終身雇用制度のままで大丈夫? メリット・デメリットとこれからの人事制度

終身雇用制度のままで大丈夫? メリット・デメリットとこれからの人事制度
目次

少し前の日本は、終身雇用制度を採用する企業が一般的でした。
ですが最近は、ダイバーシティ採用やジョブ型採用といった新しい制度に切り替えるケースが増えています。

今回は、終身雇用制度のメリット・デメリット、終身雇用が減っている理由、これからの人事制度など、幅広い面から雇用制度を解説いたします。

今後、どのような雇用システムを取り入れるべきか、ぜひ参考にしてみてください。

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終身雇用制度とその歴史

終身雇用制度を採用する企業が減り、制度自体を知らない若い世代もいます。
どのような制度なのか、内容と歴史をみてみましょう。


終身雇用制度とは

終身雇用制度はその名の通り、採用した従業員を企業が定年まで雇用する制度です。

以前は、一度入社すれば安定した生活が約束される終身雇用を望む人材が多く、企業側も率先して終身雇用制度を取り入れていました。

この制度では、昇進できない人材、役職につけない人材であっても、定年まで働けます。
終身雇用と合わせて、年功序列制度を導入している企業が多いのも特徴です。


終身雇用制度の歴史

終身雇用制度は、大正時代の終わりから昭和のはじめ頃に、取り入れる企業が増えました。

当時、スキルを持つ人材の転職率が非常に高かったことから、企業や工場は、年功序列による収入の保証、長期雇用による手厚い退職金制度などを用意の上、終身雇用制度で退職を未然に防ぐ取り組みがはじまりました。

第二次世界大戦の前後で一時期、終身雇用制度は衰退しましたが終戦後、労働力が足りない企業が増え、再度終身雇用制度が広がっています。

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終身雇用制度のメリット・デメリット

日本的雇用慣行である終身雇用制度には、メリット・デメリットがあります。
労働者によって、どのような良い面、悪い面があるのか、チェックしてみましょう。


終身雇用制度を活用する5つのメリット

終身雇用制度を活用すると、5つのメリットが得られます。
まずは、良い点をみてみましょう。

メリット

・社員の不安を軽減できる
・長期的な人材育成ができる
・収入面で優遇される
・幅広い経験を積める
・愛社精神が高まる

デメリット

・働く意欲が低減する
・大きな変革が望めない
・若いうちは賃金が安い場合がある

メリット1:社員の不安を軽減できる

終身雇用制度を導入すると、職を失う不安から解放されます。
就職先企業が倒産しない限り、定年まで働き続けられるため、結婚や出産などの計画も立てやすくなります。


メリット2:長期的な人材育成ができる

従業員が転職しない終身雇用制度は、じっくりと人材を育てられます。
必要な労働力を確保し、成長させていきたい企業に向いている制度です。


メリット3:収入面で優遇される

終身雇用制度を取り入れている多くの企業が、年功序列制度、退職金制度を併せて活用しています。
年齢を重ねれば重ねるほど給与が増える、定年まで勤めれば多額の退職金が受け取れる、といった安心感を得られます。


メリット4:幅広い経験を積める

終身雇用制度の企業では、従業員の異動が少なくありません。
さまざまな部署で経験を積めるため、マルチに活躍できる社員を育成できます。


メリット5:愛社精神が高まる

従業員にとって、終身雇用で採用された企業は、一生を共にする会社です。
かけがえのないパートナーとして、愛社精神が高まるというメリットがあります。


終身雇用制度を活用する3つのデメリット

終身雇用制度には、デメリットもあります。次に、制度のマイナス面をみてみましょう。


デメリット1:働く意欲が低減する

定年まで雇用が継続される終身雇用は、従業員のモチベーションが上がりにくいというデメリットがあります。
努力しない従業員、最低限の仕事しかしない従業員が増える可能性が高いこと、実力があっても評価されず、不満を抱えやすいという問題もあります。


デメリット2:大きな変革が望めない

終身雇用は新しい人材が入る機会が少ないため、古くからの慣習が残りやすい傾向です。
新しい取り組みを避けたり、役職の意見が絶対だったり、といった企業もあり、社会に取り残されるケースが考えられます。


デメリット3:若いうちは賃金が安い場合がある

長く勤めれば勤めるほど、役職や手厚い退職金が約束される終身雇用制度ですが、若手のうちは賃金が安いケースが少なくありません。
ある程度の年齢になるまでは、我慢の時間が続くため、終身雇用であっても社員が途中で辞めてしまう場合があります。

