新卒採用でよくある失敗例とは?|メリットやデメリット、中途採用との違いも解説!
「新卒採用」と「中途採用」のどちらで人材採用を行うかは、多くの企業が悩む問題の一つです。
2つの採用手法はともにメリット・デメリットが存在するため、両方の特徴をしっかりと把握した上で取り入れる必要があるでしょう。
そこで、本記事では新卒採用のメリット・デメリットについて解説します。
中途採用との違いや新卒採用を行うべき企業・失敗例も紹介しますので、採用活動に取り組む予定の方は、ぜひ一度確認してみてください。
新卒採用と中途採用で異なる点とは?
新卒採用と中途採用では、以下のような相違点があります。
採用目的 | 採用対象者 | |
新卒採用 | 将来的に幅広い業務に対応できる 人材の採用、中長期的な育成が主目的 | 高校あるいは大学を卒業見込み である学生 |
中途採用 | 即戦力や専門性の高い人材の採用、 欠員による人員カバー等の目的が多い | 社会人経験者 |
また、採用のタイミングでも新卒採用が入社年度の前年度3~4月であるのに対し、中途採用では欠員時や新規事業立ち上げの際、もしくは通年という違いがあります。
新卒採用のメリット
新卒採用には、下記のメリットがあります。前述した中途採用との違いを把握した上で、効率的に採用活動に取り入れてみましょう。
① 企業理念に共感した幹部候補を育成しやすい
中途採用では、前職の理念や慣習に慣れてしまっている社員が多く、新しい職場の企業文化や環境に対応できない人も存在します。そのため、企業の価値観や方向性を理解した人材の育成が難しい傾向にあります。
一方で、新卒採用では社会人経験のない学生が大半であるため、企業理念や価値観をすんなりと受け入れてもらえるでしょう。企業の方向性や考え方を理解した人材として、将来の幹部候補に育成しやすいメリットもあります。
② 中小企業でも優秀な人材を採用しやすい
中小企業の場合、中途採用で人材を獲得しようとすると、競争力のある他社企業や大手企業と競わなければならず採用が難しい傾向があります。特に優秀な人材は転職する可能性が低いため、採用できる機会も少ないでしょう。
しかし、新卒採用では採用市場が大きく優秀な学生が多く存在します。また、企業説明会やインターンシップ、セミナー等で接点も作りやすく、優れた人材を見つけやすいメリットも存在します。中小企業でも良い人材を獲得できるチャンスは十分にあるでしょう。
③ 採用・育成を効率的に行える
新たな人材の採用や育成には非常にコストが掛かります。特に中途採用の場合では、少人数を頻繁に採用するケースが多いため、採用活動の度に求人サイトへの掲載料や広告費などの負担が出ます。
また、採用活動の時間確保や育成・研修も都度行う必要があるでしょう。
一方で新卒採用では、一時期に大量の人材を募集・採用するため、採用サイトへの掲載料や広告費負担が短期間で終わり採用コストを軽減できます。
育成でも学生をまとめて研修セミナー等に参加させられますので、効率的に多くの人材を育てることが可能です。
④ 職場に良い刺激や雰囲気の変化を与えられる
新卒採用者を雇った場合、既存の先輩社員が基本的な社会人としてのマナーやスキル、具体的な業務内容を指導して育成しなければなりません。
新人教育には負担が大きく掛かりますが、その分教える側の社員には責任感や先輩社員としての自覚が芽生えるメリットもあります。
また、既存社員と同年代の中途採用者を雇用するより、新卒採用で若い人材を採用した方が、新たな発想や柔軟な考え方を取り入れられる可能性が高まります。
新卒採用には、上記の様な職場への良い刺激や雰囲気の変化を与えられる利点もあるのです。
⑤ 企業の好感度向上やブランディングにつながる
新卒採用では、数多くの大学や学生に向けてPRを行うため、企業の好感度向上やブランディングにつながる可能性があります。
特に近年では、規模の大きい求人サイトや合同セミナー等が増加しましたので、非常に多くの人の目に触れる機会ができました。
