォーマンス向上に欠かせない、『心理的安全性』について学べる書籍です。人事制度の設計を行う人事担当者、組織づくりを担う経営者や管理職にもおすすめです。社内のコミュニケーションを活発化させて、人事制度を上手く運用していくためにも読んでおくと良いでしょう。


人事制度は時代や環境、人に合わせて柔軟に変えていきましょう!

人事制度のトレンドや変遷、ジョブ型の解説や人事制度の設計・注意点についても説明しました。日本ではこれまで多くの人事制度を採用し、新たな制度も導入してきました。しかし、共通する点としては、時代や環境、その時々の人の価値観に合わせて制度も変化させているという点です。

今後も世の中の流れに沿って、人事制度を柔軟に変化させる施策は必要となるでしょう。ぜひ、本記事を確認しながら、理想となる人事制度の構築に取り組んでみて下さい。

ヒトクル編集部
記事を書いた人
ヒトクル編集部

「ヒトクル」は、株式会社アルバイトタイムスが運営する採用担当者のためのお役立ちサイトです。

「良いヒトがくる」をテーマに、人材採用にかかわる方々のヒントになる情報をお届けするメディアです。「採用ノウハウ」「教育・定着」「法務・経営」に関する記事を日々発信しております。各種お役立ち資料を無料でダウンロ―ドできます。

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杉本雄二 社会保険労務士法人ローム静岡 所長
監修した人
杉本雄二 社会保険労務士法人ローム静岡 所長

求人情報誌発行・人材派遣の会社で広告審査や管理部門の責任者を18年経験。 在職中に社会保険労務士試験に合格し、2005年に社会保険労務士杉本事務所を起業。 
その後、2017年に社会保険労務士法人ローム(本社:浜松市)と経営統合し、現在に至る。 静岡県内の中小企業を主な顧客としている。
顧客企業の従業員が安心して働ける環境整備(結果的に定着率の向上)と、社長(人事担当者含む)の悩みに真摯に応えることをモットーに活動している。