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終身雇用制度が廃れつつある3つの要因

従業員側にとってメリットもある終身雇用制度ですが、年々導入する企業が減っています。
なぜ別の手法を選ぶ日本企業が増えているのか、3つの要因を解説します。


要因1:不安定な日本経済

終身雇用制度が多く取り入れられていた時代の日本は、戦後の高度経済成長期を迎えていたため、年功序列による賃金や高い退職金を約束できました。

しかし現在は、バブル崩壊やリーマンショック、相次ぐ災害などで、企業活動が不安定な状態が続いています。

このような時代に終身雇用制度を導入するのは、企業にとってリスクが高いことから、別の方法へ切り替えるケースが増えています。


要因2: IT化・デジタル導入による働き方改革

パソコンやロボット、AIなどの普及により、働き方に大きな変化が訪れています。

多くの人員がいなくても企業活動を継続できたり、人の手に変わって仕事をロボットにまかせたり、といったケースが増え、人材やスキルが不要になった仕事もあります。

時間をかけて労働者を育成する必要がないこと。

以前のように、睡眠時間を削って残業するのが当たり前という時代ではなく、短い時間で仕事を終わらせられる人材の方が評価される時代であることから、実力で勝負できない終身雇用制度が崩壊しつつあります。


要因3:若手人材を採用できない

若い世代は、終身雇用制度に魅力を感じにくい傾向にあります。
少子化で売り手市場が続く中、

「知識やスキルを活かせる成果主義の企業で働きたい」
「どんどん転職してキャリアアップしていきたい」

と考える若手が多く、終身雇用や年功序列の企業は避けられがちです。

若い世代の従業員を獲得するなら、終身雇用制度を止め、新しい取り組みを検討してみましょう。

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日本にまだ残る終身雇用に近い人事制度

終身雇用制度を導入する企業が減っていく中、終身雇用の名残を持つ人事制度がまだ残っています。今後減っていくと考えられる、4つの人事制度をみてみましょう。


新卒一括採用

終身雇用時代から今でも続いているのが新卒一括採用制度です。

大企業は特に、多くの人材を獲得する必要があるため、新卒にターゲットを絞り、まとめて採用する例が多くみられます。

少子化が進んでいることもあり、新卒でまとまった人材を確保しておきたい。転職してしまう人材が多いからたくさん採用しておきたい、といった理由で新卒を確保している例です。

中途採用だけでは、必要な人数を獲得するのが難しい企業が多く、新卒一括採用を取り入れるケースがまだ続くとみられています。


能力重視の人事評価

終身雇用制度での典型的な人事制度は、職能資格制度です。

職能資格制度とは、従事する仕事(=職務)の性質や種類により、仕事(=職務)を遂行するのに必要な能力(=職能)を判定し、その結果にもとづき、あらかじめ規定された賃金表(賃金テーブル)によって支給する給与制度です。

つまり、能力(=職能)が高いと判定される従業員が高い給料をもらうことができる仕組みです。中小企業から大企業まで広く導入されています。

職能資格制度は、能力を正しく認めてもらえる一方で、企業の売上に貢献したり、自らアイデアを出して受注を獲得したり、といった企業への貢献度が加味されにくいというデメリットがあります。

近年は個々の能力だけでなく、幅広い視点から評価する企業が増えはじめています。


段階に応じた社員育成

新卒一括採用の企業に多くみられるのが、段階に応じた社員育成です。

新入社員は同じ入社時研修を受け、その後も決められたタイミングでセミナーや研修に参加したり、資格取得を目指したりする働き方です。

年齢や役職に応じて教育するため、長期育成したい企業に向いている方法です。


メンバーシップ型人事

社員のポジションを決めず、どの業務でもマルチに活躍できる人材を育てるのが、メンバーシップ型人事です。定年まで何度も人事異動を経験する、終身雇用制度時代に作られた社員育成方法が、現在も幅広い企業に残されています。

メンバーシップ型人事は、長期雇用が前提です。

コミュニケーションを円滑にできるというメリットがある一方で、専門家が育ちにくい、大幅なスキルアップが難しい、という問題が残されています。

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企業がこれから取り入れるべき人事制度

「終身雇用制度や、昔ながらの教育方法を取り入れているけれど、社会の変化の影響でうまくいかない部分がでてきた」

そんな風に感じているなら、従来の制度に固執せず時代に合った人事制度に変更することを検討してみましょう。

新しく取り入れる企業が増えている、5つの人事制度を紹介いたします。

成功する人事制度の設計方法とは?近年のトレンドや注意点も分かりやすく


ダイバーシティ採用

ダイバーシティ採用は、名前からも分かるとおり、多様性を大切にした採用方法です。

これまでは、自社の理念、経営目的などに応じた人材を採用するのが一般的でした。
ですがダイバーシティ採用では、あえて雇用してこなかった性別や国籍、異業種の人材を積極採用します。

これまでにいなかったタイプの人材が活躍することで、企業に新しい風が吹き込み、有意義な議論が交されたり、活発なアイデアが生まれたり、といった未来につながります。

同じような意見しか出ない、似たような考えの人材ばかりで成長が止まっている、そう感じたら、ダイバーシティ採用を検討してみましょう。

新卒一括採用を続けながら、適所にダイバーシティ採用を取り入れている企業もあります。

ダイバーシティとは?導入のメリットや注目されている理由、取り組み事例も紹介!