また、企業独自のユーモアな採用活動を行うと、メディア等で注目され話題になるケースも出てきています。こうした新卒採用の副次的な効果で、企業の好感度向上やブランディングに繋がる可能性も十分にあるでしょう。
なお、企業の好感度向上は採用競争においても有利に働きます。優秀な人材や入社意欲が高い人材も集まりやすくなりますので、より効率的に採用活動を進められるでしょう。
新卒採用のデメリット
新卒採用には下記のデメリットもあります。人材採用を始める前に確認しておくようにしましょう。
① 一人前になるまでに費用や時間が掛かる
社会人経験のない新卒社員は、一人前に仕事や業務をこなすまでに時間が掛かります。また、基本的なマナーや対応スキル、業務知識もないため、研修などを行う費用も発生するでしょう。
なお、負担となるのは目に見えて消費される研修費用だけではありません。
教育を行う上司、先輩社員なども指導で時間を取られるため、間接的なコストが発生してしまう点にも注意しましょう。
② 早期離職をする可能性がある
新卒者はこれまで学生であったため、忙しい社会人の仕事や生活に耐えきれず早期離職してしまう可能性があります。
特に採用計画で大量雇用する予定の場合、一人ひとりへのフォローが行き届かず、多数の早期離職者が出る可能性があるため注意しましょう。
加えて、最近では転職によるキャリア形成も一般的になりつつあります。より魅力的な企業に入社して成長したいという学生は多いため、入社後も自社への魅力付けは積極的に行いましょう。
③ 景気の影響を受けやすい
新卒採用は景気の影響を受けやすい点にも注意が必要です。好景気の際には、どの企業も資金的な余裕があるため規模の大きい採用活動を行います。
そうなれば、採用市場も競争が激しくなり、優秀な人材を採用できる可能性も低くなるでしょう。
一方で不景気の場合には、多くの企業が採用活動の規模を縮小させて競争が弱まる傾向はありますが、自社でも採用に必要な予算や時間が確保できない可能性が発生します。
先行きへの不安から新卒採用自体を諦める事態も起こりうるでしょう。
メリット | ① 企業理念に共感した幹部候補を育成しやすい ② 中小企業でも優秀な人材を採用しやすい ③ 採用・育成を効率的に行える ④ 職場に良い刺激や雰囲気の変化を与えられる ⑤ 企業の好感度向上やブランディングにつながる |
デメリット | ① 一人前になるまでに費用や時間が掛かる ② 早期離職をする可能性がある ③ 景気の影響を受けやすい |
中途採用のメリット
中途採用では、主に下記の2つのメリットがあります。新卒採用のメリットとも比較・検討して、効率的な採用活動を行いましょう。
① 研修による負担や育成時間の軽減になる
新卒採用では、社会人経験のない学生を採用するため、基本的なビジネスマナーや対応スキルなどを研修で学んでもらう費用負担が発生します。
しかし、中途採用ではある程度のマナーやコミュニケーション能力を身に付けた人材が多いため、研修コストの負担もないでしょう。
また、新卒者の場合は上司や先輩社員の指導時間も長く確保する必要があります。一方で、同職種や同業界からの中途採用者であれば、育成時間も少なく済む可能性が高くなります。
ただし、全く指導や研修を行わないと中途社員からのイメージは悪くなりますので、必要に応じて育成や指導は行いましょう。
② 中途採用者の経験やノウハウを得られる
中途採用者には、前職までの経験・スキル・業務に関するノウハウ等があるため、自社にはなかった知識やノウハウを得られるメリットがあります。
同業他社であれば、業務内容や職務における知識が近いため、これまでになかったノウハウ等を教えてもらえるでしょう。
また、異業種からの転職者でも、新たなアイディアや意見を提案してくれる可能性があります。上手く取り入れれば、企業の効率や生産性が向上するきっかけになりますので、同業他社だけにこだわらずに中途採用は進めましょう。
中途採用のデメリット
中途採用でも下記のようなデメリットが存在しますので、自社の採用戦略に合わせて計画的に実施しましょう。
① 会社の経営方針や方向性と合わないケースもある
中途採用で雇い入れた社員の場合、自社の経営方針や方向性と考え方が合わないケースもあります。同業種からの中途採用者は、前職までの経験から自分なりの仕事の進め方を既に築いている状態がほとんどです。
したがって、会社で決められている業務の進め方や経営の方針と考え方が合わず、結果的に作業効率が悪くなりサービスや商品の品質が低下する事態も起こり得ます。
特に前職で大きな成功体験を積んでいる社員は、優秀な人材の可能性が高い傾向にありますが、一方で柔軟性に欠ける場合もあります。
雇い入れる前にしっかりと考え方や価値観を確認して、ミスマッチが起きないように注意しましょう。
② 早期に転職される可能性がある
中途採用者は転職に慣れているケースがあるため、入社しても企業に馴染めなければ早期に転職する可能性があります。
採用した企業にとっては、採用活動で負担した費用や時間が無駄となり、大きな損失となるリスクがあるでしょう。
そのため、雇用する企業側でも会社に馴染めない飽き性な社員は採用しないようにする必要があります。
ただし、あまりにも転職が多い場合は、入社した社員へのフォローが足りていないことも考えられますので、自社への魅力付けや離職防止への取り組みも行いましょう。
早期離職は新卒採用・中途採用ともに起こりうる事態です。採用選考時での見極めはもちろん、入社後のフォローでも予防する意識を持ちましょう。
メリット | ① 研修による負担や育成時間の軽減になる ② 中途採用者の経験やノウハウを得られる |
デメリット | ① 会社の経営方針や方向性と合わないケースもある ② 早期に転職される可能性がある |
新卒採用に取り組むべき企業
新卒採用と中途採用のメリット・デメリットについて紹介しました。では、新卒採用に取り組むべきなのはどういった企業でしょうか。主に以下の目的がある企業が挙げられます。
① 企業文化を醸成して定着させたい会社
企業文化は会社の進むべき方向性を示す上で重要です。特に社員がどれだけ企業文化を認識し帰属意識を持てるかが、企業の生産性や成長性を高めるポイントにもなります。
新卒採用では、中途社員よりも企業文化を浸透させやすい学生を雇用します。したがって、今後企業文化を早めに醸成して社内に定着させたい会社は新卒採用を選ぶと良いでしょう。
② 従業員の成長意欲を向上させたい企業
新卒採用の採用手法では、まだ業務知識や社会人経験のない学生を雇用します。新しく入った新卒社員には若手社員が業務やマナーを教えますので、先に入社した社員にとっても知識を確認する機会となります。
また、指導担当となれば責任感や向上心も養われますので、従業員の成長意欲を高めたい時にも新卒採用はおすすめです。
③ 事業規模の拡大を目的とする企業
既に事業の仕組みが体系化しており、今後拡大を図りたい場合には新卒採用の社員を充てると効果的です。
業務内容や仕事の進め方も決まっていますので、知識や経験のない社員でもスムーズに研修等でスキルを習得し遂行できるためです。
逆に新規事業に充てる人材として、新卒社員はトラブル対応力や業務経験なども少ないため向いていないと言えます。
新卒採用よりも中途採用に取り組むべき企業
では、新卒採用ではなく中途採用に取り組むべきなのはどういった企業でしょうか。主に下記のような企業が挙げられます。
① 欠員補充や増員で即戦力が必要な企業
既存社員の急な欠員や新規事業で増員が必要となった場合、即戦力となる人材は中途採用で雇用できるためおすすめです。同業種であればすぐに業務にも慣れてもらえるため、欠員補充や事業スピードを上げたい時には中途採用が良いでしょう。
② 事業範囲を拡大して競争力向上を目指す企業
事業範囲の拡大や新規事業の際にも、中途採用で経験のある社員を雇うと効果的です。新たな事業やプロジェクトの開始では、自社にないノウハウ・経験・スキル等が必要になります。