キャリアに応じた人材育成制度

新卒や昇格のタイミングで同じ研修を受けさせるのではなく、人材が求めるキャリアに応じた教育に取り組む企業が増えています。

自社に必要なキャリア、従業員が理想としているキャリアプランなどを把握の上、適した教育ができるため、早期のスキルアップが望めるでしょう。

伸ばしたい能力、身につけたい資格などを支援してくれる体制があれば、社員が生き生きと自分らしく働けます。

会社の指示を待つのではなく、自ら動ける人材が育ちやすい点もメリットです。


欧米で導入されているジョブ型人事制度

ジョブ型人事制度は、欧米で広く取り入れられている制度です。
社員を育てるのではなく、必要なポジションを担える人材を探し、雇用します。

重要なポストの人材が欠けた場合も、同じ能力を持つ人材を採用できるため、業務をスムーズに進行できます。

ジョブ型人材は転職しやすい、というデメリットがありますが、導入する企業が増えている背景もあり、今後日本でもジョブ(ポスト、ポジション)に応じて人材が流動すると考えられます。

人材育成のコスト削減につながる、外部の知識やスキルを生かしてもらえる、といった点がジョブ型人事のメリットです。

ジョブ型雇用とは?日本型の雇用との違いやメリット・デメリットを解説


良いとこ取りのハイブリッド型人事制度

先ほど紹介したように、終身雇用制度にもメリットがたくさんありました。
この日本らしい良い点を生かしながら、現在に合ったシステムとして提案されたのが、ハイブリッド型の人事制度です。

終身雇用の流れを受け継いだメンバーシップ型人事と、これから取り入れたいジョブ型人事の良い部分を併せた制度で、ロール型人事と呼ばれることもあります。

ハイブリッド型人事は、能力だけでなく行動も評価する点が特長です。

すでにスキルを持っている人も、これから能力を伸ばしたい人も、平等に評価できるため、モチベーションアップや従業員満足度の向上につながります。

ハイブリッド型人事の取り入れ方は、企業によってさまざまです。
求める人材像を明確にしながら、自社に適した基準を設定しましょう。


成果を重要視した人事評価制度

終身雇用制度が消えていく現在、成果を重要視した人事評価制度に注目が集まっています。
能力をメインにした従来の評価ではやる気が起きない、早期出世が難しい、というデメリットがありました。

これを成果重視に変えることで、頑張った分だけ評価してもらえる企業になれます。

自分の仕事はもちろん、自社の売上が上がった場合も給与や賞与に良い影響が出るため、積極的に活動する社員を増やせます。

企業全体を活気づけながら、成長を促していきたい企業へ、特におすすめの方法です。

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まとめ

終身雇用制度を導入する企業が減りゆく中、終身雇用の良い部分だけを生かしたり、新しい人事制度を導入してみたり、といった工夫が各企業でされています。

自社に適した雇用制度を選択するためにも、企業が抱える問題を洗い出して、解決に導ける方法を取り入れましょう。

新しい取り組みで、社内に嬉しい変化が起きたり、企業の成長につながったり、そんな未来も待っています。
取り入れられる部分から導入して、企業に必要な人材を獲得してください。



ヒトクル編集部
記事を書いた人
ヒトクル編集部

「ヒトクル」は、株式会社アルバイトタイムスが運営する採用担当者のためのお役立ちサイトです。

「良いヒトがくる」をテーマに、人材採用にかかわる方々のヒントになる情報をお届けするメディアです。「採用ノウハウ」「教育・定着」「法務・経営」に関する記事を日々発信しております。各種お役立ち資料を無料でダウンロ―ドできます。

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杉本雄二 社会保険労務士法人ローム静岡 所長
監修した人
杉本雄二 社会保険労務士法人ローム静岡 所長

求人情報誌発行・人材派遣の会社で広告審査や管理部門の責任者を18年経験。 在職中に社会保険労務士試験に合格し、2005年に社会保険労務士杉本事務所を起業。 
その後、2017年に社会保険労務士法人ローム(本社:浜松市)と経営統合し、現在に至る。 静岡県内の中小企業を主な顧客としている。
顧客企業の従業員が安心して働ける環境整備(結果的に定着率の向上)と、社長(人事担当者含む)の悩みに真摯に応えることをモットーに活動している。