そのような場合、中途採用者が他社で培った知識・経験を活かして活躍してくれるでしょう。
専門性の高い職種での中途採用で成功すれば、企業の競争力も向上が見込めます。
③ 教育コストに充てる資金に余裕がない企業
新卒採用では、前述したように採用コストだけではなく、入社後の教育コストでも大きな負担が発生します。スキルや業務経験のない新卒社員には、研修や既存社員からの指導が多く必要になるためです。
したがって、教育資金に余裕がない場合は、比較的早く業務や仕事に慣れることが可能な社員を中途採用した方が良いでしょう。
新卒採用で起こりがちな失敗例について
最後に新卒採用で発生しやすい失敗例についてご紹介します。新卒採用に取り組む前に、ぜひ確認してみてください。
① 目的や計画性のない採用での失敗
失敗例の一つ目として、目的や計画が不明瞭なまま採用活動を進めて失敗するケースがあります。具体的には下記のようなケースです。
- 高齢社員ばかりの企業が新卒採用を行い、従業員間で年齢差のギャップや対立が発生する
- 必要のない目的で社員を雇用してしまい、再び新たな採用コストが発生してしまう
- 採用に掛けられる予算を決めていなかったため、募集が長引き必要以上の費用が発生する
特に新卒採用の場合は1年近くの長いスパンで行うため、目的や計画性を明確にして採用活動に取り組む必要があります。目的や計画が不明瞭なまま実施すると、採用活動の方向性にブレが生じるリスクや、余計な費用負担で損害が出る可能性もあります。
② 採用の人数・基準の設定が明確でない
新卒採用では、採用人数および採用基準の設定も重要な事項です。明確な採用人数の設定がないと、入社後に自社で教育できる余力を超えてしまう事態も起こり得ます。
そうなれば、十分な教育体制や研修制度、指導の時間等を設けられず、早期離職する社員が出るため注意しましょう。
同様にして採用基準の設定も大切な要素です。基準が不明瞭なまま採用を行えば、本来必要でない人材を雇用する可能性が高まり、入社後のミスマッチも発生しやすくなります。
したがって、新卒採用では採用人数や採用基準の設定も明確にしましょう。採用人数では、自社の資金的余裕や指導で確保できる時間等も考慮し、育成可能な人数を算出しておきます。
そして採用基準では、採用担当者ごとの評価でブレがないように、必要な人材の明確化を行いベースとなる基準を設けましょう。
③ 自社への魅力付けやフォロー、集客施策が不十分
さらに、新卒採用では以下の要素も考慮する必要があります。
- 学生に自社で働くイメージを持ってもらえるような企業PRや説明会の実施
- 学生の入社意欲が高まるような企業情報の発信、コンテンツの準備
- 新卒社員入社後のフォロー制度、研修カリキュラムの拡充
- 採用選考時や内定後におけるスムーズで迅速な連絡体制の構築
- 十分な応募が集まるような採用戦略の設計、集客施策の実施
上記のような事項も新卒採用の成否を分ける重要なファクターです。例えば、働き方がイメージできるPRや入社意欲を高めるコンテンツがないと、自社への魅力付けが不十分となり選考を途中辞退する学生も出るでしょう。
また、採用戦略・集客施策の設計ができていなければ、そもそも採用候補の母集団形成が上手くいかず、必要な応募数を集められない可能性が出ます。
新卒採用は計画的に、入社後フォローも考えて実施が必須
新卒採用や中途採用のメリット・デメリット、各採用方法が向いている企業や失敗例についても紹介しました。
どの採用手法でも同様ですが、採用活動では事前の計画立案や入社後のフォロー・施策の実施も検討した上で行わないと効果が出ません。
不十分な採用計画では、採用時期の遅れや採用コストの増加、さらには必要な人数を確保できないリスクも出るため注意しましょう。
これから新卒採用を行う方は、ぜひ本記事を参考にして採用活動を実施してみて下さい。
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